TSマルフォイの純血主義を矯正したら高飛車ツンデレ幼馴染(傲慢持ち)になった件 作:マルフォイは貧乳だろボケがふざけんな
組分けの儀式を終えた俺たちスリザリン寮の新入生が案内されたのは、城の地下深く――黒い湖の底の下に広がる、石造りの談話室だった。
天井からは緑色の光を放つランプが鎖で吊り下げられ、精巧な彫刻が施されたマントルピースの中ではパチパチと暖炉の火が爆ぜている。大きな窓の外には、暗い湖の底をゆったりと泳ぐ巨大なイカや、奇妙な水中生物のシルエットが時折よぎっていくのが見えた。
簡潔に言って悪趣味だとは思う。
こう言ったジメジメした陰気な雰囲気が漂ってるのも、スリザリン寮生が誤解される原因なんじゃないかと思う。
とはいえ純血貴族なんて悪趣味な奴らばっかだし、まるっきりイメージにそぐわないというわけではない。
そんなことを考えながら地下牢のふかふかのベッドで最初の夜を明かした翌朝。
大広間での朝食を終えた俺とドラ子は、ホグワーツでの記念すべき最初の授業である『変身術』の教室へと向かっていた。
「ふふん、最初の授業から完璧にこなして、私たちスリザリンが一番優秀だと証明してやるわよ、レオン」
「朝から気合が入ってるな、ドラ子。まあ、俺たちが普段通りにやれば、まず遅れを取ることはないって」
勝気にプラチナブロンドの髪を揺らしながら歩くドラ子の隣で、俺は動く階段の気まぐれな変化を予測しつつ、足元の段差をエスコートしてやった。
ホグワーツ城の構造は複雑怪奇で、消える階段や「実は扉じゃなくてただの壁でした」というトラップがそこら中に仕掛けられている。
前世の知識があると言っても、階段の動くルートなんてものは知るわけがない。
最初は迷いかけたが、ドラ子と一緒に地図を広げて最短ルートを頭に入れておいたおかげで、俺たちは授業開始の十分前には教室へ到着することができた。
変身術の授業はスリザリン寮単独で行うらしく、教室の中にはすでにパンジー・パーキンソンやセオドール・ノット、それにクラッブやゴイルといった同寮の顔ぶれが揃っていた。
俺とドラ子が最前列の真ん中に並んで腰を下ろすと、ドラ子が教卓の上にちょこんと座っていた一匹のトラ猫へと視線を向けた。
「……あら、猫? 誰かのペットかしら、ずいぶんと行儀がいいわね」
「目の周りの模様をよく見てみなよ、ドラ子。昨日の組分けの時に見た眼鏡の形にそっくりだろ?」
「えっ……? ま、まさか――」
ドラ子がハッと息を呑んだのとほぼ同時に、始業の鐘が鳴り響いた。
次の瞬間、教卓の上のトラ猫がふわりと宙へ跳躍し、空中でその輪郭をぐにゃりと変えて――四角い眼鏡をかけたミネルバ・マクゴナガル教授の姿へと着地した。
「――ひゃっ!?」
「うわあ、猫が先生になったぞ!?」
パンジーやクラッブたちが驚きの声を上げて背筋を伸ばす中、俺は肩をすくめた。これぞ原作名物、マクゴナガル先生のアニメーガスによる歓迎パフォーマンスである。
教室が静まり返ると、マクゴナガル教授は背筋をピンと伸ばし、スリザリンの新入生たちを鋭い視線で一瞥した。
「変身術は、あなたがたがホグワーツで学ぶ魔法の中で、最も複雑で危険な魔法の一つです。私の授業でふざけた真似をする者は、即座に教室から出ていってもらいます。二度と戻ってこなくてよろしい。いいですね」
ピシャリと言い放たれた言葉に、教室中の空気がピンと張り詰める。
そして教授は手にした杖を軽く一振りし、ご自身の机をあっという間に一匹の「豚」に変えてみせ、さらに次の瞬間には元の机へと戻してみせた。
スリザリン生たちから感嘆のどよめきが上がる。
やがて教授から高度な基礎理論の説明がなされ、全員の机の上に一本ずつ「マッチ棒」が配られた。今日の課題は、このマッチ棒を金属製の「縫い針」へと変身させることだ。
「さあ、始めなさい。杖の軌道と発音、そして何より変化後の姿を明確にイメージすることが重要です」
