その目に映る未来は、ひとつではない 作:並行世界とかという概念最高
「あはははっ! 最高だよ僕! 歌じゃ決まらないなら、僕たちの『可能性』で踏み潰してあげる!!」
絶望のメドレーを撃ち破られた敵の少女が狂気に顔を歪め、頭上の空間の位相を両手でバリバリと力任せに引き裂いた!
ごう音とともに、要塞の上空にどす黒い空間の亀裂が幾重にも走る。
「っ……!? なんだあの空間の歪みは……!」
「黒霧の『ワープ(転移)』の個性か……!? いや、それにしては規模も波長もデタラメすぎる……っ!」
死柄木弔の圧倒的な脅威を前にボロボロになりながらも最終局面に集結していた1-Aの面々――緑谷、爆豪、轟、麗日たちが、突如として頭上で起きた異常事態に顔を険しくさせる。
黒霧を思わせる空間の裂け目の奥から、数々の悪名高き敵キャラクターたちや異形の同位体を引き連れ、敵側の主人公が冷酷な笑みを浮かべて雪崩込んできた。
「嘘だろ……あんなの、どうやって相手すんだよ……!」
「終わりがない……次から次へと言葉を失うような戦力が……っ!」
圧倒的な物量と敵の増援に、プロヒーローたちや1-Aの生徒たちに走る動揺と絶望の空気。
その空気を切り裂くように、私服姿の透野視希がマイクを握り締め、荒い息を整えながら声を張り上げた。
「——自分のやるべきことをしろッ!! ヒーロー、あんな雑魚に足をとられてる暇はないはずだろ!!」
その冷徹で、けれど圧倒的な確信に満ちた叫びが、天空の戦場に響き渡る。
「……っ!」
緑谷がハッと顔を上げ、爆豪が険しい顔のままに歯をむく。
「……そうだな! 自分の役割を全うするだけだ!」
「テメェに言われなくても分かってんだよ!!」
それぞれの持ち場で、それぞれの「やるべきこと」に立ち返った1-Aとヒーローたちの背中に、再び強烈な闘志の火が灯る。
「——僕の計算は、狂わない」
透野視希が『万象の眼』の全計算領域を限界までフル回転させ、歯を食いしばる。歌を止めれば一瞬で肉体も精神も噛み砕かれる極限の中、彼女は血の味のする唾を飲み込み、次なる対抗のための旋律を脳幹から叩きつけた。
第一陣:異形の切断——『紅蓮華』
敵側が引き裂いた空間の裂け目から飛び出してきたのは、狂気に満ちた眼差しをした無数の敵キャラクターたち。
透野視希は間髪容れずにLiSAの『紅蓮華』の疾走感を歌い上げ、その鋭利な旋律で空間の位相を切り裂いた!
『紅蓮の華よ咲き誇れ! 運命を照らして』
—— LiSA 『紅蓮華』より(作詞:LiSA)
その音波演算に応じるように、空間の亀裂から降り立ったのは——日輪刀を構え、全集中の呼吸を吐く『剣士の自分』!
閃光のような剣戟が走り、敵側が引き連れてきた尖兵たちを一閃のもとに両断していく。
第二陣:呪詛の相殺——『廻廻奇譚』
だが、敵の少女は冷笑を浮かべ、黒い霧の奥からさらに凶悪な敵キャラクターの群れを次々と舞台へと引きずり出す。
周囲の空間が不気味に歪み、戦場の空気をダークな殺意で侵食していく。
「——ならば、その闇の旋律ごと上書きする!」
透野視希はビートを瞬時に組み替え、Eveの『廻廻奇譚』のダークで攻撃的なリズムをぶつけた!
『闇を祓って 闇を祓って 夜の帳が下りたら合図だ』
—— Eve 『廻廻奇譚』より(作詞:Eve)
応じるように降臨したのは、怪しく青黒い呪力を指先に宿した『呪術師の自分』!
呪力の領域を広げ、敵の放つ呪詛を正面から打ち消し、空間の歪みを強引に再固定した。
第三陣:弾道予測と限界突破——『ピースサイン』
「なっ……なんで……! なんで全部の波長に対応できるんだよおっ!?」
苛立ちを爆発させた敵の少女が、引き裂いた霧の奥からさらに規格外の脅威や機械兵器の群れを引きずり出す。
「これが最後だ……! 僕たちの泥臭い生き様の全容を……受け取れッ!!」
透野視希は私服のパーカーを激しく羽ばたかせ、すべての限界を突き破るエネルギーを込めて、米津玄師の『ピースサイン』を空へと轟かせた!
『さらば掲げよピースサイン 転がっていくストーリーを』
—— 米津玄師 『ピースサイン』より(作詞:米津玄師)
天空の雲が爆発的な衝撃波とともに吹き飛んだ。
『ピースサイン』の旋律に乗せて降臨したのは、宇宙や荒廃した未来で幾多の戦場を駆け抜けてきた、巨大可変戦闘機や漆黒のモビルスーツに乗る『パイロットの自分たち』!
「なっ……!? おい、死柄木の対応だけで手一杯だってのに、上空の霧から次々とヤバい奴らが……っ!」
爆豪が爆破の反動で空を睨みつけながら絶叫する。
「透野の野郎……何十人、何百人の自分を呼び寄せてやがるんだ!!」
緑谷が緑の稲妻を纏いながら、信じられないものを見る目で上空を見上げる。
黒霧を思わせる空間の裂け目から、敵側の主人公が数々の悪名高きキャラクターや異形の同位体たちを引き連れて雪崩れ込み、それに対抗して透野が次元を超えた自分たちを召喚して激突する――まさにマルチバース規模の総力戦が、幕を開けたのだった!