TSマルフォイの純血主義を矯正したら高飛車ツンデレ幼馴染(傲慢持ち)になった件 作:マルフォイは貧乳だろボケがふざけんな
ちょこちょこ更新再開します。
いよいよ、シーズン初戦となる『グリフィンドール対スリザリン』のクィディッチの試合が始まろうとしていた。
控え室の外でドラ子の見事な演説を聞き届けた俺は、約束通り一番いい席で応援するか! と意気込んでスリザリン寮の応援スタンドへと向かったのだが。
……正直に言おう。俺は魔法界におけるクィディッチというスポーツの人気ぶりを、いささか舐めていたらしい。
控え室に立ち寄っていたせいで少し遅れてスタンドへ上がってみれば、緑と銀のロゼッタをつけたスリザリン生や他寮の生徒たちで、席はすでに足の踏み場もないほど満杯だったのである。
マジかよ……。ドラ子に一番前の席で見守ってるなんてカッコつけて言った手前、立ち見で人混みの後ろから覗き込むわけにもいかないし、どうしようか……。
俺がスタンドの通路をウロウロと歩きながら空いている席を探していると、不意に隣のブロック――深紅と金色の横断幕が揺れるグリフィンドール側のスタンド最前列から、聞き覚えのある声が飛んできた。
「──レオン! 席を探しているなら、こっちが空いてるわよ!」
手を振って声をかけてきたのは、ハーマイオニー・グレンジャーだった。見れば、彼女とロナ・ウィーズリーが座っているすぐ隣のスペースが、荷物を置いていたのかぽっかりと一人分空いている。
「いや、でも流石にスリザリン生の俺が、敵チームの応援席のど真ん中に行くのはな……」
俺が苦笑いして渋っていると、「いいから早く来なさいよ、試合が始まっちゃうわ!」とハーマイオニーに手招きされた。
まあ、今日の俺にはドラ子の応援だけでなく、ハリーの箒への呪いを防ぐという重要な目的がある。視界が開けた最前列に陣取れるなら背に腹は代えられないし、仕方ないか――と腹を括った俺は、言われる通りにハーマイオニーの隣の席へと腰を下ろした。
すると案の定、ハーマイオニーの向こう側に座っていたロナが、むっとした仏頂面で身を乗り出してきた。
「ちょっとハーマイオニー、どうしてスリザリンのレオンなんかをこっちに連れてきたのよ! ……言っとくけどレオン、別にあんたのことは嫌いじゃないし、もう友達だとは思ってるわよ? でもね、この神聖なクィディッチの応援席で、敵チームの応援をすぐ横でされるのは、グリフィンドールの士気に関わるのよ! 士気に!!」
「ポッターを応援する」と書かれた手作りの横断幕を握りしめ、豊かな胸元を揺らしながらぷりぷり騒ぐロナ。
俺は両手を合わせて、申し訳なさそうに頭を下げた。
「もちろん、ここで応援の大声は出さないって約束するよ。でも、一番いい場所でドラ子の応援だけはしたいんだ。頼むよ、ウィーズリーさん」
「うっ……そ、そこまで言われたら追い出せないじゃない……。分かったわよ、その代わり絶対に声は出さないでよね!」
渋々といった様子で頷いてくれるロナ。
なんだかとんでもなく変な構図になってしまったなと思いつつも、俺は冷静に周囲を見渡し、これはむしろ原作展開を進める絶好のチャンスかもしれないと考えた。
この場所でハリーの箒が暴れた時に俺が対処すれば、「どうしてスリザリン生が隣でハリーを助ける反対呪文をかけているんだ?」というちょっと変なやつにはなってしまうものの、その場でリアルタイムに「教師陣の誰かが呪いをかけている!」と二人に吹き込むことができる。
うまく疑いを教師席の方へ向けさせることができれば、きっと彼女たちは原作通りに無茶をしてスネイプ先生のもとへ突撃してくれるはずだ。
つまり、今日俺がやるべきことは三つ。ドラ子の応援が最優先で、次にスネイプ先生の補助をしてハリーとドラ子に正々堂々と戦ってもらうこと。そして最後が、原作展開のルートに戻すこと。……まあ、最後のやつに関しては努力目標だな。優先度はそこまで高くない。
俺が心の中で優先順位を整理し終えた、まさにその時。
マダム・フーチの吹く銀の笛がピィィーーッ! と高く鳴り響き、赤いクワッフルが空高く放り投げられて、ついに試合が幕を開けた。
