水星の魔女 ~もう一輪の百合の花~ 作:一般通過クルーゼさん
本社フロントへの渡航は、翌日となった。
必要な連絡を済ませているうちに、随分と遅くなってしまった。最後の返信を送って端末を閉じると、向かいに座っていたセセリアが、机の上の時計へ目を向けた。
「もう、今日は終わり」
私が次の資料へ手を伸ばす前に、彼女はそう言った。
部屋へ戻ろうと立ち上がると、袖を掴まれた。振り返った先で、セセリアが少しだけ眉を上げる。
「今から帰るの?」
「……お邪魔ではありませんか」
「邪魔なら、引き留めないけど」
返す言葉がなくなった私を見て、彼女は小さく笑った。
そのまま、今夜もセセリアの部屋で休ませていただくことになった。
明かりを落としてからも、すぐには眠れなかった。
見覚えのある天井を眺めながら、私は布団の端を指でなぞっていた。机の上には二人の端末が並び、その隣に、セセリアが脱いだ上着が掛けられている。窓の外を明かりが横切ったが、すぐに遠ざかっていった。
隣で衣擦れの音がするたび、指が止まった。
セセリアがこちらを向いたのか、それとも眠る姿勢を変えただけなのか、気になって仕方がなかった。手を伸ばせば届く距離なのに、私から触れることには、まだためらいがあった。
今日も随分と付き合っていただいた。
襲撃後の学園を一緒に歩き、救援の連絡を確かめ、グストンさんたちとの面会にも同行してくださった。明日はスレッタさんたちと本社フロントへ向かう。その準備まで済ませたのだから、もう休んでいただいた方がよい。
そう考えながら、私は布団の縁を折り返した。
行かないで、と言われた時の顔が浮かぶ。
その願いを聞いたうえで、私は挑んでみたいと答えた。今夜まで彼女へ甘えてしまってよいものか、少し分からずにいた。
けれど、そんなことを考えていると知ったら、セセリアはきっと呆れるのだろう。
顔を向けると、すぐに目が合った。
彼女もこちらを見ていた。何か申し上げようとしたが、言葉が見つからない。用事があるわけではなかった。ただ、起きていらっしゃるのなら、そのまま私を見ていてほしかった。
セセリアの手が伸びてきた。
頬へ触れる直前に、指先が僅かに止まる。私は少し顔を寄せ、その掌へ頬を預けた。
親指が目元を撫で、それから髪を払った。いつもより慎重な手つきだった。私が動かずにいると、セセリアは顔を覗き込み、ゆっくり近づいた。
唇が短く触れた。
離れてからも、私は彼女を見つめたままだった。目を閉じることさえできなかった自分が、後から恥ずかしくなる。何か応じなければと思うのに、声が出なかった。
セセリアの口元が、少し上がった。
からかわれると思って身構えたが、彼女は何も言わなかった。頬へ添えた手をそのままに、額へかかった髪を整えている。その沈黙に、私はかえって顔が熱くなった。
次に近づいてきた時には、目を閉じることができた。
額へ口づけられ、そのまま背中へ腕が回る。引き寄せられるまま動くと、彼女の肩口へ額が触れた。
私は自分の手を持て余した。寝間着へ触れるところまではできても、腕を回す前に止まってしまう。指先を置いたまま迷っていると、セセリアの手が私の手首へ添えられた。
そのまま、彼女の背中へ導かれる。
掌を置くと、セセリアも少し近づいた。腕の中へ収まるように落ち着いた彼女を、私はようやく抱き返した。
寝間着越しに身体の温かさが伝わってくる。髪が頬へかかっていたが、払わずにいた。彼女が動くたび、柔らかく触れるのが心地よかった。
背中を撫でる手に合わせて、息を吐く。自分の肩へ力が入っていたことに気づき、少し身体を預けると、セセリアが腕を掛け直してくださった。
