Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
「行ってこい、ボスゴドラ!」
「ゴドォッ!!」
「お願い、チオンジェン!」
「カキシルス!」
追い詰められた絶望的な状況のなか、ショウは愛用の重鋼甲・ボスゴドラを、ハルトは四災の一角である古木の災厄・チオンジェンを力強く戦場へ解き放つ。
「ボスゴドラ、力業の【岩雪崩】だ!!」
「ゴドォォォラッ!」
「チオンジェン、【宿り木の種】を撃ち込め!」
「カキシッ!」
「タンクドラモン、一斉射撃の【ブラストガトリング】でまとめて粉砕しろ!」
タツミが即座に迎撃を命じるが、なぜかタンクドラモンのガトリング砲はピクリとも動かない。その隙を突いて、頭上から降り注いだ無数の巨大岩塊【岩雪崩】が直撃し、タンクドラモンは大量の瓦礫の中にすっぽりと埋もれてしまった。
「司令官……! メイン機構及び【ブラストガトリング】、【ストライバーキャノン】、一時使用不能!」
「なに……!? ……そうか、さっきの種か!」
タツミが苦々しく顔を歪める中、ハルトたちがタンクドラモンの砲身をよく見ると、隙間にしっかりとチオンジェンの【宿り木の種】から伸びた頑丈な蔓の弦が絡みつき、稼働部を完全にロックしていた。
「ハルト、ナイスだ……!!」
「うん! さっきからの戦闘を見てたら、あいつの技は全部あの両方の砲身から発射されてたから、絡ませれば絶対に封じられると思ったんだ!」
「それに、これまでの激しい戦いのせいでフィールドの地面はボロボロだ! あの巨体じゃ足場が悪くて満足に走り回ることもできないはずだ、このまま一気に攻め立てるぞ! ボスゴドラ、早業の【鉄壁】からの【ヘビーボンバー】!!」
「チオンジェン、【花粉団子】でさらに追い打ちを!」
全身を限界まで硬質化させたボスゴドラがその巨体を乗せた重撃の突撃を叩き込み、チオンジェンの花粉団子が追撃の爆発を浴びせる! タンクドラモンの強固な装甲に、ついに明確な亀裂と傷が走り始めた。
窮地に陥ったのを確認し、タツミはフッと鼻を鳴らした。
「……しょうがない、少し本気を見せるか。行くぞ――リアライズ!! メガログラウモン! ライズグレイモン!!」
タツミの呼び声に応じ、深紅のボディに重厚なアーマーと双腕の剣を纏ったメガログラウモンと、銃身を抱えた恐竜型のライズグレイモンの2体が新たにフィールドへ現れた。
「タンクドラモン! ライズグレイモン! メガログラウモン! ――デジクロス!!」
「「「デジクロス!!」」」
『タンクドラモン・ホバータンクモード!!』
凄まじい光の奔流とともに3体のデジモンがひとつに融合・合流を果たす! タンクドラモンの胸部にメガログラウモンの装甲が装着され、背中にはライズグレイモンの飛行ユニットが展開。右腕にはメガログラウモンの【ペンデュラムブレイド】が統合され、左腕にはライズグレイモンの【トライデントリボルバー】が装備された。さらに、下半身のキャタピラが横向きへと変形し、轟音を立てながら空中へと浮遊したのだ。
「嘘……!?」
「マジかよ、合体した……!?」
あまりの規格外な変化に、ハルトとショウは思わず言葉を失う。観客席のほうから、スコートが淡々と解説の声を飛ばした。
レンジャーたちのどよめきを聞きながら、観客席のアリサがハルトの脳内へと焦燥に満ちた思念を直接送り届ける。
『(ハルトさんっ……! あの形態はデジモン同士の特殊な合体――デジクロスです! 複数の戦力が一つになって出力を底上げしているから、まともに受けたら駄目です、絶対に守りを固めてっ!!)』
アリサからの必死の警告を受け、ハルトは背筋が凍るような危機感を察知した。
「チオンジェン、今すぐ自分の足で【根を張る】んだ! さらに【グラスフィールド】を展開して防御を固めて!」
「カキシッ!」
「ボスゴドラ、力業の【ストーンエッジ防壁】と【守る】を重ねがけしろ!」
「ゴドッ!」
二人の指示を受けたポケモンたちが、ありったけの防御壁と大地の加護を自身と味方の周囲に幾重にも張り巡らせる。その直上、ホバータンクモードへと変貌したデジモンが空中へ完全に浮き上がり、全砲身を真下へと向けた。
「終わりだ……! 【アトミックメガロブラスター】!!」
合体したすべての砲身と銃口から放たれた、世界のすべてを焼き尽くすような極太の集合光線が、ありとあらゆる防壁ごとフィールド全体を猛烈な爆発のなかに呑み込んでいった。
デジクロスしたタンクドラモンの猛烈な【アトミックメガロブラスター】によって、激しい爆風と巨大な衝撃波が周囲を襲う。しかし、ハルトが事前に展開していた【グラスフィールド】やショウとハルトの綿密な防壁の効果により、その絶大なエネルギーは外部へと漏れ出ることなくフィールド内で無事に相殺・消滅した。
立ち込めていた煙がスーッと治まると、そこには元の地形が跡形もなく吹き飛び、まるで更地と化したバトルピッチが広がっていた。【グラスフィールド】の緑も、【岩雪崩】や【ストーンエッジ】による巨大な岩塊の防壁も綺麗に消滅していた。
だが、その爆心地の中心で、ボスゴドラとチオンジェンの2体はボロボロになりながらも奇跡的に踏みとどまり、戦闘不能の一歩手前でありながら眼前の敵を鋭く見据えていた。
「へぇ……やるなぁ。デジクロス状態だから本来の威力よりはだいぶ落ちているとはいえ、一撃で戦闘不能になると思っていたんだがな」
タツミは素直に感嘆の声を漏らすと、速やかに手元のデジヴァイスを操作した。
「クロスアウト」
瞬時に3体への合体が解除され、分離したメガログラウモンとライズグレイモンは光となってデジヴァイスへと帰還していく。そしてタツミは再び激しいソウルを周囲に迸らせた!
