超かぐや姫!かぐや達は現実世界でも遊びたい! 作:リズ029
彩葉が仕事をしている時、かぐやとヤチヨは彩葉や所員の手伝いはほどほどに、優先的に行っていることがあった。
ツクヨミでの配信や、配信のためのネタ集め、その他諸々、ツクヨミでのAIライバーヤチヨとしての活動などである。
とはいえコレはかぐや達の我儘ではない。
彩葉の「推しが推しとして活動するために!」という我儘から始まった。
そしてこの日も彩葉の研究室の一角で、かぐやとヤチヨは役割を配信スケジュール管理とサムネイル作成、ネタ探し、企画提案と分担してヤチヨは目を閉じてツクヨミへ、かぐやはスマホ片手にゲームストアを眺めていた。
「なんか面白いゲームないかなあ〜」
有料級の美声から放たれる鼻歌交じりにスマホをスワイプしていくかぐやを横目に、微笑みながらタブレットPCに文字を打ち込んでいく彩葉。
そんな彩葉の耳に「あ! コレ面白そう!」と、かぐやからの声が届いた。
彩葉がどうしたのかと、かぐやの方を見るがその視界に飛び込んできたのはかぐやのスマホの画面だった。
「ねえ彩葉! コレ一緒にやらない?」
「モモングアス?」
「二十年前くらいに流行った人狼型のゲームの一つだよ! コレはVR対応で和風テイストなの!」
「別に一緒にやるのは良いけど、私たちだけでやるの? 人数少なくない?」
「大丈夫! お誘いのメッセ送ったから!」
「誰誘ったの? 私が知ってる人?」
「内緒!」
「ええ?」
そして数日後の夜のゲームコラボ配信当日。
彩葉たちはスマコンからツクヨミではなく、モモングアスのサーバーにイン。
彩葉、ヤチヨ、かぐやはそれぞれ配信を開始し、そしてコラボ相手たちも配信を始めた。
「ヤオヨロー! 月見ヤチヨでぇーす!」
「かぐやっほー! 酒寄かぐやだよー!」
「おいまだ酒寄じゃないでしょ! あ、いろっぴー。いろPでーす」
「今日は告知していた通り、ヤチヨがかぐやたちを呼んでのゲームコラボ! 豪華なゲストも呼んでるよぉ〜。ではどうぞ〜」
いつものツクヨミのアバターではなく、二頭身だか三頭身だかのデフォルメされたキャラクターのアバターを使用しているヤチヨがヒラヒラ手を振った。
「よぉ、子ウサギども! お前らの帝様が! 来たぜぇ……はぁ。なんかこのアバターだと調子出ないな。帝アキラだ。ヤチヨちゃん、今日はコラボにお誘いありがとう」
「乃依でぇす。今日の俺……作画可愛くない」
「雷だ。よろしく頼む」
「というわけで! 今日はかぐやいろPと、ブラックオニキスに来てもらったよ〜」
いつものテンションと変わらないヤチヨと、あからさまにテンションがさがっているブラックオニキスの帝アキラと乃依の二人。
その横でいつもと違うアバターに満更でもない様子の雷を眺めながら、彩葉はかぐやと個人用のボイスチャットを繋げる。
「なんでこのメンバー?」
「あの時の雪辱を晴らしたくて!」
「あの時? もしかしてヤチヨカップの時の話してる?」
「結果としては勝ったけど、KASSENでは負けたからねえ。このゲームなら朝日たちの人力チートは封殺出来るはず! だから今日は黒鬼を、いや朝日を絶対ギャフンといわせるのだ〜」
ふっふっふ〜。と、意地の悪い笑みを浮かべているかぐやを見て、彩葉は「そんな上手くいくかなぁ」と冷や汗を浮かべた。
その間に、ヤチヨがツクヨミや配信サイトで配信を見ているリスナーに向かってゲームの説明を始める。
「——というわけで、平民は人狼に倒されないように気をつけながらお屋敷内の仕事をして、人狼は平民の仕事を妨害しながら平民を全員倒しましょ〜。みんな分かった?」
「まあこの手のゲームもやってないわけじゃない。ごめんだけど簡単には負けてあげないぜ? なあ乃依」
「とりあえず帝は道に迷わないようにしてよね。慣れてないゲームだとすぐ迷うんだからさあ」
乃依の言葉に現実世界で朝日が苦笑いを浮かべた。
そして「じゃあとりあえずゲーム始めるよ〜」と、ヤチヨがスタートボタンを押す。
それに連動して、参加者全員の目の前にディスプレイが出現し『開始』のボタンを出現させた。
「私が人狼になって帝を倒す!」
気合いを入れて握った拳でボタンを押すかぐや。
「なんで俺?」
「俺も人狼になったら帝狙お〜」
「乃依⁉︎」
フィールドに転送されていくかぐやに向かって怪訝な顔を向ける帝に、乃依が言いながらボタンを押す。
「人狼やだなあ。平民でいいよ平民で」
「彩葉強そうだけどねえ人狼」
「ヤチヨォ? どういう意味かな?」
彩葉の言葉に答える代わりに開始ボタンを押して姿を消すヤチヨを追うように、彩葉もボタンを押して転送を開始。
最後に雷が「祭りが始まるな」と、ボタンを押して、全員が待機所から転送されていったのだった。