朝潮はハロウィン艤装に変わった。
可愛らしい服。
いいのでしょうか。朝潮がこんな服を着て…………。
窓に映る自分の姿をまじまじと見つめる。
帽子を深くかぶったり、ひらりと一度その場で回ってみたり。
ふんすと意気込む朝潮を霞たち姉妹艦は温かい目で見守る。
提督はハロウィンの準備を始めていた。
間宮食堂を前日の夜にハロウィン風に飾りつけし、黒猫やお化けの書かれたポストカードがテーブルに置かれている。
朝。
「司令官。トリックオアトリート!」
「おぉ、朝潮。似合ってるねぇ」
「はい!」
「はい、朝潮、お菓子」
「司令官!ありがとうございます!あ…………あの」
「うん、食べてもいいよ」
「はい!美味しいです!」
もぐもぐクッキーを口に咥えて提督に敬礼する朝潮を彼は抱きしめる。
「し、司令官?」
「いたずらしてもいいからな」
ぎゅぅうう。
「はうっ」
「いたずら、します!」
そういって、提督のほっぺを朝潮はぐにぐにと弄ぶ。
「司令官、し、失礼しました!」
「おう。朝飯食べていけ」
「はい!」
とててて、と仲間たちの元へと向かう。
※ ※ ※
曙は、ハロウィン艤装で魔女の恰好をすることになった。
結構可愛いなと内心思いながら、鏡の前で曙はひらりとその場で回る。
「アケボノ~マジック!」
漣が吹き出すのを見て、曙は恥ずかしさに震えながら振り返る。
潮が歓喜の涙を流していた。
「曙ちゃんが、あの、ほっそりガリガリで落ち込んだ曙ちゃんが」と嬉しそうな潮。
朧も狼の恰好をしているのだが曙のノリに微笑んでいる。
漣は「草」と言って、笑っていた。
「クソ提督のところ行くわよ。もう」
そうして提督の前に来ると曙は彼の反応を伺う。
にやけている彼の顔に曙は満足げに言う。
「トリックオアトリートよクソ提督。お菓子さっさと出しなさい!」
「ははぁ~」と頭を下げて提督はお菓子を献上する。
よろしいといって、曙は一口サイズのチョコレートを頬張る。
「あ…………美味しい」
「本場の高いチョコだからな」
「ふ、ふうん」
「曙」
「な、なによ」
「似合っているぞ」
「そ、そう」
「なぁ魔法かけてくれよ」
提督は頼みこむ。
「い、いいけど…………ほら」
ステッキを軽く振って曙は笑顔を彼に向ける。
「曙~可愛いなぁ、お前~」
提督は曙の手を握る。
曙はそっぽを向く。
だが涙目で顔を真っ赤にしてちらりと見ながら曙はボソッと呟く。
「バカっハロウィンじゃなくても普段から…………」
「うーん、曙かわいいなぁ~」
「は、はぁ!?」
曙の顔を握ったまま彼は彼女の顔を見つめる。
曙は恥ずかしそうに何を言えばいいかわからずもにょもにょと口を動かしていた。
第七駆逐隊の他のメンバーが来ると、提督は曙の手を放す。
食堂の席に座ろうと歩き出す曙。
彼女は提督から数歩離れた後、ステッキを振る。
「ま、魔法!」曙は言う。
「うん?」提督は振り返る。
「あんたが、私たちを見捨てない魔法…………か、かけたから」
耳が真っ赤なことを隠せていない曙だった。
※ ※ ※
夕立は狼のフードを被り、尻尾がある艤装をつけた。
なぜか彼女はこういわずにはいられなかった。
「がるるぅ~!提督さんの元へ行ってくるっぽ~い。お菓子貰ってくるっぽい!」
夕立を待っていた提督は一口サイズのピーナッツチョコレートを手に乗せる。
夕立は口だけで彼の手のひらに顎を乗せるようにそれを食べる。
「それ!」
提督がチョコを投げる。
「がうっ!」
夕立はそれを口でキャッチして食べる。
夕立の頭を彼は撫でる。
「えへへ~」
「オレンジジュース飲め」
「ぽい」
飲み干して一息ついた彼女が提督に抱き着く。
「いたずらっするっぽ~い」
そういって彼の首筋を甘噛みする。
甘噛みをした後、艤装の狼の爪(実際はぬいぐるみのようにやわらかい)で彼の胸のあたりを叩く。
「がるるぅ~」夕立はいたずらに満足した後床に寝そべる。
その寝方はまるでお腹を撫でてほしい犬のよう。
「お腹撫でるっぽい!」
提督は少し戸惑いながら、夕立の腹を撫でる。
夕立の引き締まっているが女の子のほどよい弾力がある腹筋を撫でる。
「がるるぅ~」
満足した夕立は立ち上がり提督の頬にキスする。
「夕立はお化けにならないっぽい!」
そんなハロウィンをみんなで楽しむのだった。
来年もハロウィン書きたい。