音楽神の加護を持つ夫、美少女アイドル妻と共に芸能界を無双する 〜初心な妻を赤面させながらチートスキルで芸能界の頂点に立つ〜 作:のこのこ大王
電撃歌祭りのための新曲作りで妻は、ずっと仕事以外では部屋にこもっていた。
流石に心配だったので、何度も差し入れをして様子を見ていたが、難航しているようで表情は険しい。
そうしてついに5日目を迎えた。
今日、曲が完成しないと少しマズイという日だ。
彼女は相変わらず自室に閉じこもっている。
今日は仕事が無いということもあり、追い込みをしたいようだが心配だ。
そして橋本マネージャーも心配になったのか、その日の午前中にやってきた。
しかし状況が解決しないようで、昼食の時間に呼んでも返事がない。
仕方なく俺は、部屋の中へと入っていく。
―――そこには
ソファーにちょこんと座って、まるで全ての運命を悟って呆然としている哀愁漂うプレーリードッグと化した妻の姿があった。
その横でひたすら苦笑している橋本マネージャーが、こちらに気づいて更に苦笑を深める。
「……とりあえず、飯にしないか?」
俺の一言で何とか昼食となった。
少し重苦しい雰囲気ではあったものの、何とか事情を聴きだした。
「つまり、まったく出来てないと?」
俺がそう言うと妻は、胸を押さえて苦しむポーズを取る。
図星だったようだ。
「何が問題だったんだ?」
「わ、私だって頑張ったんだよ!」
そうして壮大な言い訳タイムが炸裂した。
好きな曲やフレーズのあるものを何度も聞いたり、ヒントになりそうなミュージックビデオを見たり、ライブ映像を見たり。
それでも難航し、やがて謎のポエム集や大自然の映像など意味不明なものにまで手を出して迷走していたようだ。
マネージャーも伝手を利用して作家に連絡をしていたが、色々と重なって断られたらしい。
食事が終わって大体の話を聞き終えた俺は、思わずため息を吐く。
そしていつの間にかリビングの壁際で直立不動で動かないプレーリードッグ化したままの妻に声をかけた。
「とりあえずこっちに来なさい」
座っているソファーの隣をポンポンと叩くと、彼女は数秒悩んでからゆっくりとまるで今から怒られると怯える子供ような足取りでやってくる。
そのあまりにももどかしい姿に、近づいてきた瞬間、手を伸ばして彼女を掴んで強引に抱きかかえるように隣に座らせた。
「そんなに困ってるなら、どうして俺に相談しないんだ?」
そう言いながら彼女を抱きしめる。
「だ、だって……」
彼女は耳まで顔を赤らめながら腕の中で丸くなる。
「俺はキミの夫だよ?」
「和樹……」
上目遣いでこちらを見る美結。
化粧をしていないのに綺麗でぷにぷにの頬。
長いまつげに大きくてキラキラした瞳。
潤んだ唇。
思わず彼女に見とれる。
相手も同じくこちらをじっと見る。
そして2人の顔はゆっくりと互いに―――
「ごほん」
完全に棒読みであり、その感情が一切ない声に2人してハッとする。
するとジト目でこちらを見るマネージャーが居た。
「そういうことは、私のいない所でやって貰えますかね?」
「……ごめんなさい」
思わず2人で声を揃えて謝罪した。
そんな姿に橋本 恵の心情は複雑だった。
決して2人の邪魔がしたい訳ではない。
ただ、ひたすらに羨ましいという感情と、独り身の寂しさを同時に感じて『どうして私にはこれぐらい素敵なイケメンで妻に理解のある旦那が居ないんだ?』と思わずにはいられなかったというだけで。
場が一旦おかしなことになったので、全員にお茶を入れる。
そうして再び歌の話になるが、もはや彼女達ではどうしようもなさそうだ。
だからこそ、俺は手を挙げる。
「俺がやっても良いか?」
「……でも」
どうやら彼女の中でも俺に頼むという選択肢があったようだ。
しかし、それが彼女の中では許せないらしい。
「迷惑をかけたくない」
それが本心なのか、音楽に関わる1人としてのプライドなのか。
どちらにしろ俺に頼るのに抵抗があるらしい。
だから俺は再び隣に座っていた妻を抱き寄せる。
そして耳元でささやいた。
「言っただろ? 俺はキミの夫だ。 困っているキミを見過ごせる訳がないだろ? それともキミは俺に、自分の愛する奥さんを見捨てるようなクズ男に俺をするつもりかい?」
「……そんなつもりは」
「だったら俺に任せてくれないかな? 俺の愛する奥さん?」
「……」
腕の中で丸まりながらも未だ悩む彼女に、俺は容赦なく頬にキスをする。
彼女はビクンと身体をはねると顔を赤くして更に丸まって俺の攻撃から逃げようとする。
しかしそれを俺が許すはずがない。
スグに顔を下げてまた彼女の頬にキスをする。
「任せてくれるまで、止めないからね?」
そう言って何度も何度も頬や額に口づけをおとす。
何とか腕の中でそれを避けようとするも、まず不可能だ。
そうして何度も口づけをするうちに彼女の抵抗も無くなっていく。
最後に瞳を潤ませ、上目遣いでこちらを見上げてきたので、俺は容赦なく彼女の顔を掴むと唇にキスをした。
最初は少しだけ抵抗した彼女も、スグに抵抗をやめて俺を受け入れる。
たっぷり数十秒ほどの長いキスを堪能してから、ふと視線に気づく。
橋本マネージャーが、顔を真っ赤にしながらも興味津々といった感じでこちらを見ていた。
俺の視線に気づくと、気まずそうに視線を逸らす。
見られていたことに気づいた美結は、顔を真っ赤にしたまま俺の腕の中に必死に隠れてしまう。
そんな状況に、俺は苦笑するしかなかった。