蒼の姫と異邦人   作:外道山賊

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タリス生活編


本日は複数話投稿予定


異なる風

「という訳で、これから各自ものを育てて貰う。」

 

 

「はぁ。」

 

エリスの婚約者となったゲレタはジェイガンやモロドフ。

勿論マルスの許可を得て、様々な事に着手する事となる。

 

 

先ずは守る者の重みを知る事

守る意味の確認などだ。

 

 

何せ経験豊富なジェイガンやモロドフと違い、まだ経験の浅いカイン、アベルにゴードンとドーガ。

彼等は守るべき祖国を失い、それでも芯は失っていない。

 

 

それは一見すると頼りがいのあるものに見えるだろう。

しかし、ゲレタはそう思っていない。

 

 

彼等若い騎士達はマルス。そしてエリスを守ればそれで良い。

そう思っているのではないかと危惧していた。

 

 

 

 

原作の話

つまり起き得る未来の一つの話となるが、マケドニアのエストと恋仲になった騎士アベル。

 

 

彼は暗黒戦争後アリティア騎士団を辞めている。

本来、暗黒戦争後のアリティア再建においてこそマルスの側近くにあった騎士達の協力が必要であったにも関わらず。

 

 

確かにドルーアを

メディウスを倒せはしただろう。

 

しかし、本来アリティアの再興。アリティアの民の生活の再建において、必ずしもドルーアやメディウスの討伐が必要とは思われないもの。

 

 

 

それは大陸の情勢を知るマルス達と自分達の生活だけを考える民の視座の違いによるもの。

第二部、英雄戦争と言われる戦いにおいて再建したアリティア騎士団。

 

 

その働きは目覚ましいものがあったであろうが、常識的に考えると『前大戦の功労者』であろうとも、恋人の為にアカネイア帝国側に付いた彼に好意的になれようものだろうか?

 

アベルは最終的にはエストの姿を求める事になるらしいが、言うまでもなくアリティアに居場所があろう筈もない。

例えマルス(主君)に槍を向ける事を良しとせず、味方となったとしてもだ。

 

 

 

マルスやカイン達がアベルを庇えば不満はマルス達にも及び、下手をすればアリティアの復興にさえ差し支える事態。

ましてマルスは一度ならず二度もアリティアを守れなかったのだから。

 

 

 

 

はてさて、愛に生きた結果居場所を失った者がマトモな最期を迎えられるものだろうか?

⋯そういう最後が多い気もするが、まぁ戦争とは常に幸せだけを齎すものでは無いのである意味妥当なところかも知れないが。

 

 

 

 

 

守ると言うのは物理的なものと精神的なものがあり

物理的なものは分かりやすい反面、事情が分からぬと誤解を招きやすい。

精神的なものは分かりにくい反面、親しいものとなる為誤解を生じにくい。

 

 

同じ守る事でありながら、両立させるのは難しく

するのであれば、それ相応の心構えが必要なのだ。

 

 

 

ものを育てる事は守る事の意味の再確認と共に、騎士なれば目を向けづらい所にも目を向けさせる効果を持たせている。

と個人的には考える。

 

 

 

----

 

 

 

 

 

「この様に手をかけ過ぎても、手をかけなさ過ぎても植物は枯れる訳だ。

今回は若芽が出る程度で終わらせるが、これが本業ともなれば成長し収穫させるまで続いていく。それも大抵1年かかる。

⋯忘れるな。戦争とはこう言った当たり前の事すら出来なくするものである事を。」

 

時に民の生活について話し

 

 

「『兵は詭道なり』

俺の居た所ではそういう言葉がある。

格上の相手に正攻法で挑んでも勝機は薄い。⋯ならば戦い方を考えねばならない訳だ。

『心体一致』精神を静めるからこそ、その実力は発揮出来る。」

 

 

「⋯基本的な能力があるゲレタ殿の奇策は侮れませんね。」

 

タリスの護衛隊長であるオグマ。

歴戦の勇士たる彼相手の模擬戦でゲレタは勝ち星を得た上で訓示する。

 

 

 

 

 

 

「⋯しかし、蹴りや腰帯を使った戦い方ですか。」

 

唸るジェイガンに対して 

 

