貞操観念逆転世界の空戦騎士   作:らいらいてー

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空中輸送艦襲撃作戦

 ――魔王領軍西部軍管区、その空域内。

 クダンスク島を攻撃するために集まった空戦騎士の練度は、【彼】から見てもあまり練度が高いものでは無かった。

 腕利きは城塞都市に引きこもるダンツィヒ都市連合(ドワーフ商人)攻撃に向かったせいだ。

 

 敵役を務める。教導隊(アグレッサー)の役割。

 

『クソっ、全然追いつけない!』

 

 勇敢な、しかし、まだまだ実戦経験の浅い生徒が急降下する黒竜に跨る騎士を追う。

 黒竜が翼を羽ばたかせる。

 ワイバーンの3倍、天馬に換算すれば5倍も巨大な体躯が空気を震わせ、更なる高みを目指して上がり続ける。

 その姿は、まるで空こそが彼らの戻る場所であることを物語るようだった。

 宙を、まるで重力を感じてないかのように急旋回、そして急上昇を繰り返し巧みに生徒たちを翻弄する。

 

 ――本来なら格闘戦に不向きなドラゴンを操って格闘戦を行っている事が、エースである事の証左だった。

 その姿に、訓練に参加している諸部族の空戦騎士たちは見惚れた。

 

 結局、誰一人としても【彼】に攻撃を当てるどころか、追いつく事さえ叶わず、今日の訓練は終了となる。

 

「流石です、ミレー百騎長」

 

 地上に名残惜しそうに降りてきた彼に、まだ若い空戦騎士が声をかけた。

 彼女は魔族と人とのハーフ、ハーフデーモンのようだ。

 美しい褐色の肌と銀髪が、眩い太陽の日差しによって照らされる。

 

「ミレー百騎長さえいれば、近頃名を上げている敵空戦騎士も恐れる必要はありませんね!」

 

 ――はて、腕利きは先の王都での戦いであらかた仕留めたつもりだが?

 彼がそう聞くと、彼女は更に言葉を続ける。

 

「ヴィスワ王国に現れた凄腕の空戦騎士の話を知らないんですか? 今はその話題で持ちきりなんですよ?」

 

 彼女が押し付けてきた敵が発行したと思われる新聞紙を見る。出所については深くは聞かない。

 

 ――初陣によって敵空戦騎士5騎撃墜、クダンスク島の英雄、ヴィスワ王国の救世主、アネモネの聖騎士。

 様々な美辞麗句で、彼の戦果は誇張されていた。

 

「戦争と言うのは、騙し合いだ。実際に会ってみるまでは本当に腕利きかどうかは、分からんさ」

「酒は飲んだことはあるか? 高く売ってる酒には気をつけると良い。中身が安酒なことがある。その噂の空戦騎士もそれかもしれない」

 

 あまりにも出来過ぎている。

 クダンスク島の領主の息子が、空戦騎士として頭角を現して大戦果を残すというのが。

 何不自由ない生活を送れるであろう彼が、空へと上がる理由が、彼には分からなかった。

 

「本当だとしても、我らの英雄ミレー百騎長――いえ、【黒の4】の敵ではありませんからっ!」

 

 苦笑いを一つ。

 愛竜の首筋を撫でる。彼女も同じ気持ちだったらしく、グルル、と体を震わせて浮かんだ汗を落とす。

 

 しかし、敵の空戦騎士の事が、暫く、頭から離れなかった。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

「おめでとう、君も立派な英雄になった訳だ」

 

「それは皮肉か? ユニコ」

 

 軽口を叩いてきた彼女へと視線を向けた後に、愛馬であるジュベックへと視線を向ける。

 馬具には赤いアネモネの刺繍。

 女王陛下からの直々の命令だ。

 戦意高揚(プロパガンダ)の為だから仕方ないとはいえ、戦場だと目立つなこれは。

 

