Unlimited Possibility 〜プリズマ☆イリヤの世界へ〜 作:神酒ぃ@θ≒シータ
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お気に入りも160件を超えました!ありがとうございます!
これからも皆様を楽しませる小説を作っていきたいです。では、どうぞ!!
第八話
side 衛宮 誠
手に持っている剣をグッと握り締める。
目の奥がチリチリと熱い。今までこんなにも怒りを覚えた事は過去に一回しかない。その時も状況は一緒だった。
彩虹が傷つけられそうなった時だ。
「テメェ…何俺の妹に手を出してんだ」
自分が傷つけられるのはいい。でも、彩虹が傷つくのは見たく無い!
「覚悟しろ…今から、お前を其処から叩き落としてやる!」
溢れんばかりの殺気と怒りを十二分に含み、叩き落とすという、確固たる決意を持ってあいつに剣の矛先を向ける。
が、心の冷静な部分が告げてくる。
ーーあいつは飛行魔術をも取得し、高速詠唱も可能にする稀代の魔術師。お前じゃ勝つ確率は0%だぞ。
…知ってる。
ーーそれに加えて上空に犇めく幾つもの魔法陣、此処はあいつの城だ。
…ああ、承知の上だ。
ーー逃げ道も無い、そんな絶望しかないこの状況で彩虹を守れるのか?
…守る。死んでも守り切ってやる!
ーー…そうか…
ーー…よし!
ーーじゃ、あいつを倒すとするか。ーー
「ーーー"The thought of us originate from creation."《人の思いは想像から始まる》」
気付いた時には、自然とこの呪文を唱えていた。
…まるで最初っから自分の中にあったかのように。
カチリと歯車が動き出した音がした。
意識がクリアになり、必要無い全ての音が遠のいていく。
「■■…!」
俺の雰囲気が変わったのを危険だと本能で察知したのか、理性を失った稀代の魔術師が上空の魔方陣を使って魔力の雨を再び降らして来た。
俺は自分と、彩虹に当たりそうになった魔力弾だけを弾き、これ以上彩虹に被弾しない様、全身強化をフルに使って比較的開けている場所へ疾走する。
「ふっ…!」
走りながら致命傷となるものだけを弾く、或いは受け流して此方の攻撃のチャンスを窺うが、そんな甘い敵では無く自分から攻めないと崩せなさそうだ。
「はあっ…!」
もっと速く…!
「せいっ…!」
もっと鋭く…!
「ーー創造開始《イメージ・オン》…!」
そうしなければ、あいつに俺の剣は届かない!
数十回目の攻撃を弾き脆くなった莫耶を破棄し、新しい莫耶を創る。その後、干将にもガタが来始めたので直ぐに破棄し新しいのに創り変える。
これを繰り返す事数回、俺は違和感を感じ始める。
余裕が生まれ始めてきたのだ。
更に繰り返す事十数回。違和感は確信に変わった。
技術が明らかに向上している。
剣を破棄してから新たに創るまでのタイムラグ、攻撃を受け流してからの体の動き、自分に当たるものの見極め、ありとあらゆる戦闘に必要な全ての技術が。
…不思議と嫌悪感は無い。誰かの技術を自分に上書きしている筈なのにズレが全くと言っていい程無いのだ。
けど、それと引き換えに代償なのか、さっきから頭の頭痛が治まらないどころか徐々に強くなってきている。
更に、口の中が切れ、視界が赤く染まり出した。
…ちっ、そろそろ限界が近いか…
視線を若いお母さん達の方に向けるとこっちの邪魔をしない様に彩虹を後ろに守ってくれているのが窺えた。その事に安心しつつ思考を戻す。
…このまま守りを続けていてもジリ貧になるのは確実。何か方法は無いか考えていると、それを嘲笑うかのように魔力の量を増やしてきた。
チッと心の中で舌打ちをして捌く。
…もう、あれしか無いか…
夫婦剣を使って修行をしてた時、偶然出来てしまったあれを…
以前の俺では成功率は良くて10%程の賭け。けど、今はそれを覆す技術を身に付けている!
「―――鶴翼、欠落ヲ不ラズ《しんぎ、むけつにしてばんじゃく》」
度重なる魔力弾の僅かな隙間に身を滑り込ませ回避し、夫婦剣を投擲。
「■■■…」
が、そんな分かりきっている攻撃は当たる筈も無くあいつは悠々と回避する。
夫婦剣を『破損させられず回避した』事に俺は一段階目が上手くいったと内心で安堵。ほっとしたい気持ちを無理やり押し込んで、素早く夫婦剣を創造し、再び投擲。
「―――心技、泰山ニ至リ《ちから、やまをぬき》」
夫婦剣はその名の如く二つで一つの剣と言っても過言では無い。お互いを引き合うという特殊な性質を持っている。つまり、俺が二投目を創造した時点で一投目が戻って来るのだ。
普通の相手だったらこれで決着が付きそうだけど、さあ…どうなる?