「デジソウルチャージ! オーバードライブ!」
「タンクドラモン――究極進化!! ブリガードラモン!!」
光の奔流を突き破って現れたのは、これまでの戦車型から再び二足歩行へと戻り、右腕に巨大なガトリング砲、左腕には無数のミサイルランチャー、そして背中に高性能な飛行ユニットを完備した圧巻の機械竜――究極体ブリガードラモンであった!
マイクを握るスコートが客席へ向けて静かに解説を入れる。
「ブリガードラモン……部隊を率いる司令機でありながら、単体での高度な索敵と圧倒的な殲滅性能を誇る究極体デジモンですね。必殺技は左腕から解き放つ生体ミサイル【エクサデストロイヤー】と、右腕のガトリングを全弾掃射する【アームズブレイザー】などがあります」
圧倒的な究極体の降臨にも、ショウとハルトは一歩も引かない。
「チオンジェン、ボスゴドラへ【花粉団子】!」
「カキシッ!」
「ボスゴドラ、喰らったダメージをそのまま返せ! 【メタルバースト】!!」
「ゴドォォォッ!!」
ハルトはチオンジェンに傷ついた味方の回復を命じ、ショウは【守る】を貫通されて蓄積した莫大なダメージを倍返しにする大技【メタルバースト】を指図した!
「ブリガードラモン! 【エクサデストロイヤー】!」
「イエッサー!」
ブリガードラモンが左腕から放った大型生体ミサイルが一直線に飛翔し、迫り来る【メタルバースト】の壊滅的なエネルギーと真っ向から衝突! 凄まじい爆炎とともに相殺してみせた。
「流石にあの反撃を直接喰らったら、究極体でもかなりのダメージになるからな……出し惜しみはなしだ。【メテオフォール】!」
タツミが間髪入れずに連続攻撃を指示すると、上空から巨大な隕石の群れが地表へ向かって一斉に降り注ぐ!【花粉団子】で多少持ち直していたボスゴドラとチオンジェンであったが、逃げ場のない広域破壊攻撃に呑み込まれ、ついに2体揃って力尽き戦闘不能となった。
『ボスゴドラ、チオンジェン、戦闘不能!』
ショウとハルトは一瞬の迷いもなく倒れた相棒をボールへ戻すと、残された最後のカードをフィールドへ叩きつけた!
「頼むぞ! 行ってこい、ガチグマ!」
「ワギィッ!!」
「お願い、来て! ディンルー!」
「ソソゲェッ!!」
ショウが送り出したのは大地を揺るがす剛腕のガチグマ、ハルトが送り出したのは四災の一角である巨器の災厄・ディンルーだった!
最後の攻防へ向けてブリガードラモンへ指示を出そうとしたその時――突然、タツミの腰にあるデジヴァイスが強烈な白銀の光を放ち始め、端末を通して重厚な声がタツミへと直接語りかけてきた。
『テイマーよ。すまないが……私を出してはくれないか?』
「いや……あんたを出すのはさすがにやりすぎだろ……!」
突如始まった端末の主との押し問答に、ショウやハルト、観客席の生徒たちも呆気にとられる。しばらくの議論の末、タツミが深くため息を吐いて折れた。
「……はぁ、分かったよ。ただし俺の指示に従うこと、それとこの世界のルールに合わせてかなりのデバフ(出力調整)をかける。それでも良いんだな?」
『構わぬ』
「分かったよ……リアライズ! オメガモン!」
タツミが掲げた端末から解き放たれた光の柱の中から、ウォーグレイモンとメタルガルルモンの意匠を両腕に宿し、白銀の聖衣を纏った伝説の聖騎士――オメガモンが静かにピッチへと降り立ったのだった!