オーバーロード 現地人に転生した弱体鈴木悟さん 作:モモンガ・アインズ
ラナー・ティエール・シャルドロウ・ライル・ヴァイセルフは世界に絶望していたと言っていい。
彼女は物心がついた頃から物事の理解が早く、文字などはすぐに覚えてしまい、難しい本でさえもスラスラと読めた。人の会話も理解できて、会話の裏にある内容も理解し、自分の立場などもすぐに理解した。
そして比較した結果、たった四歳の自分よりも愚かな人間が多いことも察する。それこそ上の王子達は自分と会話が成立しないほど、頭の出来に差があった。特に上の兄は年齢も重ねているはずなのにちっとも会話が成り立たない。少し会話をしただけで何か怒らせたのか、殴られそうになったほどだ。
長兄だけが問題なのかと思い、色々な大人や家庭教師、子供とも話してみたが誰一人として会話が成立しなかった。貴族というこの国の運営をしているような特権階級や、王族と呼ばれるようなようなこの国の最高権力者と呼ばれる父親と話して、その父親さえも平凡な人間でしかなかった。同じような頭脳を持つ人間が王宮にすらおらず、彼女は齢四歳にして絶望を深めた。
何故彼女が思いつくようなことを画期的だと称賛されるのか。彼女がまだマシだと思ったのは近い兄の次兄、ザナックと六大貴族のレエブン侯だけだ。二人はラナーの言葉を全て理解はできなかったものの、彼女の異常性は理解された。他の者も段々ラナーの異常性を理解し始めたようだが、気付くまで時間がかかりすぎだ。
ラナーは今では「普通」の四歳児のフリをすることにした。参考になるような子供は王宮に多くやってきたために、その子供と知能レベルを合わせることにしたのだ。
だが、あえて低く見積もるというのは存外苦痛であり、何故下に合わせなければならないのかと彼女はストレスを溜めることになった。そのストレスもあり、彼女は食を細めて本来であれば痩せ細ることなど王族なのだからあり得ないのだが、彼女は寒村に住む少女のように細くなっていた。これは毒味などをされて暖かいままのご飯を食べられないことも関係している。
この世界ではストレスというものをあまり理解されておらず、医者にかかっても彼女の少食はそういう特性だと判断された。知能レベルを周りに合わせた結果ストレスを溜めているだなんて、この世界の常識ではあり得ないために原因不明としか診断できないのだ。状態異常などでもないために魔法を使った診断も無に帰した。
そんな病弱扱いをされたラナーはいつまで生きられるかわからないために、誕生日パーティーは豪勢にしようという父親のランポッサ三世の気遣いだった。
老齢に差し掛かる前に授かった女の子が可愛かったのか、彼はラナーのことを溺愛していた。その態度があからさまだったこともあって今の王派閥での結束に皹が入り、貴族派閥に糾弾される理由となっていることを本人は気付かず、ラナーはメイド達の世間話で把握していた。
こうして国は腐り落ちていくのだと、腐敗の理由を察してラナーの瞳からどんどんと光沢は失われていくことになる。ランポッサ三世は民が暮らしやすい国を作ろうとしているようだが、その具体的な案もなければ、実行力もなく敵対派閥の貴族派閥に好き勝手に国庫を食い荒らされているのが現状だ。慈悲深いと言われているが、非情になれない王はむしろ害悪でしかない。
だから犯罪組織である『八本指』が王族に接触し、利益提供を受けて国の金が流れていく。民衆も物理的に食い物にされて、違法娼館が王都に堂々とある状況を招いている。農民は税に苦しみ、金が払えなければ奴隷にされて、そして死んでいく。豊かな土地で麻薬が栽培され、それが国のお金を貪り、国民を物理的に壊してしまう。
そんな犯罪組織への対処を、国家として何もしていないどころか、むしろ蔓延らせているような始末。これで対外的には慈悲深いと評価されているというのは、むしろ馬鹿にされている蔑称だと何故気付けないのか。