「■■■…!!」
二投目は魔術障壁にあっさり弾かれたが、さっき放った背後から来た一投目は流石に予想外だったみたいで結構ギリギリのタイミングで躱した。
でも、回避に専念したのか、さっきまで降り注いでいた魔力の雨は止んだ。
攻守が逆転し、あいつを倒す最初で最後のこのチャンスが訪れる。
「創造…オーバーエッジ」
三度目に己の手に創造したものは投擲せず、魔力を限界まで注ぐ。
すると不思議な事に剣が白鳥の羽根のように形状変化する。一番最初にやった時、凄く驚いたなぁと軽く思い出して俺は膝をグググとエネルギーを溜める感じで曲げる。
「―――心技、黄河ヲ渡ル《つるぎ、みずをわかつ》」
運ではない、この一撃をーーー
「…決める!」
膝に溜めていたエネルギーを開放し俺は跳躍した。重力に逆らってどんどん加速して行き拳銃の弾丸を連想させるかのスピードで突っ込む。
「ーーー鶴翼三連…!」
ーー時間が引き延ばされ、周りがスローモーションに映る。
風を切りながら前後から共に飛来する夫婦剣。
致命傷を与えるべく、限界まで魔力を注ぎ稀代の魔術師を斬りつけんと自分の手から向かって行く夫婦剣。
ふわりと靡いて見えたその時の稀代の魔術師の驚きに染まっている表情。
が、その直後。
稀代の魔術師は口元に笑みを浮かべた。
そして、剣が身体に当たる瞬間、その場から刻然と姿を消す。
「え……」
己の剣は空を切り、飛来していた二対の夫婦剣は共にぶつかり合って破損した。
完全に決まると思っていた俺は只々、唖然とするしかなかった。
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side 衛宮 彩虹
世界を渡った影響であろう嫌悪感から回復した私はお兄ちゃんの変貌に驚いていた。
「お兄ちゃんがパワーアップしちゃった…」
豪雨のように降り注いでいる魔力弾を全て捌ききっている兄。
その一連の動きに一切の無駄は無く清流を思い浮かべる剣舞だ。
セイバーさんの騎士を象徴する剣では無く、無骨に鍛え上げられた私が好きな剣。
セイバーさん曰く、私の型は自分に似ているらしい。じゃあ、お兄ちゃんの型は?と聞いてみたらある人に似ていると曖昧な返答をされた事が印象に残ってる。
それにしてもお兄ちゃんが何であんなにパワーアップしたのか分からない。
私も剣を扱ったり、お兄ちゃんとよく模擬戦をしたりしてるから分かるけど、技術はすぐには向上しない。
時間を掛けて何回も何回も繰り返し練習した上で他人の視点でようやく分かるものだ。
これと言った心当たりが全く無く、これ以上幾ら考えても無駄だと目切りを付けて、お兄ちゃんに後でこの事について絶対問い詰めてやる!と心に決める。
だから、ね……お兄ちゃん…
「ルヴィア、あいつが使っているあの魔術、何だと思う?」
「投影魔術…に酷似していますわね。些か、信じられませんが…」
若いお母さん達に囲まれている…
「ええ…それについては私も同感よ。儀式の代用品にしか使用しないマイナー中のマイナーの魔術だしね。
…まあ、その事は直接本人に聞くか…」
…時の対処法を教えて下さい。
…絶対、「知らねぇよ!俺が寧ろ聞きたいわ!」とか言いそう…
あっ。チラッとこっちに視線を向けて来た。
ものすごく…やな予感しかしない…
「そちらの子に聞けば何か分かるのではなくて?」
「という訳だから、あんたはあいつの妹よね。あれが、どういう事か、く・わ・し・く説明してくれない?その他諸々含めてね」
ですよねー。
こうなる事は薄々分かってたけど、お母さんに口止めされてるから、このまま喋らずにいれば…
「黙ったままだと、強制になるけど…?」
ひぇっ…全然大丈夫じゃなかったよ〜…
「ミス、トオサカ!あれを!」
「ん?何よ?そんなに慌てて……!?」
若いお母さんが振り返った、その先には強化された夫婦剣を携え、フードを被った女性に只ならぬスピードで突っ込んでいるお兄ちゃんの姿があった。
「…あれは…決まったわね」
「ええ、あの状況ではキャスターといえど避ける事はまず無理でしょう」
若いお母さん達は冷静に分析していたけど、私は動揺を隠しきれないでいた。
なぜなら、アレはお兄ちゃんが自ら、未完成なものだからとてもじゃないが使わないと断言していたから。
でも、敢えてお兄ちゃんはアレを使う事を選んだ。
アレを使わないと倒せないって思ったのもあるかもだけど、お兄ちゃんの性格からして、絶対に決まると確信を持って実行したのだろう。
ーーー鶴翼三連
私も含め、誰もが決まると思ったその攻撃はあっさりと稀代の魔術師によって裏切られた。
「え…」
お兄ちゃんの剣が体に触れるその瞬間、消えたのだ。
驚くのも束の間、すぐにあの女の魔術師は別の場所に姿を現した。
まずい…!!
