極東方面軍 平壌臨時司令部
平壌市街地の一角に設置された、極東方面軍の臨時司令部。
かつて行政施設として使われていた建物は軍事拠点へと姿を変えていた。
敷地内では兵士たちが弾薬や食料の入った木箱を慌ただしく運び、工兵隊が周辺の防御陣地の構築を急いでいる。
駐車場には軍用トラックや装甲車両が並び、負傷者を乗せた救急車が絶え間なく出入りしていた。
平壌攻略作戦は、連邦軍の勝利に終わった。
しかし、それは戦闘の終結を意味するものではない。
平壌から撤退したジオン軍は、依然として北方に相当数の戦力を保持しているとみられていた。
連邦軍が支払った代償も決して小さくない。
市街地での戦闘では多くの将兵が死傷し、とりわけ敵モビルスーツによる損害は深刻だった。
投入された陸戦型ジムは、ジオン軍のザクに対して一定の戦果を挙げたものの、その大部分が大破、あるいは戦闘不能に追い込まれている。
なかでも司令部が問題視していたのは、複数の戦域で確認された高性能機の存在だった。
従来のザクⅡとは明らかに異なる機動性能を持つザクⅡ改。
そして、通常のザクⅡを駆りながら、連邦軍のモビルスーツ部隊を単機で壊滅させた正体不明のパイロット。
いずれも極東方面軍にとって、看過できない脅威となっていた。
司令部の一室。
ミヤザキ大尉は、机を挟んでスガイと向かい合っていた。
「……今回、例のザクⅡと会敵したそうね」
「例の……?」
スガイは顔を上げた。
「ミヤザキ大尉は……知っていたんですか?」
「ええ。正確な所在までは掴めていなかったけれど、今回の戦いで現れる可能性は考えていたわ」
「……そうですか」
それきり、スガイは口を閉ざした。
ミヤザキは机の上に置かれた戦闘報告書へ視線を落とす。
敵機の識別情報。
交戦地点。
推定される武装と機動性能。
そして、味方部隊の損害。
どれも簡潔にまとめられている。
その中には、第6機械化混成部隊隷下、ハンマー小隊の損失報告も含まれていた。
七機の陸戦型ジム。
七名のパイロット。
戦闘報告書の上では、わずか数行に収まってしまう損害だった。
ミヤザキは書類を閉じた。
「……シンヤ君」
「はい」
「彼らは、自分たちの役目を果たしたのよ」
「…………」
スガイは俯いたままだった。
膝の上に置かれた両手が、固く握り締められている。
ミヤザキはそれを見て、少しだけ言葉を選んだ。
「怒っても、悲しんでもいいわ。誰かに愚痴をこぼしたって構わない」
「……」
「でも、その感情に戦場での判断を任せては駄目よ」
スガイの肩がわずかに動いた。
「……はい」
「交戦記録を確認したわ。最後の方、随分と強引に攻めていたみたいね」
「……」
「どうしても、あのザクを逃がしたくなかった?」
「……はい」
小さな返事だった。
ミヤザキは椅子の背もたれに体を預けた。
叱責するのは簡単だった。
しかし、今ここで彼を責めたところで、何かが変わるとも思えない。
むしろ、何も言い返さずに自分を責める姿が容易に想像できた。
「……軍人にはね、自分の気持ちより優先しなければならないことがあるの」
「……はい」
「それがどれほど辛くても、任務を遂行しなければならない。そういう仕事よ」
スガイは何も答えなかった。
ミヤザキも、それ以上は続けなかった。
まだ若い。
彼が経験してきた戦闘の数を考えれば、むしろ今までよく耐えてきた方なのかもしれない。
「……今日はもう休みなさい」
「……ありがとうございます」
スガイは立ち上がり、敬礼した。
ミヤザキが答礼すると、彼は静かに部屋を出ていった。
カチリ、と扉が閉まる。
「……はぁ」
ミヤザキは大きく息を吐いた。
机の上には、シンヤ・スガイ特務少尉の個人戦闘記録が残されている。
撃墜数は、既に三十機に迫ろうとしていた。
正規の量産機ですらない機体を駆り、これほどの戦果を挙げている。
その能力について疑う余地はない。
だが。
「……あの子、まだ若いのよねぇ」
独り言のように呟く。
「それに、少し純粋すぎるわ」
「……そうね」
「……ん?」
不意に返ってきた声に、ミヤザキは顔を上げた。
入口近くの壁に、一人の少女が背を預けていた。
片手には携帯端末。
リル・ソマーズだった。
「……リルちゃん。いつからいたの?」
「少し前からよ」
「盗み聞き?」
「扉が開いていたのよ」
「……そういうことにしておくわ」
ミヤザキは苦笑した。
リルはスガイが出ていった扉を見つめていた。
「……シンヤは、まだ軍人になりきれていないわ」
「……そうね」
「教育隊もまともに修了していない。人を殺すことも、仲間を失うことも……あの子は十分に受け止める時間を与えられていないのよ」
リルはそこで言葉を切った。
「それなのに、戦果だけは一人前以上に求められる」
「……」
ミヤザキは机の上の書類を揃えた。
その指が、一枚の損害報告書の上で止まる。
「……仕方のないことよ」
リルが顔を上げた。
「この戦争で、もう人類の半分以上が死んでいるの。今の連邦軍に、才能のある若者を後方に置いておく余裕なんてないわ」
「……分かっているわよ」
リルの声は静かだった。
彼女自身、スガイを戦場から遠ざけられるなどとは考えていない。
むしろ彼の能力を必要としている側の人間だった。
そのことが、時折ひどく不愉快になる。
「……だからこそ、お願いしたいの」
「何かしら?」
「シンヤの教育係を引き受けてほしいのよ。少なくとも、軍人として必要な判断を身につけさせたいわ」
「……私に?」
「ええ。教育隊で何度も班長を務めたのでしょう?」
「あら、よく調べてるじゃない」
ミヤザキは少しだけ笑った。
「四回班長をやって、五回目は区隊長。おかげで新兵の面倒を見るのは慣れているわ」
「なら、適任ね」
「……簡単に言ってくれるわねぇ」
ミヤザキは苦笑しながらも、拒むことはしなかった。
「まあ、いいわ。私もあの子のことは気になっていたし」
「ありがとう」
「ただし、甘やかすつもりはないわよ?」
「ええ。それでいいわ」
リルは小さく頷いた。
ミヤザキは腕時計を確認した。
「……さて」
机の上の書類を綺麗に揃える。
「そろそろ仕事の話をしましょうか」
「そうね。こちらも確認したいことがあるわ」
極東方面軍 特別会議室
司令部の奥まった場所に設けられた、小さな会議室。
厚い遮光カーテンが掛けられた室内には、無骨な会議机と数脚の椅子、そして通信設備が置かれていた。
机の上には、いくつもの資料が並べられている。
ムラサメ研究所。
オーガスタ研究所。
極東方面軍。
北米方面軍。
本来ならば、それぞれ異なる指揮系統と利害関係を持つ組織だった。
しかし、戦争が長引くにつれて、その境界は次第に曖昧になりつつあった。
研究所は軍の要求に応じて兵器を開発し、軍は研究所に実戦データを提供する。
そこに企業や政治家の思惑まで加われば、もはや純粋な技術協力だけで話が済むはずもない。
今回の会談も、その複雑な利害調整の一つだった。
