ソノタノミカタ   作:nissy

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第9話

しばらくは何もない普通の夏休みが続いた。どこにも遊びにいけない。これは辛いんだけどね。

 

せっかくなので海にでも行きたい!

 

「行けばいいじゃん!」

 

キョーコさんはそういうけど、心配なんですよ。あなた達は家の事何もできないじゃないですか。

 

「私達も行きたいし」

 

それなら、一泊どこかでしても……けどお金無いし。

 

大人の経済力なめるなよ。そういう呟きが聞こえた気がするが、気にしない。正当な手段で就職してない吉本先生も働いているそぶりすら見せないキョーコさんもどちらも、僕の貯金を切り崩して何とか養っているこの状況で、どう信用しろと?

 

そうだったんだ。とか聞こえてきた。申し訳ないとかも。もう知らない。きっと今月で貯金が底をつく。そんなことさえも知らない二人なんだから。二人のせいでバイトができないってこともきっと知らないだろうし。

 

ところでどうして僕はここで一人暮らしをしてるんだ?

 

「今はもう二人いるけどね」

 

そんなの関係ない。

 

海行く前にバイトしなきゃみんな飢え死にしちゃう。

 

……海……バイト……海……バイト……海……バイト……海………………

 

おっ!?海の家でバイト

 

あっ、でも学校に許可とらなきゃ……

 

「それは私がしておこう。」

 

毎回思うけど吉本先生「お母様かママと呼んで」は学校でどういう立場なんだ?

 

「他人の思考にカットインしないでください!」

 

「だって、よんでくれないし」

 

「わかったよ、呼べばいいんだろ、ババァ」

 

「なに、なんか不良みたい。その呼び方もいい!けど、可愛い系のあっ君にはママかお母さんって呼んで欲しい」

 

いや、しないし。可愛い系ってなに?いつからあっ君って呼ぶようになった?

 

それより、バイト先を探さなきゃ

 

「それはもう終わってるよ」

 

えっ?仕事早くない?

 

「それっていつからなの?」

 

「今日の午後から」

 

「準備もなにも出来てないのに何でそこまで詰め詰めで決めちゃったのさ」

 

「荷物とかの準備なら終えてるよ。後は向こうに行くだけ」

 

キョーコの仕事は早かった。正確には既に終えていたと言うのだが。それにどうやら泊まり込みでバイトをするらしく、荷物は結構な量になっていた。それにキョーコと吉本かのんの荷物も準備してあるとこから二人もついていくことが目に見えてわかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖精による不思議パワーでの移動にも慣れ、海にやって来た。

 

「ここが明日からオープンする海の家、fairyよ」

 

ん?明日からオープン?

 

「そしてここのオーナーは私、キョーコです!」

 

はい?

 

「あなたはこの海の家の唯一のバイト」

 

……

 

 

 

そのあともいろいろ言っていたがどうやら、今日は開店準備をして明日に備えるらしい。そして、寝泊まりするのもこの海の家らしい。

 

海の家でバイトなんて計画しなければよかった。てか、普通に考えれば中学生なんて雇うとこないよね。それを考えるとまぁ、よかったと言えるのだろうか。

 

で、開店準備はもう終わってると……

 

「仕事早すぎ!」

 

「なにいってるのさ、私はここ2週間寝ずに頑張ってきたんだよ。もう少し誉めてよ」

 

「えっ?マジでいってるの?」

 

「帰ってくるのはほぼ朝方で10時にはここに来ていろいろやってたんだから!」

 

「すごいな、ちびなのに。」

 

「ちび言うな!お前も他人のこと言えないってこと忘れてるだろ!」

 

「うん、忘れてた。てかそんなに頑張ってたから今まで身長伸びなかったのか。納得した。」

 

「もう身長のことはいじるな!」

 

「はいはい、兄弟喧嘩もそこまでにして、明日に備えて寝るよ」

 

「「誰がこんなやつと!」 」

 

 

と、こんな感じで騒がしい夏休みが本格的にスタートしたんだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこ!なにチンタラやってんの、さっさ運ばんかい!」

 

「はい!」

 

「やってるね」

 

「いらっしゃいませ!」

 

「焼きそば2つ」

 

「へい!」

 

「お兄ちゃん、こっちの注文まだ!?」

 

「今いきます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ま、ピークタイムは忙しかったわけですよ。それを伝えたかったんです。それだけのために恥ずかしいところを……

 

「かき氷持ってて」

 

「はい」

 

「お待たせしました」

 

「ありがとー。お兄ちゃん、白いけどまだ海で遊んでないの?」

 

「はい、忙しくて」

 

「そうなんだ、クラゲが出る前に遊んどきなよ?楽しいときは短いんだからさ」

 

なんか、小麦色の人達に毎度毎度同じことを言われてる。まぁ、遊びたいのは山々だけどお金が必要だしな。

 

それにあの二人がなんだか真剣に働いてるんだ、サボるわけにはいかないしな。

 

そんなこんなで初日はほぼなにもなく終わった。

 

 

 

太陽が赤くなり周りを染め始めた頃、店のなかを片付けていると急に視界が影がさした。

 

あれ?

 

「繁盛してますか、お隣さん。」

 

なんだこの嫌みな言い方のおじさんは。

 

「おじさんとは失礼な!こう見えてもまだ、39歳だ」

 

十分おじさんじゃない?

 

「まぁ、それはどうでもいい!」

 

「あらぁこれはこれは、お隣の店長さん」

 

「お前らの店のせいでうちの店は客が減った!」

 

「言いがかりですよ。いや、むしろ増えてるんじゃないですか?」

 

「何が!?」

 

「負債ですよ」

 

はい!?個人的な感情でここに店を建てたとか言いませんよね?

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