元トップハンターのおっさん、落ちぶれ炭鉱夫から再起する 。ガチャで引いた魔剣をメスガキギャル配信者とMAX強化! 六大魔竜の宝玉が出るまで帰れません   作:炭酸水ひろみつ

18 / 18
18

「さあ皆さん、お待たせしましたぁ♡」

 

 大地竜グランドリューの巨体を背後に、ティガが満面の笑みを浮かべ、カメラへ向かって両腕を広げた。

 

 六大魔竜との死闘を終えた直後だというのに、その顔に浮かんでいるのは疲労ではなく期待である。

 

 玄馬には分かる。

 

 こいつにとっては――ここからが本番なのだ。

 

「討伐なんかより大事な――剥ぎ取りガッチャのお時間でーす♡」

 

『本編きた』

 

『ゲンマ処刑タイム』

 

『今日はブルファンもいるぞ』

 

『リョウジも煽られるの?』

 

「もちろん♡」

 

 今回の討伐参加者は四人。

 

 一人につき五本ずつ支給された剥ぎ取りナイフは、合計二十本。

 

 それを前に、ティガがにんまりと笑う。

 

「せっかくのコラボなので、今回はあたしとテツヤの分も二人にプレゼント♡ ゲンマとリョウジに十本ずつ、交互に引いてもらいまーす♡」

 

「誰が泣くか」

 

「よろしくお願いします!」

 

「なんでお前は嬉しそうなんだよ」

 

 玄馬の隣で、亮二は妙に姿勢がいい。

 

 ユンユンも何かを察したらしく、二人が並んだ姿を正面から収める位置へ移動した。

 

『ほな、公開処刑始めるで』

 

「誰が処刑されるか見せてやるよ!」

 

「よろしくお願いします!」

 

「だからなんでお前はそんなに嬉しそうなんだよ!」

 

 まずは玄馬。

 

 ナイフを突き立てる。

 

《RARE 1――大地竜の鱗》

 

「あは♡ 初手レア1♡ 幸先悪ぅーい♡」

 

「まだ一回だ!」

 

 続いて亮二。

 

《RARE 1――大地竜の鱗》

 

「リョウジもレア1♡ ブルーファンタズムのリーダーなのに、ゲンマとおんなじぃ♡」

 

「…………いい」

 

「ん?」

 

「いや。続けてくれ」

 

『?』

 

『今なんか言った?』

 

『気のせいか?』

 

 二巡目。

 

 玄馬。

 

《RARE 1――大地竜の皮》

 

「またレア1♡ ざぁこ♡」

 

「二回目だっつーの!」

 

 亮二。

 

《RARE 1――大地竜の皮》

 

「こっちもレア1♡ 仲良く引きよわおじさん二人組ぃ♡」

 

「もっと」

 

「……はい?」

 

「もう少し強くても大丈夫だ」

 

「何が!?」

 

 玄馬が勢いよく横を見る。

 

 亮二は真顔だった。

 

『wwww』

 

『リョウジ?』

 

『雲行きが怪しい』

 

『テツヤさん止めて』

 

「俺に振るな」

 

 鉄哉が即座にカメラへ答えた。

 

「こいつはもう手遅れだ」

 

『手遅れwww』

 

『仲間公認』

 

「失礼だな」

 

「お前は黙ってろ」

 

 三巡目。

 

《玄馬――RARE 1 大地竜の鱗》

 

「三連レア1♡ 引きよわ♡ おじさん♡」

 

「うるせえ!」

 

 続いて亮二。

 

《亮二――RARE 2 大地竜の螺旋翼》

 

「お、リョウジはレア2。……まあ、でもレア2だしぃ♡ ブルファンのリーダーなのに、その程度なんだぁ♡」

 

「……いいな」

 

「何が!?」

 

『ダメだこいつ』

 

『戦闘中あんなにカッコよかったのに』

 

