Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い   作:ガチャガチャクツワムシ

121 / 134
VSタツミ

試合を終えると、アリサとネモはすがすがしい表情でスコートと握手を交わし、フィールドを後にした。

代わって、バトルフィールドの中央へタツミ、ショウ、そしてハルトの3人が立ち並んだ。

「さてとっ。さっきの試合でデジモンの凄まじさは十分分かったと思うけど……俺たちもそろそろ本気でやるとするか」

「おう!」

「うん!」

不敵に笑うショウと力強く頷くハルトに対し、対峙するタツミがニヤリと挑発的な笑みを浮かべ、ある提案を持ちかけた。

「お嬢たちはこの世界の標準的なバトルルールに則って戦ってくれたみたいだが……俺たちの勝負は制限なしの無制限ルールでいこうぜ」

「制限なし……つまり、技を4つ以上使ってもいいってことか?」

「そうだ。俺たちデジモン側も他のデジモンの継承技を複数組み合わせて使うからな。お互い技の数に縛られない方がイーブンだろ?」

ショウとハルトは一瞬あごに手を当てて考える仕草を見せたが、すぐに顔を見合わせて頷き合った。

「俺は構わないぞ」

「僕も大丈夫です!」

「決まりだな! それじゃあ、派手にいこうぜ!」

2人の了承を得ると、ショウとハルトは素早くモンスターボールを構えて投げ放った!

「頼むぞ! アーマーガア!」

「ガアァァッ!!」

「お願い! テツノワダチ!」

「ウィル・ドン・ファーン!」

ショウは漆黒の鋼翼・アーマーガアと、ハルトが繰り出した未来の鉄の巨躯・テツノワダチが勢いよくピッチに降り立つ。

「リアライズ――コマンドラモン!」

タツミの端末から光が走り、現れたのは足元に自動小銃を構えた軍人のような歩兵竜型デジモン――コマンドラモンだった。

「そして――デジソウルチャージ!!」

「コマンドラモン進化――ハイコマンドラモン!!」

コマンドラモンの全身が眩い光に包まれ、一回り大きな体格へと急成長! 重厚な防護盾と巨大なグレネードランチャーを全身に装備したハイコマンドラモンへと進化を遂げた。

解説マイクを手にしたスコートが、観客席に向けて粛々と説明を加える。

「先ほど一瞬姿を見せたのが成長期のコマンドラモン、そして現在の姿が成熟期のハイコマンドラモンとなります。主な必殺技は【DCDグレネード】と【デストロイチャージ】の2つです」

スコートの説明が終わると同時に、制限なしの激闘が幕を開けた!

「テツノワダチ! 【エレキフィールド】!」

「ドンファー!」

「アーマーガア! 早業【追い風】からの【鉄壁】だ!」

「ガアァァッ!」

まずはフィールドの環境を整え、素早さと防御力を一気に引き上げる陣形を組むショウとハルト。

「ハイコマンドラモン、【ヒットチャージ】」

「イエッサー!」

「あの技は自身の命中率を補正・上昇させるサポート技ですね。このようにデジモンは自身の固有技以外にも、複数種類の継承技をセットして使用することが可能です」

スコートが淡々と解説する通り、ハイコマンドラモンもまた継承技を発動し、照準の精度を極限まで高めていく。

「テツノワダチ! 高速回転しながら【アイアンヘッド】!」

「ウィル・ドン・ファーン!」

「アーマーガア! 早業【アイアンヘッド】で突撃しながらの力業【ボディプレス】だ!」

「ガアァッ!」

テツノワダチが球体へと変形して地表を猛スピードで滑走し、アーマーガアが上空から疾風の如き加速度を乗せて急降下! 2体同時の圧倒的な質量攻撃が襲いかかる!

「【デストロイチャージ】!」

しかし、ハイコマンドラモンは迫り来る2体の猛攻を重厚な防護盾だけで軽々と受け止めると、そのまま力任せに盾を押し込み、2体を豪快に吹き飛ばしてしまった!

「くっ……固いな! ならテツノワダチ、【砂嵐】だ!」

「アーマーガア! 早業【鉄壁】と【爪研ぎ】でさらに能力を重ねろ!」

視界を奪う猛烈な砂嵐がフィールドを覆い尽くす中、ショウとハルトはさらに能力補正を積み重ねていく。

「テツノワダチ! 【アイアンローラー】で地形ごと打ち砕け!」

「アーマーガア! 早業【爪研ぎ】からの力業【付け上がる】!!」

テツノワダチがエレキフィールドのエネルギーを粉砕しながら突進し、限界まで能力ランクを跳ね上げたアーマーガアが漆黒のオーラを纏って急降下!

「【DCDグレネード】で広範囲ごと全弾爆撃しろ」

「イエッサー!」

ハイコマンドラモンがグレネードランチャーを構えると、砂嵐の空間全体へ向けて榴弾を全弾掃射! 逃げ場のない広域連鎖大爆発がフィールド全体を激しく呑み込んだ!

ドドドッ――ボォォォン!!!