『さあ、始まりました! クワッフルを最初に手にしたのはグリフィンドールのアンジェリーナ・ジョンソン! ――おっと、スリザリンのキャプテン、マーカス・フリントがパスコースを塞いだ! 素早い連携でクワッフルを奪い返します! いつもの汚いプレイングはどうした!!』
『ジョーダン!!』
実況のリー・ジョーダンとツッコミを入れるマクゴナガル教授の声が競技場全体に響き渡る。
空を見上げると、そこでは先ほどのドラ子の喝が効いたのか、マーカス・フリントの的確な指示のもと、スリザリン・チームがまるで一つの巨大な蛇のように統制された集団として機能していた。グリフィンドールのチェイサーたちを絶妙なポジショニングで取り囲み、一切の反則を犯すことなく、純粋な戦術とパスワークで互角以上の攻防を繰り広げている。
「……あれ? なんか今日のスリザリン、いつもの汚いラフプレーを全然しないじゃない。珍しいこともあるもんね」
ロナが目をパチクリとさせながら呟いた。
その言葉を聞いた俺は、まるで自分のことのように鼻高々な気分になり、腕を組んで自慢げにニコニコと言い放った。
「ふふっ、うちのドラ子はそういう卑怯な真似が大嫌いだからな。試合前にあいつがチーム全員にビシッと言い渡したのさ。きっと今日の試合は、最高に見応えがあるぞ」
俺が我が家の猫を自慢する飼い主のような笑顔で語っていると――なぜかすぐ左隣に座っていたハーマイオニーが、ピクリと眉をひそめて不機嫌そうな顔になり、小さな指先で俺の脇腹をギュッとつねってきた。
「いてっ! え、グレンジャーさん、なんで今つねったの??」
「……別になんでもないわよ。試合に集中して」
ぷいっと顔を背けてツンとするハーマイオニー。
意味わかんねぇ……なんだ、スリザリン自慢をしたのが癪に障ったのか?
俺は脇腹をさすりながら首を傾げつつ、再び上空のフィールドへと視線を戻した。
試合は一進一退の白熱した展開を見せていた。
点差はほぼ互角――いや、オリバー・ウッドの鉄壁のキーパーぶりとグリフィンドールの速攻によって、ややスリザリンが二十点ほど不利な状況か。だが、間違いなく食らいついている。この様子なら、紛れもなく今日の勝敗が百五十点を持つ金のスニッチをどちらのシーカーが捕るかに左右されることは明白だろう。
と、その時だった。
フィールドの高い位置を旋回しながらスニッチを探していたハリー・ポッターの『ニンバス2000』が、何の前触れもなく、ぐらり、と不自然に大きく揺れた。
――来たか、クィレルの呪い!
俺は目を細めた。ここで最初から完封してしまうと、ハリーたちが異変に気づかない。だから俺は、ほんの最初の数秒間だけはあえて呪いを見逃し、ハリーの箒が二度、三度と激しく暴れてロデオのように跳ね回るのを待った。
向かいの教職員スタンドの真ん中で、クィレルが瞬きもせずにハリーを凝視している。そしてその数席上で、異変に気づいたスネイプ教授が即座にハリーを見つめ返し、唇を動かして『反対呪文』を唱え始めた――まさにその瞬間。
よし、今だ。
俺はすかさず、杖なし魔法で反対呪文を行使する。
さすがに、上空数十メートルにある高速移動中の箒にかかった強力な闇の呪いを相殺するとなると、ポケットに手を入れたまま片手間で魔法を放つ余裕はなかった。俺は左手を胸の前に出して直接ハリーの箒へと向け、五本の指先を緻密に操作しながら、スネイプ教授の波長に重ねるようにして高出力の反対呪文を発動させた。
スネイプ先生一人では拮抗するのがやっとだった呪いの天秤が、俺の魔法が加わったことで一気にこちら側へと傾く。
上空で今にも振り落とされそうになっていたハリーの『ニンバス2000』が、ピタリと暴走を止め、通常の安定した飛行状態へと戻った。
「えっ……!? ちょっとレオン、その左手、いったい何をしてるの!?」
隣で俺の異様な手の動きと魔力の揺らぎに気づいたハーマイオニーとロナが、驚愕に目を見開いて声を上げた。
俺は左手をハリーに向けたまま、わざとらしく額に冷や汗を浮かべて苦しそうな演技をしてみせた。
