超かぐや姫!かぐや達は現実世界でも遊びたい!   作:リズ029

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やりたいこと

 ある土曜日の夜。

 彩葉とかぐや、ヤチヨ、芦花、真実の五人は女子会を終えて帰路についていた。

 現在は真実と別れ、四人は彩葉とかぐやのタワマンに向かって歩いているところだ。

 

「あ〜美味しかったあ」

「フカフカのパンケーキ。いくらでも食べられそうだったね〜」

 

 かぐやの言葉にヤチヨが答え、味を思い出しながら頬を手で抑える。

 そんな様子を見て、後ろを歩いていた芦花は微笑み、彩葉は「ちょっと食べ過ぎ。二人とも太るよ?」と、茶々を入れつつ意地の悪い笑みを浮かべた。

 

「なんで太るようにしたのか」

「ヨヨヨォ、気を付けます〜」

 

 などと言いつつも、かぐやとヤチヨは次行ったら他のパンケーキを食べたいだの、別のスイーツを試してみたいだの、真似して作ってみたいだのと話を始める。

 それを見て、彩葉は「ホントに分かってる?」と苦笑した。

 

「そういえば芦花。今後の予定は?」

「しばらくは休みかな。いやぁやっと暇になったよ」

「美容インフルエンサー兼モデルは大変だねえ」

「義体技術のパイオニアで、研究所の所長で、ツクヨミのトップライバーの一角。かぐやちゃん達のプロデュースと作曲も伴奏もしてる彩葉ほど大変ではない」

「あはは〜。まあでも学生時代ほど辛くないからな〜。今は芦花も家にいてくれてるし」

 

 そう言って笑った彩葉の首元に指輪を下げたネックレスが光る。

 それは芦花とお揃いで買った物で、芦花の首元にも同じネックレスが下げられていた。

 しばらく仕事で出ていたが、現在自宅のタワマンには彩葉、かぐや、ヤチヨ、芦花が四人で暮らしているのだ。

 

「芦花! 今度ヤチヨ向けにメイクしてやって!」

「いいよ。かぐやちゃんも久しぶりにしたげる」

「お。やったね!」

 

 歩きながら振り返って言ったかぐやに微笑みながらそう言って、芦花は横からの視線に気が付いてそちらに目をやる。

 

「どうしたの彩葉」

「いやあ。今幸せだなあって思って」

「私も。今幸せ」

 

 学生時代、片思いしていた彩葉に気持ちを伝えられないままただの友達として過ごし、かぐやの一件で音信不通になってしまった彩葉が登校してきた際に真実と共に彩葉と抱き合って泣いた放課後。

 そのどさくさで気持ちを吐き出した事にヤキモキして、芦花は後日、いや、後日というよりはかぐやの義体が完成したあと再び気持ちを伝えた。

 もうこれで最後になってもいい、嫌われてもいいと思って決意を胸に彩葉に「好き」と伝えたのだ。

 結果。彩葉は「私も芦花が好き」という事で、かぐや、ヤチヨ同様恋人として今は四人で同棲している。

 

「お二人さぁん。私たちはのけ者ですかい?」

「ヤッチョたちも仲間に入れて欲しいなあ」

 

 いつの間にやら横に来ていたかぐやが彩葉の、ヤチヨが芦花の手を握る。

 仲睦まじく歩く四人に、すれ違う人たちの視線は釘付けだ。

 何せ四人が四人共に顔が良い。

 

 中でもヤチヨの存在感だ。

 

 ツクヨミに潜った事がある神々なら、すれ違った瞬間に「ん? あれヤチヨじゃね?」と振り向かずにはいられなかった。

 それでも話しかけたりしなかったのは、ヤチヨ自身が気付いた者に向かって人差し指を立てて自分の口に当て、暗に「内緒にしてね」と、ウインクして見せたからだった。

 骨抜きになったツクヨミユーザーは、提示版に『ヤチヨを現実で見た』と書き込むくらいしか出来なくなるが、結局『嘘乙』『大丈夫? 病院行く?』『おいたはダメだよー』と相手にされる事は無かった。

 

「ヤチヨちゃんはこっちで何かしたい事ないの?」

 

 タワマンまであと少しというところで、芦花が手を繋いでいるヤチヨに聞いた。

 芦花が妹みたいに思っていたかぐやと同じ存在であるヤチヨ。

 彩葉から話を聞いた時はいまいちピンと来なかったが、ツクヨミで交流していくうちにそれが擦り合わされていき、今の芦花にとってもヤチヨは大事な妹のような存在になっていた。

 そして現在のこの手繋ぎだ。

 芦花は昔、とあるカフェでかぐやを膝枕した時の事を思い出していた。

 

「う〜ん。やりたいことかあ。かぐやで大体やってるからなあ。配信も料理も」

 

 芦花の言葉に、ヤチヨが首を捻る。

 ツクヨミとは違い、ツインに編んでない銀髪のロングストレートが車のヘッドライトを反射して水面のように煌めいた。

 

 まさにミステリアスというに相応しい美人。

 

 そんな美人なお姉さんが「あ、あれやりたい!」と、芦花の手を放してポンと自分の手の平を合わせて微笑んだ。

 

「ゲーム! ゲームしたい!」

 

 芦花の目に、ヤチヨとかぐやの笑顔が重なって見えた。

 

「ツクヨミに行きたいって話、じゃないよね? ヤチヨ向こうにもいるし」

 

 聞いたのは彩葉だった。

 

「ノンノン。ツクヨミでゲームがしたい訳じゃないのです。覚えてる? 芦花の家でみんなでモモパしたの」

「あ〜。あったな〜。真実がめっちゃ強くて、かぐやがボコボコにされてたよねえ」

「あんな感じで! ヤチヨはみんなで遊べるゲームをみんなでしたいのです!」

「じゃあやる?」

「やるやるぅ!」

 

 ヤチヨの言葉に答えた彩葉に、かぐやが飛び跳ねながら喜ぶ。

 それを見て、彩葉は「ちょっと、転ばないでよ?」と、苦笑を浮かべたのだった。

 

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