Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
デジタルワールドへ戻った直後、ショウのデジヴァイスに一通の緊急連絡が入った。
「なるほど……コウリーダーから連絡があって、今は『ダークムーンCITY』に居るってさ」
「なら、このままダークムーンCITYの本部に向かいましょうか」
2人はすぐさま移動を開始し、ナイトクロウの本拠地であるダークムーンCITYへと向かった。
到着すると、事前に連絡が届いていたため滞りなく案内され、そのまま最深部のリーダールームへと足を踏み入れた。部屋の中では、ライトファングのリーダー・コウ、ナイトクロウのリーダー・サヨ、そしてナイトクロウのサブリーダー・ニュートンの3人が待っており、ショウとアリサは挨拶もそこそこに、ブルーベリー学園での一連の出来事を詳細に報告した。
報告を聞き終えたリーダー達は、神妙な面持ちで口を開いた。
「今、ショウから渡された模造スピリットのデータを解析班に回したのだが……我々テイマーユニオンが正規に使用させて貰っているスピリットの構造データと、ほぼ同一のものであると連絡があった」
「確かクラハシは、昔グレさんと共同研究を行っていた時期があったと過去の資料で判明したのよ。恐らくだけれど……彼はその時にグレさんの研究成果を密かに盗み出していたのだと思うわ。それが今回の模造スピリット作製に使われたというわけね」
リーダー達からの調査報告を聞いたショウとアリサは、顔を見合わせた。
「多分なんですが……クラハシは再びパルデア地方に戻ると思います」
「私もそう思います。あそこには『テラスタル』という未知の現象が存在しますから、彼の異常な研究欲を強く刺激するはずです」
2人が分析と予測を述べると、ニュートンとサヨも深く頷いた。
「我々も全く同じように考えている。故に、パルデア地方での警戒を強めながら、引き続き任務を継続して欲しい」
リーダーたちからの同意と期待の言葉を受け、ショウとアリサは改めて気を引き締め直すのだった。
リーダー達への報告を終えたショウとアリサは、ホッと息をつきながら自分たちのプライベートスペースであるマイルームへと戻ってきた。
「戻りました。ポキュパモン、いますか?」
アリサがマイルームの扉を開けてそう呼びかけると、手際よくハタキを持ったハウスキーパーデジモン――ポキュパモンがパタパタとかけ足で出迎えてくれた。
「あらっ! アリサ、おかえりなさい! 今日は急にどうしたの?」
「実は、リーダー達にブルーベリー学園での一件を報告しに戻ってきたんです。それで、明日の朝まで1泊してから、またパルデア地方に戻ることになりまして」
「そうなの? じゃあ、お部屋の掃除が終わった後に、美味しいご飯を作ってあげるね♪」
「ありがとうございます。私はこれからポケモン用のファーム島にいますので、何かあれば呼んでください」
ポキュパモンにそう告げると、アリサはファーム島へと足を向けた。
ファーム島に到着したアリサがデジヴァイスを掲げて手持ちのポケモンたちを一斉に呼び出すと、眩い光の中から次々とポケモンたちが現れた。ボールから出るやいなや、マスカーニャがピタリとアリサの足元に体を寄せ、愛おしそうに顔をすり寄せてきた。さらに、同じタイミングでライチュウとマリルリも嬉しそうに駆け寄り、頬をすりすりと擦りつけてくる。
「もう、くすぐったいですよ! マスカーニャ、ライチュウ、マリルリ」
「ニャア~」
「チュウッ!」
「ルリッ!」
「ふふ、あまり暴れないでくださいね。あっちでみんなと遊んできてください」
アリサに頭を撫でられ、甘えるようにじゃれ合っていたポケモンたちは、満足したのかトコトコと他の仲間たちの元へと駆けていった。
少し離れた場所では、グレルアルマとルカリオが鋭い眼光を交えながら激しい模擬戦の真っ最中。その様子を、サーナイト、アマージョ、グレイシアの3匹が優雅に、かつ的確な視線で見守っている。さらに、ぽかぽかとした陽気のなかで心地よさそうに日向ぼっこを満喫するチルタリスとユキメノコ、そして最近新しく仲間になったラプラス、キラフロル、アローラキュウコン、ミロカロス、シャンデラ、ガブリアスたちも、思い思いの場所でリラックスして寛いでいた。
「みんな、怪我もなく元気そうですね……。よし、デジモンたちのほうの島も様子を見に行きますか」
さらに隣接するデジモン用のファーム島へと移動すると、そこでも数多くのパートナーデジモンたちが自由にのびのびと過ごしていた。
「おや、アリサじゃないか。どうかしたのか?」
地面に広がる豊かな植物の間から顔を覗かせたのは、巨大な花の姿をした植物型デジモン――ブロッサモンだった。その声に気づいたのか、周囲でくつろいでいた他のデジモンたちもぞろぞろと近づいてくる。
「みんなの元気な顔が見たくて、ちょっと様子を見に来たんです」
「そうか! 何か美味しいものでも持ってきてくれたのかと思ったよ」
「ふふ、今日は今からポキュパモンが夕食を作ってくれる予定ですよ」
そう穏やかに答えたのは、凛とした佇まいの獣人型デジモン・パンジャモンと、可愛らしい赤ずきんの姿をしたシャペロモンだった。しばらくの間、デジモンたちと和やかな雑談に花を咲かせていると、島の遠くの方から明るい声が響いてきた。
「アリサぁ~! ご飯できたわよ~!」
ポキュパモンがエプロンを揺らしながら呼びに来てくれたのだ。
「は~い、今戻ります! それじゃあみんな、また明日来ますね」
デジモンたちに笑顔で手を振って別れを告げると、アリサはマイルームへと引き返した。
綺麗に整えられたマイルームのテーブルで、ポキュパモンが愛情を込めて作ってくれた温かい夕食を味わっていると、向かいに座っていたポキュパモンが、ふと意味ありげな笑みを浮かべて切り出した。
「そういえばさ、アリサ……ショウとは、あれから何か進展あったの?」
「ぶっ……!?」
思いがけない直球の質問に、アリサは口に含んでいたスープを盛大に噎せこませてしまった。
「なっ、急に何を言い出すんですか! 告白なんてまだ全然――というか、まだしていませんよ!」
「何言ってるのよ! マゴマゴして油断してたら、他の子にショウを取られちゃうわよ?」
「そ、そんなんじゃありませんっ!」
ポキュパモンの容赦ない恋愛アドバイス(という名の鋭い突っ込み)に、アリサは顔を真っ赤に染め上げながら、その後もしばらくの間タジタジになりながら説教を食らうはめになるのだった。