「……ハリーの箒に、誰かから強力な闇の呪いがかけられてるんだ! 今急いで俺が『反対呪文』を唱えて抑え込んでるけど……相手もかなりの手練れだ、俺の力だけじゃ長くはもたない……!」
「な、なんだって!?」
ロナがハッと息を呑み、ほんの一瞬だけ「まさかスリザリンのこいつが呪いをかけてるんじゃないか?」と俺を疑うような目で見たが、すぐにブンブンと首を横に振った。
「……ううん、レオンがそんな卑劣なことをするわけないか。 ねえ、誰が呪いを唱えてるか、あんたには分かるの!?」
「誰かまでは正確には分からないけど……呪いの発生源は、あの向かいの教員席の近くかもしれない! 対象から目を離さずに呪文を唱え続けてるやつがいるはずだ!」
正直に言うと、遠隔の呪いの発生源なんて俺の感知能力でも全然分からないのだが、そこは便利な原作知識でしれっと答えを誘導した。
するとロナは、ハグリッドから借りていた双眼鏡をひったくるようにして覗き込み、向かいの教員席へとピントを合わせるなり、カン高い声で叫んだ。
「――いたわ、スネイプだ!! ハーマイオニー、見てよ、スネイプがハリーを睨みながらブツブツ呪文を唱えてる! やっぱりスネイプがやったんだわ!」
「ほんとだわ……! なんてことなの!」
「い、いやぁ、俺はあのスネイプ先生が、そんな卑劣なことをするとは思えないけどなぁ〜」
俺が一応スリザリン生としてさりげなくスネイプ先生を庇ってみせると、それがかえって二人の正義感に火をつけたらしい。
「レオンは自分の寮の先生だから信じたくないのよ! ロナ、私たちが向こうへ行って呪いを阻止してくるわよ! レオン、私たちが着くまで絶対に持ちこたえてね!」
「わ、分かった、気をつけてな!」
バタバタとスタンドの階段を駆け下りていくハーマイオニーとロナの背中を見送り、俺は「ふぅ、これで一先ず原作通りのイベントも回収完了か」とホッと息を吐いた。
ちょうどそのタイミングで、フィールドの中央付近にキラキラと輝く小さな金の羽根――『スニッチ』が出現した気配があった。
俺は左手で反対呪文を維持したまま、青空を舞うプラチナブロンドの少女を見上げ、「頑張れ、ドラ子……!」と心の中で強く声援を送った。
☆☆☆
――その少し前、上空五十メートルのフィールドにて。
最新鋭の『ニンバス2000』に跨がり、冷たい秋風を全身に受けながら、ドラセナは反対側の空を飛ぶハリー・ポッターの動きを観察し、ニヤリと不敵に唇の端を吊り上げていた。
「……ふん。あの飛行訓練の時よりも、さらに腕を上げてきたわね、ポッター。最新型の箒を自分の手足みたいに使いこなしているじゃない」
ドラセナは試合全体の流れを冷静に俯瞰しながら、スニッチが出現するまでの間、時にはグリフィンドールのチェイサーの視界を横切ってパスを牽制するなど、フリントたちの補佐に回っていた。
そんな中、突然、遠くを飛んでいたポッターの箒が激しく暴走し始めたのを、ドラセナのシルバーグレーの瞳が捉えた。
「なっ……なにが起きたの!? 機体の不良? ……ちょっとポッター、私との勝負の前にそんなくだらないトラブルでリタイアなんかしたら、絶対に承知しないわよ……!」」
ドラセナが厳しい目でポッターを睨みつけた、その数秒後だった。
今にも振り落とされそうだったポッターの箒が、まるで何かに支えられたかのようにピタリと暴走を止め、元の滑らかな飛行へと戻ったのである。
(……え? 急に収まったわね。いったい何が……)
不思議に思ったドラ子が、ふと周囲の観客スタンドへと視線を巡らせた瞬間――彼女の視界に、とんでもない光景が飛び込んできた。
グリフィンドール寮の応援席の最前列。
そこに、スリザリン生であるはずのレオン・フォーリーがちょこんと座っており、しかもその両脇をロナ・ウィーズリーとハーマイオニー・グレンジャーの女子二人に挟まれながら、左手をポッターの方へかざしていたのである。
(なっ、なな、なんであいつがグリフィンドール席に座っているのよ!! しかもよりによって、あのウィーズリーとグレンジャーと仲良く並んで観戦しているだなんて、どういう神経をしてるのよあのバカ!!)
