アニメ見てて、書きたい欲求を抑えきれずに書き始めました。
どこまでつづくのかは、未定。
正味、カクヨムで織田信定についての小説も書いているので、そちらの方がメインです。
全てに納得してくださる大人な方のみ閲覧くださいな。
「・・・は?どこだ、ここ・・・・」
そこは、一面の薬草畑だった。いや、一面というには狭いかもしれない。
しかし、見たことのないほどのボロ屋と共に、そこには、薬草や野菜などの植えられた畑があった。
とはいえ、なぜか現代の農地の様な、綺麗な印象は受けなかったのだが・・・。
「・・・・いや、本当にどこだ、ここ・・・・・・。」
見たことのない場所に一人佇むしかない、男が一人。
そう、何度も言うが一人だ。
近くには誰もいない。
「何なんだよ・・・これ。ドッキリ企画か何かか・・・?しみったれた、一介の配信者を攫ってドッキリとか・・・。いくらマスゴミだからってやりようが酷いぞ・・・。」
男の中では、完全に⚪︎⚪︎テレビなどによるドッキリ企画だとなっているらしい。
・・・・・そんなはずはないのに。
「けど、本当にどこだ・・・?カメラは?ここから俺にどうしろっていうんだ・・・。ただの歴史再現系配信者だぞ?面白いことなんて何も言えんぞ、俺は・・・・」
自分の周囲でカメラを回しているはずの者を探して、男は一人、アチコチを見回していた。
──────他人の畑のど真ん中で
「そんなとこで、何してるんだい?何かお困りの様だが。」
「あ・・・・」
・・・人だ!
人だ、人がいた!
この時の俺は、絶対に冷静じゃなかっただろう。
既に、小一時間はこうして、カメラや俺を攫ってきたはずの者を探していたのだ。
冷静じゃいられない状況に、冷静ではない俺。
周囲から見れば、完全に狂人の行動だっただろう。
後から考えれば、こうした反省もできるが、この時の俺にそんな余裕なんてカケラもなかった・・・・なかったのだ。
「あ、あんた!あの、あのさ。俺をここに連れてきた奴を知らないか?!あ、いや、それなら電話だ。電話でいい。貸してくれないか?!」
「連れてきた・・・?知らないねぇ・・・。それに、でんわ、"でんわ"とはなんだい?」
この足が不自由そうな男の反応。
それを見て俺は、嫌な予感が、鳴り響く鐘楼の音の様に、嫌な予感が脳裏に鳴り響いていた。
「待ってくれ・・・待ってくれよ。頼む、頼むから・・・。電話だぞ?スマホ・・・そうだ。スマホでもいい。分かるよな?携帯、黒電話。何だっていいんだ!電話をかけさせてくれ!お願い・・・お願いだから・・・・!!」
この時の俺は必死だった。
なぜ、こんな所にいるのか分からない。
なぜ、仕事着だけでこんな場所にいるのかも・・・・
なぜ、・・・
なぜ、・・・・・
なぜ、・・・・・・・
ただただ、疑問と焦燥だけが、俺の中にはあったのだ。
見ず知らずの、それも足の不自由な男に縋り付くほどに・・・・・
「何がったか分からないが、とりあえずウチに来るかい?そうそう。私は薬師の羅門だよ。」
「あ、あぁ・・・。助かる。行くあてもないんだ・・・たぶん。俺は、斎藤 恋だ。よろしく頼むよ・・・。」
こうして羅門と言葉を交わせるようになった頃には、俺も流石に事情が飲み込めてきていた。
要は、アニメや小説であるような"異世界転移"という奴をしてしまったのだろう。
チート能力をもって「うぇぇい!」などと、騒ぐナードの姿が脳裏に浮かんだが、すぐに消えた。
そのまま、憔悴した俺は、羅門と名乗る男と共に男の家へと向かった。
薬師だと言っていたが、どんな仕事だ?
薬草でも潰すのか?昔の日本で言うところの医者のことか・・・?
もしかしたら、多少は役に立てるかもしれない。
所持品は、祖父からもらった"機械式腕時計"に軍手、作業用の作務衣。それとゴツいスポーツシューズだ。
どれもこれも、耐久性の高いものばかりだが、歴史再現系のYou◯uberとしての仕事着でもあった。
(何か・・・何かできることがないと、す、捨てられる・・・!せめて、ここで生きていける当てが何か・・・・何かないか?!)