髪へ、そっと唇が触れた。
私は目を閉じた。
セセリアも何も尋ねず、同じ速さで背中を撫でてくださる。
私は彼女の寝間着へ指をかけた。
抱き締めていてほしかった。その願いを隠すより、今は彼女のそばへ寄る方が簡単だった。
少ししてセセリアが身体を離すと、私の指先だけがついていった。袖を掴んでしまったことに気づき、顔を上げる。
「嫌?」
私はすぐに首を振った。
彼女の視線が、袖を掴んだ手へ落ちる。慌てて緩めようとしたが、その前に指を取られた。一本ずつほどかれたところへ、セセリアの指が入ってくる。
掌が合わさった。
私が握り返すまで、彼女は手元を見ていた。それから顔を覗き込まれ、私は俯きかけたが、頬へ添えられた手がついてくる。結局、その掌の中から彼女を見上げることになった。
セセリアが瞬きをした。
顔が熱かった。目元まで熱くなっていることも、自分で分かった。彼女の顔が僅かに滲んで見え、私はもう一度瞬きをする。
泣いて困らせたいわけではなかった。
けれど、頬へ触れている手も、繋いだ指も、私が隠していたことを知ったうえで差し出されている。そのことを思うと、うまく気持ちを収められなかった。
知られたら、何かが変わると思っていた。
隣へ座る前に迷われるかもしれない。名前を呼ぶ時に、僅かに声が変わるかもしれない。そうなったら私は、その小さな違いを見逃せなかっただろう。
けれど今も、彼女の手は頬にあった。
私は自分から、その掌へ顔を寄せた。セセリアの指が止まり、繋いだ手を少し強く握られた。
セセリアは、私がどれほど救われたのか、これっぽっちも分かっていないのでしょうね。
話し終えた私の前で、彼女は明日の食事のことを口にした。その後も、会えば隣へ座り、私が黙っていると、いつものように顔を覗き込んだ。
今夜も、部屋へ帰ろうとした私を引き留めてくださった。
私ばかりが、一つ一つ覚えている。
その手へ、自分の手を重ねた。
セセリアの眉が少し下がった。何か仰るのかと思ったところで、頬へ口づけられる。目を閉じて、また開くと、まだ彼女が近くにいた。
反対側にも触れられた。
肩が小さく動いてしまい、セセリアが笑う。その顔を見た途端、私も口元が緩みそうになったが、恥ずかしくて視線を伏せた。
彼女の指が髪を耳へかけ、またこちらを見るように頬を撫でる。私はその手に触れた。
初めのように、触れる前に止まることはなくなっていた。髪を整えたついでに額へ口づけ、私の顔を見ようと頬へ手を添える。抱く腕が動けば、私もその方へ寄った。
何も言われないまま、彼女のしたいようにされていた。
それが嬉しかった。
上手に応じられず黙ってしまっても、彼女は離れなかった。手を伸ばしてくださるのを待ち、触れられれば、もう少し近づく。そうしているうちに、私も少しずつ身構えなくなっていった。
そして、私の首筋に強く吸い付いた。優しい気配はなく、明らかに自らの痕跡を残す仕草だった。
「アンタはもう、あたしのなんだから」
長いそれが終わった後、少し獰猛な笑みで宣言された。
私はもう頷くことしかできなかった。この身体で脳疲労など滅多に感じたことはないが、今の思考がオーバーヒートしていることだけは理解した。
セセリアを見つめたまま、繋いだ手を握り直す。すると彼女は目を伏せ、私の額へ口づけた。
次の瞬間には、強く抱き寄せられていた。
私はその肩口へ収まり、背中へ腕を回した。小さく息を吐くと、ようやく身体の置き場所が決まった気がした。
セセリアの指が、寝間着を掴んだ。
顔を上げかけると、背中の腕が掛け直された。私は動くのをやめ、代わりに彼女の背中へ掌を置き直した。