上空で顔を真っ赤にして激しく怒りに震えるドラセナだったが、同時に、レオンがかざしている左手の形を見て、すべてを察した。
(……ああ、なるほどね。ポッターの箒に何かが起きて、それをレオンがあの杖なし魔法で止めてくれたというわけね)
理由が分かると、胸の奥の怒りがスッと引いていき、代わりに誇らしいような、くすぐったいような温かい感情が込み上げてきた。
レオンがわざわざ敵であるポッターを助けた理由は、一つしか考えられない。
(――私が、卑怯なトラブルなんかではなく、万全のポッターと正々堂々と勝負して勝てるように、あいつが裏で舞台を整えてくれたんだ。……まったく、余計なお世話よ。でも、レオンのお陰で気持ちよく正々堂々と勝負ができそうね)
ドラセナは風の中で柔らかく微笑んだ。
とりあえず、試合が終わったら「助けてくれたご褒美」と、「女子二人の隣に座っていたお仕置き」のメニューは何がいいかしら――などと考えを巡らせていた、まさにその瞬間だった。
キラリ、とフィールドの底、芝生から数メートルの低空で、小さな『黄金の光』が瞬いた。
金のスニッチだ。
「――あっ!」
ドラ子が気づくよりコンマ一秒早く、スニッチのすぐ真上にいたハリー・ポッターがそれを発見し、ばびゅん! と弾丸のような速度で急降下を開始した。
「逃がさないわよ!!」
ドラセナも即座に『ニンバス2000』の柄を極限まで前へと倒し、猛烈な風圧を切り裂いてハリーの後を追った。
スネイプ先生が贈ってくれたこの箒は、ハリーのものとまったく同じ最新鋭の『ニンバス2000』。つまり、道具による性能差は完全にゼロ。ここで物を言うのは、純粋な飛行技術と実力だけだ。
「負けないわよ、ポッター!! そのスニッチを掴み取るのは、この私よ!!」
外側から鋭い角度でインコースを切り取り、ハリーのすぐ真横へとピタリと追いついたドラセナが叫ぶ。
並走するハリーもまた、前方の小さな金の玉を見据えたまま、ニヤリと不敵に笑い返した。
「勝つのは僕だ!」
二本の『ニンバス2000』が、芝生すれすれの超低空を並んだまま時速百キロを超えるスピードで疾走する。スタンドの観衆全員が総立ちになり、悲鳴に近い大歓声がスタジアムを揺らした。
互いに肩と肩がぶつかり合う激しい攻防。
不規則にジグザグと逃げるスニッチの軌道を、長年の訓練で培った空間把握能力で先読みしたドラセナが、最後のコーナーでほんの半馬身ほどハリーの前に出た。
目の前、わずか数十センチのところでパタパタと羽ばたく金のスニッチ。
ドラセナは風圧に耐えながら、白く細い右手を限界まで前へと伸ばした。
「――私の勝ちよ、ポッター!!」
ドラセナの指先が、スニッチの冷たい金属の感触を確かに捉えた。
掴んだ! と思った、その刹那――。
(えっ――!?)
ちょうどその時、下から吹き上げた強い向かい風にドラセナの箒の穂先がわずかに浮き上がり、握りしめる直前だった彼女の指先から、するり、とスニッチがこぼれ落ちてしまった。
「う、うそ……!?」
まさかのファンブルに、ドラセナがショックで目を見開き、ほんの一瞬だけ箒の速度が落ちた。
そのコンマ数秒の隙を、すぐ背後に食らいついていたハリー・ポッターは見逃さなかった。
「――うおおおおおっ!!」
ハリーは箒の上に立ち上がらんばかりの無茶な体勢で前へと身を投げ出し、ドラ子の手からこぼれて宙に浮いたスニッチを、右手でガッシリと鷲掴みにしたまま芝生の上へと転がり落ちた。
ピィィィーーーーーーッ!!
