兄さんと呼ばないで   作:3000年寝てた

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12話

目を開けるといつもと感覚が違うのに気づく。右手を握っては開いて、握っては開いてを繰り返し違和感の正体を確かめていると

 

「おはよう」

 

フェイトかと声のする方を見る。しかし昨日見たフェイトより小さい。付けてるリボンがフェイトのものと違うのに気づく。水色...

 

「...アリシアか?」

 

「あ、分かる?」

 

フェイトが見せない無邪気な笑顔を俺に見せる

こちらに走り寄って布団に潜り込んできた

 

「ここはどこだ?」

 

「夢の中...レイの心が1番安心する場所って言ったら分かるかな?」

 

夢の中だから負傷したはずの右手が治って...いや、元々怪我なんてしてないんだろう。この世界では

死人と話してる時点でおかしい話だし。この体だからコソ起きている出来事と言えよう

 

「アリシアの魂は今どこに?」

 

1番気になることを聞く

 

「むぅ...」

 

「なんだよ?」

 

頬を膨らませているアリシアにどうすればいいか困る。

 

「お姉ちゃんって呼んでよ」

 

「別に呼び方なんてどうでも「お姉ちゃん!」...お姉ちゃん...」

 

「はーい、いい子いい子」

 

頭を撫でられ、アリシアは俺をあやしてくる。イラッときてしまうが堪える。4年間、兄妹生活に耐えてきたんだ。これくらい耐えられる

 

「...もう一度聞くぞお姉ちゃん。お姉ちゃんの魂は?」

 

嫌々お姉ちゃんと呼びながら尋ねる。するとアリシアは真面目な顔をして答えてくれた

 

「2人の中...かな。もう私の体には入ってないよ」

 

「...つまり魂が二分して俺とフェイトの中にあるのか...ってそれじゃアルハザードに行けたとしてもッ」

 

「うん。私は生き返らないね。ママが2人を創った時には既に...」

 

ママ...ママね。やっぱり違うのか、俺の記憶にアリシアがある通り、恐らくフェイトの記憶にもアリシアがあるんだろう。それが浅いか深いかの違いで

 

「レイにお願いがあるの」

 

「なんだ?」

 

「ママを止めて欲しいの」

 

黙って聞く。確かにこのままじゃ俺たちは管理局に捕まるのが目に見えている。それじゃなくても既に犯罪を犯しているプレシアだ

俺とフェイトがいる事で逃れようのない罪にもなっている

 

「俺が言って止まるような人じゃないぞ?」

 

「そうじゃないの...」

 

だったらと聞こうとしたその時、アリシアの身体が透けてきてるのに気づく

 

「そろそろ時間だね...お姉ちゃんはいつまでもレイとフェイトの傍にいるから!」

 

ベッドから降りて、こちらに手を振って消えるアリシア

それを見て俺は考える。俺がすべき事を...何をすべきか

 

「肝心な事は何も言わなかったな」

 

姉ながらテキトーである。そういえばフェイトはアリシアと容姿と声以外違うな。身長...は長く生きてるフェイトが高いのは仕方ないか

利き手の違い。プレシアの呼び方。性格

 

「それを考えたら性別の時点で俺は失敗作だな」

 

俺は失敗作で、フェイトはニセモノで...

 

「ハッ、とことんデコボコ兄妹になったな」

 

自嘲気味に呟く。誰に聞こえる訳もなく、誰もいない自分だけになった空間でだ

 

「そうだな...まずは管理局から逃れる方法を考えるべきか...あとクソ親を一発ぶん殴って...礼を言う。そこからだな」

 

とりあえず現実に戻ったら現状把握しないとな...で

 

「いつになったら目が覚めるんだ?」

 

誰からも返事が来ず、ただただ時間だけが流れるのであった

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