『RUSH TOTAL DAMAGE 10482返して』

 

『同一人物です』

 

 四巡目。

 

《玄馬――RARE 1 大地竜の皮》

 

「四連レア1ぃ♡ 才能あるよゲンマ♡ ハズレを引く才能♡」

 

「そんな才能いらねえ!」

 

 そして亮二。

 

《亮二――RARE 2 大地竜の螺旋翼》

 

「リョウジも二連レア2♡ ざぁ――」

 

 そこでティガが止まった。

 

「……いや、ゲンマより全然マシだな」

 

「諦めるな!」

 

「なんでリョウジが言うの!?」

 

『wwww』

 

『煽られる側が要求してる』

 

『キモい』

 

『リョウジ楽しそう』

 

『ティガ困惑してんじゃん』

 

 五巡目。

 

《玄馬――RARE 1 大地竜の鱗》

 

「五回引いてぜーんぶレア1♡ ざぁこ♡ ざぁこ♡ 引きよわゲンマぁ♡」

 

「ぐっ……!」

 

『ゲンマの顔寄っとくで』

 

「寄るなユンユン!」

 

 対して――。

 

《亮二――RARE 2 大地竜の螺旋翼》

 

「…………」

 

 ティガが困った。

 

「三連レア2……普通にゲンマより引きいいんだけど」

 

「ティガたん」

 

「なに?」

 

「俺も煽ってくれ」

 

「無茶言わないで!?」

 

『キモいwww』

 

『自分から要求すんな』

 

『ゲンマは嫌がってるのに』

 

『地獄みたいな対比』

 

「リョウジ」

 

 玄馬が低い声を出す。

 

「お前、さっきまでカッコよかったんだから、ちょっと黙ってろ」

 

「それとこれとは別だろ」

 

「別じゃねえよ! 俺の中でさっきの戦闘まで汚染され始めてんだよ!」

 

『wwwww』

 

『戦闘シーン返して』

 

『ブルファンリーダーの威厳が』

 

『大地障壁より先に威厳がBREAK』

 

 六巡目。

 

《玄馬――RARE 1 大地竜の皮》

 

「ほらゲンマ見て♡ リョウジはレア2三つも引いてるのに、ゲンマはまだレア1だけ♡ 恥ずかしくないのぉ?」

 

「まだ四回ある!」

 

 続いて亮二。

 

《亮二――RARE 3 大地竜の尻尾》

 

「おお……」

 

 ティガが普通に感心する。

 

「リョウジ、レア3」

 

「……煽りは?」

 

「ないよ!」

 

「そんな……」

 

『悲しそうで草』

 

『キモい』

 

『レア上がるほどテンション下がってる』

 

『普通逆だろ』

 

 七巡目。

 

《玄馬――RARE 1 大地竜の鱗》

 

《亮二――RARE 4 大地竜の螺旋角》

 

 八巡目。

 

《玄馬――RARE 1 大地竜の皮》

 

《亮二――RARE 4 大地竜の螺旋角》

 

「ちょっと待って」

 

 ティガが真顔になった。

 

「リョウジ、普通にめちゃくちゃ引き強くない?」

 

「そんなことはどうでもいい」

 

「よくないよ!?」

 

「もっと煽ってくれ」

 

「煽るところがないんだって!!」

 

『キモいキモいキモい』

 

『宝玉より罵倒を求める男』

 

『物欲センサーが仕事してる』

 

『欲しいものだけ出ない』

 

『ティガが困ってるw』

 

 九巡目。

 

《玄馬――RARE 1 大地竜の皮》

 

「九回引いてレア1が九個ぉ♡」

 

 ティガがここぞとばかりに玄馬へ詰め寄った。

 

「ざぁこ♡ ざぁこ♡ 素材欄が鱗と皮で埋まっちゃうねぇ♡」

 

「まだ終わってねえ!!」

 

 一方――。

 