攻撃が終わり、重力が仕事をして落下をし始めているお兄ちゃん。
そんな無抵抗なお兄ちゃんを消し去ろうとする女の魔術師。
気づけば駆け出していた。
その魔術師から放たれた魔力弾は、身の危険を感じたのかお兄ちゃんが体を反転し剣を交錯したことで致命傷は防いだ。
けど、お兄ちゃんがいるのは空中。無理に強化したのであろう剣は破損したことで虚空に消え、衝撃までは殺しきれなかったお兄ちゃんは、地面に向けて吹っ飛ばされた。
剣も壊され、体もボロボロ、そんな状態でお兄ちゃんが地面に衝突したら…!
「お兄ちゃんーーー!!」
お兄ちゃんが地面に衝突するかどうかのギリギリのタイミングでスライディングキャッチをする。
ズシリとお兄ちゃんの体重が腕に重くのしかかるが、歯を噛み締めて耐える。
「お兄ちゃん!大丈夫!?」
「ゴホッ、ゴホッ…まあ、なんとか…
ありがとう、彩虹。正直助かったよ」
「よかった…お兄ちゃんが大怪我したらどうしようと…」
「怪我はしているんだけどな。……!!
彩虹!追撃が来るぞ!避けろ!」
「了解!」
ズザザザッっと地面を滑り、お兄ちゃんの安否をゆっくりと聞けれる筈もなく、その勢いを使い強化した脚で跳躍する。
ズドン、ズドンと地面を抉りながら、私達を追撃する魔力弾。それをお兄ちゃんを抱えて避ける。
「如何やら、詰みのようだな…」
避けること数十秒。お兄ちゃんを地面に降ろすと、苦い顔をして呟いた。
追撃が止んだと思ったらまんまと誘い込まれたみたいで、既に、周りに竜巻が形成されていた。
「どうしよう…お兄ちゃん、なんか手はない?!」
「若いお母さん達と大分離れちゃったし、俺たちが竜巻の渦に囲まれているっていうことは、あっちも同じ様に囲まれているに違いない。
…っく…他に手は………ある…あるじゃないか…!」
もう、打つ手なしの絶体絶命のその時、ふと思い出したように、手があるとお兄ちゃんは叫び、同時に空からあるものが降りてきた。
「来た…!」
「えっ…」
バッサバッサという表現が正しいだろうか、ソレはゆっくりと降りてきた。
私がこの世界に来てから姿が見えなかった、お母さんの使い魔である。
でも、使い魔はお母さんのもので私達には使う事は…
「『緊急事態の時には私の使い魔を壊しなさい』ってお母さんが言ってただろ?」
「…ああ!すっかり忘れてた!」
そう言えば、そんなことを言ってたような気がする!
「ちっ…!あいつ、ホントに俺たちのことを消すつもりだ。
…時間が無いし、やるぞ!」
ホントに壊していいのか、お兄ちゃんは迷ってたみたいだけど、覚悟を決めて宝石で出来た使い魔を地面に叩きつけて壊した。
すると、壊れたその地点から魔方陣が広がり始めた。
「「…これは…転移…!?」」
まさか、転移だとは思わず、私達は驚きの声を上げる。
そして、あの女の魔術師が放った特大の魔力弾が当たる前に何とかこの世界から脱出した。
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闖入者を排除した今、この鏡面界で稀代の魔術師は小さく息を吐く。
再び静寂を取り戻したこの世界で、稀代の魔術師はまた来るであろう闖入者に向かい打つべく、かなり減少した魔方陣の制作を行う。
が、弓兵はそれを許しはしなかった。
「―――“偽・螺旋剣”《カラド・ボルク》」
弓兵はそう唱えて、剣を放つ。
その弓から放たれた剣の速度は神速。
稀代の魔術師はそれにいち早く感知し魔術障壁を展開する。一般の魔術をキズ一つ付かないほどの強度を持った壁を。
だが、剣はそれを容易く貫いた。
その後、剣は稀代の魔術師の肩を擦り、遥か彼方へ通りすぎて行った。
弓兵はその事に一瞬、不敵な笑みを浮かべる。まるで初めから結果が分かっていたように…
「一人目はライダーでメデューサ。二人目はキャスターでメディア。
…決まりだな。後で凛と色々、話し合わなければな」
「キャスター。さっきのは俺の子供たちが受けた仕返しだ。だがまぁ…お前を倒すのは子供たちだがな」
そう稀代の魔術師に言うと、弓兵はこの世界から去って行った。
感想、意見は随時募集中です。
使い魔が意外なところで大活躍!大切な宝石が…
まあ、子供達の命に比べれば軽いもんですね(笑)
士郎は鏡面界に待機してて、子供達を見守ってました。
ではでは( *`ω´)