音楽神の加護を持つ夫、美少女アイドル妻と共に芸能界を無双する 〜初心な妻を赤面させながらチートスキルで芸能界の頂点に立つ〜 作:のこのこ大王
長いCMを利用して何とか立て直した年末事務所対抗歌合戦。
頑張って涙で崩れたメイクを直して貰い、ステージに現れた柳 花蓮が未だ盛り上がっている会場に向かってマイクを使って声をかける。
「皆様、お待たせいたしました!」
その言葉で皆が番組が再開したのだと気付いて戻ってくる。
時間稼ぎも金て花蓮が現在の状況説明をしはじめた。
もちろん現在、全ての攻撃を防いでいる水野エンターテインメントが圧勝である。
そして次は、ついに俺達の番だった。
「それでは、次の攻撃側は水野エンターテインメントです!」
その言葉と共に『MIYU』が現れる。
落ち着いたブルー系のドレスを着ており、可愛さと美しさを両立したかのような、不思議な魅力に満ちていた。
そんな彼女が口にする。
『二階堂エンターテインメント』を。
その瞬間、番組を見ていて心が折れていた役員達が悲鳴を上げた。
もう夜も更けているどころか、日が変われば来年である。
そんな年末大晦日なのに株主達からも電話やメールでの問い合わせが鳴り響く。
既にもう苦しみ抜いている海浜の木原とは違い、栄光の鈴木はホッと息を撫でおろす。
そして誓った。
「これ以上は、余計なことをしないようにしよう」
それによく考えれば、いつまでも三大に拘る必要もないのだ。
落ち目な所と手を組むよりも水野エンターテインメントと組んだ方が莫大な利益になるのではないか?
そう考えると冷静な計算を開始しはじめた。
そんな中。
ステージでは、自信満々な美結が合図をする。
その姿をステージ横に残って見ていた俺は口元に笑顔を浮かべる。
既に周囲は歌の世界に引き込まれていた。
そしてその瞬間、俺にはハッキリと見えていたんだ。
『相性度―――120%』
という文字が。
そして―――その日、新たな伝説が生まれた。
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―――――
―――
あれから半年ほどが経過した。
水野エンターテインメントは、倍どころか3倍ほどの規模になり、あのビルは早くも引っ越しが頭を過る状態になっている。
特に驚いたのは、高藤 瑠璃だ。
あの時の衝撃的なデビューから、一気にファンが増えて大人気となり、出す曲全てがミリオンヒット。
既に今年の年末に単独コンサートが視野に入るレベルにまで急成長中だ。
他の移籍組も、全員絶好調。
歌にドラマにバラエティーと引っ張りだこになっており、多忙を極めていた。
そんな中で驚いたのは、一宮 姫乃だ。
ある日、突然事務所にやってきた彼女は柊 名雪を捕まえると、そのまま2人で俺の所にやってきた。
そして彼女は名雪を盾にするようにして突然の行動に出る。
「羨ましい、羨ましい、羨ましい、羨ましい、羨ましい、羨ましい、羨ましい、羨ましい、羨ましい、羨ましい、羨ましい―――」
まるで呪いのように『羨ましい』という言葉を連呼した。
要するにあの日に聞いた柊 名雪の『初恋』と、あの会場の一体感が忘れられないらしい。
散々『曲を作って』と言い続け、最終的には何と水野エンターテインメントに移籍してきた。
とんでもない行動力だ。
おかげでしばらくは業界どころか、ネットニュースでも騒然となった。
なのに本人は、柊 名雪のマネージャーのように四六時中引っ付いて、まるで恋人同士かのように仲良く一緒の仕事を受けている。
コンサートでも2人一緒で行ったりして、本当にネットでも恋人説が出ているぐらいだ。
そんな感じで、日々が過ぎていく。
まあ最近は周囲に『さっさと帰れ』と言われてしまい、自宅に居ることが多いのだが。
自宅に帰ると、リビングのソファーに座る、妻の姿があった。
俺に気づくと笑顔で『おかえり』と言ってくれる。
彼女の横に座って彼女の体調を気遣う。
よく見れば、すっかり彼女のお腹は大きくなっていた。
「女の子の双子だって」
そう言われた日を思い出す。
あまりの喜びように暴れ出す俺に対し、その場にいた橋本マネージャーが思いっきりグーで殴って止めてきた。
最初は、あまりにも過保護になって四六時中引っ付いている俺に美結が怒った。
「仕事に行ってきて」
あまりのことに絶望し、仕事など手につく訳がない。
その時も橋本マネージャーにグーで殴られた。
最近になってというか、数か月経過して、ようやく落ち着いたというか何というか。
彼女に許可を取って、彼女のお腹に耳を当てる。
「お、蹴ったぞ」
嬉しそうに言う俺を見て、彼女も笑う。
家は、幸せな空気に満ちていた。
かつて、圧倒的過ぎるチート能力に情熱を失いかけた男が居た。
彼は、偶然にも情熱的で、一途な少女に出会う。
2人は言う。
これは『運命だった』と。
そんな2人は、これからも互いに手を繋いで離さない。
例えどんな困難があろうとも、2人でなら必ず乗り越えられると信じているから。
2人は、ふと無言で互いを見つめ合う。
そしてゆっくりと顔が近づいて。
―――長いキスを交わした
― 完 ―
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