神さまの下請け ーー 神を辞めた元・神さまは人間になりたいらしいけど俺を振り回さないでほしい。 ーー   作:城異 羽大

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第七話 契約成立、そしてこれから

俺は気がつけば目を閉じていた。

 

視界が太陽みたいに白く見える光で埋め尽くされたあの瞬間

 

 

俺とナギの“繋ぎ目”が“結び目”に変わった。

 

 

そして俺に起きた変化は明確になった。

 

全身の毛が立つような、いやなんか、今までになかった、あった?、感覚が拡張された、そんな状態に変わっていた。

 

 

- これが契約の成立?

- 霊能力の強化?

 

答えを求めて、目を開く。

 

正面にはナギがいて、

 

なぜか顔が険しい。

握っている手にも力が入ってるように思える。

 

 

でも、

それより、

 

 

妙に輝いてるように見えて

 

 

その光が荒ぶってるような感じもして

 

 

でもそんなことよりも

 

 

ナギが

 

 

 

神々しく思えてしまって、、、

 

 

 

ああ

 

そうか

 

コイツは、、、

 

 

 

ピリッ!!

 

 

「いぃっっった!」

 

なんだこれ!?あれか!?制限!?なんかわかりそうだった!なんだったか?えーっと、、、あれだ!こいつの正体!ナギから感じる雰囲気からもしかして、、、そうだ!

 

ピリッ!!

 

「いっっってぇな!くそ!」

 

まただ。やめよう。たぶんわかりやすくなってやがる。あれだ。霊能力だったか?それのせいだ。見当がつきそうでつかない。思考制限ってこういうことかよ。

 

「ちっ、、、あぁ!くそいてぇ!」

 

まだ余韻がある。すると榊さんが駆け寄って心配してくれた。

 

「千葉くん!!大丈夫かい!?、、、ナギ!!本当に痛みは調整したんだよな!?」

 

榊さんがナギを問い詰める。俺はナギを睨みつけた。だが、当の本人は、呆けているように見えた。

 

「ん、、、あれ?なんかあった?」

「制限だったか罰則だったかわかんねぇけど、それ受けたんだよ!!」

「え、さっそく破ったの?千葉が悪いんじゃん。ちゃんと私を人間だと思ってって契約しませんでした?」

「は!?お前が光ってたせいだろ!!」

「どういうこと?」

 

*

*

*

 

♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎

 

▲

 

▲

 

▲

 

 

私のジェスチャーに千葉が大きく頷いた。

改めてになるけど、同意はしっかり取れたな。これで契約に問題はないだろう。

 

あとは私の神格と千葉の霊格を、霊力で結べば契約は成立だ。でもその前に覚悟しておこう。

 

契約直後は、罰則が来るはずだ。

 

アキも言ってたけれど、これは千葉の自由を侵害する契約。私が制定した禁則を破る行為だ。そして私は、自ら他の神よりも強く罰則を受けるようにした。だからケジメで禊だ。

 

- よし!

 

- 、、、あれ?

 

受ける罰則を想定してたら、あることに気づいた。

 

- 僕の交渉って結構ギリギリだったか?

- アキがいなかったらたぶん、うん、、、

- 罰則もっと重かったかもしれにゃい

- 今の条件でもかなりあるし、、、でも!

- ずっと前から、、、

- それでも契約するって決めてたから!

 

「ふぅ、、、」

 

さっきよりも重いはず。でも耐えろ。これは私の事情だから。千葉には知られたくない。

 

- 腹を括れ!覚悟を決めろ!

 

自分を鼓舞するためにも、大きな声を出して千葉に問いかけ、手を差し出した。

 

千葉も負けないくらい大きな声で返してくれた。そして、ガッシリと私の手を握った。

 

- なんか、勇気もらえるな、、、

 

- よし!

 

千葉の意思が伝わってくる。これは世界への提示にもなるな。おかげで罰則は少し軽くなるかもしれない、、、こいつなんとなくでそれをしやがった!あぁ!もう!

 

- お前は本当に最高だ!

 

世界もそれに応えた。契約が認められた。

あとは条件を適用して成立させればいい!

