Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い   作:ガチャガチャクツワムシ

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VSハルト

戦闘不能になったゴリランダーをモンスターボールへ戻すと、ショウの額にぽつりと冷たい雫が落ちてきた。ふと空を見上げると、いつの間にか雲が広がり、サーッと恵みの雨が降り始めていた。

「しめた! メタグロス、戻って! 行くよ、イルカマン!」

「プルルルゥッ!!」

恵みの雨が降った好機を逃さず、ハルトはメタグロスを一度ボールに戻すと、待機させていたイルカマン(マイティフォルム)をフィールドへと解き放った!

マイティフォルムの圧倒的な威容に観客席がどよめく。イルカマンは【ステルスロック】の岩礫で微かなダメージを受けるものの、【グラスフィールド】の恩恵ですぐさま体力を持ち直した。

「なら……行ってこい! エクスレッグ!」

「レッグッ!」

ショウが続いて繰り出したのは、鋭い脚力を誇るばったポケモンのエクスレッグだった!

「エクスレッグ! 【出会い頭】だ!」

「レッグッ!!」

「イルカマン! 【ウェーブタックル】!」

「プルルゥッ!!」

くり出された瞬間の爆発的な速度でエクスレッグが肉薄し、鮮烈な一撃を叩き込む! だがイルカマンも雨のパワーを得た【ウェーブタックル】で豪快に猛反撃! 大水流の衝撃で吹き飛ばされたエクスレッグだったが、空中で鮮やかに一回転して間一髪着地してみせた。

「雨のせいでただでさえ高い威力が跳ね上がってやがる……長期戦になればこっちが圧倒的に不利だ! エクスレッグ、短期決戦で決めるぞ! あれをやれ!」

「レッグッ!」

ショウの鋭い合図とともに、エクスレッグの全身から凄まじい威圧感が解き放たれ、完全な決戦モードへと移行した。次の瞬間、大きく跳躍して上空へ躍り出たエクスレッグの姿が、かき消えるように完全に視界から消え去った!

「なっ……消えた!?」

ハルトはもちろん、観戦していた生徒たちからも驚愕の叫びが上がる。直後、空気の弾ける連続音とともに突如として出現したエクスレッグが、凄まじいスピードの【地獄突き】でイルカマンを急襲!

「えっ……!? どこから……!?」

「見えないだろ? 俺のエクスレッグは本気になると、目視不可能な次元の圧倒的なスピードを出せるんだよ」

ショウは自信満々に不敵な笑みを浮かべる。しかしハルトは「どうやって足場もない空中で縦横無尽に自在に動いているんだ……!?」と目を凝らし、雨の軌跡を必死に追った。

すると、雨粒が当たって薄っすらと輪郭が浮かび上がっている空中空間に気づいた。

「まさか……仕掛けておいた【ステルスロック】の浮遊岩を足場に踏み台にして跳び回ってるんだ!」

ハルトのその呟きを聞き、ショウは「気づいたか!」と言わんばかりにニヤリと口元を吊り上げた。

「足場を失わせれば……! イルカマン、【爆音波】!!」

「プッルルゥーーッ!!」

エクスレッグの超高速攻撃に耐え忍んでいたイルカマンが、胸いっぱいに吸い込んだ息を解き放つ! 耳を塞がなければ破裂しそうなほどの大振動波がフィールド全体に響き渡り、空中に浮遊していた【ステルスロック】を根こそぎ粉砕・消滅させた!

「発想は見事だったが……甘いな! エクスレッグは既にその波及範囲外にいるぞ!」

空中の足場を破壊されたものの、エクスレッグは【爆音波】の威力が途切れる遥か上空へと、自力の大跳躍で逃れていた!

「ハルト! 面白いものを見せてやる! エクスレッグ、力業【踵落とし】!!」

「レェッッグッ!!」

上空から自重と回転威力を極限まで乗せたエクスレッグが、彗星のごとき猛スピードで急降下を敢行!

「負けるかぁッ! イルカマン、【ビルドアップ】からの【ウェーブタックル】!!」

「プルッルゥッ!!」

ハルトの熱血の叫びに応え、イルカマンは瞬時に【ビルドアップ】で全身の筋肉を強化! 雨のエネルギーを極大まで纏った【ウェーブタックル】で、上空から迫るエクスレッグへと真っ向から突き上がった!

ドゴォォォォンッ!!!