「……それで? 何から話す?」
ミヤザキは椅子に腰を下ろし、足を組んだ。
「陸戦型ガンダムの件よ」
リルは持参した書類を机に置いた。
「コジマ大隊をはじめとした機械化混成部隊への優先配備について、こちらからも上層部に働きかけるわ。それと、アレックスの技術も一部供与する」
「あらぁ! ありがと、リルちゃん!」
ミヤザキは嬉しそうに手を合わせた。
「まさか要望がここまで通るなんてねぇ」
「感謝は結構よ。もちろん条件付きだから」
「でしょうね」
ミヤザキは笑みを浮かべたまま、資料を手元に引き寄せた。
数枚めくったところで、その指が止まる。
「……それにしても、随分と気前がいいわね」
「不満?」
「まさか。ただ、オーガスタ側にも相応の思惑があるんでしょう?」
ミヤザキは資料から顔を上げた。
「極東方面軍を、アレックスの技術実証に利用したい。違う?」
「……否定はしないわ」
「でしょうねぇ」
ミヤザキは満足そうに頷いた。
極東方面軍は、現在進行形でジオン軍のモビルスーツと交戦している。
実戦環境で新技術の有効性を検証するには、これ以上ない場所だった。
それはムラサメにとっても同じことだったが。
「お互い利益があるなら、悪い話じゃないわ。ただし……」
ミヤザキは一枚の要求書を持ち上げた。
「こちらの見返りについては、少し欲張りすぎじゃないかしら?」
そこには人工的なニュータイプ能力の誘発技術、適性者の選別データ、そして亡命してきたフラナガン博士の研究資料に関する要求が記されていた。
「アレックスの技術は貴重よ。相応の対価を求めるのは当然でしょう?」
「ええ、そこは理解しているわ。でも、フラナガン博士の資料は別よ」
ミヤザキは要求書を机に置いた。
「あの博士が持ち込んだ研究成果は、ムラサメにとっても重要な資産なの。アレックスの基本フレームや制御系の情報だけで、核心部分まで明け渡すわけにはいかないわね」
「……独占するつもり?」
「いいえ。ただ、安売りするつもりもないわ」
ミヤザキは別の書類を取り出した。
「博士の資料については段階的に開示する。その代わり、アレックスの反応速度最適化に関する制御技術は、こちらにも十分な検証ができる形で提供してもらうわ」
リルは書類に目を通した。
「……なるほど」
「どう?」
「こちらの要求を削る代わりに、提供する技術の範囲を広げろというわけね」
「そういうこと」
リルはしばらく考え込んだ。
アレックスの技術をどこまで開示するか。
それは彼女一人で決められる問題ではない。
しかし、フラナガン博士の研究資料が持つ価値を考えれば、検討する余地は十分にあった。
「……分かったわ。上層部に確認する」
「ありがとう。前向きな返事を期待しているわね」
「その代わり、こちらからも一つ確認したいことがあるの」
「あら、何かしら?」
「あなたたちが水面下で進めている、新型兵器の開発計画よ」
ミヤザキの表情が、わずかに変わった。
「……どこで聞いたの?」
「情報源は明かせないわ」
「ふぅん……」
ミヤザキは椅子の背もたれに体を預けた。
「それで?」
「従来のモビルスーツとは異なる出力系統と、兵器制御技術の応用を目指しているのでしょう?」
「……」
「開発状況を共有してほしいの」
「駄目よ」
即答だった。
「まだ外部に開示できる段階じゃないわ」
「なら、条件を変えましょう」
リルは新たな資料を差し出した。
「オーガスタから開発資金を拠出するわ。必要な設備や人員についても、可能な限り融通する」
「……へぇ」
「その代わり、開発計画の進捗と資金使途について、定期的な報告を求める」
ミヤザキは資料を手に取った。
記載されている支援内容は、決して小さなものではなかった。
現在のムラサメにとって、研究開発費の確保は切実な問題である。
まして新型兵器の開発ともなれば、必要な資金は莫大なものになる。
「……魅力的な提案ね」
「でしょう?」
「でも、資金提供を口実に開発の主導権まで握られるのは困るわ」
「そこまでは要求していないわよ…今は…ね」
ミヤザキは笑った。
「進捗報告と資金使途の確認については受け入れるわ。ただし、開発施設への立ち入りや、設計資料の全面開示までは認められない」
「……それでは出資する側が納得しないわ」
「なら、報告内容を契約で明確にしましょう。資金が適切に使われていることは証明する。でも、機密技術の管理権限はムラサメが保持する」
リルは腕を組んだ。
「……共同監査は?」
「会計部分に限るなら構わないわ」
「研究成果の共有は?」
「別途協議ね」
「……随分と慎重なのね」
「そちらも同じでしょう?」
ミヤザキは資料を机に戻した。
リルは小さく息を吐いた。
「……分かったわ。その条件で上層部に提案する」
「助かるわ」
「まだ正式な合意ではないわよ」
「分かってるわよぉ」
ミヤザキは軽く肩をすくめた。
「……それと、もう一つ」
リルは話題を変えた。
「79式試製電磁加速小銃についてだけど」
「ああ、あれね」
「一体、何が試作なの?」
ミヤザキは答えなかった。
「貫徹力も射程も既存の携行火器とは比較にならない、しかも消費電力は連邦海軍が保有するレールガンと比べても少ない」
「……そうねぇ」
「単なる試作小銃とは思えないわ」
リルはミヤザキを見据えた。
「例の新型兵器に搭載する大口径火器。その技術実証用なんじゃないの?」
ミヤザキは小さく笑った。
「……どうかしらね」
「否定はしないのね」
「肯定もしていないわよ?」
「……本当に、食えない女ね」
「お互い様でしょう?」
二人は顔を見合わせた。
どちらも、それ以上追及することはなかった。
互いに手札を隠していることくらい、最初から承知している。
今はまだ、すべてを明かす段階ではないのだ。
会談はその後も続いた。
個別の技術協力について一通りの確認を終えると、話題は両研究所の今後の運営体制へと移っていった。
今回の提携は、単なる研究機関同士の協力にとどまるものではない。
その背後では、より大規模な組織再編が進められていた。
中心にいるのは、ジャミトフ・ハイマン。
連邦軍の高級将校でありながら、政財界にも強い影響力を持つ男だった。
彼は戦争の最中にあって、既に戦後の軍事・産業体制を見据えた地盤固めを始めていた。
ニュータイプ研究。
高性能モビルスーツの開発。
そして、それらを支える産業基盤。
将来の地球連邦軍にとって重要となる分野を、一つの枠組みの中に収めようとしている。
「……今後、大規模な投資や研究所間の人事調整については、新たに設置される統括機構を通すことになるわ」
リルが書類を差し出した。
ミヤザキは目を通す。
「……オーガスタが中心になるのね」
「事務上はね。もっとも、最終的な調整にはあの人が関与することになるでしょうけど」
彼女の指すあの人とはジャミトフのことである。
「……なるほど」
ミヤザキは資料をめくった。
研究所の名称も、組織構造も、当面は維持される。
