新・腐り目騎士の英雄譚   作:月村手毬ちゃん親衛隊

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早朝の鍛練と入学式

 

 

 

一輝とステラの模擬戦が終わった次の日。八幡と一輝、そしてステラは早朝から鍛練を行っていた。普段は一輝一人で鍛練をしているのだが、昨日の模擬戦でなにかを感じ取ったのかステラが一輝の鍛練に参加したいと言い出したのだ。一輝から一緒にどうかと誘われた結果八幡も一輝の鍛練に参加することになった。

 

 

 

 

 

まず一輝とステラは一輝がいつもやっている20㎞のランニング、八幡は行きに25㎞のランニング、帰りに25㎞のダッシュの合計50㎞を魔力を放出したまま行っていた。一輝と八幡は毎日この鍛練を行っているため慣れているが、ステラはこれまでこのレベルの鍛練は行っていなかったようで二人が霊装を使った鍛練を始める頃に息が上がりながら戻ってきた。

 

 

 

 

 

「お疲れ様ステラさん」

 

 

 

 

 

「お疲れさん」

 

 

 

 

 

後から戻ってきたステラに声をかける二人。

 

 

 

 

 

「ステラよ」

 

 

 

 

 

一輝の他人行儀な呼び方を訂正するとステラは息を整える。

 

 

 

 

 

「じゃあステラあのさ、僕は習慣だから毎朝20㎞走ってるけど無理してついてこなくても」

 

 

 

 

 

「平気よ、これくらい」

 

 

 

 

 

「でもほら、体力を補う大きな魔力だって持ってるわけだし」

 

 

 

 

 

「完走したんだから別にいいでしょ!」

 

 

 

 

 

「本当に負けず嫌いなんだなステラは。はい」

 

 

 

 

 

一輝は自分が持っている水筒をステラに渡そうとした。

 

 

 

 

 

「え!?それって」

 

 

 

 

 

黒鉄のやつ、 自分が口つけたやつ渡すかよ普通。ヴァーミリオン困ってるじゃねーか。

 

 

 

 

 

「それ、黒鉄が口つけたやつだろ」

 

 

 

 

 

「あ、僕が口つけたやつなんて嫌だよね。ごめん」

 

 

 

 

 

八幡の指摘に気付き水筒を持っていた手を戻す。

 

 

 

 

 

「別に嫌だなんて言ってないでしょ。むしろ逆っていうか」

 

 

 

 

 

「えっ?」

 

 

 

 

 

ステラの呟きが聞こえなかった一輝は聞き返す。

 

 

 

 

 

「いいからそれ、寄越しなさい!」

 

 

 

 

 

ステラは自分の呟いた言葉が恥ずかしかったため一輝の手から水筒を奪って飲み始めた。そんなステラを一度見ると空を見上げる。

 

 

 

 

 

「それにしてもようやくだな」

 

 

 

 

 

「うん、そうだね」

 

 

 

 

 

一輝と八幡は去年のことを思い返す。一輝はとある事情でまともに授業すら受けさせてもらえなかったが、それでも今年に入って理事長が変わり完全な実力主義になったことでようやく一輝にもチャンスが回ってきたのだ。

 

  

 

そして八幡は学園のとある方針に嫌気がさしたため自分から覇軍学園から姿を消したのだが、理事長が変わったのと同時に復学し表舞台に立つことになったのだ。

 

 

 

 

 

こういった背景から一輝と八幡は互いに短い言葉を吐いたのだ。

 

 

 

 

 

「ん?なんだか嬉しそうね」

 

 

 

 

 

一輝と八幡の会話を聞いていたステラが不思議そうに聞いてくる。

 

 

 

 

 

「うん、今日妹が入学してくるんだ。会うのは四年ぶりでね」

 

 

 

 

 

黒鉄にも妹いたんだな。黒鉄は実家からいないように扱われてきたから黒鉄家に味方はいないと思っていたが黒鉄の声から察するにその妹とはうまくやれているみたいだな。

 

 

 

 

 

「へぇ・・・ねぇ、その妹さん血が繋がってないとかそういう設定じゃないでしょうね」

 

 

 

 

 

「いや、ごく普通の血縁兄弟だけど」

 

 

 

 

 

「なら、良し」

 

 

 

 

 

「・・・今、なにを許したの?」

 

 

 

 

 

妹って聞いてまず血が繋がってない設定が出てくるとかこいつ絶対日本語の勉強の教材漫画とかアニメだろ。それにしてもヴァーミリオンのやつ、多分黒鉄のこと好きだろこれ。チッ、リア充爆発しろっ。

