Unlimited Possibility 〜プリズマ☆イリヤの世界へ〜 作:神酒ぃ@θ≒シータ
お気に入りが140件近く!嬉しいです!
これからも、精進して行きたいです。!
では本編をどうぞ!
第七話
side 衛宮 誠
意識がゆっくりと浮上して行く。
自分が、長い長い眠りから徐々に覚醒に近づいているのが分かる。
朧げの意識の中、昨日の事を思い返し、僅かに照り付ける陽射しと肌に触れている布団の感触に評価を付ける。
あー、暖かいし最高。
昨日の事を思い出して少し気分が下がったけど、これは其れすらも掻き消す程の威力を持ってるな。
陽射しは眩しくなく程よい感じで…これなら気持ち良く起きられそうだ。
布団はふかふかだし………って!
「ふかふか…?!?!」
「うわぁっ…!びっくりした…!」
一気に意識が覚醒した。
ガバッと布団を剥いで起き上がる。
俺の近くで作業していた彩虹が何か言ったが、それどころじゃない。
問題は、何で俺がベッドの上で寝ているかだ。
「ああ、やっと起きたわね。まずは顔を洗ってきなさい。
あ〜、はいはい。あんたが思ってる疑問についてもちゃんと説明するからそんな顔でこっちを見ない。
…っと。そうだったわね。洗面所はそこの角を曲がった先にあるから」
頭の中は疑問が溢れていて、何がどうなってるのかさっぱり分からないけど、とりあえずお母さんの言う通りに眠気を覚ますべく洗面所に向かった。
えーっと、ここを…右か?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「…で。早速なんだけど、ここって昨日の廃墟だよね…?」
意識は完全にあの瞬間から覚醒していたけど、顔を洗いスッキリした状態でこれから質問する事を纏めて戻って来てからお母さんに聞く。
ちなみに、洗面所も完璧に整備されていて大変綺麗でした。
「そうよ。これら全ては士郎が、全部やってくれたのよ。私たちも朝起きたら…この通り」
「もう、メッチャ驚いたよ」
そうお母さんは肩を竦ませて呆れた表情で言ってるけど、それって結構ヤバくない…?
前から料理に洗濯、掃除に至るまでプロの領域だったけども…
家のお父さん、ホントに人間ですか…?
「…で、誠も起きたことだし、『あの事』についてと今後の方針をこれから話すのだけど…あなた達もお腹が空いてると思うから、お昼にしましょ」
そう言われ、壁に掛かっていた時計を見ると針は1時を指していた。
もう、こんな時間になっていたのかと内心驚く。
そして、俺が新築同然となっている室内をキョロキョロと見回している間にもどんどん料理が運ばれて来た。内容は、肉じゃがに鯖の切り身、ほうれん草のお浸しなどという、和食中心の体に優しいそうな品目ばかりだ。
箸やコップを用意して席に座る。
やっぱり、いつもは畳で座布団を挽いて、その上でご飯を食べているから変な感覚だ。
隣に座っている彩虹も同じ気持ちなのか、心なしかソワソワしている感じを受ける。
「「「いただきます」」」
毎回欠かさず、変わらない当たり前の儀式を行い、食事を始める。
ーーー全ての食材に感謝を……
ってね。
「さっ、そろそろさっき話そうと思ってた事を話すわね」
食事が終盤に差し掛かり、暖かいお茶をズズッと飲んでいると既に箸を置いて「ご馳走さま」を言い終えた、お母さんが話しを切り出して来た。
「何でこうなったか…だよね?」
彩虹がテーブルにお茶を置きながら、緊張した声で答える。
俺の方が寧ろ、その話しを一番に聞きたかったから、ダラダラしていたいという欲求を抑えて俺もお母さんに顔を向ける。
「ええ…
でもまず、話す前に一応、確認事項。私が昨晩、行おうとした第二魔法の本質が『平行世界の運営』っていう事は知ってるわね…?」
「うん。移動だけじゃ無くて『運営』だから、色々な事象?が起こせるんだよね」
「え…!?移動だけじゃないの…!?」