マクゴナガル教授の合図とともに、教室のあちこちで呪文を唱える声と、杖を振る音が響き始めた。
……さてと。どうしようかね。
俺は自分の机の上に置かれたマッチ棒を見つめながら、懐から杖を取り出した。
正直に言ってしまうと、今の俺にとって、マッチ棒を針に変える程度の初歩的な変身術など、あくびが出るほど簡単な作業だ。
なにせ五歳の頃から四年間、屋敷しもべ妖精のピップを師匠にして血が滲むほど特訓してきたのである。
九歳の夜会でドラ子に紙ナプキンから小鳥とバラを作って見せたように、俺は杖を使わずとも、指先一つでマッチ棒を純銀の針にだって変えることができる。
だけどな……ここで初日から『杖を使わずに無言で変身させました!』なんてドヤ顔で披露してみろ。間違いなく大騒ぎになる。
俺は内心で冷静にブレーキを踏んだ。
ただでさえホグワーツには、アルバス・ダンブルドアという歴代最強の魔法使いにして、生徒の動向を常に把握している老獪な校長がいるのだ。
さらに校内には、ヴォルデモートを後頭部に張り付けたクィレル教授までウロウロしている。
そんな環境で「一年生なのに屋敷しもべ妖精レベルの杖なし魔法を連発する異常者」として目立ちすぎれば、ダンブルドアに警戒されて行動を縛られるか、最悪の場合ヴォルデモートに目をつけられて余計なトラブルに巻き込まれるのは火を見るより明らかだ。
杖なし魔法はいわば、いざという時に原作の悲劇をぶち壊すための『最終兵器』だ。普段の授業ではちゃんと杖を使って、あくまで「ちょっと優秀な純血の優等生」の枠に収まっておくのが一番賢い立ち回りってもんさ。
そう方針を固めた俺が隣の席に視線を向けると、そこではドラ子が真剣な横顔で杖を構えていた。
少しつり上がったシルバーグレーの瞳が、机の上のマッチ棒をまっすぐに射抜いている。
ドラ子はこの2年間の俺との交流で魔力の扱い方を向上させていた。
本来、人間が使う魔法は呪文と杖の動きというシステムに頼り切るため、一年生のうちは自分の魔力をうまくコントロールできずに失敗する者がほとんどだ。
だが、ドラ子は違った。
「――っ、ふん!」
小さく鋭い吐息を漏らし、自分の杖を流れるような軌道でスッと振った。
次の瞬間、ドラ子の机の上にあった木のマッチ棒は、歪み一つない、完璧な光沢を放つ一本の『銀の縫い針』へと姿を変えていた。
「……ふぅ。やったわ!」
ドラ子が小さくガッツポーズを作りかけて、慌てて「コホン」と咳払いをしてお嬢様の澄まし顔に戻る。だが、その口元は達成感でほころび、チラリと俺の方を見て「見たかしら?」と得意げに瞳を輝かせていた。
おお、すげえなドラ子! 初回の授業で一発クリアなんて、間違いなく学年トップクラスの腕前じゃないか。
親友の成長に嬉しくなった俺は、「負けてられないな」と小さく笑って自分の杖を構えた。
わざとらしく二、三度ほど手首の角度を確かめる素振りを見せてから――本来の力の十分の一ほどに抑えた魔力を杖へと通し、マッチ棒の先を軽く突いた。
コトン、と微かな金属音が鳴り、俺のマッチ棒もまた、ドラ子のものと寸分違わぬ精巧な『縫い針』へと変化を遂げた。
「――おや。これは驚きましたね」
生徒たちの間を巡回していたマクゴナガル教授が、俺とドラ子の机の前でピタリと足を止めた。
教授は四角い眼鏡の奥の目を大きく見開き、俺たちの机の上に並んだ二本の完璧な縫い針を交互に見比べた。
「初回の授業で、ここまで完全な変身術を成功させるとは……。ミスター・フォーリー、ミス・マルフォイ。実に素晴らしい集中力と魔力制御です。皆さん、ご覧なさい! この二人の針は、糸を通す穴まで完璧に形成されています!」
マクゴナガル教授が滅多に見せない手放しの称賛を口にし、二本の針を高く掲げてみせた。
