蒼の姫と異邦人   作:外道山賊

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目指すもの

「はてさて、どうなる事やら。」

 

ゲレタは心底面倒そうに呟く。

 

 

オレルアンにおけるマケドニア軍との戦闘は万事上手く推移。

元々タリスとオレルアンの橋渡しをしたのがゲレタであり、そのゲレタはアリティアの王女であるエリスの伴侶。

 

 

となれば、必然的にマルスとの文のやり取りもあり、結果としてオレルアン騎士団と暫定アリティア軍との共同作戦に支障があろう筈もなかった。

 

 

 

が一方で問題も起きている。

 

 

サムスーフにて保護した形となったシスターレナ。

彼女がマケドニアの貴族の娘である事が判明した為である。

 

 

 

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言うまでもないが、現状アリティア、タリス、オレルアンは反ドルーアで一致しており

それはドルーアに従う姿勢を見せているマケドニア、グルニア、グラに対しても同様だ。

 

 

 

別にマケドニアの者であろうとも、事情があれば受け入れるのは然程難しいものでは無い。

 

問題は、レナの兄であるマチス。

 

 

彼は確かにレナ(いもうと)の説得により此方に協力した。

⋯だが、それはマケドニア側からすれば明確な裏切り。友邦グラの裏切りにより祖国や家族を失ったアリティア騎士達からすれば、決して好ましい光景(もの)に見えるはずもない。

 

しかもオレルアン騎士団からすれば、それこそつい先程迄敵対していた者となれば

その心中は複雑なものであろう。

 

 

何せマケドニアの侵攻により、オレルアンは城を落とされ国内も乱れたのだから。

 

 

 

しかも

 

 

「つまり、マケドニアの主力たる竜騎士はミネルバ王女の命でオレルアンに配置されていなかった、と?」

 

 

ミシェイル王の妹であるミネルバ王女の不徹底さ。

これもまたマケドニアという国自体に対する信用を大いに下げていた。

 

 

それに加えて、直前まで味方であった者を躊躇いなく攻撃するマチスの姿。

 

それは信義よりも己の感情を優先するという利己的なものが透けて見え、多くの者がマチスに対して不快感や不信感を抱いた。

 

 

 

ゲレタからすれば、それは至極当然の事であり

 

「そこも覚悟して祖国に槍を向けるのだろう?

⋯何を今更。」

 

と言うのが本音だった。

 

 

 

 

そもそもマルス達アリティア騎士を中心とする組織とは言え、その実シーダやオグマを始めとしたタリス勢。

ハーディンとその配下の騎士のオレルアン勢と組織としては歪なもの。

 

 

それを纏めるのは反ドルーアであり、また信用なのだ。

 

 

初手から信用を投げ捨てたジュリアンやマチス。

マケドニアの者である事を戦場で明かしたレナ。

彼等や彼女はそれに対する対価を支払うしかない。

 

 

⋯ナバール?

 

まぁ傭兵にも依頼主に忠実な者と自身の流儀に忠実の者がいるわけで

その結果、どうなろうと自己責任だろう。

 

 

ただ、それは組織に属さないからこそ許されるものであり、組織に属しておきながら己の信条や主義主張に固執するのはその組織に不利益を齎しかねない。

 

 

 

 

未だ未払いの者もいるが、勿論しっかりと取り立てる所存。

何せそのせいで喪ったものは余りにも大き過ぎる故に

 

 

 

 

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ゲレタは確かにアリティアの人間となった。

 

アリティア王女エリスの配であり、だからこそアリティアやこの組織に対して権を持つ以上責任も果たさねばならない。

 

 

 

故に不和の元は早々に摘み取らねばならぬ。

 

 

ゲレタはジュリアン、レナ、マチスに対して包み隠す事なく己の事情を説明しては?

 

そう声だけかけた。

 

 

 

子供であろうと、戦場に出る以上無責任では許されぬ。

戦場に出る事は他者の命をも左右する事なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレルアン公はタリスの発展に寄与したゲレタの事を書面で知っており、また公に近い者もその事実は共有していた。

 

 

アカネイアのニーナ王女を旗印とし、反ドルーアの兵を挙げる。

それについて公やオレルアンの文官達は了承していた。

 

 

だが、ハーディン率いるオレルアン主力を動員する以上オレルアンを万全なものにしたいと言うのは彼等の本音。

 

 

ゲレタは苦笑しつつも、アリティアを解放した際友邦や有力な支援先が増えるのは望ましい事とオレルアン側の考えを受け入れる。

勿論、アリティアのトップであるマルスに許可を貰った上で、だが。

 

 

 

更にドルーアとの戦いとなれば、今までの様な体制では無理が生じるとし

新たな部隊。

 

後方支援部隊の設立をマルスやジェイガン、ハーディンに具申する。

 

 

 

 

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後方支援部隊

 

それは原作で言う所の輸送隊であり、また戦場に帯同する武器、道具屋。

更には城内や砂漠などの特殊な環境下。つまり騎馬の運用出来ない

或いは運用し辛いところにおける騎馬などの管理を担う部隊。

 

 

勿論、兵站などの管理もこれに含まれる。

 

 

言うまでもないが、此等を欠いて戦争は出来ない。

だが、故にこそ部隊を任せる者の人選は慎重に慎重を重ねねばならぬ。

 

 

 

とある事情もあり、暫くオレルアンから離れるべきではない以上

その準備を進めるのは当然だろう。

 

 

アカネイアを解放すれば、ある程度の支援は受けられようが

その場合アカネイア側の都合を優先せねばならぬ事もあろう。

 

 

 

幾らニーナがマルスを信用して、ファイアーエムブレム(原罪の証)を寄越したとしても

それを軽く見る者が出ないとも限らないのだから。

 

 

 

 

「⋯さて、色々やらねばならない事があるからな。

忙しくなるぞ。」

 

 

 

 

英雄王の影

漆黒の英雄

 

後にそう評される事となるゲレタ。

彼の活躍(あんやく)はこれからだった。

 

 

 

 

 

 

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