「これは寧ろ私の様に正規の訓練を受けていない。

或いは子供や女性の護身の術として広める所ではないか?と考えております。

見ての通り、経験豊富なオグマ殿に対してもこうして抵抗出来たのですから効果はあるのでは?」

 

 

 

「流石に股間を痛打されると思えば警戒もしますよ。」

 

オグマは冷や汗交じりの苦笑を浮かべる。

 

「剥き出しの臓ですからな。

そりゃ狙いますよ。⋯本気で蹴り抜けば色々終わる(・・・・・)でしょうが、ね?」

 

ゲレタの凄みのある笑みにオグマは勿論、ジェイガンや騎士達も冷や汗を流した。

 

 

 

「ふむ、これは効果があるかも知れぬな。」 

 

オグマとの模擬戦を見学していたタリス王は側近達と話を始める。

 

 

 

「しかし、異音がしたところからその靴に秘密があるのでしょう?」

 

「まぁ、ね。」

 

ゲレタはその辺の建物に足の甲を軽くぶつける。

 

 

「この靴の甲には薄い鉄板が入っている。鉄なので、効果は見ての通りさ。」

 

 

その後、ゲレタはタリス王の願いによりゲレタの靴

安全靴の基本的な知識を皮職人と鍛冶職人に伝え、アカネイア大陸製安全靴の開発に関与する事となる。

 

 

 

 

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「ふむ、この国の防衛について、か。」

 

ゲレタ曰く『安全靴』と腰帯こと『ベルト』(一般普及用)の開発によりゲレタの持つ知識の有用性はタリス王やその周辺の知る所となった。

 

 

更にガルダの狩人カシムを家臣として迎え、その家族をタリスで養うにおいてゲレタは腰を据えてタリスの発展について意見を求められる場合、意見する事とした。

 

 

 

食糧増産や海産物の食べる物の拡大。

更にタリス王国そのものの防衛に対する変化。

 

ゲレタはタリス王に其れ等を提案し、王はそれについての話し合いの場を持つ事とした。

 

 

「ガルダの海賊については、基本に水際で対処すべきでしょう。

ひと度上陸させて倒し切れれば良いですが、そうでなければ処理が大変となります。

一応護身術を広める事で多少の対応は可能かと思いますが。」

 

「それについてなのですがゲレタ殿。

ガルダの海賊を味方とするのはどうでしょうか?」

 

 

 

「私個人としてはお勧めしかねます。」

 

「それは何故だろうか?」

 

タリス王の言葉にゲレタは応ずる。

 

 

 

「ガルダの海賊を味方にするとして、その管理が今のタリスに可能でしょうか?」

 

「⋯うむ、それは否定できぬか。」

 

 

 

 

 

「私の生国に伝わる話なのですが、そうやって海賊と呼ばれる者達を国が管理しようとしたと聞きます。」

 

「その言い方では上手くいかなかった、と?」

 

「相手は海の上で自由を謳歌していた者達。

自分達にとって都合が良いから従っているに過ぎなかったのです。

結果、彼等は国の定めた所を破りました。」

 

「そうなる事があり得ると。」

 

「仮にそうならずとも、タリスの目の届かぬ所で略奪する事もあり得ましょう。

その悪評は海賊のみではなく、タリスにも及びかねませぬ。

その危険性を理解してなお海賊を幕下に置くのであればお止めしようがありませぬが。」

 

ゲレタの言葉に王のみではなく、側近達も唸る。

 

 

 

「であれば、味方とするのは危険か。」

 

「故にシューターの開発が必要かと。

更に沿岸部の砦に射手を多数配備し遠距離から仕留めるべきではないでしょうか。」

 

ゲレタは降りかかる火の粉は払わねばならぬと提案し

 

 

 

タリス王達はそれを良しとした。

 

 

 

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「民と国を動かす者は見える景色が違う。

アリティアを取り戻すとなれば、最低でもアリティアを占領している軍勢を破る必要がある。」

 

「はい。」

 

 

ゲレタはマルスと話をする。

 

 

「裏切ったグラを許せとは言わん。

だが、相手にも事情があった事は理解して欲しい。

まぁ裏切りを働いた者は芯がブレるから信用しようと俺も思わないけどな。」

 