スリザリンの生徒たちが「えっ、もうできたのか!?」「さすがドラセナ様だ」と驚嘆の声を上げる。
サラッと俺は省かれてる。
「スリザリンに、それぞれ五点ずつ与えます。この調子で精進しなさい」
「ありがとうございます、マクゴナガル教授」
「当然の結果ですわ、先生」
俺が礼儀正しく頭を下げ、ドラ子が優雅に胸を張って微笑む。
結局、この日の変身術の授業が終わるまでにマッチを完全な針に変えて課題にすべて合格できたのは、クラスの中で俺とドラ子のたった二人だけだった。
「ふふ、見たかしらレオン! あの厳しいマクゴナガル先生が、目を丸くして驚いていたわよ!」
「ああ、ドラ子の手捌き、めちゃくちゃ綺麗だったぞ。一緒にイメージトレーニングした甲斐があったな」
「ま、まあね! あなたの変な理屈も、少しは役に立ったって認めてあげるわ!」
上機嫌でプラチナブロンドの髪を揺らすドラ子と談笑しながら、俺たちは順調すぎる滑り出しで最初の授業を終えたのだった。
☆☆☆
そして週末の金曜日、俺たちは城の地下牢にある、もう一つの重要科目――『魔法薬学』の教室へと足を踏み入れていた。
この授業は、初めてのグリフィンドール寮との合同授業だ。
地下牢の教室は上の階よりもずっと冷え込んでおり、壁際にずらりと並んだガラス瓶の中には、ホルマリン漬けにされた不気味な動物の死骸や内臓がプカプカと浮いている。薄暗く陰鬱なその空間は、入るだけで生徒たちの私語を封じ込めるような独特の威圧感に満ちていた。
俺とドラ子がいつも通りスリザリン側の最前列に並んで座り、羊皮紙と羽根ペンを用意していると――教室の奥の扉がバンと開かれ、全身を漆黒のローブで包んだ一人の男が、まるで巨大なコウモリが滑空するかのような猛スピードで教壇へと歩み出てきた。
油っぽい黒髪を肩まで垂らし、鷲鼻に、底知れない闇を湛えた冷たい黒い瞳。
スリザリン寮の寮監にして、魔法薬学の担当教師――セブルス・スネイプ教授である。
スネイプ教授は教壇に立つと、低い、しかし教室の隅々まで囁き声のように染み渡る独特の声で出席を取り始めた。
そして、ある名前に差し掛かったところで、彼の動きがピタリと止まった。
「……ああ、そうだ。ハリー・ポッター」
スネイプがゆっくりと顔を上げ、グリフィンドール側の席に座るハリーと、その隣で窮屈そうにローブを着ている巨乳赤毛の少女――ロナ・ウィーズリーの方を射抜くように見つめた。
「我らが新しい『有名人』だ」
隣に座るドラ子が、クスクスと控えめに笑う。
なので俺は何度したか分からないチョップをお見舞いする。
「…………」
頭を押さえながらドラ子はげんなりした表情を浮かべる。
もう、分かってるわよと言わんばかりにドラ子はすまし顔に戻った。
原作ならここでマルフォイがクラッブやゴイルと一緒に下品に嗤うところだが、それに比べればマシになったということにしておこう。
スネイプは出席簿を閉じると、冷酷なまでの静けさをまとって語り始めた。
「諸君はここで、魔法薬の調合という緻密な科学と正確な芸術を学ぶ。ここでは、馬鹿げた杖振りなどはほとんど行わない。だから諸君の多くは、これが魔法だとは信じないかもしれん。……もっとも、グツグツと煮える大鍋から立ち上る白い湯気や、人の血管を駆け巡り、心を魅了し、感覚を縛り上げる液体の繊細な力を真に理解できる者など、ここにはほとんどおらんだろうがな」
シーンと静まり返る教室。俺もドラ子も、そして向こうの席に座る茶髪の少女――ハーマイオニー・グレンジャーも、背筋を伸ばしてその言葉に聴き入っていた。悔しいが、やっぱりこの導入の演説はめちゃくちゃカッコいい。
だが、直後にスネイプの黒い瞳がギロリと光り、再びハリー・ポッターを捉えた。
「――ポッター!」
「は、はいっ!」
「水仙の球根の粉末に、ニガヨモギを煎じた汁を加えると何ができる?」
出た、原作第一巻の理不尽極まりない初見殺しクイズだ!