空中で激突した両者の技が凄まじい衝撃波を生み出し、大爆発が巻き起こった。

爆風と水飛沫が晴れると、そこにはナイーブフォルムへと戻ってしまったイルカマンと、力を使い果たしたエクスレッグが、共に両目を渦巻きにして地面へ落下して倒れていた。

『両者、戦闘不能!!』

「ヨノワール! あいつらを受け止めろ!」

「ヨノワッ!」

ショウが手元から繰り出したのは、ヨノワールだった。ヨノワールは空中から落下してきたエクスレッグとイルカマンを自身の大きな両腕で優しく包み込むように受け止め、安全に地上へと降ろすとそれぞれのボールへと戻した。それと同時に、先ほどまで激しく降っていた雨もすっきりと上がり、青空が顔を覗かせる。

「ところでショウ、さっきの『力業』って何だったの?」

「あぁ、あれはヒスイ地方に伝わる古の戦法だ。必ず後攻になる代わりに関与する威力と命中率が跳ね上がる『力業』と、逆に必ず先制できる代わりに威力が弱まる『早業』の2種類があるんだ。前にガチグマを進化させる方法を調べていた時に見つけて、実戦でも使えるようにこっそり練習したんだよ」

「へぇ……! 後で絶対コツを教えてよ!」

「そう言われると思って、ハッサク先生にコツとかを丸ごと伝えておいたから、先生に聞いてみな。俺はこういうのを人に教えるのは絶望的に苦手だからさ」

そんな和やかなやり取りに、周囲の観戦していた生徒たちからも「ヒスイの戦法……!?」「今の空中コンボすごかったな!」と興奮したざわめきが広がっていた。

「さて、雑談はここまでだ。俺はこのままヨノワールでいく」

「なら僕はこいつだ! 行って、コノヨザル!!」

「コノノノッ!!」

ハルトが気合を入れて送り出したのは、怒りのオーラを纏うふんどざるポケモン・コノヨザルだった。

「試合開始ッ!」

審判を務めるキハダ先生の大きな合図とともに、バトルが再開された!

「コノヨザル、一気にいくぞ! 【憤怒の拳】!!」

「コノォォォッ!!」

コノヨザルが蓄積された怒りのエネルギーを拳に極限まで宿し、凄まじい気合でヨノワールへと殴りかかる!

「ヨノワール、負けるな! 【シャドーパンチ】で受け止めろ!」

「ヨノワッ!」

ヨノワールが影を纏わせた腕でその強烈な一撃を綺麗に相殺する。だが、ショウの指示はそこで終わらなかった。

「舐めるなよ。俺のヨノワールは、並みの格闘タイプをタコ殴りにするぐらい殴り合いが得意でな。……それにな、『2つの異なる技を同時に放つ』ことも可能なんだよ!」

「なっ……!?」

「やれ! 力業の【シャドーパンチ】と【雷パンチ】を重ねがけして、まとめて叩きのめせ!!」

ショウの号令を受け、ヨノワールは右腕に濃密な影を、左腕にバチバチと荒々しくスパークする強力な電撃を同時に纏い、二色の輝きを放ちながら圧倒的な迫力でコノヨザルへと肉薄した!

「こっちも負けない! コノヨザル、最大威力の【憤怒の拳】で真正面から迎え撃て!!」

「コノォォォアッ——ッ!!」

ハルトの絶叫に応じ、コノヨザルは先ほどを遥かに上回るドス黒い怒涛のエネルギーを纏い、全身全霊の拳を突き出した。

激突した瞬間、フィールドの中心で凄まじい衝撃波が爆ぜ、二大ゴースト・格闘の猛者たちによる壮絶な殴り合いの泥仕合が幕を開けた!

「ヨノワァァァァーーッ!!」

「コノォォォォーーッ!!」

コノヨザルの最大威力の【憤怒の拳】が何発も直撃しようとも、ヨノワールはそんな攻撃を一切意に介さず、鉄拳と電撃と影の連撃を容赦なく叩き込み続ける! どちらが一歩も引かない極限の殴り合いの末、ヨノワールが大きく腕を振りかぶり、コノヨザルも負けじと渾身の拳を突き上げた。

ガツンッ!! と、鈍い衝撃音が響き渡り、両者の拳が互いの顔面を同時に完璧にとらえた。

一瞬の静寂の後――コノヨザルの身体から力が抜け、そのまま仰向けにバタリと倒れ込んで動かなくなった。

『コノヨザル、戦闘不能!』

「ヨノワァァーーッ!!」

勝利を確信したヨノワールが、天に向かって力強い雄叫びを轟かせた。

「よくやった、ヨノワール! ……これで、お互いに手持ちはイーブンだな」

「お疲れさま、よく頑張ったよ……。さぁ、頼む、カイリュー!」

「バウゥッ!!」

コノヨザルをボールに戻したハルトが次に繰り出したのは、長年苦楽を共にしてきた相棒であり、絶対的な信頼を置く古参のカイリューだった。

「確かハルトのチームでも最古参の1匹だな……! よし、行けるか、ヨノワール!」

「ヨノワッ!」

「よし、勝負だヨノワール! 割り込んで先手を取るぞ、早業の【冷凍パンチ】!!」

「カイリュー、負けるな! 【神速】で加速しながら【ドラゴンクロー】!!」

「バウゥッ——!!」

ショウの指示で超高速の動作を優先させたヨノワールの凍てつく拳と、ハルトのカイリューが神速の機動力で繰り出した鋭い竜の爪が、フィールドの中央で激しく激突した――!!