しかし、資金の流れと重要な人事権を統括機構が握る以上、ムラサメが完全に独立した組織であり続けることはできない。
「……なんだか、お堅くなりそうねぇ」
「こちらだって責任が増えるのよ。手放しで喜べる話じゃないわ」
「まあ、そうでしょうね」
ミヤザキは苦笑した。
「でも、悪い話ではないわ。今のムラサメにとって、資金と人材の確保は大きな課題だもの」
「……でしょうね」
「ただし」
ミヤザキは書類を机に置いた。
「研究部門の自治権は、必ず保証してもらうわよ」
「ええ。そこは既に協議されているわ」
「関連企業と貴女達がよく動かしている独立沿岸警備隊についても同様よ。従来の管理体系を維持できなければ、こちらの上層部は納得しないわ」
「分かっているわ。統括機構が経営上の最終調整権を持つ一方で、各組織の内部運営には原則として介入しない。その方向で調整が進んでいる」
「……そう」
ミヤザキは静かに頷いた。
完全な独立ではない。
しかし、組織そのものを解体されるわけでもない。
少なくとも、ムラサメの持つ技術と人材、そして独自の管理体系を残す余地はある。
「……上には、そう報告しておくわ」
「お願いするわ」
一通りの確認を終え、リルは資料をまとめ始めた。
その手が、ふと止まる。
「……ところで」
「ん?」
「一つ、個人的に聞いておきたいことがあるの」
「何かしら?」
「どうして、あの輸送機にヒノマルなんてモノを描いたの?」
ミヤザキは顔を上げた。
「……あら」
「ジャームナガルから乗ってきたあの輸送機。あれが何を意味するのか、こちらが気づかないとでも思った?」
旧日本を象徴する赤い円。
地球連邦という単一国家の軍用機に、かつての国家の象徴が描かれている。
それが単なる装飾であるはずがなかった。
「……逆よ、リルちゃん」
ミヤザキは微笑んだ。
「気づいてほしかったの」
「……そう」
「隠すつもりなら、最初から描かないわよ」
リルは腕を組んだ。
「……つまり、私たちが自分から接触してくることを期待していたわけね」
「ええ」
「随分と大胆なことをするのね」
「それくらいしないと、気づいてもらえないでしょう?」
「……本当に、嫌な女ね」
「あら、お互い様でしょう?」
ミヤザキは楽しそうに笑った。
リルも小さく息を吐き、口元を緩めた。
「……あなたたちが単なる研究者集団ではないことくらい、こちらも承知しているわ」
「……そう」
「あの人もムラサメの背景については理解している」
ミヤザキは何も答えなかった。
ただ、その表情から先ほどまでの軽薄さが消えていた。
「……なら、話は早いわね」
彼女は静かに右手を差し出した。
「これから、よろしく頼むわ」
「……ええ」
リルもその手を握り返した。
「こちらこそ」
二人の握手は短いものだった。
特別管理区域 機密会議室
司令部の地下に設けられた、窓のない会議室。
厚い扉の向こうには、無機質な長机を囲むように数名の男女が着席していた。
軍服姿の高官。
高級な背広に身を包んだ政財界の重鎮。
そして、旧日本の名家に連なる者たち。
その最上座に座る初老の男が、静かに口を開いた。
「……それで、ミヤザキ大尉」
「はい」
「オーガスタとの交渉は、まとまったのかね?」
机の端に立つミヤザキは、姿勢を正した。
「技術協力については基本的な条件を整理しました。組織再編に関しても、先方との認識に大きな相違はありません」
「……ふむ」
ミヤザキは資料を配布した。
陸戦型ガンダムの優先配備。
アレックスの技術供与。
ニュータイプ研究に関する段階的な情報交換。
そして、新型兵器開発に対する資金援助。
老人は資料をめくった。
「……随分と有効な条件を引き出したものだな」
「ありがとうございます」
「しかし、こちらが差し出すものも少なくない」
「はい。フラナガン博士の研究資料をはじめ、一部の研究成果について段階的な開示を求められています」
「……そうか」
老人は老眼鏡を直した。
人工的なニュータイプ能力の誘発技術。
適性者の選別と訓練に関する研究成果。
そして、ジオンから亡命してきたフラナガン博士がもたらした機密資料。
いずれも彼らにとって極めて重要な資産だった。
「……開示範囲については、慎重に検討する必要があるな」
「はい。核心部分については、対価となる技術の提供状況を確認した上で判断する方針です」
「よろしい」
老人は次の資料へ目を移した。
「……それで、組織の再編については?」
「オーガスタを事務上の主軸とする統括体制へ移行する方針です」
ミヤザキは別の書類を提示した。
「我々
「……つまり、傘下には入るが、組織の骨格は残すということか」
「はい」
老人は腕を組んだ。
「……それは、単なる妥協と何が違うのかね?」
ミヤザキはすぐには答えなかった。
村雨機関にとって、その独立性は単なる経営上の問題ではない。
組織の成立以来、守り続けてきた理念がある。
その理念に照らせば、他の研究機関の管理下に入ることなど、本来ならば受け入れ難い選択だった。
しかし。
戦争によって、状況は大きく変わってしまった。
研究施設を維持し、関連企業の事業を継続させ、次代を担う人材を確保する。
それらすべてに莫大な資金が必要だった。
現在の村雨機関には、それを独力で賄い続けるだけの余力がない。
「……妥協に違いありません」
ミヤザキははっきりと答えた。
老人の眉がわずかに動いた。
「……ほう」
「ですが、必要な妥協だと考えています」
「理由を聞こう」
「我々には、まだ果たさなければならない目的があります」
ミヤザキは老人を見据えた。
「そのためには、まず組織を存続させなければなりません。名前だけが残っても、研究施設も人材も失ってしまえば意味がありませんから」
老人は黙っていた。
ミヤザキは続けた。
「ジャミトフ閣下の後ろ盾を得れば、研究予算の安定化だけでなく、関連企業への設備投資や人材の確保も期待できます。戦後の軍事・産業政策に関与する機会も得られるでしょう」
「……なるほど、和して同せずということか」
「今の我々にとって、それらは決して軽視できない条件です」
会議室に沈黙が落ちた。
老人は資料へ視線を戻した。
そこには、今回の再編によって得られる支援内容が詳細に記されている。
いずれも現在の村雨機関が必要としているものばかりだった。
「……ジャミトフという男は、我々を利用するつもりなのだろうな」
「ええ。間違いなく」
ミヤザキは即答した。
老人は小さく笑った。
「……随分と正直な小娘だな」
「お褒めにあずかり光栄です。まだ小娘と呼んでいただけるとは」
「…褒めておらんよ」
「失礼いたしました」
ミヤザキはわずかに微笑んだ。
老人もまた、口元を緩めた。
だがそれも一瞬のことだ話題は直ぐに戻る。
「……利用されることを承知で、その傘下に入るというのだな」
「はい」
「我々が、いずれ切り捨てられる可能性もある」
「承知しています」
「……それでもか」
