幼馴染を取り戻す為に過去へ転生したら、世界だけじゃなくて性別まで変わってしまった件について 作:PKO
Nono版ネタバレ含
HP5章後スタート
アイテムや物語展開の捏造多々
0.
どうしてこうなった。
冷たく暗い牢屋の中。そこに、僕は胡座をかいて座っていた。
どんどん冷たくなる尻。床の冷たさが伝播したからだ。
けれどそんなことはどうでも良くなるくらい、僕は現状に対して顔を引き攣らせる思いだった。
ため息をつく。すると、コンクリートの地面がその音を大袈裟に反響させた。そのせいなのか、僕の隣にいた球体が「ちょっと」と苦言を呈してくる。
「止めてよカズキくん、ため息なんて。幸せが逃げるよ?」
「牢屋にいるのに?」
ぽよんとしたマスコットに窘めるような声を出されて、僕はすぐに聞き返した。ネズミが駆け抜ける地下牢。そんな場所に閉じ込められて、一体どこの誰がため息をつかずに居られるというのか。
信じられない思いでマスコット……ゼロの顔を覗き込んだ僕に、彼は「牢屋に居てもだよ」と微笑みかけてくる。
「あのねカズキくん。どんな場所だって幸せも奇跡もあるんだよ? だから牢屋に入れられた位で、そんな悲観的になったらダメだ」
「この後処分されるのに?」
僕は聞く。ゼロは黙った。黙ってから暫くして、のそのそと口を開く。
「処分って言ってもほら、色々あるでしょ。会社だって不祥事で処分〜なんて言うけど、それで死人が出たなんて聞いた事ある?」
「ここは会社じゃない。……それに、どう考えても先人がいる」
例えばそう、壁にある血の染みとか。
この感じ、壁を背にもたれかかった状態で銃か何かで頭を撃たれたのだろう。えぐれたままの弾痕、そして壁と床に散らばる黒い「何か」が流れた痕。
僕の指摘を受け、ゼロはまた黙り込んだ。
僕はため息をつく。二度目の指摘は無かった。しかしゼロはまだ諦めきれないようで、「でもでも」とこちらににじりよってくる。
「だからってここでゲームオーバーなんて無いんじゃない? 前はどうやったの? カズキくん、二回目なんでしょ? この地下牢」
……そう。この最悪な地下牢。僕は二回目なのだ。
二年前、僕は天心の命令で王次郎と戦い、敗北した。そしてここへ閉じ込められた。今目の前にある景色は、その時の記憶と寸分の類もなく変わらない。
けれど、決定的に違うものがある。それは「僕」そのものの方だった。
例えば鍵を持っているはずの神木結衣がいつまで経っても僕を煽りに来ないとか、折られたのは左腕だけじゃなくて両腕だとか。二年前より遥かに悪化した「やり直しの機会」に、僕は項垂れる。ため息も出るだろう。
思わず下を向くと、今度は以前と違う景色だ。無かったはずの「胸」のでっぱり。これのせいでこの状況に追い込まれたのだと思うと、どうにも感情の持っていき方がない。
じっとりと睨みつけていると、ゼロが恐る恐る話しかけてきた。
「……あのさ、そんなに胸ばっか見るのやめなよ。健全な男子としては仕方がないのかもしれないけれど、死ぬかもしれない状況でそれはちょっと。いくら女の子になっちゃったとは言えさ」
その言葉に、僕は反射的に「は?」と低い声を出す。それでも聞きなれた僕の声よりもその声は高くて……。
「最悪」
吐き捨てるように呟く。ゼロはわざとらしく牢屋の隅っこへと逃げていた。大袈裟に体を震わせて、こわあいなどと言っている姿が腹立たしい。頭を抱えたくなったが、両腕とも上手く使えなくて何も出来なかった。
……そもそも、どうしてこんなことになったのか。
話は少し前に遡る。