【アリササイド】

「オッスゥ、今どんな感じ?」

「あれ、ミモザ先生? いつの間にここに……?」

観客席の一角で、アリサ、ボタン、ペパー、ネモの4人が真剣な眼差しでバトルを見つめていると、ひょっこりと保健室のミモザ先生が声をかけて合流してきた。

「いやぁ、はしゃぎすぎて体調が悪くなっちゃった生徒の処置をしていてね。落ち着いたからちょっと見に来たのよ」

「なるほど、そういうことでしたか。現在の状況としては……ハルトさんがやや優勢、といったところですね」

理由を聞いたアリサが冷静に戦況を説明すると、ミモザ先生は「へぇ、そうなの?」と目を丸くした。

「そうなんだ? 前に二人の試合を見たことがあるけど、いつもはもっといい勝負で拮抗していたよね?」

「今回は、お互いが完全に『本気』でぶつかり合っているからでしょうね」

そう言葉を交わし、5人は再び目の前で繰り広げられる熱戦へと視線を戻した。

ヨノワールが放った早業の【冷凍パンチ】と、カイリューの神速の動きから繰り出される【ドラゴンクロー】が激突した瞬間――! 疲労の色が濃かったヨノワールはカイリューの圧倒的な突破力を押し返すことができず、そのまま盛大に吹き飛ばされて戦闘不能となった。

『ヨノワール、戦闘不能!』

「お疲れさん、よくやってくれた。……早業で威力が少し弱まっていた上に、限界も近かったから【痛み分け】を撃つ暇もなかったか。よし、行ってこい! ルガルガン!!」

「ウォンッ!」

ショウは手際よくヨノワールを回収し、先ほど一度引っ込めていた黄昏のルガルガンを再びフィールドへ送り出した。

「ルガルガン、先手必勝だ! 【アクセルロック】!」

「ウォンッ!」

「カイリュー、受け止めて【アイアンヘッド】だ!」

「バウゥッ!」

カイリューが正面から鋼の頭突きを叩き込もうと迫るが、ルガルガンは驚異的な反射神経で華麗にこれを回避! そのまま死角となる側面から電光石火の【アクセルロック】を叩き込んだ。

「 ルガルガン、一度距離をとって、力業の【ストーンエッジ】だ!」

「ウォォーーーンッ!」

「カイリュー、上空へ逃げながら【龍の舞】!」

「バウゥ……!」

地面から無数の鋭利な岩の刃が四方八方からカイリューへと迫り来るが、カイリューは空中で華麗に舞い踊りながら、そのすべての軌跡をギリギリで回避してみせた。

「そのまま【神速】からの【アイアンヘッド】を叩き込め!」

「今だ、引き付けて――力業【カウンター】!!」

神速のスピードで間合いを詰めて放たれた【アイアンヘッド】を、ルガルガンは全身全霊のタイミングで受け止め、受けた物理ダメージを数倍にして倍返しする【カウンター】を炸裂させた!

轟音とともにカイリューが凄まじい勢いで吹き飛ばされる。しかし、凄まじい反動ダメージを受けたルガルガンもその場で力尽き、パタリと倒れ込んでしまった。

『ルガルガン、戦闘不能!』

『カイリュー、耐えた……っ!』

「気合いのタスキは……発動しなかったか。だがよくやった、ルガルガン! さぁ、暴れてこい、バンギラス!!」

「バァァァンッ!!!」

ショウが次なる切り札として投げ出したのは、バンギラスだった! バンギラスが降り立った瞬間、その特性【砂起こし】によってフィールドに激しい砂嵐が吹き荒れる。

「バンギラス、新技の実験だ! 【ストーンエッジ散】!!」

「ギラァァスッ!!」

バンギラスは目の前に無数の岩の塊【ストーンエッジ】を生成すると、巨体の尻尾を一閃させ、それらを無数の鋭い破片へと一気に粉砕! まるで散弾銃のようにカイリューめがけて広範囲へ一斉に発射した!

「カイリュー、避けて……っ!」

「バウゥッ……!」

ハルトの必死の叫びに応えようとカイリューは必死に上空へ羽ばたこうとしたが、砂嵐と広範囲の岩の破片を完全に避けることはできず、全身に無数の直撃を受けてついに力尽き、地面へと墜落した。

『カイリュー、戦闘不能!』

「ありがとう、カイリュー……よく頑張ってくれた! ……よし、勝負はここからだ! 行ってくれ、オーガポン!!」

「ぽにぃっ!」

満身創痍のカイリューを戻したハルトが、最後に力強く繰り出したのは、不気味かつ神秘的な「巌の面」を被った伝説のポケモン・オーガポンだった!

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