マグルのダーズリー家で育てられ、一ヶ月前に魔法界の存在を知ったばかりのハリーに、一年生の教科書の隅っこに書いてあるような応用知識が答えられるわけがない。
ハリーが困惑して隣のロナを見ると、ロナも「私に聞かないでよ!」と言わんばかりに首を振っている。
一方で、その隣に座るハーマイオニー・グレンジャーは、椅子から腰が浮き上がるほどピンと高く右手を突き上げ、「私を当てて!」と全身でアピールしながらふんふん鼻息を荒くしていた。
しかし、スネイプはハーマイオニーを空気のように完全無視し、薄い唇を歪めてハリーを嘲笑った。
「知らないのか? ではもう一つ聞こう、ポッター。ベゾアール石はヤギのどこから取れる」
「……わかりません、先生」
「授業が始まる前に、一度でも教科書を開こうとは思わなかったのかね、え? ではポッター、『モンクスフード』と『ウルフズベイン』の違いは何だ?」
パンパンと自分の手を叩きながら、今にも立ち上がらんばかりの勢いで手を挙げ続けるハーマイオニー。
ハリーが屈辱と気まずさで顔を赤くして俯きかけた、その時だった。
「――残念だな。どうやら有名人というのは、それがすべてではないらしい。それとも、このクラスには誰一人として基礎すら頭に入っている者はおらんのか?」
スネイプが皮肉たっぷりに教室全体を見渡した瞬間。
彼がハーマイオニーを絶対に当てないことを知っていた俺は、ハリーへの執拗な追及をここで断ち切るべく、スッと静かに右手を挙げた。
スネイプの黒い瞳が、ハリーからスリザリン側の最前列――俺の顔へとスライドする。
「……フォーリーか。答えられるなら言ってみろ」
自分の寮の生徒、それも純血の名門であるフォーリー家の跡取りが手を挙げたことで、スネイプの声色からわずかに刺々しさが消えた。
俺は席を立ち、傲慢になりすぎないよう、あくまで礼儀正しい優等生のトーンでハキハキと答えた。
「はい、スネイプ教授。水仙の根の粉末とニガヨモギの煎じ汁を混ぜ合わせると、『生ける屍の水薬』と呼ばれる、極めて強力な眠り薬になります」
「……ほう。続けろ」
「はい。ベゾアール石とは山羊の胃から取り出される結石のことで、ほとんどの毒薬に対する強力な解毒剤として作用します。そして、モンクスフードとウルフズベインは同じ植物――すなわち『アコナイト』の別名であり、違いはありません」
俺が淀みなく三つの質問すべてに完璧な回答を返すと、薄暗い地下牢の教室にシンとした静寂が落ちた。
グリフィンドール側の生徒たちが「すげえ、今の全部教科書に載ってたのかよ……」と目を丸くし、ハリーも「助かった……」とばかりにホッと息を吐いている。
スネイプ教授は黒曜石のような瞳をわずかに細め、数秒間じっと俺を見つめた後、満足そうに一度だけ頷いた。
「……スリザリンに十点。──そして、なぜ諸君らは今の回答をノートに取らないのかね?」
その言葉にハッとしたようにペンが走る音が教室を包む。
露骨なスリザリン贔屓だなぁ……と俺は苦笑いした。
……まあ、魔法の実技だけじゃなくて、こういう座学の知識も大事だからな。前世の記憶に頼り切らず、ちゃんと一年生の教科書も隅から隅まで読み込んで勉強しておいてよかったぜ。
俺が胸をなで下ろしながら席に腰を下ろした、その時だった。
なんだか右斜め後ろ――グリフィンドール側の席から、氷柱のように冷たくて鋭い視線がブスブスと俺の後頭部に突き刺さっているのを感じた。
なんだ? と思ってチラリと視線を向けると。
そこには、下ろしたばかりの両手を膝の上でギュッと握りしめ、くしゃくしゃの茶髪を逆立てんばかりの勢いで、キッ! と俺を睨みつけているハーマイオニー・グレンジャーの姿があった。
えっ、なんで俺がハーマイオニーに睨まれてんの!?
