塩安様、誤字脱字のご報告ありがとうございます!
前話の続きをどうぞ
茶を淹れた湯呑みをリムルたちそれぞれに渡していって、自身の茶を啜りだすカナタ。
「ほれ、温かい内に飲むが良い」
「あ、どうも………おッ!これは…」
カナタに勧められて、リムルは軽く息を吹きかけてから飲む。口に広がるお茶の味、飲んできてる味のお茶だけどなんだかほっこりしてしまう温かさに思わずホッと息を出してしまうリムル。
「これは………」
「美味しいです、淹れ方の違いでこんなにも差が……」
ベニマルやソウエイもそのお茶の味に少し驚き、シュナは自身のと違う味を出してる事に驚いて分析をしてしまう。
「はぁぁ〜………やっぱ落ち着くぜ」
「ふぅ……ふぅ……んっ……」
一度飲んだことあるフリッツたちは、すっかり目的を忘れてしまってるほどに寛いでしまっている。ヒナタは少し熱かったのか息を吹きかけながら飲んでいた。
「さて………こんな質素な小屋には金目なんて無いぞ、お客人たちよ」
茶を飲んで落ち着いた頃合いにカナタが声をかける。真剣な顔持ちでリムルを見つめ、慌てながらリムルは否定をする。
「いやいや!そんなことしないって!オレたちはお礼をしに……ッ!」
「小僧………少しは老いぼれのジョークに付き合わんか。冗談じゃて」
大きくため息をついたカナタから告げられた言葉に呆気に取られるリムル。その表情を見てフッと笑うヒナタ。
「あなた、腹の探り合いとか向かなそうね?このご老人が私たちを覚えてない訳ないでしょ?」
「じゃな……そこの老いぼれは無駄に肩張っておったお主を
上品さを感じるようにお茶を飲んでるルミナスからの言葉にようやく理解したリムルはぐぬぬ……と唸りながらカナタを見るが、飄々としていた。
「で?儂に何のようじゃ?」
改めて問いかけるカナタに対してビシィッ!と手を上げるシオン。いきなりなので、隣にいたベニマルが思わずビクッ!っとしてしまう。
「リムル様!私が言っても良いでしょうか!?」
「お、おぉ……良いぞ、シオン」
「む?……お主、あの日の娘か?」
思いっきり手を上げたシオンを見て左眼を細めるカナタ。身に覚えのある感じに言ってる時、シオンは湯呑みを置いてから頭を下げる。
「リムル様の第一の秘書をしている、シオンと申します。あの日………住民を救ってくれた事、私たちの命を繋げてくれたきっかけを作ってくださり、感謝いたします」
シオンの誠心誠意の感謝の言葉を正面から聞くカナタ。同様にリムルとベニマル、ソウエイ、シュナたちも頭を下げる。
次いでヒナタも口にしながら頭を下げる。
「私からも感謝を。貴方のおかげで死なずにすんだわ。ありがとう」
「私たちからも、ヒナタ様を救ってくださり感謝します」
座ってたリティスたちも姿勢を正して頭を下げる。
その光景を見たカナタは……ため息をつく。
「要らぬよ。儂はあの日はただ目の前の暴挙を見逃すほど愚かでなかっただけじゃ。昨日のもただの散歩ついでじゃて。それが目について横槍をしたに過ぎん」
そこには自慢するようなのも、承認欲求の感情もない、無欲とも言えそうな言葉。そう思わせる達観した雰囲気をしつつ、ヒナタとシオンを見るカナタ。
「じゃが……生命を繋ぎ止められたこと、今は安堵しておるよ。次からはそれを大事にするが良い」
「ッ!はい!この命、リムル様の為に使います!」
「えぇ、この借りは必ず返すわ」
軽く笑いながら告げた言葉に力強く頷くシオンと、恩返しを約束するヒナタ。それを横で見てたリムルたちは安心したように息を吐く。
「さて……」と言いながら湯呑みを置きつつシャキッとするリムル。
「改めて自己紹介するな!オレはリムル、このジュラの大森林にある魔国連邦・テンペストを治めるスライムだ。一応魔王をやってる」
「ベニマルと言います。テンペストの軍事を任されてる者だ」
「……ソウエイ、お見知りおきを」
「シュナと言います。内政等を任されております。後でお茶の淹れ方とか教えていただければ」
リムルの挨拶を筆頭に頭を下げながら自己紹介をするベニマルたち。シュナは紹介と共にお茶についても聞きたそうに告げたりしている。
「ヒナタ・サカグチ。神聖法皇国ルベリオスの西方聖教会の騎士団長を任されているわ。こっちは同じ騎士団のフリッツ、バッカス、アルノー、リティス」