 

 

 

ドルーアは暗黒竜メディウス率いる組織。

その麾下にはモーゼスやゼムセル、ショーゼンを始めとした多くの竜人族がいる。

 

 

数でこそ他国に劣れど、その戦力は絶大無比。

特に敵大将であるメディウスが仮にも前線に出てこようものなれば、例え神器があっても不利は否めない。

 

 

何せ今の大陸において神器を持つ者は実力、或いは精神が不足しており

その全てを引き出せる筈がないのだから。

 

 

マケドニア王ミシェイルはドルーアに与さねばならなかった。

元はドルーア帝国の奴隷であった国祖アイオテの事を思えば屈辱的であっただろうに、その屈辱を甘んじて受ける事をミシェイルは選ぶ。

⋯いや、マケドニアに元から選択肢など無いに等しいだろう。

 

 

ドルーアとマケドニアは他の大陸国家と海を隔てた所にある。

仮にアカネイアへの義理を優先して、マケドニアがドルーアに抗うとしよう。

 

マケドニアの国土は間違いなく戦場となり、民は戦闘に巻き込まれる事を余儀なくされる。

そこまで抵抗しても、アカネイアからの援軍が早急に送られる可能性は決して高いものではない。

 

 

 

 

どう考えてもマケドニアはドルーアが復活した場合の肉壁(時間稼ぎ)扱いされるとしか思えないのだ。

 

 

マケドニアという飛行兵を多数有する国がドルーアに与せば、その時点でアカネイアから最も遠いグルニアの劣勢は否めない。

何せマケドニアはマトモに戦う必要などない。

 

 

飛行兵により撹乱し、弱い所や弱っている兵

孤立した部隊から斬り潰せば良いのだから。

 

戦況が悪ければ、撤退も容易。地を駆けるグルニアと天を駆けるマケドニア。

どちらが速いのかなど問うまでもなかろう。

 

 

 

確かに精強無比の黒騎士団なれば耐え得る事が出来るかも知れない。

が、黒騎士団の強さは騎士個人の能力も然ることながら装備の充実さがあるのは間違いない。

 

まして、ゲームではない以上疲労という必ずついて回る問題もあろう。

 

 

 

それこそマケドニアが手段を選ばぬのならば、高高度からの槍の一斉投擲でも壊滅的被害を与える事も叶おう。

 

 

 

原作において、カミュやロレンスはドルーアに着いた国王ルイの判断を良く思っていなかった様だが、であればそれを口にすべきだろう。

少なくとも部隊を任せられる程度には重用されていのだから。

 

寧ろ問いたいものだ。

 

 

 

空を自由に駆けられるマケドニア相手にどう民を守るのかと。

 

 

 

カミュやロレンスはあくまでも戦力(戦うもの)の話しかしておらず、守るべき民を勘定に入れていない。

国土に踏み込まれた時点で戦争の初動は負けている。

 

ゲーム的にはグルニアにおいての脅威となる盗賊ユニットは1体であったが、それは逆を返せばグルニア騎士団という強力な抑止力があってなおも賊を根絶出来ていない。

そう言えなくは無いだろうか?

 

 

勿論ゲームシステムとして一つのマップにつき盗賊ユニットや山賊ユニットは配備せねばならないのも理解しているが。

 

 

 

 

「己の善意でやった事が必ずしも好ましい未来を引き寄せるものでは無い。

未来は定められたものではない。此処の力によって創られるものなんだ。」

 

ゲレタの言葉にマルスは神妙な顔で頷いた。

 

 

 

 

「それはそれとして、兄上。

模擬戦の時に蹴りは勘弁して欲しいのですけど。」

 

「流石にせんわ。

あくまであれはお披露目であり、有用性を示す為のもの。

それだけに頼り切るつもりはない。死にたくもないし、エリスやお前を悲しませたくもないからな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エリスとも

 

 

「蹴りの鍛錬をするのは否定せんけど、少しばかり無防備過ぎやしませんかねぇ!?」

 

「⋯貴方になら見せても恥ずかしくないと思うもの。」

 

 

と鍛錬に励んだとか何とか

 

 

 

 

こうしてタリスでの日々は過ぎてゆく

 

 

 

 

 

 

 

 

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