 

手を通じて、私の神格から神威を伸ばし、

千葉の霊格に接続した。

 

恩恵と対価と罰則を己と千葉に課し、

ついに霊力で契りを結んだ。

 

 

そして、罰則

 

 

神格に、根源に響く。

でも表に出すな。千葉に悟らせるな。耐えろ。耐えろ。耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ、、、

 

*

 

*

 

*

 

- 終わった

- 妙に長く感じた、、、

 

罰則のあとはやっぱり頭が回らない。

とりあえず私と千葉の霊力の結びつきを確認する。契約がしっかり結べているのを確認して安心した。でも千葉が痛がってる?アキが怒ってる?どういうこと?

 

*

*

*

 

千葉が、私を神だと気づきかけたらしい。二回も。それが私のせい?

 

「ナギ、お前が霊能力をあげたのが原因だ」

(ついでに言えば罰則を受けて、お前の神威が漏れ出ていたぞ)

「あ、、、」

「彼に霊能力を与えたせいで、彼が気づきやすくなってしまったんだ」

「あぁー、、、」

「だからお前のせいだ」

「ごめん千葉」

 

(ゆるさねぇ)

 

睨まれた、、、

- だからごめんって

 

「痛みの調整はちゃんとしたのか?」

「え?一応?そんな痛い?」

「どこが静電気だよ!しかも頭に直接痛みが来たぞ!!」

 

(小学生の時に流行ったビリビリするペンの数倍はあったわ。しかも全身にくるんじゃなくて、頭部に来るのが余計にタチ悪い)

 

- 千葉、そんなに怒ってたらハゲるよ、、、

- でもそこまで痛くはしてないはず、、、

- ん〜?

 

「えーっと、、、ミスった?」

「まさか、、、お前基準じゃないよな?」

 

アキが冷たい声で確認してきた。

- これめっちゃ怒ってるや、、、

 

- 合ってるかも

- でも頷いたらやばい、、、

 

「あはははー、、、」

 

ガッキィンッ。

 

♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎

 

榊さんの拳が光を伴ってナギの頭に撃ち落とされた。

 

「いっっっっった!!!!!今アキ霊力込めたんな!?!??」

「お前が悪い!!ちゃんと加減しろと言っただろう!!」

 

榊さんがすごい剣幕でナギに説教しだした。

めちゃくちゃ恐い。怒りの矛先が俺じゃないのに、顔見れねぇくらいに恐い。でも俺のことを思ってだよな。他にもありそうだけど。

 

まぁ、俺の鬱憤は晴らされてく、、、いや、まだ足りねぇわ。

 

こいつ、正体に気付かないで欲しいって言っておきながら、気付けるようになる力を与えるってバカじゃないのか?しかも痛みの度合いミスった?ざけんじゃねぇ。

 

「榊さんもう一発お願いします」

「わかった」

 

ガッギィィンッ。

 

「いぃっっっったぁあああ!!!」

 

ナギは叫んだあとにしゃがみ込み悶えた。

 

「これでいいかい?」

「満足です」

「それは良かった」

「ねぇひどくない?二人とも」

「「お前に言われたくない」」

 

また榊さんと被った。そして、二人で笑った。

ナギは涙目になっている。

 

- ざまぁみろ

 

ようやく俺の心が晴れた。

 

♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎

 

千葉は私を鼻で笑って、カウンターに置いてある自分の絵を見返しにいった。

 

- 罰則を受けた後なのにあんまりだよ

- それに『ざまぁみろ』ってひどくない?

- 私そんなに悪い???

 

いじけていると、アキが冷たい目をして

 

(自業自得だ。それに自分を大事にしないお前が悪い)

 

なんて思考を飛ばしてきた、、、

でも行動は優しい。私と千葉にカフェオレを用意してくれている。

 

千葉は、自分の描いた絵を観ながら、ああでもないこうでもないって思考と口の両方で呻いている。でも手元はずっとメモ書きをしてて忙しない。

 

- やっぱり面白いなぁ

 

普通の人間だったら、まず自分の状態確かめようとか、いろいろ見てみようとかせん?っていうかそれを吾輩に確かめぬ?おかしい。オカシイよアイツ、、、でもいい意味で、やな!

 

「ははは!」

 

- ほんっっと!

- 契約結んでくれてよかった!

- ずっと待ってた!!

 

- 嬉しいなぁ

 

- わたし

- あの未来の自分に一歩

- それくらいは近づけたかな

 

他の神が“お告げ”をする要領でアキに自分の思考を飛ばす。

 

~アキー!私って人間に近づいたかな?

(お前は今でも人外だよ。まぁ昔よりかはマシだがな)

~えぇ、、、

(これからじゃないか?)