ヒナタが代表として自己紹介をすれば、アルノーたちは頭を下げて挨拶をする。
「妾はルベリオスのルミナスじゃ。宜しく頼むぞ、老いぼれ」
後ろに座っていたルミナスは姿勢なんて正そうとせずにゆったりしながら挨拶をする。余裕な感じに苦笑いをしてしまうリムルである。
「ふむ………自己紹介されてしまっては、返さぬのは礼儀に反するのぅ。儂はカナタと言う、見ての通りの隠居の老いぼれよ。程々に頼もうかの」
自己紹介されたカナタはひと息ついて、姿勢を正してから己の名を告げる。言葉の節々に『これ以上な面倒はごめんだがなぁ』と思うような言葉も見え隠れしてるが。
「さて……それじゃ、こいつを受け取ってくれよ。テンペストからのささやかな礼だ」
リムルはそう告げると持ってきた荷物をベニマルに頼んで開けさせる。その中には、高級品とも言えそうな見た目の織物や名産品、たっぷりの金貨、そして菓子物などがたっぷりと詰め込まれていた。それ見て、カナタは眉をひそませてしまう。
「おいおい……こんな老いぼれにこんな豪華なもんは要らんぞ?礼なら今の言葉で十分じゃて」
「いやいや!街の住民を救ってくれて、ヒナタたちの命だって救ってくれたんだ!これでも少ない方だよ」
「あんなのただの気まぐれじゃ……兎に角、それは持って帰れ。儂には無用な長物じゃ」
「そうはいかないわ、受け取ってもらわないとこちらの立場もないわ」
あまりの豪華な品に受取りを断ろうとするカナタ。しかし、リムルは街の住民を、ヒナタは自身の命を救ってくれたのだからしっかりお礼をしたいと思って一歩も引かない姿勢。ベニマルたちも同意見とばかりに止めようとしない。
カナタは大きくため息をつきながら、もう一度断ろうとした時、
ーーススス……ヒョイッ
音も無く一つの影が荷物へと近づいていき、品々の中から菓子物をひったくる。そのままカナタの真隣に座りつつ、焼き菓子の一つを手にして食べだす。カナタたちがそちらへと顔を向けると、はむはむと食べてる白い少女がいた。
(えっ!?あの子いつの間にッ!?全然気配感じなかったぞ!)
「おいお嬢さん、何勝手に食っておる?!」
あまりの光景にリムルが驚く中で、勝手に食べだしてる少女を怒るカナタだが、当の本人は知らん顔しながら、至福そうにお菓子を食べる。
「んーーーッ♫甘くて美味しいわッ!これは私が頂くわ」
「頂く…ではないわッ!返さぬかッ!」
止めようとするカナタからヒョイと躱しながら食べ続ける少女。途中でカナタはこれ以上は無理と判断し、諦めるように大きくため息つきながらリムルたちを向き直る。
「はぁ……ああなっては無理じゃな。仕方ない、あの菓子物だけ受け取ろう。残りは流石に断るぞ?これは譲らんからな」
「リムル様、ヒナタ様。これ以上の押しつけは流石に駄目かと…」
シュナからの意見もあり、ちょっと不服そうにしつつも引き下がることにするリムルとヒナタ。ルミナスは、お菓子を食べてる少女の整った美しくて可愛らしい容姿にオッドアイを煌めかせていた。
荷物を仕舞わせていた時、リムルが気になっていた事を聞く。
「そうだ、聞きたいことがあったんだった。カナタさんって………転生者だったりします?」
「む?転生……?何じゃそれは?」
転生者という言葉に聞き覚えがないので首を傾げるカナタ。気になったヒナタがリムルに問いかける。
「リムル、どうしてそう思ったのかしら?」
「ああいや、カナタさんの容姿って、オレの前世とかで見たことある、『竜人族』っていうのにそっくりだからそう思ってな」
「それ……もしかしてゲームとかで?」
「ま、そんなとこ」
同じ世界からきたリムルとヒナタは解るが、ベニマルたちやアルノーたちは何のことか分からず疑問符が浮かぶ。そんな中、カナタは種族の名を聞いたときにぴくっと眉を動かす。
「言っておる言葉の内容は分からんが、確かに儂は竜人族じゃ。もう隠居をしておる身、それ以上は語るのは面倒じゃ」
まるで過去を話す気は無いと言いたげにしながら茶を啜るカナタに、これ以上の詮索はやめておくリムルである。
お礼等の話しが終わり、帰ることにするリムルたちは玄関を出てカナタへと挨拶をする。
「いやぁ、本当にありがとう。またテンペストに来てくれよ、歓迎するからな」