《亮二――RARE 5 大地竜の逆鱗》

 

「うわ、逆鱗!」

 

「…………」

 

 亮二の顔が曇った。

 

『なんで悲しそうなんだよ』

 

『逆鱗だぞ喜べ』

 

『引けば引くほど不幸になってる』

 

『キモい』

 

『リョウジの顔も寄っとくわ』

 

 ユンユンが、逆鱗を手に絶望する亮二をしっかりアップで抜いた。

 

「なんで俺よりいいの引いてる奴が、俺よりつらそうなんだよ……」

 

 玄馬にはもう何も分からない。

 

 そして――最後の一巡。

 

「ここだ!」

 

 玄馬が祈るように最後のナイフを握り、グランドリューへ突き立てる。

 

《RARE 2》

 

《大地竜の螺旋翼》

 

「…………」

 

『あっ』

 

『終わった』

 

『10回でR1×9、R2×1』

 

『逆にすごい』

 

「…………まだだ」

 

「終わったよ♡」

 

「まだ何かあるかもしれないだろ!」

 

「ないよ♡」

 

「うるせえ!」

 

 続いて亮二。

 

「頼む……!」

 

 玄馬とはまったく別の意味を込めて、最後のナイフを突き立てる。

 

《RARE 6》

 

《大地竜の宝玉》

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

 沈黙。

 

 ユンユンが二人の結果を交互に映す。

 

 玄馬――螺旋翼。

 

 亮二――宝玉。

 

 もう一度。

 

 螺旋翼。

 

 宝玉。

 

『……えらい差ついたな』

 

「言うな!」

 

「なんでだ……」

 

「お前は喜べよ!」

 

 ティガが、ゆっくりと大きく息を吸い込んだ。

 

 そして――玄馬へ振り返る。

 

「ゲンマぁぁ♡」

 

「来るな!」

 

「同じ十回なのに、リョウジは逆鱗も宝玉も引いてるよぉ♡ それなのにゲンマは、レア1が九個とレア2が一個だけ♡」

 

「結果を読み上げるな!」

 

「トップハンターだったのにガチャは最底辺♡ リョウジに負けて恥ずかしくないのぉぉぉ!?」

 

「ぐっ……!」

 

「ざぁーーーこ♡ ざこゲンマぁ♡ 引きよわ♡」

 

「うるっせええええ!!」

 

 玄馬が頭を抱える。

 

 その隣で――。

 

「なんでだ……」

 

 亮二も頭を抱えていた。

 

「なんで勝ってしまったんだぁぁぁぁ!!」

 

「はぁ!?」

 

「代われよゲンマ!!」

 

「宝玉引いた奴が何言ってんだよ!」

 

「俺もそれやってほしかった!! ティガたん! 俺にも! もっと煽ってくれ!!」

 

「だから煽るところないって!!」

 

『wwwwww』

 

『キモい』

 

『キモいキモいキモい』

 

『片方は罵倒されて苦しんでる』

 

『片方は罵倒されなくて苦しんでる』

 

『どうしてこうなった』

 

『今日一番の神回』

 

 少し離れた場所では、輝夜が片手で顔を覆い、鉄哉は何も言わずカルデラの青空を見上げていた。

 

「……カグヤ」

 

「なに?」

 

「俺たち、本当にこいつをリーダーにしてていいのか?」

 

「戦闘中はまともなのよ」

 

「それ前も聞いたぞ」

 

『戦闘中限定www』

 

『戦闘IQと性癖を引き換えにした男』

 

『神は二物を与えなかった』

 

 そんな中、ユンユンだけは仕事を続けていた。

 

 玄馬の苦悶。

 

 宝玉を握り締めながら絶望する亮二。

 

 完全にドン引きしているティガ。

 

 その三人を順番に画面へ収めると――。

 

 すうっ、とカメラを引いた。

 

『……人間って難しいな』

 

『ユンユンwww』

 