「その時までに、切り捨てることのできない組織になればよいのです」
老人は顔を上げた。
ミヤザキは続けた。
「技術を磨き、産業基盤を拡充し、必要とされる存在になる。今はそのための時間と資金を確保すべきだと考えます」
「……ふむ」
老人は目を閉じた。
壁の時計が、規則正しく時を刻んでいる。
しばらくして、老人は静かに息を吐いた。
「……よかろう」
その一言に、室内の空気がわずかに緩んだ。
「だが、忘れるな」
老人はミヤザキを見据えた。
「我々が何のために、この組織を守り続けてきたのかを」
「……はい」
老人はゆっくりと立ち上がった。
「我が日本の歴史を、決して風化させないためだ」
集まった幹部たちが姿勢を正す。
「皇統を守り、かつてこの国が育んできた文化と誇りを、次の世代へ引き継ぐ。そのために我々は、研究所を維持し、企業を束ね、独自の組織を保有してきた」
老人は一同を見渡した。
「地球連邦の成立によって、日本という国家の形は失われた」
誰も口を開かなかった。
「だが歴史まで消えたわけではない。我々が受け継いできたものは今も確かに存在している」
老人は机に両手を置いた。
「ジャミトフの後ろ盾を得ることが、その目的に近づく道となるのならば、利用すればよい」
その声には、先ほどまでの迷いはなかった。
「研究を続け、技術を磨き、産業を育てる。そして、いつの日か必ず……」
老人は静かに告げた。
「日本を取り戻す」
会議室は静まり返った。
その言葉が意味する未来は、必ずしも一つではない。
かつての国家としての復活を望む者もいれば、地球連邦の枠組みの中で高度な自治を確立することを目指す者もいる。
だが、彼らが守ろうとしているものに変わりはなかった。
日本という存在を、過去の歴史の中だけに閉じ込めないこと。
その一点において、彼らの意志は一致していた。
「……日本の尊き歴史のために」
老人が口を開いた。
「「「日本の尊き歴史のために」」」
幹部たちの声が重なる。
ミヤザキもまた、静かに頭を垂れた。
老人が席を立ち、ミヤザキの横に立つ。
「村雨機関特別作戦本部長、宮嵜千聡大尉。君には…期待しているよ」
「…」
「本当に…期待しているよ」
「はっ、日本の尊き歴史の為に」
ミヤザキはより深く頭を垂れた。
モビルスーツ格納庫の近くに設けられた、パイロット専用の休憩室。
扉を開けると、中には誰もいなかった。
簡素な机と椅子がいくつか並び、壁際にはロッカーが設置されている。
部屋の隅では空調設備が低い音を立てており、窓の外からは整備員たちの掛け声や車両のエンジン音がかすかに聞こえていた。
俺は扉を閉めると、そのまま近くの椅子に腰を下ろした。
「……はぁ」
大きく息を吐く。
ようやく一人になれた。
誰かの前で無理に笑う必要もないし、平静を装う必要もない。
そう思った途端、胸の奥に押し込めていたものが一気に込み上げてきた。
「……なんだよ」
思わず声が漏れた。
「なんだよ……あのザクは……!」
拳を握り締める。
脳裏に浮かんだのは、平壌市街地で交戦したあの機体だった。
見慣れた緑色の装甲。
ザクⅡ特有の機体形状。
それなのに、動きだけがまるで違っていた。
攻撃に対する反応。
間合いの取り方。
こちらの動きを先読みしているかのような回避機動。
何度思い返しても、腹が立つ。
「……くそっ!」
思わず机を叩いた。
乾いた音が室内に響く。
「今までは……今までは、倒せてた!! 誰かが死んでも……!」
そこまで言って、言葉が詰まった。
……違う。
そんな言い方をしたかったわけじゃない。
誰かが死んでも構わなかったわけじゃないんだ。
ただ……。
今までは、戦闘が終わった後に何かしらの結果が残っていた。
敵を撃破した。
味方を救出した。
撤退する部隊を守り切った。
たとえ誰かを失ったとしても、それでも自分たちの戦いには意味があったのだと。
そう考えることで、何とか納得してきた。
けれど。
「……倒せなかった」
声が震えた。
「……あいつを、倒せなかった……!」
ハンマー小隊。
ウジン大尉。
シウ中尉。
ケンゴ少尉。
マイ少尉。
ヨンチン少尉。
ワン少尉。
そして……。
タチアナ少尉。
彼らと行動を共にした時間は、決して長くない。
ほんの数時間だ。
それでも、覚えている。
出撃前に交わした会話。
無線越しに聞こえてきた声。
互いに冗談を言い合ったこと。
タチアナ少尉の、あの妙に馴れ馴れしい態度だって。
……全部、覚えている。
それなのに。
今、思い出そうとすると、どうしても最後の光景が浮かんでしまう。
敵の攻撃。
途切れる通信。
次々と消えていく味方の識別信号。
そして、何もできなかった自分。
「……くそ……!」
両手で顔を覆った。
あの時、もっと早く気づいていれば。
別の方向から攻撃していれば。
もっと上手く機体を動かせていれば。
……何かが変わったんじゃないか。
そんなことばかり考えてしまう。
何度考えたところで、結果は変わらない。
それくらい分かっている。
ミヤザキ大尉の言っていたことだって理解できる。
軍人には任務がある。
個人的な感情だけで動いてはいけない。
仲間を守るためには、時として自分の気持ちを押し殺さなければならない。
……分かっている。
分かっているんだ。
でも。
「……納得できるわけ、ないだろ……」
俺は椅子の背もたれに体を預けた。
天井を見上げる。
白い照明が、やけに眩しかった。
ふと、右手を見る。
指先が震えていた。
「……またかよ」
戦闘中は平気なのに。
敵を目の前にすると、不思議なくらい頭が冴える。
何をすべきか。
どう動くべきか。
どうすれば相手を倒せるのか。
そんなことばかり考えている。
その間は、恐怖も怒りも、どこか遠くに行ってしまう。
なのに、戦闘が終わると。
こうして、どうしようもなくなる。
「……俺、何やってんだろうな」
誰に聞かせるでもなく呟いた。
返事はない。
ただ、空調設備の音だけが響いていた。
その頃。
休憩室の外では、二人の少女が足を止めていた。
「……シンヤ」
ハナは扉を見つめていた。
中から聞こえてきた声に、不安そうに眉を寄せる。
あんな声を出すスガイを、彼女はほとんど知らなかった。
いつもなら、多少の無理をしてでも笑ってみせる。
心配を掛けまいと、何でもないように振る舞う。
けれど、今は違う。
「……私、ちょっと行ってくる」
ハナが扉へ手を伸ばしかけた、その時だった。
「……ハナさん」
隣にいたノエルが、静かに声を掛けた。
「今は、そっとしておきませんか」
「……でも」
ハナは振り返った。
「シンヤ、すごく辛そうだよ……?」
「ええ」
ノエルは頷いた。
「ですが、今の彼に何を言ってあげられるのか……私には分かりません」
「……」
「私たちは、あの戦場で彼と同じものを見たわけではありませんから」
ハナは口を閉ざした。
ノエルもまた、扉へ視線を向ける。
「……無理に励ますより、少し時間を置いた方がいいと思います」