~っていうと?

(お前は深く関わってる人間って特にいなかっただろ?俺以外にもそういう存在が出来たんだ。だから、“これから”だ)

~そっか

 

楽しみだな。これから。

一緒に仕事するのもいいし、あ!喫茶店でも働くよね?それも面白そうだなぁ。あと絵だよね。千葉の家に行っていろいろ見せてもらおう!どんな絵があるかなぁ。

 

- なんだろうねぇ?

 

- ずっと待ってた瞬間がきた

- そしたら満足するもんだと思ってた

- でも全然違った!!

- もう次が出てきた!!

- それもいっぱい!!

- どんどん新しい楽しみが出てきて

- ワクワクして堪らない!!

- もう明日が楽しみ!!

 

いや、別に今までがそうじゃなかったわけじゃないけどさ。でも、いつも何処かで、アイツを探してた。

 

千葉を求めた。ずっと探してた。だからこそ失望した。でも予想以上に面白いやつだった。いい意味で期待を裏切られた。アイツとなら私は変われるかもしれない。そう思えた。

 

ただ、もう変わった?なんてアキに聞くのは早かったかな。言ってたことも一理あるし、、、

 

確かに人間とあんまり深く関わってなかった。それを求めてたはずなのに。何回も失敗して、勝手に絶望してたから、、、それも変えられるのかな。アキの言う通り、これから、、、

 

もしかして千葉が架け橋になったりして?

 

- だったらいいなぁ

- 考えれば考えるほど未来が明るい

- うん、、、

 

 

 

- 私が求めてたのって

- こんな生活だったのかな

 

- わからないけど

- 今はそれでいいか

 

もう充分すぎる。

 

- むしろいいのかな?

- こんなに幸せで、、、

- さすがにこれ以上を求めたら

- いけないよね

- でも、これ以上なんてあるのかな

- もしかしたら落ちるのかな

- それは嫌だな、、、

- やめよ!!

 

とりあえず今は感謝したい!

アキもイナリも、少し不服だけど鬼海も、他にもみんな!ありがとう!特にイナリ!次会ったら抱きしめたい!尻尾ごと!ほんと、、、

 

- 言う通りにしてよかったよ

- 信じて、足掻いて、もがいて

- 今がある

 

それに、あの時イナリに救われなかったら、、、

いやあの時の私のままだったら、、、

 

- あれ?でも?待って!?

 

- 狐道で未来の断片を見て

- イナリを頼って

- アキとここを開いて

- 街で偶然、千葉を発見して

- 鬼海と交渉をして紹介してもらって

 

- 待って!??!?

 

さっきアキに『自業自得』って言われたけど、本当にそれだけ?もしかしたら、、、もしかするかも!!

確かめるため千葉の霊格を、霊力を確かめる。

予想通りなら会った時と違うはず、、、

 

- やっぱり

- 間違いない

- 会ったときの違和感が薄れている

- 狐道で見た千葉に近くなってる

- これは

 

 

- 私が霊能力を上げたせいだ

 

 

たぶんこれから千葉の霊能力は強くなってくんだと思う。それであの未来の千葉と同じになってくんじゃないかな。

 

千葉にはもともと資質があったわけだし、特別な力をあげるって言いはしたけど、私がやったのは“制約”を取っ払ったのに近い。さらに私の神威を授けた。だから

 

 

- 全然ありえる

 

 

- 因果応報って言うんだっけ?

- 違う?運命?なんだ?

- えーっと、、、あ

 

ふとイナリに昔、酒の席で言われたことを思い出した。

 

 

『全ては繋がっておる。それを運命とも因果とも呼ぶでありんす。つまりは縁。よいか?ナギ、其方は其方の赴くままに生きればよい』

 

 

懐かしくて暖かい想いが胸に溢れてきた。

 

そして、なんとなく言ってる意味がわかった。

本当になんとなくだけど、たぶんこれが

 

- 運命、かぁ、、、

 

「ははは!」

 

- 全然不確かじゃないじゃん!

 

 

- なんなんだろうね!?

 

- まぁ、今はいいかな!

 

どうせ、なにかしらの因果に縛られてるとか、縁があるとか運命だとか、そんなんだろう。

でも、今は、

 

どうでもいい。どうだっていい!

むしろどうにでもなれ!

どうなったってどうにかしてやる!!

そうだよ。イナリの言った通りこれからも

 

- 赴くままに

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