最初は指先ばかり動いてしまった。少し考えてから、していただいた時のように、掌をゆっくり動かす。
セセリアが僅かにこちらへ身体を預けた。
私は手を止めなかった。
髪へ、彼女の頬が触れている。寝間着を掴む力が少しずつ緩んでも、すぐには離れずにいた。私ももう少し近くへ寄り、そのまま待った。
しばらくして、セセリアの腕が落ち着いた。
顔を上げた彼女を、私も見上げる。
頬が赤かった。
見つめていると、セセリアは私の髪を払い、乱れたところを指で整えた。それから頬へ戻ってきた手に、私は自分の手を添えた。
彼女が近づく。
今度は私も少し顔を寄せた。セセリアの目が細められたので、私まで口元が緩んでしまう。
額が触れ、そのまま目を閉じた。
唇が触れる。今までのように、すぐには離れなかった。
私は彼女の袖を掴んだ。顔が離れてからも、その指を解けずにいる。セセリアが覗き込んできたので、慌てて目を伏せた。
「こっ、婚前交渉なんて……」
「気が早いねぇ」
笑いを含んだ声に、ますます顔が熱くなった。言い直そうとして顔を上げると、彼女の頬も赤かった。
「キスしただけでしょ」
セセリアは袖を掴んでいた私の手を取り、指を絡め直した。私は何も言えず、その手を握り返す。
すると彼女が、額を私の肩口へ押しつけた。
私も背中へ腕を回し、そっと抱き返した。彼女の手が髪を撫で始めたので、その動きに合わせて目を閉じる。
少しして顔を上げた時も、頬の熱は引いていなかった。
それでも、私からも触れてみたくなった。
セセリアの頬へ手を伸ばす。彼女は動かずにいた。掌に温かさを確かめてから、私は少し顔を近づけ、その頬へ短く口づけた。
戻ると、セセリアは黙っていた。
不安になりかけたところで、強く抱き寄せられる。私は肩口へ収まり、今度は迷わず抱き返した。
何も言われなかった。
その代わり、髪を撫でる手が少し忙しくなった。私は目を閉じ、頬が緩むのをそのままにしていた。
頭の下へ枕が寄せられたのは、随分と経ってからだった。
身体の向きを変える間に手が離れ、私は指先で彼女を探した。すぐに握り直される。顔を上げると額へ口づけられ、肩まで布団を掛けられた。
私は繋いだ手を二人の間へ置き、セセリアが髪を払ってくださるのを眺めた。
眠ってしまうのは、少し惜しかった。
もう少し顔を見ていたかったのに、瞬きをすると、そのまま目が閉じてしまう。指へ力を込めると、同じように握り返された。
私はその手を確かめながら、眠りに落ちた。
明かりを落としてから、アイリスはずっと布団の端を指でなぞっていた。
セセリアは、彼女がこちらを向くまで、その指先を眺めていた。顔を向けたアイリスは何か言いかけたが、結局声にはならず、布を折っていた手だけが止まる。
帰さなくてよかった。
あのまま部屋へ戻していたら、きっと、まだ何かをしていた。明日の移動に必要なことを確かめ、それが済めば学園の救援状況を開き、やがて会社への指示を考え始める。
ここへ置いておけば、少なくとも端末を閉じさせることはできる。
そう思って引き留めたはずなのに、今は自分の方が、彼女の手元ばかり見ていた。
セセリアは手を伸ばした。
頬へ触れる直前に、少し迷う。いつものように軽く髪をつつくつもりで伸ばした手が、そのまま止まってしまった。
その間に、アイリスが顔を寄せてきた。
掌で包むと温かかった。親指で目元を撫でると、彼女は動かず、こちらを見ている。セセリアはその目から視線を外せないまま近づき、短く口づけた。
離れても、アイリスは目を開いたままだった。
何か言おうとしているのに、声が出ないらしい。その顔に口元が緩んだが、セセリアもすぐには言葉が見つからなかった。
髪を払って額へ触れると、今度は目を閉じた。
