新・腐り目騎士の英雄譚   作:月村手毬ちゃん親衛隊

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第2章の七星剣武祭代表選抜戦編が始まりました。まず今回の話はヴァーミリオンがちょっとだけ出ますが後は黒鉄と八幡のお話しになります。それではどうぞ!


七星剣武祭予選編
選抜戦開幕!


解放軍がショッピングモールを占拠するという事件が起きた次の日。俺や黒鉄、ヴァーミリオンなど黒鉄を取り巻くメンバー達はそれぞれ選抜戦に向けて最後の調整を行った。

 

 

去年までは能力値によって覇軍学園の代表が決まっていて、真面目に鍛練を行っているのは代表者くらいのものだった。しかし今年からは代表の決め方が変わり、選抜戦を行い勝ち上がった者を代表とする方式に変わったため、周囲では代表の座を狙っている生徒達が鍛練を行っていた。こうして明日から選抜戦が開幕するのだった。

 

 

今日から選抜戦が始まったが選抜戦初戦が明日にあり時間のある八幡は闘技場に来ていた。闘技場の観客席には今日の選抜戦第1試合にヴァーミリオン皇国の皇女ステラ・ヴァーミリオンが登場すると聞きつけた生徒達がたくさん来ている。

 

 

去年まで能力値での選抜だったことに加えて学校を出ていて本戦を見てなかったが、選抜戦とはいえ実際に見てみると観客も結構いて騒がしいな。まあ、それだけ七星剣武祭とか選抜戦への関心が高いってことか。

 

 

そんなことを考えていると闘技場にステラ・ヴァーミリオンとその対戦者がやってきた。燃えるような赤髪を持つステラ・ヴァーミリオンと、ヘビータンクの二つ名を持つ男子生徒桃谷だ。

 

 

「さあ、遂に始まりました!七星剣武祭代表選抜戦。ヴァーミリオン選手の初戦の相手はヘビータンクの二つ名を持つ桃谷選手。希少な甲冑型固有霊装ゴリアテから放たれるヘビーチャージが今日も炸裂するのか!」

 

 

二人は言葉を一言も交わすことなく自分の持ち場につく。そしてステラは大剣型の固有霊装(デバイス)である妃竜の罪剣(レーヴァテイン)を、桃谷は甲冑型の固有霊装ゴリアテを装備しそれぞれ戦闘の準備を整える。

 

 

「いっけー桃谷!」

 

 

「そいつはFランクに負けてるんだぜ!」

 

 

観客席から桃谷に期待する声などが飛び交うが、闘技場にいる桃谷は今の自身の状況から対戦相手であるステラに臆しているようだった。

 

 

(Fランクに負けてるんだから勝てるっていいたいのか?バカいえ、あの試合は俺も見ていたがヴァーミリオンが弱かったんじゃなくてあれは黒鉄が強かったんだ。俺では無理だ。甲冑が暑くてとてもじゃないが戦える状況じゃない)

 

 

「アンタはあっちで騒いでる連中と違って弁えてるみたいね。この試合は実戦、飛び込めば幻想形態のように痛いだけじゃ済まないわ。よく考えて決断することね」

 

 

桃谷は少しの間荒い息を吐きながら構えていたが少し経つとゴリアテの目から光が消え桃谷は膝をついた。そして絞り出したような声で降参を宣言した。

 

 

「・・・ま、まいった」

 

 

『勝者ステラ・ヴァーミリオン』

 

 

こうしてステラの初戦は相手の降参によって勝利という結果で終わったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後も選抜戦を見ていたが一部の試合を除いて見所のある試合がなかったため、八幡と一輝は闘技場から出て寮への道を歩いていた。

 

 

ヴァーミリオンと一部の生徒しか見所のある試合はなかったが、ヴァーミリオンと桃谷って人の試合は予想通りの結果で終わったな。桃谷って人も弱くはないけど、甲冑型の固有霊装では炎で中を蒸し焼きにされるのがオチだっただろうし今回は相手が悪かったな。まあ、こうやって勝てない相手とは戦わないのも1つだしそれが悪いとは言わないがな。

 

 

「やっぱりステラが勝ったね」

 

 

ヴァーミリオンと桃谷の試合を頭の中で振り返っていると黒鉄が話しかけてくる。俺は黒鉄の声に反応し意識を黒鉄に向けると肯定の声をかける。

 

 

「まあな。今回は相手がよかったんだろ。甲冑型の固有霊装だったし、炎との相性はいいからな。なんとなくあの結果になるだろうってことは分かってたぞ」

 

 

「甲冑型だと内部に熱がこもって蒸し暑くなっていくけど今回はステラの炎が蒸し暑さをさらに加速させてたからね。暑さで熱中症になることを考えたら棄権した方がいいってことはわかるよ」

 

 

桃谷にとっては初戦の相手から相性最悪の相手だったというわけだ。しかも一敗したからもう後がないとかハードモード過ぎだろ。それでいったら黒鉄も結構なハードモードだな。黒鉄の相手は黒鉄にとって因縁ともいうべき桐原静矢だし。黒鉄がどうやって戦うのか気になるところではあるな。よし、聞いてみるか。

 

 

「相性が悪いといえば黒鉄も結構相性が悪いがどうやって戦うつもりなんだ」

 

 

気になった俺は黒鉄に聞くも黒鉄は困ったように笑った。

 

 

「どうしようかな。去年までの通りなら矢にはステルス迷彩が掛けられていなかったから矢が飛んできた方角から位置を逆算して位置を特定しようかなって思ったんだけど」

 

「確かにその方法もあるが、他のやり方も何個か用意しておいた方がいいと思うぞ。桐原のことだから二つ名の狩人らしくこそこそと隠れながら痛めつけるように攻撃してくるだろうしな」

 

 

飛んでくる位置から逆算して位置を特定するのは矢が見えればそれもできるがもし矢まで透明にできたらまずいな。一方的な展開になるぞ。

 

 

「考えておくよ。今回でやっとできたチャンスだから絶対に負けられないしね」

黒鉄は表向きには緊張していることを出さないようにしながらやる気をみせると八幡と別れて自分の部屋へと戻っていった。

 

 

 

 

黒鉄と別れて自分の部屋に戻った俺はさきほど黒鉄と話したことを振り返る。黒鉄と桐原の戦いについてのことだ。

 

 

黒鉄は桐原との戦いで矢が飛んできた方角から逆算して位置を特定するって作戦をたててたが矢を透明化できたら通用しないから音で見極める作戦の方がいいと思うんだよな。俺が桐原だったら矢を透明化できないと思わせ後から透明化するか、透明化していない矢の中に透明化している矢を混ぜて雨のように広範囲に落とすかのどちらかで戦うし。

 

 

まあ、それよりも問題なのはメンタル面か。 俺に気付かれないようにしていたが顔が強ばっていて、いつもなら言わないようなことも言ってたし緊張しているのがわかるな。黒鉄にとってトラウマとも言える桐原が初戦の相手だということに加えて負けたら卒業が遠のくというプレッシャーを感じているのだろう。後は本番で緊張のしすぎで視野が狭くならなければいいが。

 

 

黒鉄の現在の状態に一抹の不安を感じながら次の日を迎えるのだった。そしてこの時八幡は思いもしていなかった・・・桐原との戦いが黒鉄にとって困難と栄光の始まりだということを。

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