Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い   作:ガチャガチャクツワムシ

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インターバルの修羅場と試合開始

「勉強になった。次も頑張ってくれ!」

キハダ先生から爽やかで熱狂的な応援を受け、ショウは爽やかに笑って手を取り合った後、バトルフィールドを後にして控室へと戻った。

いよいよ迎える三回戦。大型モニターに表示された対戦相手の名前を見たショウは、思わず頭を抱えた。

対戦相手は、なんとハルトだった。

「ハルトかぁ……これ、実質ほぼ決勝戦じゃね?」

控室のソファで思わず一人ツッコミを入れつつ、次の試合に向けた手持ちポケモンの選別を行っていると、部屋の扉が勢いよく開き、真剣そのものの表情をしたハルトが歩み寄ってきた。

「ショウ!」

「うぉッ!? ど、どしたハルト?」

あまりの剣幕と決意に満ちた眼光に思わず引いてしまうショウに対し、ハルトは真っ直ぐに視線をぶつけてきた。

「僕と……本気で戦って!」

「……は?」

ショウは一瞬フリーズした。

(どういうことだ……? ってか、どっちだ? ポケモンでの本気? それともデジモンを使ってって意味か……?)

腕を組んで本気で頭を悩ませているショウを見て、ハルトは自分との対戦を気後れされていると勘違いしたのか、次第に不安げな泣きそうな顔になっていく。

「……やっぱり、僕とは本気で戦ってくれないの……?」

「違う違う違う! どっちの意味で言われているのか、本気で考えていただけだ!」

慌てて手を振って弁明すると、ハルトはほっとしたように表情を和らげた。

「そうだったんだ……良かった。できればテイマーとしてのショウと全力で戦ってみたいけど、今はまだ難しいだろうから……トレーナーとして、本気で戦って!」

「わかった。全力で相手してやるよ。……あー、とりあえず一歩離れてくれ。また誰かにあらぬ噂を立てられたらたまらん」

「それもそうだね! ボタンから浮気でも疑われたら嫌だし!」

「俺もこの前、何故かお嬢から目のハイライトが消えた状態でじっくり問い詰められたからな……」

「……それは、少々遅かったみたいですね?」

背筋が寒くなるような、凍てつく冷たい声が部屋内に静かに響き渡った。

ショウとハルトの首が、「ギギギ……」と音が鳴りそうなぎこちない動きで声のした方へ振り向くと、そこには完璧に瞳のハイライトを消失させたアリサとボタンが静かに立ち尽くしていた。

「ハルト……やっぱり、ショウのことが……」

「誤解だよぉぉ!? ボタン!!」

「さて、ショウさん……何か言い残すことはありますか?」

「え~とですねぇ!!」

冷酷な笑みを浮かべるアリサの眼光から逃れようと、ショウは一瞬の隙を突いて入り口の方へ視線を泳がせた。

「入口の方を見ても無駄ですよ。既にクロックモンに頼んで、この部屋の時間を停止させています。そして、この部屋一帯には外部と遮断された特殊な隔離フィールドを貼っているので、脱出は不可能です」

ショウの逃亡プランをコンマ一秒で完璧に読み切り、事前に退路を全滅させていたアリサ。

「い、一旦、落ち着きませんか……!?」

ショウは汗をダラダラと流しながら下手に出つつ、腰のデジヴァイスへ密かに手を伸ばそうとした――が、隣にいたハルトがその腕をガバッと掴んで阻止してきた!

「はっ、離せッ!?」

「ショウだけ逃げようとしたってそうは行かないよ! こうなれば死なばもろともだよ!!」

「おい!! この極限状況で火に油を注ぐような真似すんじゃねぇ!!」

ハルトの道連れ宣言により、アリサとボタンの瞳からは完全に光が途絶え、二人の顔は一瞬で蒼白になった。

「やっぱり……丁寧な OHANASHI が必要なようですね……」

「覚悟はいい……? 二人とも……?」

そう言いながら、ボタンは手持ちのブイズ全員をモンスターボールから一斉に解き放ち、アリサは何処からか十字架型拳銃『アンソニー』を取り出し恐ろしい手つきでジャキッと構えた。