「……そう、だね」
ハナは伸ばしかけた手を下ろした。
しばらく扉を見つめていたが、やがて小さく頷いた。
「……あとで、また来よう」
「ええ」
二人は静かにその場を離れた。
しばらくして。
「……もっと」
俺は小さく呟いた。
「もっと実力があれば……やれたのかなぁ……」
再びため息が漏れる。
「……はぁ」
両手を膝の上に置いた。
「……あー、クソ」
声がかすれた。
何だか、もう何も考えたくなかった。
でも、目を閉じると嫌でも思い出してしまう。
「……ごめん。本当に……」
誰に向けた謝罪なのか。
自分でも、よく分からなかった。
「……そう」
不意に、女性の声が聞こえた。
「貴方も、あのザクと戦ったのね」
「……っ!?」
俺は勢いよく顔を上げた。
いつの間にか、休憩室の入口に一人の女性が立っていた。
地球連邦軍の制服。
短く切り揃えられた黒髪。
整った顔立ちに、どこか物静かな雰囲気をまとった女性だった。
彼女は俺を見つめていた。
表情は穏やかだったが、何を考えているのかは読み取れない。
「あ、あの……」
慌てて立ち上がる。
「……貴女は?」
「シイコ・ウラナミ」
彼女は続けた。
「戦闘機のパイロット」
「……あっ!」
その名前を聞いた瞬間、俺は思い出した。
平壌上空。
凄まじい速度で戦場に飛び込んできたセイバーフィッシュ。
敵の防空陣地を次々と沈黙させ、俺たちの進路を切り開いてくれた、あの戦闘機。
「あ、その!」
俺は慌てて姿勢を正した。
「あの時は、ありがとうございました!」
深く頭を下げる。
彼女は少しだけ目を細めた。
「……お礼を言われるようなことはしていないわ」
「……え?」
「私も、自分の任務を果たしただけだから」
「……任務」
その言葉に、先ほどミヤザキ大尉から言われたことを思い出した。
彼女は俺の顔を見つめていた。
「……随分と疲れているのね」
「えっ? あ、いえ……」
「無理に取り繕わなくてもいいわ」
淡々とした口調だった。
それでいて、不思議と冷たい印象は受けなかった。
「……少し、座ってもいいかしら」
「あ、はい! どうぞ」
「ありがとう」
ウラナミ中尉は俺の向かい側にある椅子を引き、静かに腰を下ろした。
俺もそれに続いて座る。
しばらく、互いに何も話さなかった。
彼女は窓の外に目を向けている。
整備員たちが慌ただしく行き交い、遠くではモビルスーツの整備作業が続けられていた。
「……あの」
「なに?」
「さっきの……聞こえてましたか?」
「ええ」
彼女は俺に視線を戻した。
「廊下まで聞こえていたわ」
「……すみません」
「どうして謝るの?」
「いや、その……お見苦しいところを……」
「別に、見苦しいとは思わなかったけれど」
「……そうですか」
「ええ」
それきり、彼女は何も言わなかった。
慰めようとするでもなく、事情を問い詰めるでもない。
ただ、そこに座っている。
その沈黙が、今はありがたかった。
「……スガイ君、だったわね」
「……はい」
「シンヤ・スガイ特務少尉」
「俺のこと、知ってるんですか?」
「ええ。帰還してから、少し話を聞いたわ」
彼女は頷いた。
「それに、貴方の機体は目立つもの」
「……グラマンですか?」
「そう呼ぶのね」
ウラナミ中尉はわずかに口元を緩めた。
「最初に見た時は、ジオンのモビルスーツが味方の識別信号を出しているのかと思ったわ」
「……あはは」
俺は苦笑した。
「よく言われます」
「でも、よく動いていた」
「……ありがとうございます」
「特に、敵の攻撃を避けてから反撃に移るまでが速かったわ。あの機体で、あそこまで動けるのね」
俺は少し驚いた。
あの混戦の中で、そんなところまで見ていたのか。
「……ただ」
彼女は静かに続けた。
「最後の方は、少し無理をしていたでしょう」
「……」
「敵を追いかける時、周囲への警戒が疎かになっていたように見えたわ」
「……見ていたんですか?」
「ええ。上空から、少しだけ」
彼女は小さく頷いた。
「……逃がしたくなかったのね」
俺は黙った。
しばらくして、小さく頷く。
「……はい」
膝の上で両手を握り締めた。
「あいつを倒さなきゃって……そればかり考えていました」
「……そう」
「正直、途中から自分でも何を考えていたのか、よく覚えていないんです」
「……危ないわね」
「……はい」
ウラナミ中尉は俺を見つめていた。
その目には、非難するような色はなかった。
「でも……気持ちは分かるわ」
「……え?」
「私も、同じことをしたから」
思わず顔を上げた。
「……同じこと?」
「ええ」
彼女は窓の外へ視線を向けた。
少しの間を置いて、静かに口を開く。
「……私もね」
その声は、先ほどまでと変わらず穏やかだった。
「……あのザクに、仲間を殺されたの」
「……え?」
俺は思わず聞き返した。
「……そう、なんですか?」
「ええ」
彼女は頷いた。
「私が所属していた航空隊。そこで一緒に飛んでいた人たちよ」
「…………」
「高校を卒業して軍に入ってから、ずっと一緒だった同期もいたわ。何年も面倒を見てくれた上官も」
彼女はそこで言葉を切った。
「……みんな、あのザクに墜とされた」
俺は何も言えなかった。
「私だけが、生き残ったの」
ウラナミ中尉の表情は変わらなかった。
まるで、既に終わった出来事を報告しているかのようだった。
けれど。
机の上に置かれた彼女の手が、ゆっくりと握られるのが見えた。
「……ウラナミ中尉は、その……」
「なに?」
「……怖くなかったんですか?」
「……怖い?」
「はい」
俺は少し言葉を選んだ。
「仲間がみんな殺されて……それでも、また戦闘機に乗るのって……」
彼女はしばらく考えていた。
「……怖かったわ」
短い返事だった。
「でも、それ以上に悔しかった」
「……悔しかった?」
「ええ」
ウラナミ中尉は自分の手を見つめた。
「私、飛ぶことには自信があったの」
「……はい」
「訓練でも、実戦でも、それなりの結果を残してきたつもりだった。誰にも負けたくなかったし、負けるつもりもなかったわ」
「……」
「でも、あのザクには通用しなかった」
彼女は静かに息を吐いた。
「どれだけ上手く飛べても、仲間を守れなかったのよ」
「…………」
「……悔しかったわ」
それは、先ほどと同じ言葉だった。
けれど、今度は少しだけ違って聞こえた。
俺は彼女の顔を見た。
穏やかな表情。
落ち着いた声。
それでも、あのザクのことを口にする時だけ、彼女の視線はどこか遠くを見ているようだった。
「……だから、貴方の気持ちは少し分かるつもり」
「……」
「自分は生き残ったのに、仲間は死んだ。それなのに、相手はまだ生きている」
彼女は俺を見た。
「……納得できないわよね」
「……はい」
その一言を口にした途端、胸の奥が苦しくなった。
ずっと誰かに言いたかったことを、先に言われてしまったような気がした。
「……俺」
「……うん」
「今まで、何機も敵を倒してきたんです」