背中へ腕を回し、ゆっくり引き寄せる。肩口へ寄ってきた手が途中で止まったので、手首を取って自分の背中へ導いた。
アイリスは掌を置き、少し遅れて腕を回してきた。
セセリアは彼女を抱き直した。
背中を撫でると肩が少し下がる。もう一度掌を動かすと、今度は腕へ身体が預けられた。そのたびに、もう少し近くへ寄せたくなった。
髪へ口づける。
アイリスは何も言わず、寝間着へ指をかけた。布が僅かに引かれる。その手元を見ようと少し離れると、今度は袖を掴まれた。
「嫌?」
すぐに首を振られた。
けれど、袖は離さない。
セセリアはその手を取った。指を一本ずつほどいて、自分の指を入れる。握り返してきたところで顔を覗き込むと、アイリスは俯こうとした。
頬へ添えた手で、その動きについていく。
彼女が見上げた。
顔が真っ赤だった。瞳まで潤ませているのに、もう隠れようとしない。繋いだ手にも力が入っていた。
――それは、せこいでしょ。
セセリアは一度、瞬きをした。
いつもの顔を崩したくて触れたのに、そんなふうに見られたら、こちらまで何も言えなくなる。
何がそんなに嬉しいのだろう。
頬へ手を添えているだけなのに、アイリスはその掌へ顔を寄せた。まるで、離さずにいてくれれば、それでよいと言っているみたいだった。
セセリアは指を止めた。
それから、銀髪を耳へかけた。
宝石のような瞳が指先を追い、また自分へ戻ってくる。頬へ置いた掌の下で、彼女の表情が僅かに緩んだ。
この銀髪も、この瞳も、この肌も、全部あたしのだ。
頬へ口づけた。
アイリスが目を閉じる。離れると、また開いた。
もう片方にも触れた。
今度は肩が動いた。それでも手は離れない。セセリアが笑うと顔を伏せかけたが、髪を払う手へ触れてきた。
それが嬉しくて、また近づいた。
額へ、髪へと短く触れる。アイリスはそのたび赤くなったまま黙り込んだが、抱き寄せれば近づいてきた。背中へ回された腕も、初めほど遠慮がちではなくなっている。
こんな顔をするのだと知るたび、次も見たくなった。
頬を撫でて顔を覗き込む。アイリスが目を伏せたので手を止めると、その指へ触れてきた。
まだ離れなくてよいのだと分かり、もう一度抱き寄せる。今度はすぐに腕が回ってきたので、セセリアは背中へ掌を置き直した。
そして、アイリスの細い首筋に強く吸い付いた。
「アンタはもう、あたしのなんだから」
声にしてから、少し照れた。独占欲という本能に従った行動だった。
アイリスは目を丸くしたまま頷いた。その後、嬉しそうな顔で繋いだ手を握ってくる。セセリアはその顔を見ていられなくなり、額へ口づけて抱き寄せた。
自分がどんな顔をしているのか、今は知られたくなかった。
アイリスは腕の中へ収まり、肩口で小さく息を吐いた。
セセリアは背中へ腕を深く回した。
安心しているのだ。
自分に抱かれて、ようやく落ち着いたのだ。
髪を撫でると、アイリスが少し頬を寄せた。肩からも背中からも力が抜けている。その重さを受け止めながら、セセリアはもう一度抱き直した。
明日は、スレッタたちと本社フロントへ向かう。
ミオリネと会い、その先の準備が整ったら、アイリスは機体へ乗るのだろう。きっと、さっきまで困っていた顔などしない。こちらには見えないものを見て、あの端末を全部動かし、自分では触れられない場所まで行ってしまう。
顔を見たくなっても、頬へ手を伸ばせない。
声が少し変わっても、指を握って確かめられない。
気づけば、寝間着を掴んでいた。
アイリスが顔を上げかけたので、思わず抱き直す。今は見られたくなかった。何も言われず見つめられたら、また行かないでと言ってしまいそうだった。
