暇つぶしに読んでください。
ちなみに作者は艦これゲームを今年にやめており最新の艦娘やゲーム設定は反映されない予定ですのでご了承ください。
なんか深海棲艦という敵が出てきて世界大戦になった。
唯一無二の対抗策として艦娘という美少女兵器が配備された近未来。
提督になった人間は最初は自衛隊のエリート、次は他の公務員エリート、次に民間職のエリート。次に、エリートではないが、そこそこ無難に優秀な人間。
だが艦娘という無尽蔵に資源さえあればつくれて何でも言うことを聞く美少女に男性提督が我慢できるわけもなく、また性格もなんだかんだ未熟な艦娘が多かった。
ならば女性を提督にすればいいとしたが、今度は嫉妬や同性愛による駆け落ちのようなこともあった。
そして少ない優秀な提督は上層部で大規模作戦を練ることに忙しくなり前線の提督は最初こそ希望者が数百万いたのだが、度重なる艦娘動員前の総力戦で大半が戦死。
提督になる条件は現在ある程度の緩和はあるものの依然として厳しい。
2XXX年 日本。
「刺身食えてた時代が懐かしいな」
戦争中は仕事のし過ぎで精神科に通い手帳をもらって兵役免除されたが、見事療養ニート生活を脱却し、現在貯金を元に暇つぶしの単純労働と投資で悠々自適な独身生活をおくっている俺。
スーパーのカゴに物価高でえげつない値段になった食品類を入れる。
スーパーを出ると雨が降っていた。
俺は折り畳み傘を広げる。
帰路の途中で、なんか美少女が体育座りしていた。
艦娘か。やたらと派手なクリーム色の髪に独特な服装。
マフラーをまいて、悲しそうにうつむいている。
なんかその頭上をデフォルメされた小さな女の子がふよふよと浮いていた。
俺は見て見ぬ振りしようか一瞬考えたが、俺の家の近くで美少女がいるとなにかとあれだ。
声をかける。
「君」
「ぽい?」
「大丈夫?雨降っているがこんなところで座ると風邪ひくぞ」
「ぽ、ぽひぃ」
そういって女の子は涙目で俺を見つめる。
ぐぅううう。
彼女の腹の虫が鳴く。
ふよふよした女の子4人が俺の顔の前にとまり、こういった。
「あの鎮守府は最悪なのです」
「なのです」
「補給は最低限で疲労も無視してこき使うし、轟沈しても変わりはいくらでもあるというでち」
「最低なのでち!」
「お兄さん」
「うん?俺か?」
「はいなのです」
「はいでち」
「この娘にごはんをあげてほしいのです」
「うーんいいけど。ずっといたら駄目だぞ」
「ありがとでち」
「なのです!」
「君」
「ぽい?」
「このちっちゃい子見える?」
「妖精さんの事?」
「妖精っていうのかこれ……まぁいいや彼女らが言うには君どこにもいく当てがないみたいだね」
「うん」
「よかったらご飯食べていかない?大したものは出せないけど」
「ほんと?」
「あぁ、まぁ行くところが決まるまでいていいから」
「でも……」
「?」
「お金、ないっぽい。それにいやらしいことはしたくないっぽい。何が目的っぽい?」
「うーん、まぁ普通は警察なんだけど」
妖精さんを見ると全員首を振ってやれやれという。
「家のそばでずっと座られるのもあれだし、まあ何かの縁ってことで」
「シャワー」
「ん?」
「シャワー浴びてもいいっぽい?」
「うん、いいよ」
「ありがとうっぽい」
元気がなくてそういう彼女を不憫に思いながらついておいでと俺はいう。
妖精とその艦娘、夕立はしばらく居候になることになった。
夕立は俺の服の袖をそっと握る。
「変な人っぽい」
彼女のつぶやきを俺は聞かなかったことにした。
夕立がつけている艤装という服は別にすぐに乾くが、体の濡れたことによる不快感はそれなりにあるらしく彼女にシャワーを貸した。
「さっぱりしたっぽいー」
俺はベーコンたっぷりのチャーハンとたくあん、そして春雨担々スープを夕立に食べさせる。
「いい匂い!」
「さぁ食うか」
妖精さんには金平糖がいいらしいが、このご時世、金平糖単体で売ってる店はほとんど見かけなかったので代わりに飴玉をプレゼントした。
夕立はスプーンを手に取り、スプーンを見て俺が食べるのを見た後、見よう見まねでチャーハンをすくうが、ぱらぱらなため、うまくつかめない。
俺はチャーハンをかき込み、夕立はそれをまねする。
「美味しい!」
「そうか」
「全部美味しいっぽい!」
「そうかそうか」
食事を食べ終えた後、俺は牛乳アイスバーを冷蔵庫から取り出し、食べる。
じーっと夕立が俺を、正確には俺が口に含んでいるアイスを見つめる。
「何それ?」
「あぁ、アイスだよ。まぁ牛乳アイスくらいしかないけど」
牛乳や卵、鶏肉や米は値段は大して変わらないが物価高で他の食品や嗜好品、魚関連は特に値上がりし、庶民というか高給取りでも年に一度食えるかどうかというレベルにまで上がっている。
ちくわが鶏もも肉一パックより高いのは納得いかん。
俺はちょっと高い黒糖の優しい甘さが好きなのでこの牛乳アイスもそうなっている。
タバコが一箱3000円、一番安いビール350ml一缶700円だし、確実にそれを好む人間を殺しに来ているなと思う。
俺は吸わないし飲まないけど。
「夕立も食べたいっぽい!」
「一日一個までな」
「毎日食べれるっぽい!?」
「うーん、飽きないか?」
夕立は俺の言葉を聞き流しアイスを一口舐めて喜びに目を見張った後一気に頬張る。