「ええ。聞いているわ」
「でも……今回みたいなことは初めてで……」
俺は俯いた。
「今までは、誰かが死んでも、その分敵を倒せていたんです」
言ってから、ひどいことを口にしたような気がした。
仲間の命と敵の命を、数で釣り合わせようとしていたみたいじゃないか。
でも。
それ以外に、どうすればよかったんだろう。
「……そうやって、何とか自分を納得させてきました」
「……」
「でも、あいつは倒せなかった」
唇を噛んだ。
「……自分は何のために戦ってるんだろうって、思っちゃって」
ウラナミ中尉は何も言わなかった。
しばらくして、静かに口を開いた。
「……貴方は、仲間を守りたかったのね」
「……はい」
「……そう」
彼女は小さく頷いた。
「だったら、その気持ちは忘れない方がいいわ」
「……え?」
「敵を倒すことも大切よ。でも、倒した数だけで自分の価値を決める必要はないと思うの」
「……」
「貴方が何を守りたかったのか。それまで忘れてしまったら、きっと辛くなるわ」
俺は顔を上げた。
「……ウラナミ中尉は、そう考えているんですか?」
「ええ」
彼女は頷いた。
「……今は、そう考えるようにしているわ」
「……今は?」
「昔は、違ったから」
ウラナミ中尉は少しだけ微笑んだ。
「私も、敵を何機墜としたかばかり気にしていた時期があったの。誰よりも上手く飛べることを証明したかった」
「……」
「でも、いくら撃墜数を増やしても、死んだ仲間は帰ってこなかったわ」
彼女はそこで言葉を止めた。
俺も何も言わなかった。
「……だからといって、割り切れたわけじゃないけれど」
「……え?」
「今でも、あのザクを倒したくて仕方がないもの」
その言葉に、思わず彼女を見た。
「……矛盾しているでしょう?」
「……いえ」
俺は首を横に振った。
「……俺も同じですから」
「……そう」
彼女はわずかに口元を緩めた。
「なら、気が合いそうね」
「……あはは。そうですね」
気づけば、自然と笑っていた。
彼女もそれを見て、少しだけ目を細めた。
「……ようやく笑ったわね」
「……え?」
「さっきから、ずっと難しい顔をしていたから」
「あ……すみません」
「謝らなくていいわ」
ウラナミ中尉は静かに首を振った。
「無理に笑う必要もないもの。笑いたい時に笑えばいいのよ」
「……はい」
何だか、不思議な人だった。
感情を大きく表に出すわけでもない。
話し方も淡々としている。
それなのに、彼女の言葉には妙な説得力があった。
自分よりずっと多くのことを経験してきた人なのだろう。
そんな気がした。
「……ところで」
ウラナミ中尉が口を開いた。
「はい?」
「一つ、伝えておきたいことがあるの」
「……何でしょう?」
「これから、私は貴方の部隊に加わることになるわ」
「…………え?」
俺は思わず固まった。
「……えっ!?」
「……驚いた?」
「いや、驚いたっていうか……えっ!?」
何を言っているんだ、この人は。
極東方面軍のエースパイロット。
あのセイバーフィッシュを操っていた人が、俺たちの部隊に?
「……あの、どういうことですか?」
「そのままの意味よ」
彼女は平然と答えた。
「ミヤザキ大尉と、貴方のところのお嬢さんが話を進めてくれたの」
「……お嬢さん?」
俺は首を傾げた。
「……もしかして、リルですか?」
「ええ。リル・ソマーズ曹長」
「……そうだったんですか」
思わず呟いた。
リルはいつも、俺の知らないところで色々と動いてくれている。
今回もそうだったらしい。
「……色々してくれてるんだな」
「頼りになる人ね」
「……はい。とっても」
ウラナミ中尉は小さく頷いた。
「転属については、ミヤザキ大尉が司令部と調整してくれているわ。機体の手配も進んでいるそうよ」
「……機体?」
「ええ」
彼女は俺を見た。
「私は戦闘機を降りて、モビルスーツに乗ることになるの」
「……モビルスーツに?」
「そう」
あまりにも自然な口調だった。
まるで、明日の予定でも話しているかのようだ。
「正式な発令はまだだけれど、承認される見込みだそうよ。だから、先に訓練を始めることになったわ」
「……訓練、ですか」
「ええ」
ウラナミ中尉は頷いた。
「軍歴は私の方が長いけれど、モビルスーツに関しては貴方が先輩ね」
「……」
「だから、色々教えてもらえると助かるわ」
「……俺が、ウラナミ中尉にですか?」
「ええ」
彼女はわずかに微笑んだ。
「よろしくね、スガイ君」
「……は、はい!」
俺は慌てて背筋を伸ばした。
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
「……そんなに畏まらなくてもいいのよ」
「……あはは」
何だか、変な感じだ。
俺が極東方面軍のエースパイロットと同じ部隊になり、ましてや彼女にモビルスーツを教える立場になるだなんて。
想像もしていなかった。
「……あの、ウラナミ中尉」
「なに?」
「戦闘機を降りることに、未練はないんですか?」
彼女は少しだけ首を傾げた。
「……未練?」
「はい」
俺は言葉を選んだ。
「長く空を飛んできたんですよね? それなのに、急にモビルスーツに乗ることになって……」
「……そうね」
ウラナミ中尉は窓の外へ視線を向けた。
遠くで、航空機のエンジン音が聞こえてくる。
「……飛ぶことは好きよ」
「……はい」
「今でも、好き」
彼女は少しだけ目を細めた。
「でも、戦闘機ではあのザクに勝てないと思ったの」
「……」
「だから、モビルスーツに乗ることにしたわ」
彼女は俺に向き直った。
「それだけよ」
「……随分と、あっさりしているんですね」
「そうかしら」
「はい」
俺は苦笑した。
「俺だったら、もっと悩むと思います」
「……そうね。貴方は、色々と考える人みたいだから」
「……まあ、そうかもしれません」
「私は、少し違うの」
彼女は静かに続けた。
「考えても答えが変わらないなら、早く決めてしまう方がいいと思っているわ」
「……なるほど」
「もちろん、失敗することもあるけれど」
「……意外です」
「どうして?」
「ウラナミ中尉は、何でも上手くできそうな感じがするので」
彼女は少しだけ目を丸くした。
「……そう」
それから、かすかに微笑んだ。
「ありがとう。嬉しいわ」
「……はい」
「でも、そんなに立派な人間じゃないのよ、私」
彼女は自分の手元へ視線を落とした。
「迷うこともあるし、間違えることもある。それに、これからは貴方に教えてもらわなければならないことが沢山あるもの」
「……俺が、ですか?」
「ええ」
彼女は頷いた。
「モビルスーツに関しては、貴方の方が経験豊富でしょう?」
「……そうですけど」
「だったら、遠慮しないで教えてほしいわ」
「……分かりました」
「ありがとう」
ウラナミ中尉は静かに椅子から立ち上がった。
「それじゃあ、行きましょうか」
「……え?」
「シミュレーターよ」
「……今からですか?」
「ええ」
彼女は腕時計を確認した。