 空へと飛び上がる、風が俺の頬を撫でる。

 何十回、いや、何百回、あるいは何千回も空へと上がったが、やはり心が躍る。

 そうとも、空こそが俺の戻る場所、空から引きずり降ろされないために戦ってるんだ。

 

 俺たちが飛びあがると同時に、傭兵団の重装甲剣兵を載せた輸送用ドラゴンも飛び上がる。

 体躯は巨大で性格は温厚な【空鯨】とも称される種。速度は遅いが力持ちだ。

 ドラゴンの腹部に装着されているのは大型ゴンドラ、およそ完全武装した兵隊を50人は積載できる。

 傭兵団の連中も表情が強張ってるな。まぁそれも当然か。

 

『各騎上がったね? じゃ、今回のジャックと7が配られてる状態でダブルダウン選択するぐらい無茶な作戦について改めて確認するね』

 

『その例えは逆に分かりづらいですよ、カミラ隊長』

 

『こほん。……我が小隊はこれより、傭兵団を満載した輸送用ドラゴンを護衛し、敵の空中輸送艦を襲撃。その後は鹵獲するという任務に移る』

 

『護衛騎は4騎だけだぞ? ボク達だけでは少し無茶が過ぎるのではないか?』

 

『敵の空中輸送艦へのドッグに近づくと同時に、山の中に立てこもって抵抗を続けているレジスタンスたちが決起して支援を行う予定だよ』

 

『今から遺書書いた方が良いかな?』

 

『まだ失敗すると決まった訳ではないさ、ユニコ』

 

 敵拠点への敵前着陸、作戦目標の奪取に敵拠点の破壊。

 どう考えても敗戦寸前の国が考えた自棄な作戦だが、勝ちの目はある。

 

『情報部によれば、敵の防御陣地には20ポンドカノン砲、パックルガンなどの拠点防衛用の設備があるらしい』

『いくらマスケットの弾丸ぐらいなら防げる重装兵と言えども、火砲で狙われたらひとたまりもない、我々はそれを破壊し、味方を支援する』

 

『あの、1つ質問が』

 

『なにかな? ルミ』

 

『万が一、防衛陣地を突破できずに鹵獲が失敗した場合はどうなるんですか?』

 

『……輸送用ドラゴンとは言えども最大積載で敵拠点まで飛べば帰りは傭兵を乗せての飛行は疲労で難しくなるよ』

『我々は戻れば良いが、傭兵団の連中は取り残されることになるね』

 

 随分と責任重大な役割が押し付けられたものだ。

 

『無茶苦茶な作戦だ、失敗したら無駄死にだぞ』

 

『でも、勝てば見返りは大きい。やる価値はあるでしょ~? ユニコ。貴重な空中艦も手に入るんだしね』

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 敵拠点が見えてくる。

 我々が追い出された北部大陸の平地に作られた空中輸送艦の整備施設。

 まだ敵の闇属性魔法が使える空戦騎士に探知はされてない。

 雲間を縫うように飛んできたお陰だろう、これなら目視でこちらを捕捉するのは難しい。

 

『あー、あー、こちら重装甲剣兵【首狩り兎】隊長。航空支援に期待しちゃうよ?』

 

 輸送用ドラゴンが降下態勢に入る。

 敵施設からは敵襲を知らせる警鐘が鳴り響く。

 穏やかだった空気が一変する。冷や汗が額を撫でる。拭う。

 

 整備施設の後方で火災発生、それと同時に銃声。

 レジスタンスの連中も派手にやってるみたいだな。

 

『一応エースって言われてるからな、ご期待に応えて見せるさ』

 

『各騎2騎ごとに分かれて自由戦闘、私とユニコはバックアップを担当するよ~』

 

『ルミ、俺の機動に付いてこい』

 

 はぁ、と念話越しに彼女の溜息が一つ。

 

『わたくしが居ないと、やはり貴方は危なっかしいですね』

 

 彼女の愚痴に構わず、慌てて空へと上がってきた直掩のワイバーン騎兵を捕捉。

 