そこで初めて知った、という感じで驚きを露わにし、俺の顔を凝視してくる彩虹。
あー…確かその時、彩虹はウトウトしてたな…
すると、俺の後ろからブチッという鳴ってはいけない音が。彩虹の顔から血の気が一気に引いていく。
俺も背中に悪寒を感じ、冷たい汗を流しながら彩虹と共に振り返ると…
「ふーん。じゃあ、そんな彩虹には後でO・HA・NA・SIね」
額には青筋を浮かび、眉はピクピクと震えて、口元を不気味に歪ませて笑みを無理やり作っている悪m…お母さんがいた。
「その事は一旦後に置いといて、続けるわよ。
…そうね。誠が言った通り、第二魔法は簡単に言うと平行世界に『何か出来る』のよ。移動だったり、事象だったりね。
今回は、あなた達も分かってる様に移動よ。
…で、此処からが本題、私達が移動してしまった原因は…
……魔力の暴走したっていう事以外、実は私もよく分かん無いのよ」
それから5分経った今、お母さんが改めて説明を始めた。
俺の後ろには燃え尽きたような真っ白になっている彩虹がいるが、話しは続く。
「…………」
「…何よ。だってしょうがないじゃない…まだ未確定な事が多いんだから、こいつには…」
そう言って、ポンポンとお母さんが触っているのは美しく装飾されている宝石剣。
本人曰く、製作には只ならぬお金が掛かったとか。
ご苦労様です…
「でも、こっちに来たっていう事は帰れるんだよね?」
「理論上ではね。
けど、暫くは無理。今の私だとまだこいつの一端しか使用出来ないし、自発的にやろうとすると、それなりの設備と道具が必要になるのよ」
やっぱりそうか。その時代の文明の力では、いかに資金や時間を注ぎ込もうとも絶対に実現不可能なものである『魔法』っていうぐらいだから、そう簡単にホイホイと出来る代物じゃないよな。
…っていうか、一端だけでも使用出来るお母さん凄くない?
「次に、誠が昨日戦闘を行った女性についてね。こっちは粗方見当と推測はついてるわ。
……と、現状報告は大体こんな感じね。他に何か質問ある?」
そう言うなり、ソファーに寝転び ぐたぁ〜 とするお母さん。クッションに顔を沈ませるということは相当疲れているのだろう。
正直なところ、沈めたクッションから「家周辺の結界の形成に、戸籍の偽造、工房の作成に衣服の調達、はぁ〜…まったく、やる事が多過ぎるわ!」
と漏れている言葉は抑えて欲しい。
「あ、そうそう。貴方達には頼みたい事があるから」
「「??」」
急にフッと何かを思い出したように、顔をこっちに向けてそう言ったお母さんに、復活した彩虹と俺はお互い見合って「何ぞ?」と首を傾げた。
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「えーと、つまり、私達はカードを集めればいいんだよね!」
「……はぁ…。まぁ…そうなんだけどさ…
ようは、彩虹は魔力の発動の感知で俺が何かしらの空間に対する違和感の感知をするっていうこと」
「なるほど。そっか〜…お兄ちゃん苦手だもんね、そういうの」
「うっ…そうだよ!なんか悪いか!
こんちきしょー!!!」
時刻は午後11時40分過ぎ。
何時もなら既に夢の世界に行っているこの時間に、俺たち二人は認識阻害の魔術を掛けて周りに注意を払いながら町の中を歩いていた。
と言うのも、昨日の事について確証を得たいから行って来てと言われたからだ。
魔術関係で一般人にバレていけない事柄としても、こんな真夜中に中学生に満たない子供を普通に送り出すお母さんを非情だと思う俺は悪くない。
でも、優しさなのだろう。彩虹の肩には何時もなら渋る宝石で出来た使い魔が乗っている。しかも、高性能通信機付きというハイスペック使い魔だ。
…絶対、お父さんがこれ付けたな。これは確信を持って言える。
だって、ねぇ…ほら、人には俺もだけど得意、不得意があるって言うし。
『誠、貴方、今失礼な事考えてたでしょ』
「…!?そ、そそそ、そんな事ないよ!」
怖っ!怖すぎる!