「使用申請が通っていれば、もう使えるはずだから」
「……いや、でも」
俺は思わず言葉に詰まった。
ついさっきまで、あんな話をしていたのに。
もう訓練を始めるつもりなのか。
ウラナミ中尉は俺を見つめていた。
「……スガイ君」
「……はい」
「私たちは、あのザクを倒したいのでしょう?」
「……」
「だったら、できることから始めましょう」
静かな声だった。
決して強く言い聞かせるような口調ではない。
けれど、俺にはそれで十分だった。
「……そうですね」
俺は小さく頷いた。
「……分かりました」
椅子から立ち上がる。
「よろしくお願いします、ウラナミ中尉」
「ええ」
彼女は微笑んだ。
「こちらこそ、スガイ君」
俺たちは休憩室を出た。
廊下には、基地特有の慌ただしい空気が漂っていた。
整備員たちが工具箱を抱えて歩き、通信兵が書類を片手に小走りで通り過ぎていく。
その中を、ウラナミ中尉は落ち着いた足取りで歩いていた。
「……あの、ウラナミ中尉」
「なにかしら」
「ひとつ、聞いてもいいですか?」
「ええ」
「……なんで、そんなに迷いがないんですか?」
彼女は少しだけ首を傾げた。
「……そう見える?」
「はい」
「……そう」
ウラナミ中尉はしばらく考えた。
「私は、少し踏ん切りがつくのが早いだけだと思うわ」
「……踏ん切り、ですか?」
「ええ」
彼女は頷いた。
「悩んでいる間にも、時間は過ぎてしまうでしょう?」
「……はい」
「だから、やることが決まったら動くようにしているの」
「……なるほど」
「でも、何も感じていないわけじゃないのよ」
彼女は前を向いたまま続けた。
「悲しいことは悲しいし、嫌なものは嫌。腹が立つことだってあるわ」
「……そうですね」
「……ただ、それをどうするかは、自分で決めたいの」
俺は隣を歩く彼女を見た。
相変わらず落ち着いた表情。
その言葉も、特別なことを言っているつもりはないのだろう。
けれど、俺には妙に印象深かった。
いつの間にか、彼女への興味が湧いていた。
似た境遇を持つ者同士だから、というのもある。
けれど、それだけではない。
俺が今、どうしても見つけられずにいる答えを、彼女は既に自分なりの形で持っているように思えた。
彼女も沢山の敵を倒し、大勢の味方が死んでいくのを見てきたのだろう。
それでも、こうして前を向いている。
もちろん、彼女の考えが正しいとは限らない。
俺に同じことができるとも思えない。
でも。
少なくとも、一人で悩んでいる時よりは、ずっと気持ちが楽だった。
……もっと話を聞いてみたい。
そんなことを考えていた時だった。
「おつかれー! シイコ!」
突然、廊下の向こうから聞き慣れた声が響いた。
「……あら」
ウラナミ中尉が顔を上げた。
「お疲れ様、チサト」
振り返ると、そこには一人の女性士官が立っていた。
ミヤザキ大尉だ。
しばらく前に司令室で話した時とは打って変わって、随分と上機嫌な様子だった。
彼女は手にした書類を軽く掲げた。
「シミュレーターの使用申請、通してきたわよ!」
「ありがとう。助かったわ」
「いいのいいの! 可愛い後輩の頼みだもの!」
「……え?」
俺は思わず二人を見比べた。
「……あの、お二人はお知り合いなんですか?」
「ん?」
ミヤザキ大尉がこちらを見る。
「ああ、そういえば言ってなかったわね」
彼女は嬉しそうに笑った。
「この子が教育隊に入った時、私が班付だったのよ」
「……えっ!?」
俺はウラナミ中尉を見た。
「そうなんですか!?」
「ええ」
彼女は静かに頷いた。
「チサトには、教育隊の頃からお世話になっているわ」
「そういうこと!」
ミヤザキ大尉は満足そうに頷いた。
「まだ右も左も分からない新兵だった頃から知ってるのよ」
「……懐かしいわね」
「でしょう? あの頃のシイコったら、今と全然変わらなくて!」
「……そう?」
「そうよ! 教官に何を言われても、涼しい顔で返事するんだもの」
ウラナミ中尉は少しだけ首を傾げた。
「……必要な返事はしていたと思うけれど」
「そういうところよ!」
ミヤザキ大尉が即座に返した。
俺は思わず笑ってしまった。
「……あはは」
「ほら、シンヤ君も笑ってるじゃない!」
「……そうね」
ウラナミ中尉は俺を見て、わずかに微笑んだ。
……なんだろう。
この二人、性格は随分と違うのに、妙に息が合っている。
それだけ長い付き合いなのだろう。
しかし、ミヤザキ大尉がウラナミ中尉の教育係だったとは驚きだ。
そういえば、ミヤザキ大尉は以前30歳だと言っていた。
となると、ウラナミ中尉は……。
「……あの」
「ん?」
俺はふと気になって尋ねた。
「ウラナミ中尉って、おいくつなんですか?」
その瞬間。
ミヤザキ大尉が、ぴたりと動きを止めた。
「……シンヤ君?」
「……はい?」
「今、何て?」
「えっ? いや、その……ウラナミ中尉はおいくつなのかなって……」
「……はぁ」
ミヤザキ大尉は大きくため息を吐いた。
「女の子に年齢を聞くなんて、シンヤ君無礼千万ちゃんよぉ?」
「……えっ!?」
俺は慌てた。
「あっ、す、すみません!」
「……別に構わないわよ」
ウラナミ中尉が静かに口を開いた。
「私は気にしていないから」
「シイコ、そういう問題じゃないのよ」
「……そうなの?」
「そうなの!」
ミヤザキ大尉は呆れたように肩をすくめた。
そして、こちらへ向き直る。
「じゃあ、シンヤ君。逆に聞くけど、シイコはいくつに見える?」
「……えっ?」
俺は思わず固まった。
ウラナミ中尉も、興味深そうにこちらを見ている。
「……えっと」
少し考えた。
落ち着いた雰囲気。
大人びた話し方。
けれど、顔立ちは随分と若く見える。
小柄で、どこか童顔なところもある。
「……二十歳くらい、ですかね?」
「……あら」
ウラナミ中尉が小さく声を漏らした。
「20歳?」
ミヤザキ大尉が聞き返す。
「はい」
俺は頷いた。
「自分より少し上くらいかなって……20代前半だと思ってました」
「……へぇ」
ミヤザキ大尉の口元が、ゆっくりと緩んだ。
「良かったじゃない、シイコ。随分と若く見られたわね」
「……そうね」
ウラナミ中尉は俺を見た。
「ありがとう。嬉しいわ」
「あ、いえ……」
何だか、妙に照れくさい。
するとミヤザキ大尉が、楽しそうに口を開いた。
「ちなみにね、シンヤ君」
「……はい?」
「この子、27歳なのよ」
「…………え?」
「しかも独身!年齢イコール彼氏いない歴!ぼっちクリスマス常連!大晦日は神社に30秒だけ寄ってそそくさと返ってくる」
「……チサト」
ウラナミ中尉が静かに声を掛けた。
「……何?」
「そこまで言う必要はないと思うわ」
「いいじゃない。これから同じ部隊になるんだし、親睦を深めるのも大切でしょう?」
「……私の婚姻歴とプライベートが部隊の親睦に関係があるの?」
「……あんまないわね」
ミヤザキ大尉はあっさり認めた。
俺は思わず吹き出しそうになった。
