【完結】明星の輝き、再び   作:烏何故なくの

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6話 エピローグ

 

「ルシフェルが善人だったという話は荒唐無稽すぎるので『悪魔ルシフェルは結城紡が討ち取り、安納達也はルシフェルの影響から解放され、今はすっかり無害』みたいな筋書きはどうでしょう」

 

 サターンが爆発し、サターンの血の雨を浴びながら、オレは空中で紡とともに坂田さんの話を聞いていました。

 

「今のところ、人間の中で魂の判別がつくのは私だけです。私があなたの無害性をアピールしないと、あなたは危険因子とみなされるかも知れません。私の発言力を極力下げたくないので転生者関連のことを発表するのは後回しにしてもらっていいでしょうか。転生者ももう目的を失ったのでこの世界で何か行動することはないはずです」

「……ずいぶんとこっちに都合のいいように動いてくれるんすね。何か企んでないっすか?」

 

 坂田さんは目をぱちくりと動かした後、寂しそうに笑いました。

 

「あなたも」

「?」

「あなたも、星を失ったでしょう?」

 

 自分の目的のためなら何人だって平気で殺すような女が、親と逸れた子供みたいな顔をするので、オレは思わず口を閉ざしました。

 

 

 

—————

 

 

 

 紡と一緒に新幹線に乗って、家に帰って、テレビのニュースで「京都で謎の爆発?! 台風に巻き上げられた鯨が爆発したか?!」なんてニュースを見て。

 

 ルッさんの声はずっと聞こえなくて。

 人間って雑音がないと眠りにくいって言うのを初めて知りました。

 

 起きてもどこかふらふらしてる感じで、地面の感覚があんまりないっす。

 学校行っても楽しくないし、ワールドゴエモンもやる気が出なくて。

 

 とにかく雑音を聞いていたくて、公園に行きました。

 子供たちが遊ぶ声を聞きながら、ベンチでボーっとしていました。

 

「師匠! あの……大丈夫ですか?」

 

 ベンチでボーっとしてると、紡がいつのまにか隣にいました。

 心配そうにこっちを覗き込んできます。

 

「心配ご無用っすよ」

「そ、そうですか……? えっと、あの、なんかウチ、ルシフェルを倒した勇者扱いされてるらしくって。京都で師匠のことを監視しようとしたやつ勇者権限で全員シバいてきたので……! これからも安心して生活できますよ!」

 

 おお、パワフルっすね……。

 

「……本当に大丈夫っすよ? ルッさんが消えちゃって、自分でももっと取り乱すかと思ってたのに、全然涙とか出ないし……」

 

 そう言った瞬間、紡に手を掴まれました。

 

「全然大丈夫じゃないです! 師匠ずっと、泣きそうな顔してて……師匠はちゃんと、ルッさんのこと大事に思えてますよ!!」

 

 オレより泣きそうな紡の顔を見て気づかされました。

 オレ、今までずっとルッさんに代わりに泣いて貰ってました。

 だから、泣き方とか今まで学んでこなかったんすね。

 

 ……どうすればいいっすか?

 オレはどうすればこのモヤモヤを吐き出せる……?

 

「大丈夫ですよ師匠、ゆっくりでいいんですからね……」

【思ったんだが達也。ここで上手い選択肢を選べばチューまでいけるんじゃないか?】

 

 ……?

 なんか変な声聞こえたな今。

 

 オレは声の聞こえてきた方をまさぐると、スマホに手が当たりました。

 スマホの画面を開くっす。

 金髪碧眼のミハエちゃんが、バレた! みたいな顔をしてました。

 

「ルッさん……?」

【そうだよ。いや〜呪いの海に飛び込んだ時に、ワールドゴエモンにシルバーコードくっつけててよかったよかった】

 

 ……あ! そういえばなんか溺れながらしてたっす!

 

 それと同時に、紡と怨霊退治に行った時のことも思い出したっす。

 スマホは怨霊の核たり得るんでしたね。魂の器になれるって言うのは知識としてあったっすが……。

 

「生きてたんならもっと早く生存報告して欲しいっす!!!」

【紡が達也を監視しようとしていたやつを全員ぶちのめしてくれたらしいからな。私が生きているのがバレたら今までの頑張りが全部無駄になる】

 

 オレとルッさんの会話を見ていた紡が、緊張しながら質問したっす。

 

「あなたがルッさん……? よく坂田さんに存在がバレませんでしたね」

【坂田さんの漂業は『人間の魂の色を見る』だからね。スマホの魂の色を見るのはできなかったんじゃない?】

 

 漂業はイメージがものを言う世界っすから、ありえない話じゃないっすね……。

 

 オレは肩から力がどっと抜けてベンチに寝そべりました。

 今までのふらふらしてた時間を返してほしいっす。

 

 ……まあ、だけど……。

 

「これで……これからも一緒っすね」

【そうだね】

 

 今まで通りの日常が戻ってくるなら、まあ色々頑張った価値はあったっすね。

 ……なんか、紡が歯にものが挟まったような顔してるっす。

 

「……ワールドゴエモンって、今月でサービス終了ですよね? スマホアプリに宿ってるんなら何か弊害とかないんですか?」

 

 紡の言葉に、ミハエちゃんに宿ったルッさんの顔が固まります。

 

【ええと……今の状態でサービスが終了すると……どうなるんだ……?】

 

 ……。

 ルッさんがわからないなら誰もわかんないんじゃ……。

 

【……わーっ! わーっ!】

「えーっ、なんか対策とかないんすか?!」

「えっ、ウチ、余計なこと言っちゃいました?!」

 

 この後めちゃくちゃ色んな所にシルバーコードくっつけたっす。

 

 

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