エスパーですか、お母さん!?
「ねねっ、お兄ちゃん!お兄ちゃんは二回目だと思うけど、今から私たちは若いお母さんを見れるんだよね?」
「その場所にいたらね。けど、たぶん見れると思うよ。ルヴィアさんとセットで」
二人の仲の悪さは世界が変わっても変わらずとあの時実感したしね。
「わぁ〜!楽しみ!」
『………誠。分かってると思うけど、くれぐれも苗字を言わないでね。ただでさえ貴方、疑われてんだから。彩虹もよ』
「はーい」
「了解。肝に命じとくよ」
そうだよなぁ…。あの青い方の魔法少女の子も俺の事をじっと見てたし、若いお母さんと若いルヴィアさんも俺たちのお母さんよりは劣るけど、十分鋭いから警戒しといて損はないだろう。
『後、創造魔術だけは余り使用しないでね。…って、言っても無駄よね…
まあ、それは上手く誤魔化しなさい。あんたなら出来るでしょ』
……あっぶねぇ〜!!
この前、思わず正直に話しそうだった〜!過去の俺、ナイス。
………はい。反省してます。次からは、ちゃんとやります。お母さんから一通り習った、交渉術を精一杯駆使して頑張りますから許して…
などと、心の中では色々思考がおかしくなってるが暴露てはいけないので、それを表には出さず返事をする。
「だいじょぶつ…っ…」
………………………………………………………噛んだ。
「プッ……クスクス…」
「おい、こら。何笑ってんだよ」
「だって…ッッ……可笑しくて…
………ん?〜〜!!お兄ちゃん!魔力の発動を感知したよ!」
「おっしゃ!それじゃ、お母さん行ってくる!」
『私もこれからやる事があるから、これで通信を切るけど、緊急事態には私の使い魔を壊しなさい』
「お、おう…そうならないように全力で頑張ります」
最後の最後に特大の負けられない理由が出来た。
……あれ?彩虹が俺の事を笑ったの、物の見事に流されてね?と思ったが、彩虹と共に脚を強化して彩虹が言う感知場所に直行した。
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途中、色々…本当に色々な事があったが何とか現場に着いたのだけど……
「何も無いな…」
「うん、見た感じ何も無い公園だね」
そう、何も無いのだ。表向きでは。
しかし、裏である魔術関係については色濃く残っている魔力の残滓がここで行われたことを誇示している。
加えて、地面に薄っすらと残っている魔法陣が何よりもの証拠だ。
「彩虹、これは…」
「魔法陣だね。発動されて直ぐの」
じゃあ、やる事は決まってる。
「彩虹、俺に合わせろよ」
「……よし!こっちは準備満タンだよ!」
彩虹の返答を聞き、俺は目を閉じ手を地面に触れさせる。
数多くある魔術の中の高位に属する『転移』。
お母さんでも条件と時間が掛かる厳しい代物なのに、本来なら俺みたいなへっぽこな魔術師には発動すら出来る筈はない。
あの青い方の魔法少女はともかく、赤い方が使えるのは疑問であるが…
しかし、これ《魔法陣》が有れば話しは違う。
残った魔法陣に己の魔力を慎重に注ぎ込む。自分と魔法陣がリンクしたのを確認したら、その中から転移した若いお母さん達の気配を探る。
………見つけた!
