ブルーオーシャンを求めて 作:新米店長
未来に転生した。
二度目の生なので、小さい頃から絵や縫い物の練習をして、オタク全振りにする事にした。
だけど、私が死んだ時ですらレッドーシャンだった創作分野はAIも入ってきてレッドーシャン真っ赤っか。もはや身動きする場もない感じだ。
私の非才では、感想一つもらうのも大変だった。
毎日投稿サイトの新着に1000件ぐらい出るんだからそれはそう。
そんな私だが、オンリーイベントの帰り道、超でかい脱走わんちゃんに追いかけられ、必死で逃げたら気がつけば異世界で倒れていた。
すこぶる運が良いことに、魔術師に拾ってもらった。
私は空間魔法の才能があったらしく、メキメキ成長した。
体の作りが違うというか、私は空間魔法の魔法陣が生まれつき体に刻まれているのだという。そして、空間魔法しか使えない代わりに習わずとも使える。師匠達は術式を編んで魔法を使う。技術を高めればどんな魔法も使えるが、勉強が必要だ。
術式を見つけるのが大変らしく、私の術式を勉強出来て大変ありがたいと師匠は喜んでいた。
そして、3年後。術式を使う為の魔石を大量に鞄に入れ、拾ってくれた魔術師、師匠に幸運のおまもりを貰って、無事元の世界に帰還し、ついでに宝くじを買った。当たった。キャリーオーバーで六億円。
師匠、ありがとう……!
一億円を両親に配分し、行方不明者の状態を解除する手続きをした私は、考えた。
この世界の娯楽産業がレッドオーシャンなら、ブルーオーシャンの世界に行けば良いのでは?
きっちり帰還のためのアイテムも作り、お土産をたっぷり持って師匠の元へと帰還した。お土産のメインはパソコン、プリンタ、ペンタブ、A4用紙、水力発電機である。パソコンにはこの世界の文字を登録してある。設定が大変だった。
3日掛けて、師匠の家の横の小川に水力発電機を設置する。
それだけでなく、データさえ作ってもらえれば師匠の本を印刷屋さんに頼んで出版するとも伝えた。
師匠はとっても感激して、空間魔法の研究の報奨金を半分くれた。
私は師匠の自伝と論文と教本を30冊ずつ印刷してプレゼントした。
師匠はとても喜んでくれた。六億円稼がせてくれた師匠だ、100万円ぐらいどうってことない。師匠は自分の儲けた分を半分くれたのだし、まだまだ師匠が求めれば印刷代を持つつもりだ。
「師匠、出来ればお店をやりたくて、せっかく師匠にいっぱいお金をもらったから、お店を立てる所からやりたい!」
「話は通しておこう」
ありがたやありがたや。
ということで、ここから私の話が始まるのだ。
まずはお店を建てる良い立地を探す。これは結構時間がかかるらしい。
こっちも商品の準備に時間が掛かるのでちょうどいい。
劇場の近くの広めの立地がいいな。
小説。漫画。グッズ、コスプレ販売。カフェ。
いずれは劇場ともコラボしたい。金はある!
私は執筆を開始した。
宝くじに当たって以来、変な営業が来たりと心配なので、作業は師匠の家で、地球には税金と家賃だけ払いに行ってる。電気代、水道代、ガス代は解約した。
この前行ったら、普通に扉が開いてた。怖い。
その点、ここ、ファンタジー世界(わかりやすく以降ナーロッパと呼ぶ)では魔力を含んだ食べ物が美味しい。師匠の家はセキュリティ万全ということなしだ。
執筆に行き詰まったらダンジョンにも行く。
師匠には鍛えられたからね。空間防御、空間断裂、そしてアイテムボックス。無敵か。毒は師匠がアンチポイズンのアクセサリーをくれたしね。
そんなわけで、私は2年掛けて作品を作った。
その間に師匠の友人の作った論文もいくつか印刷した。皆さん、喜んでくれた。
とはいえ、これだけでは本が少なすぎる。
BL5冊、NL5冊、ほのぼの料理もの1冊、冒険もの7冊、恋愛もの2冊の20冊。
全て短編。これが小説と漫画の二種類の計40冊。
それらは30冊ずつ印刷する。
それに、グッズやコスプレを売れるようなメイン長編作品はまだ出来ていなかった。
エロコーナー、漫画コーナー、小説コーナーの書店か……うーむ。
師匠に聞いて、よくある感じの童話や物語も用意した。これが10冊くらい。
元からある奴はタブーに引っかからないよう気を遣った。何せ神様が本当にいるような世界だからね。法律、タブー、不敬罪。その辺に引っかからないかはよく調べた。
エロコーナーもちゃんと隠れるように布を垂らした。
いい感じの立地の場所が取れたので、お店を建てる。
おしゃれな感じのカフェ、服売り場と雑貨スペースと本売り場。
後々拡大した時のことを考えつつ、今の少ない商品でも大丈夫なように配置を考えるのは大変だった。
服は目に楽しいのを好きに買ってきてトルソーに飾りつけた。
ゴスロリからコスプレから好きにさせてもらった。
下着もバッチリ用意である。キャラものの靴下も忘れない。
サイズ測るサービスとかないし試着もないしありものだけという殿様商売である。
値札は完全に雰囲気。
万引き防止の魔法だけしっかり掛ける。
可愛い雑貨と原稿を書く前提の画材、それに白紙の本も沢山用意。
水流を動かし続ける魔道具をセットし、水力発電機を使えるようにした。
これで店番中も執筆可能。
可愛く飾りつける事ができたので、師匠を呼ぶ。
師匠達は友人を連れてきた。皆が本を持っている。
「おおー! いい感じじゃないか」
「本当ですか!」
「わしの本はこの辺でいいぞ」
師匠達は一番いい所に本を並べ始めた。
ポップも値札も用意しているあたり、よく勉強している。何もいうまい……。
あとで並べ直そう。
「売れる度にお金取り分けておくの大変なんで、今払っちゃいますね」
「でも売れたら連絡が欲しいぞ」
「完売した時だけ連絡するんで本の名前と連絡先ください」
「これください」
「わしはこれを」
「なんだこの布? 中に本が……ぬわー!」
「どうしたどうした……ぬわー!」
「ぬわー!」
「これ、もしかして胸につけるのか? ええ、えっち……ください」
話題性は抜群だろう。あとはどれだけ売れるかである。
そうだ、カフェはゴスロリ喫茶にしよう。
商品はコーヒーとクッキーとパスタで十分だ。