……27歳。
確かに落ち着いているとは思ったけど。
そんなに年上だったのか。
しかも、こんなに綺麗な人が独身とは。
いや、別におかしなことではないのだが世の中不思議なこともあるものだ。
「……スガイ君」
「……は、はい!」
突然名前を呼ばれ、俺は背筋を伸ばした。
ウラナミ中尉がこちらを見ていた。
「……そんなに意外だった?」
「あ、いえ! その……もっとお若いのかと……」
「……そう」
彼女は少しだけ微笑んだ。
「褒め言葉として受け取っておくわね」
「……はい」
「ふふっ。良かったわねぇ、シイコ」
ミヤザキ大尉が横から口を挟んだ。
「昔から男っ気がないんだから、少しはこういう話も楽しみなさいよ」
「……チサト」
「ん?」
「そろそろ、時間じゃないかしら」
ウラナミ中尉は腕時計を確認した。
ミヤザキ大尉も自分の時計を見る。
「……あっ」
彼女の表情が変わった。
「もうこんな時間!?」
「ええ」
「やだ、話し込んじゃったわね」
ミヤザキ大尉は慌てて書類を抱え直した。
ウラナミ中尉はそんな彼女を見て、わずかに口元を緩めた。
「……チサトも、昔から変わらないわね」
「……何よ、それ」
「いつも賑やかで、楽しそう」
「……あら」
ミヤザキ大尉は少しだけ目を丸くした。
それから、嬉しそうに笑った。
「ふふっ。褒め言葉として受け取っておくわ!」
「ええ。そのつもりよ」
……なんだろう。
やっぱり、この二人は仲が良いんだな。
ミヤザキ大尉は俺に向き直った。
「それじゃあ、シンヤ君!」
「はい!」
「シイコのこと、よろしく頼むわね」
「……えっ?」
「この子、こう見えて結構頑固なのよ。訓練で無茶をしそうになったら、ちゃんと止めてあげて」
「……は、はい!」
「……チサト」
ウラナミ中尉が静かに口を開いた。
「私は、もう子供じゃないわよ」
「知ってるわよ。もう二十七歳だものねぇ」
「……」
ウラナミ中尉は何も答えなかった。
ただ、ミヤザキ大尉をじっと見つめている。
その表情は、先ほどまでとほとんど変わらない。
けれど。
「……チサト」
「……はい?」
「あとで、少しお話しましょう」
声は穏やかだった。
ミヤザキ大尉の笑顔が、わずかに引きつった。
「……ええ。もちろん」
……なんか怖い。
俺は二人からそっと視線を逸らした。
「……スガイ君」
「……あ、はい!」
ウラナミ中尉がこちらを向いた。
「行きましょうか」
「……はい!」
彼女は小さく頷いた。
そして、ミヤザキ大尉へ視線を戻す。
「チサト、申請書をありがとう」
「どういたしまして!」
ミヤザキ大尉は書類を差し出した。
「シミュレーターは二時間確保してあるわ。まずは基本操作の確認から始めなさい」
「ええ。そのつもりよ」
「シンヤ君も、無理はしないこと。いいわね?」
「……はい!」
ミヤザキ大尉は満足そうに頷いた。
「よろしい!」
それから、ウラナミ中尉の肩を軽く叩いた。
「……頑張りなさいよ、シイコ」
「……ええ」
ウラナミ中尉は静かに答えた。
「ありがとう、チサト」
二人は短く視線を交わした。
先ほどまでの冗談めいた雰囲気とは違う。
長い付き合いのある者同士だからこそ、余計な言葉は必要ないのだろう。
ミヤザキ大尉は軽く手を振ると、司令部の方へ歩いていった。
「……それじゃあ、行きましょう」
「はい」
俺たちはシミュレーター室へ向かって歩き始めた。
廊下の窓からは、夕方の光が差し込んでいる。
遠くでは、整備を終えたモビルスーツが牽引車に引かれ、格納庫へと運ばれていた。
ウラナミ中尉はその様子を、少しだけ足を緩めて眺めていた。
「……大きいのね」
「……え?」
「モビルスーツよ」
彼女は窓の外を見つめたまま続けた。
「上空から見ていた時は、あまり実感がなかったわ」
「……ああ、なるほど」
俺も窓の外へ目を向けた。
確かに、戦闘機から見下ろすのと、地上から見上げるのとでは随分と印象が違うだろう。
「……操縦は難しいかしら」
「慣れるまでは、結構大変だと思います」
「……そう」
「でも、ウラナミ中尉ならすぐに覚えられると思いますよ」
「……どうして?」
「だって、あんなに戦闘機を上手く操れるんですから」
彼女は俺を見た。
「……そうね」
少し考えてから、静かに微笑んだ。
「期待に応えられるように頑張るわ」
「……はい!」
俺も自然と笑った。
彼女は再び歩き始めた。
その背中を追いながら、ふと思う。
ほんの少し前まで、俺はあの休憩室で一人、何もできなかった自分を責めていた。
今だって、悔しさが消えたわけじゃない。
ハンマー小隊のことを思い出せば、胸が苦しくなる。
あのザクを倒せなかった事実も、何一つ変わっていない。
それでも。
こうして次にやるべきことがあるだけで、少しは前を向ける気がした。
「……スガイ君」
「はい?」
前を歩いていたウラナミ中尉が振り返った。
「……一つ、お願いがあるの」
「何でしょう?」
「訓練では、遠慮しないでほしいわ」
「……え?」
「私はモビルスーツの初心者だから。間違っているところがあれば、きちんと指摘してほしいの」
「……分かりました」
俺は頷いた。
「その代わり、ウラナミ中尉にも色々教えてもらいたいです」
「……私に?」
「はい。戦い方とか、考え方とか……俺、まだまだ分からないことばかりなので」
彼女は少しだけ目を細めた。
「……そう」
そして、静かに頷いた。
「私に教えられることなら、何でも」
「……ありがとうございます」
「ええ」
彼女は前を向いた。
「……お互い、勉強しないといけないわね」
「はい!」
俺たちは再び歩き始めた。
格納庫の奥から、モビルスーツの駆動系を試験する重い機械音が響いてくる。
あのザクは、まだどこかで生きている。
そして、いつかまた戦場で出会うことになるのだろう。
その時までに。
今度こそ、あいつに勝てるようになりたい。
俺は隣を歩くウラナミ中尉を見た。
彼女は相変わらず、落ち着いた表情で前を見ていた。
その横顔を見ていると、不思議と焦る気持ちが薄れていく。
……まずは、できることから。
俺は小さく息を吐いた。
そして彼女と並んで、シミュレーター室へと向かった。
ここまでの会話で彼は気づいていなかった。
シンヤ・スガイという青年は他人と会話する時は一人称を僕としていた。
それがシイコ・ウラナミの前では俺となっている。
彼本人も自覚していない小さな変化だが、それが彼の心情を強く表していた。
1週間ぶりの投稿です、お待たせしました!
今回の話は如何でしたでしょうか?
ここまでお読みになられた皆様なら分かるかもしれませんが本作「地球、それは希望。」は執筆にあたって、出来るだけ読者の予想を超える内容を出しているつもりです。
色んな設定が盛り沢山ですがその分批評は大歓迎ですのでこれからも「ご感想」や「お気に入り」よろしくお願いします!
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