凄まじい爆風と煙が晴れると、そこには耐えきれず同時に倒れ伏したテツノワダチとアーマーガアの姿があった。

『テツノワダチ、アーマーガア、同時に戦闘不能!』

ハイコマンドラモンは凄まじい爆風とともに技の余波を掻き消し、立ち込めていた【砂嵐】をも完全に吹き飛ばしてしまった。

「どうだ? 本来ハイコマンドラモンは集団戦闘を得意とするデジモンだが、俺の相棒は単体でも圧倒的に有能なんだよ。だからこそ――もうひとつの進化形態へ自在に行き来できる。そうだろ、ハイコマンドラモン!」

「イエッサー! ハイコマンドラモン――スライドエボリューション!! シールズドラモン!!」

ハイコマンドラモンの姿が眩い光の中で瞬時に変貌! 重厚な防護盾と巨大ランチャーを捨て、体格は引き締まった小柄な暗殺型へと変化。片目には精密照準スコープ、そして両手には鋭利なコンバットナイフを装備した特殊工作兵デジモン――シールズドラモンへと変身を遂げた。

解説マイクを手にしたスコートが粛々と補足する。

「彼はシールズドラモン。ハイコマンドラモンと同じく成熟期に位置する形態となりますね。主な必殺技は敵の弱点を瞬時に分析する【スカウターモノアイ】と、背後から一撃で急所を貫く暗殺技【デスビハインド】となります」

スコートの説明を聞きながら、ショウとハルトは顔を見合わせ、すぐさま腰の特殊なボールを構えた。

「捕まえたばかりの未知数だが……行ってこい、ハバタクカミ!」

「ムマッ!」

「お願い、行って! パオジアン!」

「キルッ!」

ショウが解き放ったのは大穴の古代パラドックスポケモンであるハバタクカミ、ハルトが解き放ったのは四災の一角である災厄ポケモンのパオジアンだった! パオジアンが降臨した瞬間、その特性【災いの剣】がフィールド全体に波及し、敵味方問わず周囲の防御力が一気に低下する。

それを見たタツミが口元を緩めた。

「パオジアン……確かパルデア地方の歴史に封印されていた四災のポケモンだったはずだな。それとハバタクカミはエリアゼロに生息する奴か?」

「よく知っているな! ハバタクカミ、【ムーンフォース】!!」

「ムマッ!」

「パオジアン、【聖なる剣】!!」

「キルッ!」

絶大な火力を誇る古代の妖精光と、災厄の鋭利な剣撃が同時に襲いかかる!

「シールズドラモン、【スカウターモノアイ】で軌道を読み切って防御!」

「イエッサー!」

シールズドラモンは冷徹なスコープの光で攻撃の弱点を見抜くと、投擲したナイフの一閃で【ムーンフォース】のエネルギー核を相殺! さらに残る両手刃でパオジアンの【聖なる剣】を完璧に受け止めた。

「ッ――【デスビハインド】!」

受け止めた反動を利用し、シールズドラモンは超高速でパオジアンの背後へ回り込むと急所へナイフを突き刺す! しかし、パオジアンは間一髪で自らの身体を冷たい雪の氷晶へと変えて攻撃をすり抜け、危機を回避した。

すぐさま距離を取って着地したシールズドラモンが、タツミへ淡々と打診する。

「提案。敵の特殊能力および回避性能が高いため、強襲重火力戦への移行を推奨する」

「分かった。行くぞ、デジソウルチャージ!!」

「シールズドラモン――超進化!! タンクドラモン!!」

咆哮とともにシールズドラモンが眩い進化の光に包まれる! 光が弾けると、竜の上半身に無骨な重戦車のキャタピラと無数の砲身が融合した圧巻の重爆撃デジモン――タンクドラモンが降り立った!

「タンクドラモン……完全体に位置するデジモンです。必殺技はガトリング砲を掃射する【ブラストガトリング】と、強力な主砲を放つ【ストライバーキャノン】となります」

スコートの説明が完結すると同時に、タツミの容赦ない号令が飛んだ。

「【ブラストガトリング】!!」

車体に装備された超大型ガトリングが猛烈な回転音とともに火花を散らし、広弾幕の鉛の雨を降り注がせる!

「ハバタクカミ! 【ゴーストダイブ】で影へ逃げろ!」

「パオジアン、【身代わり】で凌いで!」

ハバタクカミは姿を消して異空間へ没入し、パオジアンは雪の身代わりを囮にすることでどうにか弾幕の直撃を免れた。

「タンクドラモン!」

「イエッサー! 【ヴォルケーノナパーム】!!」

タンクドラモンは主砲とガトリングから超高熱のナパーム火炎弾をフィールド全体へ拡散・着弾させ、異空間から現れようとするハバタクカミの出現位置を炙り出す! さらに【自己再生】と【守る】で耐え凌ごうとするパオジアンの防壁ごと、2体の位置を極大の照準器で同時ロックオンした。

「逃がさん……【ストライバーキャノン】!!」

ドゴォォォォンッ!!!

主砲から解き放たれた極大のエネルギー砲弾が直撃し、フィールド全体を吹き飛ばす凄まじい大爆発が炸裂! 煙が晴れると、そこには力尽きて倒れたハバタクカミとパオジアンの姿があった。

『ハバタクカミ、パオジアン、戦闘不能!』

技の数や継承技をフル活用するデジモンの圧倒的な戦術の前に、ショウとハルトもまた初戦から苦戦を強いられるのだった

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。