 まだ風を掴み切れてない彼女に高度差を速度に変換して急降下。

 上から突き刺すように降下し、すれ違いざまにランスで敵ワイバーンの胴体に刺突。

 ワイバーンの口からは悲鳴が溢れ、高度を維持できずにそのまま墜落。

 

 撃墜1。

 

『こちらユニコ。……雲の中に敵空戦騎士が隠れてそうだぞ、気を付けることだね』

 

 うちの小隊の目は本当に優秀だ。空を見上げる。分厚い雲が目に入る。

 今暫くは、敵の伏兵の好きにさせるしかなさそうだな。

 気持ちを切り替え、地上へと視線を向ける。

 

『敵騎撃墜を確認!』

『空戦騎士もよくやっている、後は私たちの仕事だ! 総員抜剣!』

『飛び込むぞ!』

 

 整備施設の南端に辿り着いた輸送用ドラゴンから傭兵たちが陸地を踏みしめる。

 俺と違って陸こそが戻る場所である兎の獣人である彼女達は、まだ防衛体制が整ってない敵陣へと勇敢に切り込む。戦列歩兵分隊が横列を組むが一歩遅い。まるで暴風雨に運悪く巻き込まれた枝木のように敵が薙ぎ倒される。

 

 陸戦においての花形。弾丸を全ての部位で弾き、魔法も、装甲が厚い部分で受け止めれば致命傷には至らない。念話の混線によって、敵兵が恐慌に陥った声が聞こえる。

 騎獣に搭載される大型【触媒】よりも小さいものの、それでも彼女達が背中に背負う【触媒】から放たれる魔法は脅威そのもの。

 軽装甲の敵は次々と蹴散らされる、が、そんな彼女達にも天敵がいるな。

 

 水平方向に向けられたカノン砲、砲口は暴れまわる彼女達に向けられている。

 馬首を上方向に向けて上昇し、速度エネルギーを高度に変換。

 高度に変換した後に吶喊。ランスを構える。

 

 相手の砲手と目が合う、構うことなく槍を突き出す。

 彼女は故郷の草原ではなく遠い異国の地で斃れることになった。

 

『あの目立つやつを狙え!』

『通常砲弾から散弾に切り替え! よく狙えよ!』

 

 敵砲兵隊のヘイトをこちらに向けることに成功。

 狙い通り。

 

 速度エネルギーをもう一度高度に変換、インメルマンターンの要領で空を舞う。

 彼我の距離はおよそ400m、こちらに向けられた4門もの20ポンドカノン砲の散弾を避けるのは難しい。

 そう、普通ならば。

 

 砲声が響く。こちらの命を刈り取る戦場の女神の怒りが飛ぶ。。

 腕のいい砲手だ。砲口の向きから察するにこちらの進行方向上に向けて放ってきた。

 ジュベックの横腹を拍車で3回叩き、手綱を引く。

 

 馬首を上に向けて羽を目いっぱい広げて急減速、からのUの字を描くように背面飛行。

 恐らく進行方向上に進んでいたら蜂の巣にされていただろう。

 散弾の雨が風を切る音が聞こえた。

 

『なっ、今のを回避するか!?』

『次弾装填急げ!』

 

 残念だが、次弾を撃たせない。

 【触媒】に魔力を充填。

 彼女達にとっては処刑人が笑いかけるかのような不気味な唸り声が響く。

 

『ウィンドワルツ』

 

 嵐のイメージ。狙いは彼女達の背後にある補給倉庫。

 暴風が巻き起こる、補給倉庫の外壁が破壊されて、主柱もへし折られる。

 崩れ落ちる瓦礫が彼女達に降り注ぎ、カノン砲ごと生き埋めにする。

 

『敵砲兵の脅威沈黙! このまま前進する!』

 

 ――とは言え、まだ障害は残るか。

 敵の連射砲、パックルガン。

 四角い弾丸でも撃ちだしてくれたらよかったが、彼らが装備しているのは合理性の塊。

 マナ鉱石を弾丸に加工。生命反応を探知して近接で炸裂する。

 王都決戦において横一列に並べられたパックルガンの掃射によってこちらの陸戦騎士達は薙ぎ倒された。

 合理性を重視する、北端平原の民らしい兵器だ。

 