見つけたその場所に、一気に魔力を注ぎ込み意識をそこに移す。
それと同時に肉体と精神が分裂する感覚が襲い、頭に鋭い痛みが来る。
「っ…………」
一瞬でも気を抜けば、自分が自分で無くなってしまう様なやな予感。
だが、此処で止めたりはしない。此処で止めた方が危険だと俺は知っている。
そして、俺は意識を完全にあの鏡のような世界に移した。
二度目となるこの世界。
変わらずこの世界の魔力は淀んでおり、肌に纏わり付く為、此処は嫌いな所だと再認識する。
既に、いい思い出などこれっぽっちも有りはしないが。
…ってそんな事より彩虹だ、彩虹。
魔術方面は俺より遥かに優秀だから無事に此処に来れてると思うが、万が一という事がある。
周りを見渡すと少し離れた場所に彩虹が頭を押さえて地面に座り込んでいた。
おそらく、肉体と精神が分裂する感覚が予想以上に応えたのだろう。
目眩など起こしているのだろうか、気持ち悪そうだ。
俺は急いで彩虹の元に向かう。
でも、俺はこの時かなり焦っていたのだろう。
なぜなら、彩虹の近くに若いお母さん達が居るのに気付かず。更には、昨日の様な敵の存在にも、上空に犇めき合っている膨大な数の魔法陣にも気付かなかったのだからーーー
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side イリヤ
凛さんからの奴隷《サーバント》宣告から1日経った今日、私は再び凛さん達と一緒に鏡面界に来ていた。
…のはいいんだけど、出会い頭レーザーサイトみたいな光が当たって逃げる暇もなく攻撃されています。
しかも、ルビーが魔術障壁と物理保護を張って防いでくれてるけど、鈍器のような衝撃が遠慮なく伝わって来てーー
「痛い!そして熱いよ!なにコレ⁉︎」
「じょ、冗談じゃないわよ!何で、魔術障壁が突破されてんのよ!?」
『あらー?でも考えてみると可笑しくもなんともないんですよねー』
えーと、確かこの魔術障壁はランクA以下のあらゆる攻撃は効かないって言ってたから…つまりーー
『あちらの攻撃力が、ランクAを上回っちゃっているってだけですのでー』
「キャスター……英霊クラスの魔術師。そう、そういうことね」
凛さんが一人納得しちゃってるけど、状況は全く変わらず、熱いし、痛い。
でも、そうして必死に身を縮こませ魔力の雨を防いでいる間、なんか違和感を感じた。
……なんだろう?
と、疑問に思っていると目の前の空間がバチッという音と共にーーー裂けた。
そして、裂けた空間の歪みはどんどんと広がって行き……
ーーーー女の子が現れた。私と同じぐらいの年齢の。
「「え…」」
「「は…?」」
凛さんやルヴィアさんの方を見ると、突然の事に驚いているのだろうか唖然としている。
一方、新たな侵入者に警戒しているのか、大地を蹂躙するかの様に降り注いでいた魔力の雨はいつの間にか停止していた。
ーーーー場に緊張感が走る。
そして、それは凛さんの一言で再び動き出す。
「ええい!その子が何処の誰かは知らないけど、キャスターの攻撃が止まった今がチャンスよ!イリヤ!」
「美遊!こっちも攻撃を行う前に、素早く速攻ですわ!」
「う、うん!」
「了解です」
そうだよね、あの子が誰だか知らないけど頭を押さえて蹲っているし、アレを倒してから考えても間に合うはずだよね。
side 遠坂 凛
先ずは、あの黒化英霊を倒してから。そう考えていた。
だけど、現実はそんなに甘くはなかった。
幾ら、狂化して理性が無くなったとはいえ彼等は英霊として選ばれし者達。
数々の伝説を残したモノ達なのだ。
しかも、彼女はキャスター。神代の魔術師かも知れないのだ。だとすると、高速詠唱など造作もない。
時、既に遅く指に爛々と紫色の魔力光を光らせながら、ロックオン状態で此方側を指していた。狙いは…
まさか…あの女の子…?!
まずい……!反撃する為に前に出たから、私たちとあの子の距離が離れすぎてる…!
そして、無慈悲にも指から放たれた光はあの子をーーーー
ーーーー貫かなかった。
いや、正確には違う。
あの女の子を貫くはずだった魔力弾をガキッという音と共に彼方へ弾き、キャスターを怒りを込めた目で睨んでいる少年が立っていた。
「テメェ…何俺の妹に手を出したてんだ」
少年が口を開く。
そう、昨日の空から降って来たあの少年が黒と白の短剣を手に持ち、あの女の子を庇って立っていた。
感想、意見は随時募集中です。
しかし…何故感想を書かれるとあんなに嬉しい気持ちになるのか…
不思議ですね。
それと、寒い日が続いているので、皆様インフルエンザに気を付けて下さいね。
ではでは。