俺は思わず内心でツッコミを入れた。
いや、理由はなんとなく分かる。誰よりも早く、誰よりも高く手を挙げて「私が答えます!」とアピールしていたのに、スネイプ先生に完全スルーされた挙げ句、スリザリンの俺に美味しいところを全部持っていかれたのが、負けず嫌いの彼女にとって死ぬほど悔しかったのだろう。
ごめんて、グレンジャーさん! でもスネイプ先生はどんなに君が手を挙げても絶対に当てない仕様なんだよ!
もちろんそんな事情を説明できるはずもなく、俺は苦笑いを浮かべてハーマイオニーからそっと視線を逸らした。
すると今度は、すぐ隣の席から「フン」という小さな鼻息が聞こえてきた。
横を見ると、ドラ子が腕を組み、シルバーグレーの瞳を少しだけ尖らせて、ツンと澄ました横顔をこちらに向けていた。
その表情には、ありありとこう書いてある。
『今の質問くらい、私だって当然分かっていたわよ。あなたが先に手を挙げるから、私の出番がなくなっちゃったじゃない』――と。
さっきの変身術では二人仲良く褒められたのに、魔法薬学では俺一人だけが目立ってスネイプ先生に褒められたのが、ちょっぴり羨ましくて拗ねているらしい。九歳の頃から変わらない、なんとも分かりやすくて愛おしいプライドの高さだ。
俺はスネイプ教授が黒板に『腫れ物治療薬』のレシピを書き始めたのを確認すると、机の下でドラ子の椅子へと少しだけ身体を寄せ、彼女の白い耳元に口を近づけて、ごく小さな声で囁いた。
「一緒に勉強頑張ったもんな」
「――っ!?」
俺の囁きが耳に届いた瞬間。
ドラ子の組んでいた腕がビクッとほどけ、その陶器のように白い頬から耳の先、さらには細い首筋に至るまでが、みるみるうちに真っ赤な林檎色に染まっていった。
「……っ、急に耳元で囁くんじゃないわよっ」
ドラ子はスネイプ教授に聞こえないよう、必死に声を押し殺しながらも、パニックになったように両手で自分の赤い頬を押さえ、机の上の羊皮紙に向かってフルフルと俯いてしまった。
「事実だろ? 二人で頭を突き合わせて薬草事典を読み込んだじゃないか」
「う、ううう、うるさいわね!! いいからもう喋らないで、スネイプ先生に怒られるわよ!!」
涙目で真っ赤になりながら、机の下で俺のすねをコツンと軽く蹴飛ばしてくるドラ子。
なんで一緒に勉強したって事実を言っただけで、そんなに顔を真っ赤にしてうつむくんだ? と俺は不思議に思って首を傾げつつも、「はいはい、悪かったよ」と小さく笑って羽根ペンを手に取った。
その後に行われた『腫れ物治療薬』の実習でも、ネビル・ロングボトムが鍋を溶かして大騒ぎになるという原作通りのハプニングこそあったものの、俺とドラ子のペアは一滴の狂いもない完璧な調合を仕上げてみせた。
「見事だ、フォーリー、マルフォイ。グリフィンドールの連中は少しは見習うがいい。スリザリンにさらに五点ずつだ」
スネイプ教授の気前の良すぎるスリザリン贔屓の加点をたっぷりと浴びながら、俺たちの最初の魔法薬学の授業は幕を閉じたのだった。