幕間のようにしてみた。
初手から最強…………そんな幻想はフロンティアの地に置いてきた。
今回は短いですが、どうぞ
ーーカナタ視点ーー
リムル坊からの祭りの誘いを受けた晩、儂は縁側に腰掛けながら夜空を見上げる。思い返すのはリムル坊とシュナ嬢のあの表情、小難しい雰囲気はなく楽しみをしたいという感情からくる純粋な笑み。ああいうのを見てしまうと、老いぼれた儂でも再び娯楽を楽しみたくなるもんだ。
しかし、リムル坊が連れてきた金髪の大男……ヴェルドラと言っておったな。
(姿こそ若そうに見てたが、アレは終末を迎えさせるクラスと見ていいだろう。まさかこの世界に来てまたしても、禁忌に近い存在に会うとは)
今でこそ大人しくしておるし、何よりもリムル坊が制御していると見ていいだろう。それもそれで危険ではあるがな。どちらかが危機となればもう片方が破滅を呼び起こしてもおかしくない。危険な綱渡りになるのぅ。
(他国の察しておる者たちは胃が痛んでおるだろうな…………儂のとこにはそれ以上の危険なのおるが)
「考え事?カナタ」
突如としてふわりと隣に座ってくる少女。口元には日中に貰った甘味の食べかすをつけているので、さっきまで食っておったな?
「そういうお主は、シュナ嬢から貰った甘味をもう食い終えたのか?少しは自重せい」
「美味しいのがいけないの、次はお祭りでたっぷり頂くわ」
こやつ…………なんかどんどんヒトに染まってきておらぬか?これでは甘味を渡せばどんなのにでもついていくことになりそーーーーいや、無理じゃな。そんな悪意のある考えを、こやつの前で隠すなんぞ不可能じゃからな。
後、しれっとリムル坊の開催する祭りに行く気になっとる。
「とりあえず…………さっさと畑の野菜を直さんか。お主以外であんな阿呆なことせんじゃろう」
ここ数日、今まで普通に取れてた野菜たちが急に宝石のように輝く野菜になった。原因なんぞ一つしかない…………のんきに両脚ぷらぷらさせてるコヤツしかいないからな。
「あら?おかしなことを言うわね?私はちょっとお手伝いしてあげたの…………お野菜さんたちがもっと美味しくなりたいって言ってたから」
「それがなぜ、キラキラ光りまくる野菜になるんじゃ?アレでは毒があるのではないかと疑って買いたがらぬわ。」
「あの鬼さんに引き取ってもらえば、お菓子も貰える。お金も手に入る。いい事だらけよ?」
「がめつい奴め」
ああいうとこう言う、コヤツの存在がいよいよ儂の頭痛の種になりかねぬな。業腹であるが、シュナ嬢に当面引き取ってもらうしかないの。こう頭を抱えたくなるのはギルド長時代以来じゃ。
「そろそろ休むぞ」
儂はそう言って立ち上がって寝室へと向かっていく。不思議と今夜は………昔を思い出しかねんな。
◇◇◇◇◇
カナタはごくごく普通の種として誕生した。竜のような強靭な身体的能力と、圧倒的な長寿である、竜人族として生を受けた。
カナタは何か特別な役割を持つ家柄に生まれてはいない。ごく普通の作物を育てる生活をしていて、ゆくゆくは家督を継ぐかもとされていた。
そんな生活の中で、村に数名のハンターたちが訪れてきて、そのものたちの生き様を見て憧れてしまったカナタはハンターになる事を目指すことを決めた。最初こそ両親に渋られたが、新たな子が家督を継げれることになったので、カナタは家族と別れを告げてハンターの世界へと入っていった。
ミナガルデにあるハンターズギルドにて登録を行い、度重なる訓練を積んだ。ハンターの職には、人間が圧倒的に多かったが、竜人族のハンターもそれなりに多かった故に孤立せずに済んだ。
訓練を得て、苦手な武器もあったがカナタは細身な刀身である大剣(後に太刀のカテゴリーへとなる武器)が抜きん出て扱えていた為、主力武器として使うことにして狩りへと出向きだした。
当時のカナタは、現在のような凄まじい戦闘能力なんて持っていなかった。ブルファンゴたちの突進に吹き飛ばされる、群れるランポスたちに苦戦する、薬草と毒草を間違えそうになる…………何処にでもいる初心者なハンターであった。
ソロでの狩猟でそんな経験をしていく生活の中で、ココット村周囲での狩猟をすることになった。ソロで向かう際に、三人の同期と共に行くことになったので、その者たちとパーティーを組むことになった。それが長く、長くパーティーを組んでいくことになるとは当時は思わなかった。
パーティーを組んだはいいが、全員が兎に角素人。フィールドでの沼にハマって動けなくなったり、ランゴスタの巣を刺激した事で襲われたり、大型モンスターに逃げ回ったり……とにかくカナタたちは苦労する泥臭い新人時代を駆け抜けていた。しかし、それでも四人はいがみ合うことは無かった。そんな事も酒場では笑い話にして吹き飛ばし、次の対策で額をくっつけ合って話し合ったりを繰り返した。
幾年も経ち、カナタたちも一人前なハンターとして名を、力を上げていった。時代が進んでいったことで、新たな武器種も増え、本格的にカナタは新たな武器種に登録された太刀をメイン武器に据え、仲間たちも各々の得意な武器で戦い、駆け抜けた。