 

 

 

 

 

心の中で毒を吐く八幡であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「新入生の皆さ~ん、入学おめでと~う。皆さんの担任の折木有里で~す」

 

 

 

 

 

そう言ったのは教卓の前に立つ目の下に隈のある女性だ。その後ろにあるプロジェクターにはその女性の顔が写り、クラッカーの音が鳴り響く。

 

 

 

 

 

「担任を持つのは初めてのピチピチの新米教師なの。ユリちゃんって呼んでね」

 

 

 

 

 

自身の自己紹介を終えると有里は話し始めた。

 

 

 

 

 

「・・・なんか疲れる先生ね」

 

 

 

 

 

「お偉いさんの話は長くてつまらんが、やっぱりあの人の喋り方は聞いてるこっちも疲れるな」

 

 

 

 

 

まあ、長くてつまらない話よりはだいぶマシだけどな。それにいい先生だっていうのもこの人の元で数ヵ月だけど学んできたことからも知ってるしな。

 

 

 

 

 

「あはは、まあね。でもいい先生だよ」

 

 

 

 

 

そう言って一輝は有里の方を見た。八幡とステラも遅れて有里の方を見る。

 

 

 

 

 

「みんな、入学式に理事長先生が言っていたことを覚えているよね?」

 

 

 

 

 

確か、昨年まで能力値で代表を選抜していたが、今年からは全校生徒参加の実戦選抜に変更され、上位6名が代表になるっていうことだったな。

 

 

 

 

 

この変更はおそらく、黒鉄が七星剣武祭の予選に参加できるようにするためのものだろうな。必ずしも黒鉄が七星剣武祭に出られるとは限らないがその資格がとれる可能性が出てくるから黒鉄にとってはこれ以上ないくらいの朗報だろうな。

 

 

「というわけで学内戦は来週から開始だよ~。試合の日程や相手は生徒手帳から送られて来るのでこまめにチェックすべし」

 

 

 

 

 

去年はすぐに学園から出ていったから知らなかったけど早いな、すぐ予選開始かよ。

 

 

 

 

 

「先生」

 

 

 

 

 

「ノンノン。ユリちゃんって呼んでくれないと返事してあげないぞ~」

 

 

 

 

 

うわぁ、うぜぇ。

 

 

 

 

 

「・・・ゆ、ユリちゃん」

 

 

 

 

 

「は~い、な~に?ステラちゃん」

 

 

 

 

 

ステラのユリちゃん呼びに満足した有里は返事を返す。

 

 

 

 

 

「全部で何試合くらいするんですか?」

 

 

 

 

 

「ん~、一人10試合くらいは軽くかかるかな?3日に一回は必ず試合があると思ってくれていいよ~」

 

 

 

 

 

3日に一回か。俺が向こうで傭兵やってた時は2日丸ごと戦闘が続いたこともあったし俺的にはかなり余裕だな。

 

 

 

 

 

「マジかよー」

 

 

 

 

 

「面倒くせぇー」

 

 

 

試合数の多さに生徒達は口々に不満を呟く。八幡はそんなに不満があるなら参加しなければいいだろって思う。そして八幡はチラッと一輝を見た。

 

 

 

 

 

(3日に一回・・・つまり一刀修羅も)

 

 

 

 

 

黒鉄やつ考えてるな。恐らく手札の確認でもしているんだと思うが、これだけ早い段階から考えてるってことは本気で代表狙っているんだな。

 

 

 

「やりたくない人は棄権しても大丈夫、成績に影響したりはしません。だけどね、誰にでも平等にチャンスがあるって、とっても素敵なことだと先生は思うよ。だから、是非頑張ってみて?」

 

 

 

 

 

最後に一輝をチラッと見て話を締めくくると雰囲気を元に戻す。

 

 

 

 

 

「じゃあみんな~、これから一年全力全開で頑張ろ~。はい、みんなで一緒に~エイエイオーぶはぁっ!」

 

 

 

 

 

テンション高く拳を突き上げる有里だったが突き上げたと同時に血を大量に吐いて倒れ込んだ。

 

 

 

 

 

「ゆ、ユリちゃん!?」

 

 

 

 

 

「あぁっ、やっぱり」

 

 

 

 

 

「おいおい。締まらねぇなぁ」

 

 

 

 

 

驚くステラ、そして有里を見てため息を吐く一輝と八幡であった。

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