マダム・フーチの試合終了を告げる長いホイッスルが鳴り響く。
『ハリー・ポッターがスニッチを捕った!! グリフィンドールに百五十点! 百七十対六十で、グリフィンドールの勝利です!!』
スタジアム中が割れんばかりのグリフィンドールの歓声に包まれる中、ドラセナはゆっくりと芝生の上へ着地し、自分の右の掌を見つめたまま呆然と立ち尽くしていた。
あともう一ミリ、指を曲げるのが早ければ、勝っていたのは自分だった。
悔しさが喉の奥からせり上がり、ドラセナはギリ、と下唇を強く噛みしめた。
だが――彼女は涙をこぼすことも、箒を地面に叩きつけて喚くこともしなかった。
深く息を吸い込んで感情を律したドラセナは、スニッチを高く掲げて喜んでいたハリー・ポッターのもとへと真っ直ぐに歩み寄り、凛とした声で告げた。
「……負けは負けよ、ポッター。みっともない言い訳をする気はないわ。今日のところはあなたの勝ちよ。――けど、よく覚えておきなさい。次は絶対に、私が勝つから」
悔しさを隠さず、しかし堂々と敗北を認めたドラセナに、ハリーは少し驚いたように目を見開いたあと、爽やかな笑顔で頷き返した。
「ああ、最高の勝負だったよ、マルフォイ。でも、次も僕が勝つよ」
ハリーに背を向けたドラ子の前に、今度はスリザリン・チームのキャプテンであるマーカス・フリントと、五人の上級生たちが歩いてきた。
ドラセナは、さっきまでの強気な表情を消し、申し訳なさそうに伏し目がちになってフリントを見上げた。
「……ごめんなさい、フリント。試合前にあれだけ大層な口を叩いて、必ずスニッチを獲ると言っておいて、私は負けたわ。約束は守れなかったのだから、文句は言わないわ。次の試合からは、あなたの指示通りに――」
ドラ子が最後まで言い切る前に、大柄なフリントが「ハッ」と短く鼻を鳴らして言葉を遮った。
「――見ろ、マルフォイ。俺たちの顔を」
ドラ子がハッとして顔を上げると、そこに並んでいた六人の荒くれ者の上級生たちは、誰一人としてドラ子を責めるような目はしていなかった。
フリントは自分の胸元を拳でドンと叩き、悔しそうに、けれどどこか晴れやかな獰猛さで歯を見せて笑った。
「負けた。あぁ、俺たちは負けたさ! 死ぬほど悔しいぜ。……だがな、今までの反則ばかりしていた俺たちは、負けても『審判のせいだ』『運が悪かった』と逃げるばかりで、こんな真っ当な悔しさすら感じちゃいなかった。全力で正々堂々とぶつかって、あと一歩で届かなかったこの心地いい胸の痛みを、味わうことができなかったんだ」
フリントの大きな手が、ドラ子の小さな肩にポンと置かれる。
「お前のおかげだ、マルフォイ。お前が俺たちに、スリザリンの誇りを思い出させてくれた。最後のダイブ、本当に惜しかったな。スタンドの連中も俺たちも、みんなお前が一番速くスニッチに追いついたのを見てたし、お前の頑張りを見てた。誰一人として、お前に文句なんて言わねえよ。――胸を張れ、俺たちのシーカー。次は、絶対に勝つぞ!」
「「「おうっ!!」」」
上級生たちの力強い掛け声に囲まれ、ドラセナは信じられないものを見るように目を丸くした。
負けたのに、誰にも見捨てられない。それどころか、本気で戦ったからこそ得られる仲間からの信頼が、そこにはあった。
ドラセナのシルバーグレーの瞳が誇らしげに潤み、彼女は今日一番の気高く美しい笑顔を咲かせて、力強く頷いた。
「――ええ! 次は必ず、私たちが勝つわ!」
スリザリン生改心RTA。
やっぱりクィディッチは精神を豊かにするんやね。