あんな馬鹿な男の種で産まれたのだと知り、ラナーは吐いたことがある。自分の美貌と瓜二つとされる側室の母はラナーを産んだ時に亡くなり、残っている血族は次兄を除いて無能ばかり。これでもし国家がなくなれば王族として断頭台に行くような責任のある立場だ。
周辺国との国交もよろしくなく、それこそ帝国とは元々が同じ国だったという事情があるためにいつ戦争になってもおかしくはない状況だ。亡国の王女など、その最期は得てしてよろしくないもの。頭が良いからこそ、ラナーは今の状況全てに絶望を深める。
そして、そこまで頭が回らないからこそ無駄な極みである誕生日パーティーなんてことを嬉々として企画し、実行できてしまう。今も主賓として身分が違うのだと示す高い壇上に用意された椅子の上で様々な客の変わり映えのしない美辞麗句を聞いているが、全てが愚民にしか見えず、何も心を動かされなかった。
返事も体裁を整えただけの、なんてことのない生返事ばかり。王族への挨拶以外は貴族達の交流の場となっているが、その話し合いの声がノイズに聞こえて頭も痛くなっていた。どうせ馬鹿な会話をしているのだろうと思うと、体調が悪いとでも言って帰ろうかという考えも浮かぶほどだ。
第一王子のバルブロは自分が主役ではないとわかっているからか、最初の挨拶が終わったらさっさと帰ってしまった。ここで第一王子だとアピールできないからランポッサが国王として不適合だと判断しているのに気付けない。だが彼が王位継承位一位だということもあって彼に擦り寄る馬鹿貴族も多い。馬鹿は馬鹿を集めるということだ。
ランポッサがそうなのだから、息子もそうなっておかしくはない。負のスパイラルをまざまざと見せられて、食事をしていないのに胃がおかしくなってきたところだ。
もう少ししたらランポッサに言って退室しようと考えていたところで、レエブン侯の挨拶が始まった。
「陛下。ザナック殿下、そしてラナー殿下。ご無沙汰しております、レエブン、参上しました。ラナー殿下、四歳のご誕生日、おめでとうございます。ますますお美しくなりましたな」
「ありがとう、レエブン侯!嬉しいわ!」
「久しいな、レエブン侯。特に変わりはないか?」
「はい。今年は天候に恵まれて野菜がいつもより大きく育ちました。ぜひご賞味ください」
「ほう、それは楽しみだ」
それからいくつか、ランポッサとレエブンの当たり障りのない会話がいくつか交わされる。今日はラナーの誕生日会ではあるが、貴族の王への報告会でもある。貴族達の自慢話が長すぎて、ザナックもラナーも飽きてきた頃だ。
そんなものは別日にやって欲しいのだが、今日集まっている貴族は本当に遠方や何か事情がなければ王国中から貴族が集まっている。そんな全貴族が集まっての会議なんて一年に一回あるかどうかだ。そんな機会はほぼないために、弱小貴族こそ王家にアピールをして、その結果主賓のはずのラナーが取り残される。
簡素な褒め言葉と、誕生日プレゼントの上納品がいくつかある程度。それで財力をアピールして王家に忠誠を誓っていますなんて嘯くわけで。嘘のやり取りばかりでラナーは吐き気を催していた。
それで行くと、六大貴族は今更アピールすることは少ないからか拘束時間も短いので助かっている。レエブンも伝えたいことが終わったのか、ラナーのプレゼントに話が移る。
そのプレゼントを運んできたのは十歳に満たない子供だった。彼は跪くレエブンの少し後ろへ同じように跪き、献上品を掲げていた。
「レエブン候。そちの子供か?」
「いえ、陛下。私はまだ結婚しておりません。この子は我が家に仕える丁稚です」
「そうか、それは失礼した。して、その品は?」
「日記帳と、ペンのマジックアイテムでございます。ラナー殿下は読書がお好きなご様子。勉学にも日記帳にも使えます。ペンはインクが途切れない優れものです。こちらは私も使っていますが、とても良い品です」
「安全性も保証済みとは。ラナー、どうだ?」
「とても嬉しいです!ありがとうございます、レエブン侯!」
「殿下に喜んでいただき、感激の極み」