「ボタン!? 待ってなんでブイブイ全員出してんの!?」

「アリサさん!? それってアンソニーだよね!? まっ、待っ――」

ちなみにその時、アリサとボタンの背後には、愛の狂気と嫉妬を司るユノモン:ヒステリックモードの巨大な不気味な幻影がくっきりと浮かび上がっていたという……。

直後、時間と空間が遮断された控室内に、二人の男たちの悲痛な悲鳴が虚しく響き渡るのであった。

アリサとボタンから怒涛のお説教(と攻撃)を受けたショウとハルトは、ロトスモンの【サーペントキュア】で綺麗に傷を治してもらい、さらにクロックモンの時間停止空間の中でしっかりと身体を休めていた。

「まったく、何をしているのよ……2人とも」

呆れ果てた表情で二人を回復させるロトスモンに対し、ショウは恨めしそうに反論した。

「そう言うが、原因はハルトだろ……?」

「うぅ……ごめんなさい……」

ハルトは縮こまり、小さくなって謝るしかなかった。

「ところでショウ……ショウとアリサって、付き合っているの?」

ハルトがふと疑問を投げかけると、ショウは素っ気なく首を横に振った。

「付き合ってないぞ? あいつ、元々良いところのお嬢様だからなぁ。その手の規律とかかなり厳しいって聞いたことがあるぞ」

「なんだかネモみたいだね」

「本人も自分と似ているって言っていたぞ。まぁ、『あそこまでバトルジャンキーではありません!』って全力で否定していたがな」

そんな他愛もない無駄話をしてすっかり気力と体力を取り戻した二人は、クロックモンの時間停止を解除してもらい、意気揚々とバトルフィールドへと足を踏み入れた。

観客席からの鳴りやまない歓声の中、二人はそれぞれのポジションに立つ。

「そんじゃ……約束通り本気で戦ってやるよ! 掛かって来な、ハルト!」

「うん! 行くよ、ショウ!」

審判の合図とともに、両者が同時に一投目を繰り出した!

ショウが繰り出したのは黄昏のルガルガン、対するハルトが出したのは可憐な見た目のイルカマン(ナイーブフォルム)だった。

「ルガルガン! 【ステルスロック】!」

「ウォンッ!」

「イルカマン! 【クイックターン】!」

「プルルルゥッ!」

ルガルガンが素早くフィールド全体に鋭い岩礫【ステルスロック】を散布する隙を見逃さず、イルカマンは濁流の勢いに乗って水流突撃をかます! 確かなダメージを与えると同時にそのままボールへと戻り、ハルトの控えのポケモンと入れ替わった。

『ステルスロック』の岩礫が突き刺さりながら、入れ替わりで重厚な足音とともに登場したのは、鋼の巨体を持つ鉄足ポケモン・メタグロスだった! 【ステルスロック】のダメージを受けつつも、その頑丈な装甲でビクともしない。

「メタグロスか……(ルガルガンの体力を無駄に削りたくないな。ここは温存だ)。戻れ、ルガルガン! 行ってこい、ゴリランダー!」

「ダーッ!!」

ショウは手際よくルガルガンを引きさせ、頼れるドラマー・ゴリランダーを投入! 足元には一瞬にして豊かな緑が萌え出る【グラスフィールド】が展開された。

「なら、メタグロス! 【ハードプレス】!」

「メタッ!」

メタグロスは巨体を上空へ躍進させ、重量級の負荷をかけてゴリランダーを押し潰さんと上空から降ってくる!

「耐えろゴリランダー! 【DDラリアット】だ!!」

「ダァッ!」

激しい衝撃に耐えながら、ゴリランダーは屈強な両腕を広げて高速回転! 重いラリアットをメタグロスの側面に叩きつけ、巨体を強引に吹き飛ばした。

「畳みかけるぞ! 【グラススライダー】!」

「ダァーッ!」

「メタグロス、迎え撃って! 【冷凍パンチ】!」

「メタァッ!」

【グラスフィールド】の恩恵を受けたゴリランダーが滑るような超高速のスライディングで先制攻撃を叩き込むが、メタグロスも負けじと回転しながら氷のエネルギーを纏わせた強靭な四つの足で猛反撃を叩き込んだ!

効果抜群の氷技に直撃し、フィールドの回復効果を差し引いてもゴリランダーの体力は一気に限界近くまで削られてしまう。

「これで決めるぞ! ゴリランダー、【グラススライダー】!」

「ッダァーッ!」

「負けるなメタグロス! 【バレットパンチ】!」

「メタァッ!」

両者が同時に先制技を指示! 緑の閃光と鋼の拳が中央で激突し、凄まじい衝撃波が弾け飛んだ。

光が晴れると、そこには力尽きて倒れるゴリランダーの姿があった。

『ゴリランダー、戦闘不能! したがって勝者、メタグロス!』

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