音楽神の加護を持つ夫、美少女アイドル妻と共に芸能界を無双する 〜初心な妻を赤面させながらチートスキルで芸能界の頂点に立つ〜 作:のこのこ大王
次の歌番組に事務所全体で準備をしていたある日。
俺が事務所に行くと、見覚えのある顔が居た。
橘 心愛である。
うちの嫁と橋本マネージャーが談笑していた。
そう言えば番組で共演してから仲が良いという話を聞いたことがある。
女性達の会話にいちいち男である自分が入る必要などない。
そう思ってスルーした。
これが、実はとある重大な相談事であったと後に知ることになるのだが……。
俺はビル内にあるスタジオの1つを占拠する。
しっかりと鍵を閉め、中には俺1人であることを確認する。
「よし、じゃあやるか」
俺はチートスキルである『音楽神の加護』を発動させた。
周囲に無数の楽譜が、歌詞が、風景が浮かび上がり、更に様々な楽器の亡霊のようなものが周囲を取り囲んで音楽を奏でる。
まずはここで誰に対しての曲なのかを選択する。
―――水野 美結の姿を思い浮かべる
そして思い描いた彼女を中心に様々な曲を流す。
反応が強いものを残して、薄いモノは消えていく。
思い描いた彼女に、残った曲を聴かせると、彼女は様々なフレーズを口ずさむ。
出てきたフレーズを元にして、風景が浮かび上がり、そして歌詞として形成されていく。
曲、歌詞、風景を統合する段階で、僅かな違和感や彼女に合わない部分を修正する。
スキル内で浮かぶ彼女の輝きが消えないように、笑みが曇らぬように、想いを失わないように。
そうして完成して歌を、彼女が歌う。
その歌声を聞きながら俺も一緒になって歌う。
2人の声が重なって―――
「……ふう、こんなもんか」
俺は目の前に出来上がった楽譜を確認する。
『水野美結 × 桜の中で = 相性度87%』
本当なら100%なものを作りたいのだが、どうしても上手く行かない。
それでもかなり相性の良いものを生み出せるようにはなっている。
やはりもっと経験というか数をこなす必要があるということなのだろうか。
「まあ、それでも十分なんだけどね」
8割超えを安定して出せている時点で、既に名曲量産状態だ。
これ以上は、欲深いと言える。
「この調子でもう少し頑張りますか」
コンビニで買ってきた、少し冷めたコーヒーを飲みながら気合を入れる。
そうしてしばらく作詞作曲活動に専念した。
―――その日の夜。
テレビを見ながらポテチを食べながら足をブラブラさせている妻を見る。
相変わらず口いっぱいにしながら子供のように足を揺らしている姿は、可愛いというより庇護欲が刺激される。
そんな彼女の後ろに回って肩を揉むと、何か言いたげにこちらを見た彼女だったが、スグに視線はテレビに向き直った。
そして気持ちよさそうに笑顔でポテチを口に詰め込む作業に戻った。
彼女が一息ついた所で、マッサージを辞めて後ろから抱き着きながら楽譜を取り出す。
「これは?」
「これを含めてちょっと相談があるんだ」
そう言って彼女に俺の考えを伝える。
最初は不思議そうにしていた彼女だったが、俺が話し終えた頃には瞳をキラキラとさせていた。
「―――本当に?」
「本当だとも」
信じられないという顔の彼女に、俺は自信をもって答えながら彼女の額に軽くキスをする。
その後、一応橋本マネージャーにも確認を取り、無事OKというか大賛成を貰った。
これで最強歌バトルの準備は整った。
例え三大エンターテインメントが出てきても、十分に戦うことが出来るだろう。
「俺とチートスキルがある限り、絶対に彼女を守ってみせる」
―――こうして準備万端な状態で、最強歌バトルの収録日となった。
8万人という最大級ライブのような満員の会場に次々とアーティスト達が到着する。
今回は、関係者として彼女と共に控室に入る。
今回の司会も電撃歌祭りの関係からか、柳 花蓮が登場した。
すると収録が始まったとして大歓声が巻き起こる。
それに負けぬように声を出して花蓮は最強歌バトルの説明を開始する。
前に聞いた通り、挑戦者が自ら選んだ数字に対応した相手と3回勝負をする。
そして勝った回数によって特典を受け取る。
しかし対戦相手も非常に強力だという説明も忘れない。
よほど自信があるのだろう。
一通りの説明を終えると、彼女は番組の開始を宣言した。