少年の手からメイドが献上品を受け取り、それらを献上品の山に持っていく。誰から貰ったものかはラベリングされるが、基本は適当に纏められる。マジックアイテムの価値を王国はそこまで重視しておらず、そして四歳児なんてプレゼントを全部覚えているなんて思わない。
だから仕事をする人間も乱雑に扱ったりする。そういう小さなところから国の崩壊が始まっているというのに。
ラナーはここから退室したいこともあり、そして見たことのない子供がいたためにラナーは年齢相応の子供のようにわがままを言う。彼は今まで見てきた貴族の子供とは違うと感じたからだ。
ラナーが関わってきた子供は貴族の子供であり、家に洗脳されたのか横柄な態度を取ったり、貴族の特権を振り翳すようなバカな子供ばかり。
だが彼は、丁稚という側仕えのような立場もあって弁えているように見えたので話してみたくなった。
それに彼は、本来関係ないはずの、六大貴族のペスペア侯夫妻が挨拶に来ていた時に夫妻へ殺意の籠っている視線を向けていた。同じ貴族へそんな目線を一瞬とはいえ向けている、尋常じゃない子供はもしかしたら自分と同類かもしれないと思って、その真意を計りたかったから椅子から立ち上がって指を差す。
周りから見たらただのわがままな子か、見栄を張りたがっている子供だ。
「そこの子!わたしの家来になりなさい!」
「……私、ですか?」
「そう、あなたよ。良いですか?お父様」
「うぅむ……。まあ良かろう。ずっと座っているのも飽きるだろう。そなた、ラナーをエスコートしてみせよ」
「ご勅命、承りました」
年齢の割にはしっかりとした受け答えをしたレエブン侯の丁稚にランポッサは高評価を下し、ラナーのエスコートを許可する。もちろん子供だけにするわけはなく、メイドも後ろに付けさせる。
指名されたモモンは立ち上がり、ラナーの後ろに着こうとしたが、ラナーはモモンに案内するように言う。お腹が空いているわけでもないので食事を求めることもせず、ただ会場内を歩きたいと示す。
ラナーは王宮から出たことがない。メイドや貴族の話を聞いて外の状況をなんとなしに理解しているが、それが全てでもないだろうと思っている。だからモモンに対し、色々と質問をしてみた。
まずはレエブン領の様子だ。
「最近は気候が良かったためか、農作物がとても良く育っています。特産物の葉野菜は祭りなどにも用いられて、最近ではその葉野菜で少量の肉を包むものが民の間で流行っております。私もいただきましたが、葉野菜がとても甘く、民の間では週に一回は食べられているとか」
「冒険者の皆様が優秀だからか、最近は魔物による被害が減っております。そのおかげで税収も好調。ここ最近では被害に遭った民も少なく、そのおかげで畑の被害が少ないと調査で分かりました。我々レエブン領では今や冒険者様に足を向けて寝られません。それくらい民や子供の間で人気の職業になっており、冒険者を志す子供が多くなっているようです」
「あとは羊皮紙の生産も好調です。殿下へ贈らせていただいた日記帳は王都でも人気の商品のようです。とはいえ識字率の問題もあって買われるのは貴族ばかりと聞いております。ですがマジックアイテムのペンはとても貴重なもので、我が領の魔術師組合が出した成果の一つです。私も工房を見ましたが、とても丁寧な理論と技術によってマジックアイテム作りに心身を費やしており……!あ、申し訳ありません。熱くなってしまいました」
ここだとラナーは思った。領のことはおそらくレエブンに聞いたことをそのまま話しているだけ。葉野菜の料理については本当に美味しそうに語ったが、熱はそこにはなかった。
次の冒険者については、どこか引け目のあるような回答であり、謙遜も多いように感じた。そこまで恩義を感じていないというところか。
そして最後の魔法関連。これは本人が語りに落ちた通り、彼が一番熱意を向けている対象。これが彼の核だろうとラナーは切り込む。