 勿論、空戦騎士にとっても脅威、パックルガンの弾幕に突っ込むのは死を意味する。

 

 ――この世界ではまだ近世ほどの技術レベルなのにもうVT信管作ってやがるのか。

 心の中で小さく毒づく。

 

『装填完了、照準――目標、敵空戦騎士!』

『第一射は指定目標への点射、その後は各射手自由射撃!』

 

 今度はこちらに死神が笑いかけた気がした。

 すぐ近くで生命反応を探知して銃弾が炸裂。

 破片が頬を掠める。

 幸いなことにジュベックには破片が飛んできてない、今回ばかりは俺と彼の悪運に感謝したい。

 

 この時代においてはオーバーテクノロジーとも言えるあの砲には致命的な欠点がある。

 それは弾幕射撃を行った後の装填時間だ。

 

 ジュベックを撫でる、こちらの意図を察したように呆れたように嘶く。

 しかし、彼もやる気であるらしく、羽を支える背中の筋肉が盛り上がる。

 

 面制圧するかのように放たれる弾幕に対しての対処法は何か?

 

 ――答えは一つ。

 

『あ、あいつ狂ってるのか!? 弾幕の中に突っ込んでくるぞ』

 

 弾幕が比較的薄い場所を見つけ出す。飛び込む。

 砲弾が次々と炸裂する。この時代の近接信管。

 破片が足に刺さり、頭を掠めて血が溢れる。視界が赤く染まる。

 戦闘続行に支障は無し。

 

 痛みで生きてる実感を覚えた。

 

 弾幕をかいくぐって目標が見える。

 整備ドッグの前面に展開したパックルガン4門。

 

 肉薄、彼我の距離150m。

 慌てて再装填しているが、遅い。

 

『――テンペスト』

 

 【触媒】が悲鳴をあげる程に魔力を充填。キィィィン、と甲高い音が響く。

 暴風を伴う嵐、そして局地的な竜巻が巻き起こる。

 竜巻によって敵兵が薙ぎ倒される、発生した乱気流にジュベックの羽を乗せる。

 

 急上昇――こちらの首を狙っているのが見えていたぞ、ドラゴンナイト。

 

 気づかれたと察したのか、雲間から姿を現す。赤い鱗が特徴的なドラゴン。騎手は竜人。

 騎竜は戦列艦を一撃で大破させる爆炎を口から吹くレッドドラゴン、その上、ドラゴンと心を通わせることができる竜人。

 爬虫類を思わせる彼女の目が見開かれる。

 その後はにぃ、と口角がつり上がった。

 

『やるな、ヴィスワ王国の犬。お前となら強い子を作れそうだ、どれ、わらわの番となるなら見逃してやるぞ?』

 

『お断りだね、これでもエースを背負わされたんだ』

 

 ――速い、速力では圧倒的にドラゴンの方が上。

 相手の騎竜の体躯はジュベックの5倍を超えている。

 その上速力、騎獣の攻撃力では勝つことは難しい。

 

『おっと、わざわざ低空領域での格闘戦に付き合うつもりはないぞ?』

 

『――こちらの考えはお見通しって訳か!』

 

 敵騎が斜め上方向から急降下。

 彼我との距離はおよそ650m。

 ドラゴンの自重と位置エネルギー、明らかに速いのは向こうだ。

 

 体が反射的に動いた、馬首を上に向けてロール!