「カナタ様。お茶の淹れ方のお話、ありがとうございます」
シュナは教えてもらったお茶の淹れ方をメモした紙を手にお礼を言う。
「ま、今後は気をつけるんじゃぞ?リムル坊」
突然の呼ばれ方に一瞬固まるリムル。そして勢い良く詰め寄ってしまう。
「待て待て待て!!今なんてッ!?リムル『坊』!?オレ一応魔王なんだけど!?」
「儂からしたらまだまだ子供じゃ。背伸びしてるようにしか見えん」
騒ぐリムルの頭に右手を乗せてはポンポンと軽く叩くカナタ。完全に子供扱いにぐぬぬ……と思うリムルだが、何故か手を振り払えない。
「ではヒナタ嬢。また無理するでないぞ?ルミナス嬢が心配するだろうからの」
「えぇ、分かってるわ。でも……『嬢』呼びは少し……」
「お主、妾までも『嬢』呼びするでない!妾はお主より上じゃぞ!」
「知らん。儂から見たらそう呼びたくなる。」
「おのれぇ……ッ!」と怒りながら恥ずかしく思うルミナスと小恥ずかしそうにするヒナタ。
「ごほんッ!そ、それじゃオレたちは帰るな!じゃあな、カナタさん!」
「面倒ごとを持ってこんとかなら、何時でも来い。茶くらいは出してやる」
転移門で帰還していくリムルたちを見送るカナタ。最後のカナタの言葉に思わず笑ってしまうリムルたちである。
◇◇◇◇◇
ーーカナタ視点ーー
現れた巨大な門が閉まって消えていったのを確認し、大きくため息をついてしまう。
「やれやれ……なんとも騒がしい日になったもんじゃて」
「ふふふっ、その割には楽しそうだったわよ?」
振り向くと、(勝手に)貰った菓子物をパクパクと口にしながら微笑む少女が見ていた。口元に食べかすが付いてるので威厳なんてゼロである。
「お主はまずその手を止めよ。勝手に拝借しおって」
「貰ったものは貰うものよ?」
そういう意味じゃないと思いつつ玄関の扉を閉めて上がる。
(しかし………あ奴は苦労するじゃろうなぁ、コレから)
あの少年、リムル坊を思い出す。漂わせてる雰囲気はあの中ではトップクラス。それより上はあのルミナス嬢だが。しかし、節々に見えた部下たちからの関係とかを見て、アレは将来頭を抱える日々がありそうだと思ったな。
(仕方ない、何かあったら相談くらいは乗ってやるとするかの)
先人として、そのくらいはしてやらねば。
「カナタ。今日は濃いのを食べたいわ」
今だに甘味を食べてる少女からの夕餉のリクエストを聞いてため息をついてしまう。やれやれと思いつつ、とりあえず『ソレ』は回収しておく。
「分かったわい。ただし……『コレ』は後日返すからの」
「ッ!?そんな……ッ!?」
手にしてるのは大きな袋。しかし中身はジャラジャラと音がなる金貨がたっぷり。あのリムル坊たちの持ってきてた品々の一つだが、しれっと気づかれずに回収してたのを見逃してないからな。
「大方、甘味を買う資金源の一つにしようとしたじゃろ?コレは没収じゃ」
「むぅぅぅ……カナタの意地悪」
「それしなくても、既にたっぷりあるじゃろうが。売った野菜とかで手にした金が」
畝で育ててる野菜たち。自分たちで食べる分と余ったのは売って資金にしており、あまり使う頻度が少ないので溜まってきているが、少女はそこに加えようとしていた様子。
「ほれ、何時まで食っとる。夕餉を作るから手伝え」
「もう……せっかちね?ふふっ」
お菓子を置いて台所へとやってきた少女と共に本日の夕餉の準備を始めていくのだった。
活動報告で軽くリクエスト聞く予定也。
後、勘違いされそうですがAI執筆とかはしてませんので。試しにやったら『これじゃない!』と自分の思うような内容に一切ならなかったので。
次の投稿は数日かかると思いますのでごゆっくり
今後ので一人称と三人称、どうすりゃいいからなぁの意見聞きを(コソコソ)。他にもご意見あれば感想とかでも
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一人称
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三人称
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どっちも混ぜ込んでヨシ!