「いいえ、わたしはもっと聞いてみたいわ。モモン、魔法についてもっと教えて?」
「それでは……。ラナー殿下はどこまで魔法について知っていらっしゃいますか?」
「本で読んだ内容だけ。魔力を使って結果を世界に示す?とかなんとか。数字が割り振られていて、数字が大きい魔法が凄いってことは知ってるわ」
「概ね間違っておりません。それでは僭越ながら魔法について伝授させていただきます」
そうしてモモンから語られた内容は、ラナーが言うものではないが九歳の子供が語るにしては詳細すぎた。ラナーが読んだ本にも、教育係から教わった内容よりもよほど深く、広い。ラナーも興味があって魔法関連の本をかなり読んだはずだが、モモンから語られる内容はラナーが知らないことばかり。
実は魔法を無言で撃つことができたりとか。効果範囲を広げたり、効果適応時間を延ばせたりとか。距離を伸ばせたりとか様々な派生方法があるという話だ。
王国で魔法は下火。一応魔法師組合もあるものの、隣国の帝国や法国と比べたら研究はかなり遅れている。帝国には魔法を勉強するための学園があったり、法国は勉強するための神殿施設が充実しているという。だが王国では魔法は手品の一種と思われている。そのためか、死者の復活さえもトリックだと思われている、嘆かわしい状況だ。
王国でも把握している魔法の種類は少ない。情報源は法国由来なことが多く、神殿施設も法国の援助があって成り立っている。逆に言えば、法国に見限られたら神殿施設、つまりは治療関連のことは全てが止まると言える。
帝国には第六位階魔法が使えるフールーダがおり、法国は援助ができるほどの戦力があるというのに、王国はだらけて腐敗していくばかり。だからこそラナーは絶望してストレスを溜めているのだが、同じく子供なのに魔法の脅威と拡張性と将来性に注目している目の前の少年は使えると判断した。
さっきは冗談で家来などと言ったが、本当に家来として使いたいと思うほど。それだけの知見がモモンにはあった。
「すみません、一方的に話してしまって。もし興味を持たれなかったのなら他のことで話しますが……」
「ううん、面白かったわ。モモンはマジックアイテムについても詳しいの?作り方とか教えて?」
「はい!マジックアイテムの作り方はですね──」
そうしてマジックアイテムの作成方法、そしてどんなものがあるのかを話すモモン。その内容は多岐に渡り、それこそ王家でも把握していないような便利そうなアイテムや強大な力を持ったアイテムのこと、またはいわゆる装備と言ってもいい特殊な効果を持った武器のことなど。
それこそかなり饒舌に語り、その情報源を持っているのならレエブン侯を陣営に抱き抱えるべきだと強く理解した。モモンの語り口で把握したのは、モモンはただの丁稚ではなく、おそらく魔法の力を持った強者ということ。そうでもなければここまでの魔法の理解力は高くないと踏んだ。まるで自分が使える魔法のことを話したり、まるで持っているかのようにマジックアイテムについて話すのだ。
王家の五宝物と呼ばれる至宝よりも強い効果を持っていそうな装備については伝承のことでも話しているのか、それとも過去いたとされる神の持ち物のことでも話しているのか。なんにせよ、ラナーはモモンのことを気に入った。もっと情報を引き出せないかとせがんでみれば、時間も時間なのか、それとも身分の問題なのか、渋い顔をしつつとある物を懐から取り出した。
それは本当に質素な、銅でできたペンダントのような物だった。
「これは私に直接話すことができるマジックアイテムです。私がレエブン領に戻っても、どれだけ遠くても話すことができる物です。これを直接渡すことはできないので……。お付きの方、こちらをラナー殿下にお渡ししても良いか確認いただけますか?危険がないことはエリアス・ブラント・デイル・レエブン様の名において保証致します」
いきなり王族に物を渡して、それが呪いの物だったとなれば目も当てられない。そういう時のためのメイドだ。