 

『おっと、今のを回避するのか、やるではないか、ますますわらわの番にしたくなったぞ!』

 

『だったら殺す気で撃ってくるなっての!』

 

 ドラゴンの口から爆炎が放たれたのを寸前で回避。

 下方向に急降下していたらジュベックごとあの世行きだっただろう。

 

 そのまま彼女を乗せた騎竜は速度エネルギーを位置エネルギーに変換する。

 

 ――零戦でサンダーボルト相手にしてるようなもんだな、これは。

 

 だが、この世界には魔法がある、そして初見殺しの技もある。

 チャンスは一回きり、次の攻撃を避けて叩き込む、失敗したら死ぬのみだ。

 

『逃げるだけかぇ?』

 

 敵騎が再度急降下、彼女の周囲には6つの炎の槍。フレイムランス。

 6本も同時に生み出せるあたり、竜人の魔力は絶大だな! 敵に回したくないもんだ! 今は敵だが!

 

 放たれる、5本の炎槍が、そしてレッドドラゴンのブレスが。

 回避機動、バレルロールもどき。

 

 ――残りの1本は?

 

『貰ったぞ、まずは貴様の天馬から仕留める』

 

 的が大きいジュベック狙いか!?

 

『はぁ……また1人で突っ走って、死ぬつもりですか?』

 

 連続の回避機動で疲弊したジュベックめがけて放たれる炎の槍。

 直撃する寸前で、純白のペガサスが間に入ってきた。

 その周囲には魔法を打ち消し、盾となる光玉。

 

『エンジェル・フレア!』

 

 ジュベックへと向かった炎の槍はフレアによってかき消される。今のはヤバかった!

 

『空へと上がるのが楽しすぎて周りが見えてないのでは? もっと連携してくださいまし』

 

『すまない、今のは助かった!』

 

『ちぃ、1騎増えた所で変わらぬこと! 次で仕留める!』

 

 敵騎が急降下からの急上昇――このタイミングを待っていた!

 

 詠唱はせず、脳内でイメージする。精度も、威力も落ちる。だがそれで充分。

 触媒を通して流れた魔力によって現世の理が文字通り覆る。

 これこそが魔法。

 

 ――ウィンドワルツ!

 

 急上昇したことによって速度が落ちている相手に、俺とジュベックが風魔法に打ち上げられる。

 だがこれでは足りない、しかしこれも計算通り!

 地表から発生した熱。それが上昇気流となり、魔法で加速した俺達の背を押す!

 追いつく、追い越す。

 背面飛行、ランスを構えなおす。

 

『やるなっ!!』

 

『そっちこそな』

 

 急降下、狙いは敵レッドドラゴンの眼球。

 貫く。

 レッドドラゴンが激痛によって悶え、そのまま血が溢れる。

 

 片目が貫かれた事によって、激痛も相まって高度を維持できなくなった敵騎兵が空へとふらふらと降りる。

 

『わらわの騎竜の目を奪ったんじゃ……その代償、高くつくぞ?』

 

『貸しにしといてくれ』

 

 撃墜2。

 

 敵空戦騎士を撃墜するのとほぼ時を同じくして、敵の空中輸送艦を奪った事を示すように、空へと信号弾が打ち上げられた。

 

『作戦成功! これより空へと上がる! 空戦騎士隊の支援に感謝!』

 

 魔力を帯びたマナ鉱石に【刻印】を施すことによって浮力を得る輸送艦が空へと上がる。そして、傭兵団が炎を付けた事によって燃え盛る敵整備施設を見下ろした。

 

 ユニコが自らの天馬の手綱を握り、勝利を喜ぶかのように輸送艦にぴったりと横づけする。

 

『せっかくだ、勝利のお祝いに一発敵を煽るとしようか、ボクからのプレゼントだ』

『――草原からの贈り物に感謝する、空中輸送艦といういい男を貰ったとね』

 

 人の心に直接言葉やイメージを送り込む闇属性魔法によって、広域にその声が響いた。

 

『後でお説教です、アーク君』

 

『……お手柔らかに頼むよ?』

 

『今回ばかりは許しません、無理ばかりして……! わたくしがどれだけ心配したと思ってるんですか!』

 

 どうやら俺の戦闘はこれから始まるらしい。

 ルミをなだめる為に空戦に費やした時間の10倍かかった事からどれだけ苦戦したのか察してくれ。

 

 

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