『正論』

 

『今日一番まとも』

 

「いや、ほんとに」

 

 ティガまで真顔で頷く。

 

「なんなの、このおじさんたち……」

 

「俺を一緒にすんな!!」

 

「ティガたん」

 

「なに?」

 

「今の『なんなの』、もう一回お願い」

 

「お前は黙れ!!」

 

 玄馬の怒声がカルデラいっぱいに響き渡り、コメント欄はこの日一番の速度で流れていった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

精霊仕い ~それは精霊ですか? いいえロボットです~(作者:忌野希和)(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

神無き大陸の東端にとある小国があった。▼小国の更に東には人類未踏の樹海が広がり、人類の脅威となる魔獣が無数に生息している。▼魔獣から小国を守っているのは樹海と隣接している男爵家だ。▼男爵家は先祖代々、一子相伝で受け継がれる強力な精霊たちを使役する〈精霊使い〉で、小国の国防を一手に担っていた。▼事件は男爵家当主がシキという転生者の少年に代替わりした時に起こる。…


総合評価:1075/評価:7.54/連載:321話/更新日時:2026年10月31日(土) 07:10 小説情報

【書籍化決定】クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った(作者:星野林(旧ゆっくり霊沙))(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

学校で進路を悩んでいた斎藤隆史(サイトウ タカシ)はクラスに馴染めずに居た。▼そんな最中、突如異世界にクラスごと召喚もとい拉致され、魔王と戦えと言われる。▼そして各自に役職と能力が付与されているからとステータスを開くように言われてステータス画面を見ると……皆が普通のRPG表記なのに、俺だけポケ◯ンみたいにレベル形式だし、技ってのが見える。▼そして始まる異世界…


総合評価:3326/評価:7.92/完結:95話/更新日時:2026年08月06日(木) 10:50 小説情報

【TSして最強】世界はまだ、俺が魔女で聖女だと知らない(作者:月森朔)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

ダンジョンが現れてから30年。▼俺は、黒歴史の自作小説キャラになれるという奇妙な能力を手に入れた。▼変身した姿は、▼紅い髪をなびかせるレベル500の魔女▼食いしん坊の女子高生ヒーラー▼希代の美少女魔道具師▼・・・▼かつて妄想で描いたキャラたちが、▼美貌も能力もそのままに、俺のアバターとして実体化する。▼そして能力は進化し、分身も加わり、アバターが連携を始める…


総合評価:1969/評価:8.14/連載:125話/更新日時:2026年10月22日(木) 23:50 小説情報

TCG能力《創世札典》を手に入れた俺、一日一マナから現代社会を攻略する~治療、未来予知、若返り。マナが足りないので山を買います~(作者:パラレル・ゲーマー)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

都内のシステム関連企業で主任として働く、三十六歳の会社員・門倉啓介。▼仕事も収入も安定し、独身ゆえに貯金もそれなり。大きな不満はないものの、同じ毎日を繰り返しながら少しずつ疲れていく人生を送っていた。▼そんな休日の朝、啓介は突然、TCGのルールで現実を変える異能《創世札典/GENESIS DECK》を手に入れる。▼最初の土地カードは、彼が暮らす賃貸マンション…


総合評価:1619/評価:7.11/連載:62話/更新日時:2026年10月12日(月) 20:21 小説情報

フォースはいつでもエーテルと共に(作者:光明面と暗黒面ってルビ無しで読めないよね)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

 インターノットには噂がある...『光の刃を振り回し、不可視の力で敵を撃ち倒す』ホロウレイダーの噂が。そのホロウレイダーに出会ったものはなぜか口を揃えてその顔を思い出せないと宣う。だが、彼の言葉だけは鮮明に思い出せるのだそう......「あなた達がフォースと共にあらんことを」


総合評価:13411/評価:8.99/連載:38話/更新日時:2026年11月01日(日) 21:48 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>