Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
かなりの距離を迂回して飛んでいたため到着こそギリギリになったが、ショウは何とか間に合い、男主人公──ハルト、そしてネモの二人と合流を果たした。
「初めまして。ハルトと言います」
「私、ネモ! よろしくね!」
「どうも。自分はショウと言います。よろしくお願いします」
挨拶を交わしていると、タイミングよくチャイムが鳴り響く。
「おや、自己紹介はそこまでですね。これから編入するクラスを伝えておきましょう。ハルトさんとショウさん、お二人ともクラスは【1-A】となります。おっと、そろそろ始業時間です! 皆さん、教室へ急ぎましょう」
クラベル校長に促され、その場にいたネモがパッと顔を輝かせた。
「ハルト! ショウ! 私たちが一緒のクラスなんて嬉しいな! 教室まで案内するね!」
ネモの元気な先導に従い、三人は校舎の中へと歩き出した。
(──おかしいなぁ?)
並んで歩きながら、ハルトはチラチラと隣を歩くショウの横顔を盗み見た。
(ショウ……さんとは今日が初対いはずなのに……何処かで、あの日僕を助けてくれたあの赤いドラゴンと、同じ気配がするような……?)
(よし、今のところ正体は気づかれていないな……)
一方のショウは、ハルトが自分に対して微かな違和感を抱いていることに気づきつつも、決定的な正体バレを回避できたことに胸を撫で下ろしながら、ネモの後をついて歩いていた。
その後、1-Aの教室に到着した二人はそれぞれクラスメイトの前で自己紹介を行い、担任のジニア先生から自分の席を言い渡された。隣の席の生徒とも軽く挨拶を交わし、こうしてショウのパルデアでのスクールライフが幕を開けたのだった。
それから数日後。
一通りの基礎授業を終え、休み時間にはクラスメイトたちともそれなりに交流を深めるなど、ショウは思いのほか平和で楽しい学園生活を満喫していた。
──だが、いつかは向き合わなければならないと分かっていながら、意図的に避けていた「最大の試練」に、ついに直面する時が来てしまった。
「押忍ッ! 今日のバトル学は、一対一の真剣勝負だ! 今回はまだバトル実習を行っていない転入生のショウ! ……を相手に、対戦したい生徒はいないか? いたら思い切り手を挙げてくれ!」
バトル学担当のキハダ先生から、よりによって名指しで指名されてしまったのだ。
相手はもちろんネモと言いたかったが、なんとハルトも同時に勢いよく挙手した。二人の熱意に押されたキハダ先生の提案により、急遽じゃんけんで対戦相手を決めることになり──見事に勝利を収めたネモが、ショウの対戦相手に決定した。
(うわ……めんどくせぇ……! ここで派手に勝ったりしたら、面白がって一生付きまとわれるパターンだぞこれ……!)
内心で盛大に頭を抱えながらも、ショウは覚悟を決めてバトルコートのサイドへ歩み出た。周りの生徒たちから「あぁ、転入生くん、あのネモの相手に選ばれちゃったよ……」と同情の視線が注がれる中、闘志を燃え上がらせるネモと向かい合う。
「それでは──バトル、開始っ!!」
キハダ先生の威勢のいい一声が、広大なコートに響き渡った。
ショウはポケットから、モンスターボールによく似せたデバイスから今回のために選出した手持ちのデジモンをフィールドへ放り投げた。
一方、対戦相手であるネモの視点。
ネモが繰り出したのは、小さなネズミのようなポケモン──パモだった。
対して、ショウがフィールドへ送り出したのは、一見するとオオカミのような姿をしたポケモン──ルガルガンだった。
ただ、ネモはすぐに首をかしげた。
パルデアで見かける事が多い「真昼の姿」のルガルガンと比べて、体毛が鮮やかな砂色ではなく燃えるようなオレンジ色をしており、さらに同じく見かける事が多い「真夜中の姿」を彷彿とさせる荒々しいトサカが頭部についている。
不思議に思ったネモが問いかけると、ショウは軽く肩をすくめて答えた。
「こいつはルガルガン──『黄昏の姿』だ。特性が『マイペース』なイワンコが、夕暮れの特定の時間に進化するとこの姿になるのさ」
「へぇ……! そんな姿のルガルガン、初めて見た! どんな戦い方をするのか、すっごい楽しみになっちゃった!」
ネモの目が戦闘狂の光を帯びてギラリと輝く。
こうして、予想外の注目を集めるバトルが幕を開けたのだった。