静ちゃんのラーメン日記   作:葵転青

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2軒目:ラーメン豚山

平塚「次はここだ。ラーメン豚山だ。」

 

八幡「あれ?テンション低いですね?」

 

平塚「上司に連れられて無理矢理食べさせられたからだ。金曜にラーメン食ったのに日曜にまたラーメンとは殺す気か。今も怒りに任せた出社前の殴り書きだ。」

 

八幡「いったいなんの話ですか?」

 

平塚「いや、こちらの話だ。よし、気を取り直してレポするぞ!黄色い店構えで豚山なんて名前だ!さぞかし豚肉もといチャーシューに自信があると見た!」

 

八幡「店の前にメニューがありますね。ミニ・小・大……ミニが普通の店の通常サイズで、小でも通常の店の大盛りサイズだそうですよ。」

 

平塚「私はそれほど大食いではないからミニでいきたい」

 

八幡「初見で味分からないならそれがいいですね。」

 

平塚「男ならミニではなく小を食べろだなんて時代錯誤な事を言われなければ私だってミニを食べたんだ。」

 

八幡「あっ……(察し)。今日は小を頼むんですね。」

 

平塚「うむ、察してくれ。小がこの店の標準サイズらしいぞ。」

 

八幡「なんでそんな分かりにくい事するんですかね。」

 

平塚「店も客も馬鹿だからだろ。」

 

八幡「口が悪いですよ……恨むなら上司を恨みましょう。店は無関係なんですから。」

 

平塚「恨んでも恨みきれんよ。サイズに関しては、まぁそういう文化なんだろう。郷に入っては郷に従えだ。ここも食券機による前払い制だ。」

 

八幡「食券機もいいですけど、メニュー表広げて選ぶ店の方が好きなので、次はそういう店に行きたいですね。」

 

平塚「まったくだ。後ろに客が並ぶと急かされてる気分になって落ち着いて選べん。」

 

八幡「タブレット端末の飲食店も増えてますし、紙のメニュー表は絶滅してる可能性もありますけどね。」

 

平塚「さて、買ったのは『子ぶた』だ。通常のラーメン小がチャーシュー2枚に対して、5枚に増量した物を子ぶたと呼ぶらしい。」

 

八幡「小を頼まされた上に豚を追加までされたんですね』

 

平塚「うむ。食べた事もない豚肉を大量に食わされる未来に恐怖していた。」

 

八幡「あれ?店員さんに食券奪われちゃいましたよ。」

 

平塚「厨房側で全て管理するシステムらしい。前に行った山岡家では半券が手元に残ったが、今回は何も残らん。なんだか心寂しい気分になるな。」

 

八幡「他の客が席について店員に聞かれた際にヤサイマシマシとかニンニクマシマシとか言ってますね。これが噂に聞くコールというやつですか。」

 

平塚「そうらしい。厨房の動きを見る限り素のラーメンを使ってからコールを受けて野菜や油を乗せている感じだな。オペレーション的には面白い。」

 

八幡「平塚先生はどうコールするんですか?」

 

平塚「全マシだ。正確にいうとニンニクヤサイアブラカラメらしいが、全て増量の場合は全マシというらしい。」

 

八幡「全マシ?大丈夫なんですか?」

 

平塚「大丈夫なわけないだろ。しかし上司の手前断れんのだ。とりあえず美味い事を祈ってのコールだ」

 

八幡「混んでなかった事もあって着丼は早かったですね。うわ。凄い見た目だ。野菜とは名ばかりのモヤシの山。チャーシューというか、煮豚に近いトロトロな豚肉の塊。その上に掛けられた背脂とニンニク。インパクトすごいですね。」

 

平塚「食べ切れるか怪しくなってきた。」

 

八幡「頑張って下さい。雰囲気的に残すのはNGですよ。」

 

平塚「…………味は悪くない。麺は極太で啜るのが大変だが、その分食べ応えは相当なものだ。チャーシューというか煮豚は油も肉もトロトロで美味い。モヤシも量は凄いがシャクシャクした歯応えが心地良い。スープは醤油ベースだな、油が溶け込んでいるから甘味を感じるレベルだ。うむ、美味い。満足だ。」

 

八幡「まだ3分の1しか減ってないですよ?」

 

平塚「終わりが見えない分キツいんだ。美味いとは言ったが、麺は極太で満腹感を増幅させるし、煮豚は脂身が多過ぎて胸焼けしそうだし、モヤシは食べても食べても減らないし、スープも油っこいし、何だこれは。食い切れるわけないだろ。」

 

八幡「大食いの人にとっての顧客満足度は高そうですね。」

 

平塚「ここから先は味は関係ない。残さないように食い切るだけだ。大人の意地というものを見せてやろう。」

 

八幡「大人なら上司の無茶振りに断るべきでは…」

 

平塚「それが出来たら苦労はしない。」

 

八幡「…………凄い。食べ切りましたね。」

 

平塚「私も驚いた。私の胃袋にあの量が入るとは。」

 

八幡「二郎系は残すとめちゃくちゃ怒られるって噂ですからね。おっと、ここは下げ丼するんですね。さて、お疲れ様でした。採点の時間ですよ。」

 

平塚「立地良し、味良し、コスパ良し。とはいえ味は単調だったから、少し低めの80点だな。食べてる途中でラー油やお酢で味変すると最後まで美味しく食べれるタイプのラーメンだと思う。」

 

八幡「あれ?味変してましたっけ?」

 

平塚「量を一滴でも増やしたくなかったから味変しなかった。ラー油の一滴でも怪しいくらい切羽詰まっていたんだ。」

 

八幡「ホントにお疲れ様でした……。次は何食べるんですか?」

 

平塚「あっさり系にしよう。魚介ダシ系で、細めストレートの麺で、適度にメンマやネギや焼き豚が乗ってる奴がいい。軽めが良い。」

 

八幡「山岡家も豚山も味が濃い系でしたもんね。あまり下調べするつもりはなかったですけど、次はある程度調べてからいきますか。あれ?電車乗らないんですか?」

 

平塚「夜風に当たってから帰る。今乗ったらリバースしそうなんだ。」

 

八幡「ホントにギリギリなんですね……」

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