しかもモモンはレエブン侯の名前まで出して保証したので、これで何かあったらレエブン侯の首が物理的に飛ぶ。そこまでしたのだからラナーもメイドも危険な物ではないだろうと判断して受け取った。
直接届けられるまでにかなりの時間を擁したが、魔法師組合が調べても魔力が込められているだけで何のマジックアイテムかわからないという結果しか出ず、神殿で調べても呪いがないことしかわからない代物だった。危険はないと判断されて、ラナーへ渡されたそのペンダントを握ってモモンに話しかけると、繋がるまで少し時間がかかったものの、きちんと通話ができた。
ただしその会話の内容はラナーにしか聞こえず、周りにいた者には一切聞こえていなかった。これは便利な物を渡してくれたとラナーはほくそ笑む。
モモンを利用しようと考え、彼の知る知識を吸収しようとする。そのことを考えているとストレスを感じることがなくなっており、ご飯も普通に喉を通るようになって段々と体調も良くなっていった。
娘が健康になったのなら変なマジックアイテムを持つくらい良いとランポッサが判断し、誰も彼女がペンダントを持つことに反対はできなくなっていた。話している内容も直近のレエブン領での出来事や、魔法のちょっとした知識程度だ。
レエブン侯に貰ったペンと日記帳を使って会話の内容をラナーが書き写しているために会話についても問題ないと判断が下り、そしてモモンとしか話せない程度のマジックアイテムは下位の魔法でも再現できるものなのでそこまで重要視されなかった。会話した内容の日記帳だけ毎回確認されることが挟まったが、その内容も問題ないと最初の数回以外は確認されることもなくなった。
そのメモの内容に、ラナー自身が暗号を仕込んだため、本人には全く別の内容に見えていると誰も気付かない。
こうしてラナーは人生の楽しみである、知識を求めることができるようになっていた。
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ラナーの誕生日パーティーの帰りの馬車の中で。レエブン侯とモモンだけが秘密裏の会話をしていた。
「例の偽装マジックアイテムと、透明なアンデッドを殿下の側に置くことに成功したんだな?これで殿下直通の連絡先を我々は手に入れたと。周りには気付かれていないな?」
「はい。上位死霊達は攻撃をしない限り気配も姿も察知されません。それこそ話に聞く竜王などでは感知されるかもしれませんが……。死の騎士一体で制圧できる程度の王宮の守りでは誰も見付けることはできません」
「よしよし。どうやってこちらから切り出そうかと思ったが、まさか向こうから持ちかけてくるとはな。モモン、余計な情報は話していないだろうな?」
「話していないはずです。魔法師組合で知ることができる内容しか話していません」
「本当だろうな?まあいい。ザナック殿下とラナー殿下は長男よりはマシだ。まだ大人に染まっていないだけかもしれないが、手札として握っておくに越したことはない。モモン、ラナー殿下との会話は最優先事項だ。緊急の時を除き、最大限の敬意を持って歓待するんだ。私の本意以外は何を話しても構わない。あの殿下はあの歳にしてはかなり聡明だからな」
「わかりました。いえ、本当に賢くて驚きました……。一応確認したのですが、あの子には魔法の才能はありません。ですが理解は本当に早くて。ああいう子を天才と呼ぶのでしょうね」
「ふん。天才で済めば良いが。どうやったらランポッサの胤からあんな才女が産まれるのか見当もつかん。君という例があるから一概にも言えないが、どちらかと言うと母方の血が強そうだな」
「バルブロという王子が産まれたのにその後も側妃と子を為すどころか、私の母へ手を出す上に、第一王子へのまともな教育も施せない愚王です。母方が優秀という説の方が説得力があります」
「もうしばらくの我慢だな。『八本指』を確実に倒せる準備ができたら、その時がランポッサの最期だ。無能な王など王国には必要ない」