ただでさえ冷静でいられない状況だ。
俺は、この世界のことを、羅門という男を通してしか知らない、いや知れない。
他の人間が、どんな奴なのかまだ分からない。
俺を売り飛ばそうとするかもしれないし、内臓を切り売りされたり、変態にケ⚪︎を掘られたり・・・・
頭に浮かんでいたのは、今はこの羅門の為に何かしないといけない。
何か、羅門にとって有益な存在だと思われなければならない。
そんなことだけを考えていた。
本当に、この時は冷静じゃなかったと思う。
突然訪れた"転移"という最悪、絶望。
そこに現れた一人の優しげな男と、ついてこいというその言葉。
それだけで俺は、羅門を依存先にしてしまっていたのだ。
本来なら俺も、人様に依存して生きるような弱い人間のつもりはなかった。
なかったんだが・・・・・・
流石に、心が状況について来なかったんだろう。
そこへ、どこか祖父に似た、足の不自由な男の言葉に釣られて、そのまま付いていってしまう程度には、心が弱っていたのだ。
自分の積み上げてきた全てが、何もかもが失われたのだと、頭の中の冷静な自分は気付いていたのだろうから──────
「どうぞ。狭いけど、ゆっくりしてくれて構わないよ。」
「あ、あぁ・・・ありがとう。本当に助かった・・。えっと・・・・」
「私は、羅門《ルォメン》だよ。」
「あ、あぁ、そうか羅門。俺は、斎藤 恋だ。よろしく頼む。」
「うんうん。・・・猫猫。隠れてないで出ておいで。そうそう、ここには子供がいるからねぇ。気を付けてやってくれるかい。」
「おわっ、え、えと、あぁ。子供は嫌いじゃない。大丈夫だ。」
正直、この時の俺は、自分で何を言っているのかさえ分かっていなかったが。
それでも、不審者扱いされては敵わないと、幼女相手に、そこらにあるもので手品を見せてやるくらいはできた。
手品といっても、現代日本だと誰でも知ってるような奴ばかりだが。
それでも、楽しんではくれたらしい。
なんとか、住んでいた幼女にも気に入られることには成功した。
喜んでくれた瞬間、ホッとした顔を見られていたからかもしれないが・・・・・
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「(変な男だねぇ・・・)」
羅門は、家にその男を連れてきたものの、男が悪党である可能性も考えていた。
だが、それにしては行動が不審過ぎた為に、敢えて、猫猫の姿も見せたのだが・・・・
男は、猫猫という幼女相手に必死で何かをしてあやしている様子だった。
「(ふふふ・・・これは、本当に悪い輩ではなさそうだね)」
直感で、もとより悪い連中でないとは思っていたが、幼女を必死であやし、あまつさえそのちょっとした笑顔にホッとした表情を見せるような男だ。悪い奴ではなさそうだ、と。羅門は確信を得ることができて安心していた。
それに、先ほどまでの行動のような、狂人染みた動きもない。
「(しかし・・・これは、ちょっと予想が外れたねぇ)」
何かしらの病かと思っていたのだが、どうにも見たことのない風体だというだけで、それ以外は優しげな普通の男だった。
まだ、さっき会ったばかりの男に、それ以上の評価は出せなかったが。
「てれび・・・でんわ、か。一体、何のことなんだろうねぇ・・・。彼があんなにも必死になるなんて。」
何の意味を持つ単語なのか、それさえも分からない。
てれび・でんわ・てれびきょくとも言っていたか・・・。
何かの組織、あるいは団体だろうか?
怪しげな、邪な組織にでも連れられて来たが、途中で逃げ出した・・・?
「(いや、これ以上は余計な詮索かな・・・)」
後宮での仕事と同じく、余計な詮索はしない。
それが、長生きの秘訣なのだ、と羅門は自分に言い聞かせていた。
ただ、男の先ほどまでの様子と今の様子が、まるで一致しない原因について、脳裏ではいつまでも考え続けていたのだが・・・・・
読んで頂けた方には感謝を。
ちょっと、今作は面白い設定になりそうなので、これを流用したものを使ってオリジナルも書こうかなぁと思案中。
楽しんでいただけたのなら、斎藤 恋の別作品も読んでいただければ幸いにございます。