「何これ!美味しい!」
俺は微笑む。
「美味しい!美味しい…………」
急に夕立が食べ終えた後、悲しそうな顔をする。
まぁアイスは小さくなっているというし。
「ど、どうした?」
「みんなにもこれ食べさせてあげたいっぽい」
「みんなって、えーっと艦娘の?」
「うん。海防艦の子たちとか特に」
「海防……?」
「うん、海から防ぐと書いて海防艦」
「みんな艦娘ってそういうもんじゃないのか?」
「そういう意味じゃなくて、ちゃんと潜水艦を倒すのに特化した私よりちっちゃい艦娘のこと」
「お、おうそうか」
「私、お兄さんに悪いな。何もお返しできない……いやできるけどいやらしいことはしたくないっぽい」
「いや、しなくていいよ。大変だったろう?」
「大変……」
「思い出さなくていいよ。さぁ蒲団でもう寝な」
「でもまだ早いっぽい」
「それもそうだな」
「お話してもいいっぽい?」
「まぁ今面白いテレビもないしサブスクも大体見飽きちゃったしな、いいよ」
「私」
言葉に詰まる彼女を見て俺はせんべいとお茶を渡す。
彼女はそれを食べながらぽつりぽつりと自分がなぜあそこにいたのかを語り始めた。
私が最初に鎮守府と言える場所に着任したころは自衛隊のみんなや初期艦の吹雪とは仲良くやれていた。
作戦本部や上層部も別に無理難題を振らず、生活もしっかりできていた。
だが、戦争が膠着化し、知的生命ではないとされた深海の化け物たちの練度と数が次第に強大となっていった。
私たちの艤装の技術上第4艦隊までしか運用できないから必然的に出撃の数も増えていたけど燃料も枯渇している日本は外国に頼りきりになり、妖精さんもどういうわけかいなくなってしまい焦った上層部は過去の大日本帝国のような無茶な作戦をし始めていた。
私たちの提督も最初はそれに抵抗し、自分の作戦能力で必ず挽回できると睡眠時間を削って、私たちにできるだけの補給と入渠をしてくれた。
だけどそれも長くは続かず、提督は適応障害という病気で入院、見舞いに行く頃には悲しそうな顔で私に辞表を渡した。
ごめんといった顔が今でも忘れられなかった。
後任はずるがしこかった。
戦果はしっかりと出すものの、それを自らの手柄とした。
虐待はしないものの、私たちが通常の食事がいらず少量の補給でいいと研究によってわかるようになると、徐々に私たちへの待遇を悪くし、些細なミスで長時間説教をしたり、嫌味を言うようになりひどい時には、接待と称していやらしい目線で私たちに接するようになっていた。
反乱した艦娘もいた。瑞鶴や曙、霞や満潮が抵抗すると、彼女たちは簡単な海域だと言って疲労回復もままならないまま、少量の補給で出撃させられ、徐々に彼女たちは自分たち以外の艦娘がそうならないように諦めて従うようになった。
私も別に戦争だからものすごくいい人を期待していないし誰だって辛い時は弱音を吐いてもいい。
人海作戦では無理だしけど莫大な予算をつぎ込んで女神妖精を買わないと艦娘は復活しないことが分かると次第に一部の優秀な艦だけを酷使する体制が続いた。
私もその一人だった。
私には艦としての記憶がある。
でもやめてしまった提督に言われた。
君は女の子だ。
幸せになってほしいと。
その言葉をひきずりこみ考え込んだ。
私は親友の時雨が作戦に失敗したのにそれを自分のせいと認めない提督と口論になり鎮守府を出て行った。
そこまで言い終えると夕立は涙を流した。
俺は無言で茶をすする。
「お兄さんだって、最初は優しいかもしれない」
俺は自分も似たような病気で入院した経験があるからわかる。
「けどいつか自分が壊れるか、私たちに当たるようになる。それが怖いの」
「そうだな、否定はしない」
「どうすればよかったのかな、深海の敵たちのせいなのかな」
「そうかもしれない」
「ごめんなさいっぽい、こんな話しても困るよね。もう寝るっぽい」
「あぁおやすみ」
俺は少し考えて自衛隊採用試験の募集要項を見る。
年齢的に受験できなくもないし大学も卒業しているし体も一応健康になっている。
しばらく不動産収入で辞めても別に金銭的に困ることはない。
寝静まる夕立の寝苦しそうなうめき声に様子を見ると、夕立が起き上がる。
「寝れないっぽい」
「あったかい牛乳飲むか?」
「なんで?」
「うん?」
「いや、なんでもないっぽい」
砂糖を入れたホットミルクを飲みながら、夕立は微笑む。
「ねぇお兄さん」
「うん?」
「嫌じゃないなら、隣で寝てくれない?」
「いいけど、お前はいいのか?」
「うん、一人の夜はもう嫌だから」
「そっか」
そういって俺は夕立と同じ部屋で寝た。
翌日軍の人間が夕立を引きとり謝罪と俺に対する注意の文言を軍人(憲兵と名乗っていた)が言った後そそくさと夕立は意外に素直に出て行った。
夕立は帰り際、俺の頬にキスした。
「優しいままでいてね、お兄さん」
「おう」
妖精さんはどういうわけか俺の部屋から出ていかず夕立に手を振る。
まぁ飴玉だけだしなにかと家事をやってくれるから別にいいけど。
俺はしばらく考え込む。
それから有給を消化しながら預金通帳を見る。
俺は本屋に向かい、自衛隊採用試験の過去問を購入し、薄暗い夜の中、紙にペンを走らせるのだった。
ほとんどおもいつきで書きましたが、だんだんとイチャイチャ展開増えるのでよかったら各種反応お待ちしています。