「うぐぐぐく……、駄目だ、取れない。どうなってるんだこのブローチぃ…。」
この会社の寮で、わたしは一人悩まされていた。
あの後も5回ぐらいあいつ(※答えなど幾多でもある、というらしい)に作業させられた。帰った後は疲れていて昨日は気付かなかったけど、昨日の間に謎のダサいデザインの?マークがついたブローチが服に貼られていたっぽい。まあ、十中八九あいつの仕業だろう。触らせた覚えはないんだけどねぇ。
『あー、全職員、直ちに指揮チームに来ること。直ちにだ。』
も、もう時間か。とりあえず、行くしかない、か。
なんかエレベーターに他に二人ぐらい乗っている。ガラの悪い男と、気弱そうな女。身長高いし…。なぜ?いや、普通に考えてわたし以外も雇うか。でかそうな会社だし。
「あ、あのー。そ、そこの変、独特なブローチを着けてる…小さめの人ー?」
…多分わたしだろうな。嫌だけど。
「…なに?」
「いや、そのぉ、管理人から先輩がいるって聞いていて、あなたのことかと…」
先輩、ね。
「…そうだよ。先輩っていっても一日差だけどね。」
「やっ、やっぱり…!あの、わからないこととかあったら質問しても…」
「いいよー。」
「あ、ありがとうござ、」
「なんでそんな謙遜してんだ?先輩つってもチビだし、敬う必要なんかねーよ。」
なんだこいつ。前のやつ見習えよ。
「や、やめた方が…。」
「おい、止めんなよ。せっかく久々に自由で気分上がってんだ。これ以上邪魔したら手が出ちまう。」
「止めないで。殺す。」
『…もうエレベーターは着いている。早く降りろ阿呆ども。』
「「は?」」
「うぅ…もう殴ります!殴って止めます!」
「いだぁっ!」「****!」
『どうしてこうなるんだ…。』
「はぁ、ちょっと喧嘩っぱやかったかもな。すまん。」
「うん、まあ、ごめん。」
「よ、ようやく治まった…。」
『時間は有限だ。これ以上無駄にするな。』
「はい…。」「がんばる。」「めんどくせ…。」
見事にバラバラだ。纏められるのかな?
『…あー、職員カルナ、色々後輩に教えてやれ。管理人命令だ。』
職務放棄…。
「えっと、な、なにか聞けば良いんですかね…?あ、この会社の仕事内容、とか教えてもらえますか?先輩。」
「それは俺も聞きたいな。理不尽でないといいが。」
「あー、わかった。説明するよ。せんぱい…みたいだし。」
先輩、先輩かあ。わたしにできるかなぁ…。教えてほしいよ、お姉ちゃん。
「うーん、つまり?」
「幻想体っていうこえーやつが気にいる作業してエネルギーを稼ぐんだと。反応が悪いとワンチャン死ぬらしい。…まだマシか?」
「おー、余裕だね。いつまで持つかな?」
「は?」「あっあの!じ、自己紹介しませんか!?」
「あー、急になんだよ?そんなん意味あるか?」
「お、お互いのこと、を知るのも、業務、には大事、ですから!」
あ、わりとまともだ。まあ、隣と一生争うよりかはマシかな。
「……わかった。わたしの名前はカルナ。姉がいる。…これでいい?」
「は、はい!」
「あー、これ俺もやる流れか?」
「そ、そうですね?」
「はぁ…しょうがねえから、やってやるよ。」
こんなときも上から目線かよ。物理的にも。
「名前は…ソキ。礼儀が世界で一番嫌いだな。…はい、お前もやれ。当然だろ?」
「えっ、あー…自分の名前は、ミレニア、です。ど、どうぞよろしくお願いします?」
『……無駄話はそんなところで良いか?…作業指示。職員カルナ。左に愛着。他は右に行け。交代で洞察作業。』
「あー…事前情報ある?」
『…会話の矛盾は指摘するな。それだけか?早く行ってこい。』
「が、頑張りますね!」「めんどくせ…」
大丈夫かなあいつら。まあ、あの感じなら耐えれそう…かな?
ん、ここか。そういえば、手動じゃなくてもドアが勝手に開くのは三回目くらいまで気付けなかったな。ふかく。
「道具はこれで…入りまーす。」
さぁ、今日はどんなやばいやつにやるのかな?
【こんにちは。今日は何時かしら?おやつが食べたいの。明日は六時に頭を下げてくれる?赤が見たいの。】
あー、頭がガンガンする。一生慣れないかもなこれは。慣れなくて良いんだけど。
これは、ただ聞いているだけでいいのか?色々と言われているみたいだが。
【昨日の今日で、全部終わらさないで?明日が欲しい。今日を頂戴?イノチ。】
「うっ」
いたい、痛い!?心、しんぞうをわしづかみにされたよな、やめて!
「や、やめて、命、あげない。大切、だ」
【大切なの?なんでなの?理由が欲しい。】
「あわ、ないと。お姉、ちゃ、に…。」
【わかる。わかった。答え、有る。】
あ、作業、終わり?早く、出よう。痛い…。
【…お願い聞く人、あの日以来。】
「ひー!せ、先輩、ぼろぼろです!大丈夫なんです!?」
「うー、平気だよ。管理人はこの会社なら一分で治るって言ってたし。」
「そ、それならいいんですけどぉ…。」
一方その頃、本社では…
「うぎぎぎぎぃ、おれはまだそっちに行かん…。」
「せ、先輩、あれって…?」
「アイツポチのグッバイ耐えたのか?他の奴は細切れのその先行ってたのに。本当、防具に着せられてんな。」
「なにもないのことポチって言うのはお前だけだよ。カルナも、コイツの真似はすんなよー。」
「え、ええ…?今の一瞬で回復してる…。」
「その言葉を本当に言っちゃいけないのはオマエなー。」
「キレそうだが、お前には加護が付いてるからな。帰り、廊下集合しろ。そこでやろうか。」
「この人たち怖い…助けていもうとちゃん…。」
ギフト付いたのは最初の作業。あとは楽々だったよー。