遅くなり申し訳ございません
(あれ?どこにいったの?)
突然消えたあの男は名乗ることなく、この作品にはこれ以上登場することはないだろう。
「何かいったか?」
「いえ、何もいってませんが?」
「僕も何もいってません。」
「何か悲しい事実が聞こえたのだが?」
「確かに何か聞こえましたね。もう登場することはないだろうとかなんとか。」
そんなことを話ながら開店準備を再開した。
「今日はもうやらないんじゃ?」
「あいつが期待はずれだったからな、仕方なく開店するんだ。仕方なくな。」
そう、仕方なくを強調しながらまた今日もお店は開店した。
(そういえば、明日は登校日だ。あっちに帰らなければいけないのか……)
「そうだ。私も教師をやってるからには学校に行かなければ。」
「こんなのでも一応教師やってるもんね?」
「はいそこ黙りなさい。いくら私が何もやってなくてもこんなの扱いはやめなさい。」
などと無駄なやり取りをしているうちにその日は営業時間が終わり、久しぶりに家に帰って来た。
久しぶりの家は少し埃があるくらいで何も変わってなかった。さて、準備を終わらせて早く寝よう。
次の日、朝目覚めるとダイニングのテーブルにはサンドイッチと書き置きが一つ。
『先に行ってます』
どうやら先にいっているらしい。そう思いサンドイッチを口にしながら時計を見ると八時半を示していた。
「あ、遅刻……」
少しだけだるいな、なんて思いながら着替え家を出て走り出した。
なんで起こしてくれなかったんだろうなんて考えながら走るもんだから、前方不注意になる。簡単に言うと何かにぶつかったのだ。固いものでなかったので怪我はしなかった。むしろ柔らかかった気がする。なんて思いながら頭を上げた。
「いったぁーい!」
(どこから出たんだその声なんて思ってしまう甲高い声は目の前から発せられたもの。と、すると、目の前にいるのは……)
「君、ぶつかったんだから謝んないと!」
「ごめんなさい」
「よし、許します」
(何て言われながら頭を撫でられる。撫でるのはいいのですが、なぜ撫でるのです?)
「矛盾してるぞ、少年」
(やだぁー、この人も心読んでくるタイプの人なんだ……)
「さて少年?そろそろ立ちたいので四の字固めを解いてくれないだろうか?」
(今なんて?)
「え?」
「え?じゃなくて、こうすればいいのかな?」
何て言いながら力を入れてくる。きれいな四の字固めは自分には被害がないと言うが今のそれはそうではないらしい。故に、
「いったぁー!!」
そう、かけている方にもダメージが入るのだ。
「わかったら早く解いてくれるかな?」
「わかりました……」
そう言いながら組まれている足を外していく。……随分器用な転び方をしたようだ……
「さて、少年は急いでいたけど大丈夫なのかい?」
何て言いながら頭を撫でてくる。それはさながら愛犬にそうするように。
(あ、学校行かなきゃ……)
「そっか、学校か。それならもう遅刻なのかな?今日はどうやら登校日らしいし。」
(撫で撫でしながらはやめてください。意外と気持ちいいのです……)
「そかそか。じゃ、おねぇさんが学校までつれてってあげる。そろそろ迎えが来るはずなんだ。」
撫でるのはやめてくれないのですね……。けど、送ってくれると言うのならば乗せていってもらおうかな?
なんて思っていると目の前にピンク色のあれが……横幅関係なくポケットに入っていく扉が現れた。
(やっぱり、自分で……)
「どうして?すぐつくよ?」
「いや、自分で行くのは久々なんで……」
自分でいっておきながら苦しい言い訳になってしまった……。これはない。
「ほら、落ち込まないで!」
撫でながら言うと本当に慰められている気分になる……
気づいたら前に歩き出していた。
(ここは!)
「ほら、もうついたよ?」
(小学校じゃん!)
「うん、小学校だよ?早く行かなきゃ怒られちゃうよ?」
(……やっぱり中学生には見えないのか)
「え?」
「え?じゃないよ!心読めるならその辺まで気を回してほしいものだ。」
「どう考えても小学s「中学生です!」」
やっと学校に着いた頃には九時を回っていた。
突然出てきたあなたは誰なんですか!?