お金が冒険で一番大事なもの~【お金】で何でも解決できる力を持っているのに、仲間のせいで今日も貧乏です~   作:ダブルピース

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第15話

「う~、寂しいよ! エナちゃん、お別れのハグしよ?」

「しないわよ! さっさと私の前から消えなさい」

「相変わらず冷たいな~。それじゃ、私は行ってくるよ。カナちゃんも後から来ると思うから、みんなは先にリシアちゃんのところに向かってて」

 

「ばいばい~」と手を振るキロを見送った後、僕たちはリシアちゃんのいる洞穴へ向かった。

 本当はキロにも来てほしかったけど、他にやることがあるなら仕方がない。

 

 マルトトーゼさんの話によると、ランシャから洞穴までは距離があるらしい。普段は馬車で移動するそうだが、昨夜の吹雪で馬車が使えず、歩いて行くしかないようだ。

 

「あぁ……寒い」

 

 延々と続く雪道を歩きながら、僕はぼそっと呟いた。

 借りた毛皮のコートを着ていても、体は冷える。気のせいかもしれないが、洞穴に近づくほど寒くなっている気がする。

 天気は雪、雪、ずっと雪。

 ふとオオガミを見ると、舌を出して空を見上げていた。

 

「何してるの?」

 

 そう聞くと、「新鮮な雪を食ってるんだ」と、わけの分からない答えが返ってきた。

 

「まったく……本当にバカなんだから」

 

 やれやれと首を横に振っているエナを見て、僕はふと思った。

 

   なんでエナは平気なんだ?

 

 エナは、寒い土地に向いているとは思えない軽装だった。

 上には借りたコートを羽織っているが、その下はいつもの薄手のワイシャツと丈の短いスカートのままだ。

 それなのに、エナは寒がる様子もなく平然としている。

 じぃーっとエナを見ていると、オオガミに声をかけられた。

 

「おい。どうした? サク。 エナのやつをじろじろ見て。まさかこいつに惚れちまったんか?」

「違うよ」

「そうだよな。こいつには女としての魅力がないんだから」

「……二人とも殺すわよ」

 

 僕とオオガミに、鋭い殺気が飛んできた。

 誰の殺気かはすぐに分かったので、「すいません」と謝る。

 しかし、謝ったのは僕だけだった。オオガミは「本当のことだろ?」と言ってしまい……殴られた。そのままダウン。置いていかれる。

 まぁ、僕がエナをそういう目で見ていたと思われるのは嫌なので、エナに質問する。

 

「エナ、その格好、寒くないの?」

 

 エナは一度自分の服装を見下ろしたあと、自慢げに胸を張る。

 

「ふっふーん。私は火の魔法で体を温めているから、寒くないのよ」

 

 なにそれ便利。

 羨ましそうにしている僕を見て、エナはニヤリと笑った。

 

「やってあげてもいいけど?」

「その魔法、僕にもかけられるの?」

「そんなの、私にとっては朝飯前よ」

「じゃあ、お願い」

「任せなさ~い」

 

 嬉しそうに呪文を唱えるエナ。

 本当に体を温めてもらえるのか? 便利だなぁ、魔法。

 

「英雄リリーアの第1の魔法……エるっんガー」

 

 唱え終わっても、何も起こらない。「あれ? 不発かな」と思った、その瞬間。

 

「あぁぁぁぁぁ!! 熱い熱い熱い!!」

 

 後ろから叫び声が聞こえた。

 さっきまで倒れていたオオガミが、こっちへ向かって走ってくる。よく見ると、背中から炎が上がっていた。

 

「エナ、噛んだ?」

「いや、成功よ」

「どう見ても失敗だろ? なんでオオガミが燃えているんだよ?」

「うるさいわね。仕方ないじゃない。魔法は難しいの!! そんな簡単にホイホイできるものじゃないのよ!!」

「さっき朝飯前って言ってたじゃん。ちなみに、どのくらいで成功するの?」

「三回に一回ってところかしら。どうする?」

「いや……大丈夫です」

 

 僕は丁重にお断りした……失敗したら、誰かが燃えるんでしょ? 嫌だよ。

 エナは髪をさらっとかき上げて決め顔で言っているけど、全然格好よくないからね。

 僕がそう思っていると、雪にダイブして消火していたオオガミが「何すんじゃ、こら」と睨んだ。けれど、エナは何食わぬ顔で「天罰よ」と言い放つ。

 

「あの~、少しよろしいですか?」

 

 マルトトーゼさんが、恐る恐る尋ねてくる。僕は「何ですか?」と答えた。

 

「エナ様は、本当に魔法使いなのですよね?」

「はい、そうですけど」

「普段から、魔法を失敗なさるのですか?」

「えぇ、まぁ……。でも、成功すれば強力ですよ。エナの魔法は。ハハハハッ」

 

 僕は引きつった笑いを浮かべながら、なんとかフォローした。

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