ココット村から始まった四人はドンドルマという街で活躍、モガの村、ロックラックと色んな拠点を渡り歩いていった。その間に、弟子になりたいと言った者もおり、旅の中で育てた。
そして、その数多くの功績を称えられて、ギルドの中でも最高峰であるハンターの証、『G級』を与えられ、その武器での活躍から二つ名までも付けられた。
更に幾年と経ったある日、訪れてほしくない刻が訪れた。竜人族であるカナタは長寿であるが為に良かったが、人間種である三人は老いにより身体能力の低下によって、これ以上ハンターを続けるのが困難として引退を余儀なくされていった。カナタはそれまでに多くの問題を解決した事で、ギルドマスターへと推薦されることに。
仲間が引退しても尚、カナタはギルドマスターの仕事の合間を使い仲間の元に訪れ、昔のように話し合ったり酒を交わした。永遠なる別れが来る、その時まで。
ギルドマスターになっても、カナタは卓上での仕事だけにせず前線でも戦い抜いた。ハンターたちの動向など管理をしながら、生態系を守る為にあらゆる場所へと訪れた。
ある時は海の村へ。ある時は海を超えて新たなる大陸へ。ある時は未開拓の未踏なる大地へと。その数々の功績により、伝説となっていったカナタには、その背に憧れ、あるいは救われた事により多くの者たちが弟子入りを希望するのが増えていった。
カナタはそれらを誰一人見捨てず、一人前なハンターにするべく厳しく、そして優しく育て上げていった。おかげで妻とかを娶る暇なんてなかった。
更に幾年もの年月が経っていった。途中、右眼を失ったり、致命的な傷を数多く負いながらも、カナタは歩みを止めなかった。どの位の年月が過ぎ、どれ程の弟子たちを見送り続けても、それを忘れない為にも前に進んで、狩りの場へと出向き続けた。
そして、『禁忌』の出現により現役のハンターたちの中でも最強であったカナタは、当時最も優れたハンター三人を付き従えて迎え撃った。
そしてある日、ギルドに届いた一つの依頼書で運命が決定づけられた。
その依頼書に書かれた場所へと向かい、古塔に現れた『白いドレスの少女』との邂逅。そして……絶対的なる、理の外より現れた『祖』との死闘。
仲間を庇い左腕を失ってしまい、塔そのものを破壊しかねない程の激戦の末、カナタはかろうじて撃退する事に成功した。しかし、その代償としての左腕の欠損が大きな致命傷となり、カナタはハンターとして前線に立つことが少なくなっていった。
そして……その日以降、ギルド本部にいたカナタのところに度々白い少女が現れては揶揄ったり、微笑みながら側に控えたりするのが目撃されたよう……。
◇◇◇◇◇
ーーカナタ視点ーー
ハッと目を覚まして起き上がる。直後に襲ってきた左の疼きに右手でそっとつかむ。
(全く……ヴェルドラ殿との邂逅で、懐かしいのを見てしまったようじゃな)
忘れたくもないあの日々、それはどれ程の長き年月経とうとも……決して。このまま寝るのは無理そうじゃな、夜風に当たるとするか。そう思い起き上がる。
「眠れなかったの?カナタ」
寝室より出て縁側に向かうとこちらへと振り向かずに月を眺めてるお嬢さんがいた。ずっと起きておったのか?そんな疑問持ちつつ隣に腰掛ける。
「何、少し懐かしいのを思い出しただけじゃ」
「ふふふ……昔のカナタは誰よりも過激だったわね♫今の姿も気に入ってるけど」
「何を評価しとるんじゃか……」
こやつは時よりようわからぬことを言うから困るな。こんな老いぼれをなぜ気に入っておるのか…。
「カナタ。私はアナタだから気に入ってるの。『私に唯一傷を付けた』存在として。」
「………そうか」
こっちの心を見透かしたように、お嬢さんから告げてきて、その言葉に何故か納得してしまう。そうだな、『
そんなのはどうでも良い…か。今はこのお嬢さんのご機嫌を損ねないよう気をつけねばな。
「それよりも………そろそろ名前で言ってもらいたいわね?こっちに来てから言わないのもおかしいわよ?」
「お主のその名を口にしたら、ろくなことが起きんよ。故に、当面言わぬ」
「もう……焦らしたいのかしら?ふふふッ」
なんか納得した様子で微笑みながら月を見上げるので、これ以上は言うまいと思い月を見上げる。憎たらしいほど、きれいな満月であり、星も煌びやかに輝いていた。
色々まだ情報を隠しながらの回にしました。おかげで短く。
最初から最強やチートは悪くないとは思う。でもそれはしません。
そのほうが、最もヒトらしいから(多分)
今後ので一人称と三人称、どうすりゃいいからなぁの意見聞きを(コソコソ)。他にもご意見あれば感想とかでも
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一人称
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三人称
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どっちも混ぜ込んでヨシ!