彼女は動きを止めた。
少しして、背中へ置かれていた手が動き始める。初めは指先だけで、それから掌がゆっくり撫でるようになった。
セセリアは目を閉じた。
何も聞かれなかった。
それをいいことに、寝間着を掴んだまま彼女の肩へ顔を寄せる。アイリスも近くへ寄ってきた。指を緩めても、すぐには離れなかった。
セセリアはそのまま、彼女の手が背中を通るのを待った。
ぎこちない手つきだった。
こちらが少し身を寄せると、掌が止まり、それからまた動く。その遠慮がちな動きに、少しずつ肩の力が抜けていった。
しばらくして顔を上げると、アイリスもこちらを見た。
まだ頬が赤かった。けれど先ほどのように、視線を逃がそうとはしない。髪を払うと、その手へ指が触れてきた。
セセリアは少し笑った。
頬を撫で、繋いだ手を握り直す。近づくと、彼女も僅かに顔を寄せてきた。その顔を見ていたら、また触れたくなった。
額を寄せる。
アイリスが目を閉じた。
唇を合わせ、今度はすぐに離れずにいた。背中へ回された腕が動き、袖を掴む。
顔を離すと、彼女は赤くなったまま目を伏せた。
「こっ、婚前交渉なんて……」
「気が早いねぇ」
笑ってしまった。
あれほど難しい話を淀みなく続ける人が、今は自分の袖を掴み、こちらを見られずにいる。顔を上げたところで目が合うと、言い直そうとしたらしい唇が止まった。
「キスしただけでしょ」
そう言いながら、袖を掴んでいた手を取った。指を絡め直すと、アイリスは黙って握り返してくる。
その顔を見ているうちに、セセリアまで照れてしまった。
彼女の肩口へ額を押しつける。少しして背中へ腕が回ったので、そのまま抱き合っていた。
今夜は何度も、自分の方が抱いてもらっている。
顔を上げた時、アイリスがこちらを見ていた。
その手が頬へ伸びてくる。セセリアは動かずに待った。彼女が少し迷い、顔を近づける。
頬へ、そっと口づけられた。
戻った顔は、不安そうだった。
自分からしたくせに。
そう思っても、言葉にはできなかった。セセリアは彼女を抱き寄せ、すぐに抱き返してきた腕を受け止めた。
髪を何度か撫でる。
落ち着いていたはずの自分の手が、また忙しくなっている。それに気づいても、しばらく止められなかった。
やがて、肩口へ預けられた頭が少し重くなった。背中の腕からも力が抜け、呼吸が静かになっていく。
セセリアはようやく手を落ち着かせた。
枕を寄せ、彼女の頭をそっと下ろす。身体の向きを変える間に手が離れると、アイリスの指が探るように動いた。
すぐに握り直した。
目を上げた彼女の額へ口づけると、瞼がまた下りた。布団を肩まで引き上げ、頬へ入り込んだ髪を払う。
アイリスの指に、少し力が入った。
握り返すと、それも緩んだ。
セセリアは、眠りにつくまでその顔を眺めていた。
さっきまでこちらを見上げていた目は閉じられ、眉間にも口元にも力が入っていない。頬へ手を伸ばしかけたが、途中で止めた。
もう一度こちらを向いてほしい気もした。
名前を呼べば目を開けて、手を差し出せば、また寄ってくるかもしれない。
けれど、眠りの中でも指を絡めている手を見て、セセリアは口元を緩めた。
起こさず、布団の端だけを整える。
机の上では、二人の端末が並んでいた。椅子には明日着る服が掛かっている。いつもの部屋に増えたアイリスの持ち物を一度眺めてから、セセリアも枕へ頭を下ろした。
アイリスが僅かに動き、顔が近づいた。銀髪が頬へ触れたが、そのままにした。繋いだ手を二人の間へ落ち着かせると、もう強く握らなくても離れなかった。
セセリアはその指を眺めてから、静かに目を閉じた。
美少女2人同じベッドで何も起きないはずもなく……