Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
学園最強大会の激闘から一夜が明けた翌日。
ショウとアリサは揃って校長室を訪れていた。重厚な扉を開けて入室すると、そこにはクラベル校長をはじめ、トップチャンピオンのオモダカ、そしてチリやポピーら四天王の面々がずらりと待ち構えていた。
「お待ちしておりました。お二人とも」
「昨日は本当にお疲れ様でした。体調にお変わりはありませんか?」
クラベルとオモダカが二人を労うように言葉をかける。
「はい、二人とも大丈夫です。ところで……先生方やパルデアリーグの皆さんの反応はどうでしたか?」
「問題ありませんよ。エキシビションでの圧巻のバトルを見て、デジモンたちの持つ規格外の力や危険性、そして正しく付き合う重要性についてしっかりと理解を得ることができました」
「そうですか。それを聞いて安心しました」
ホッと胸を撫で下ろすショウとアリサ。しばらく談笑を続けていると、ガチャリと扉が開き、ハルト、ネモ、ペパー、ボタン、そしてミモザ先生といった、これまでの事情を知る面々が次々と校長室へ集まってきた。
「お待たせしました~」
最後にそう言って入ってきたのは、昨日の激戦を戦い抜いたスコートとタツミだった。その二人の姿を見るなり、ショウは呆れたように苦笑いを浮かべた。
「ヒデトに委員長……いい加減、その変装を解いてくれないか?」
「だから! その『委員長』ってあだ名で呼ぶのはやめなさいよ!」
「りょうか~いっと」
二人の口から突如として全くの別人の声が発せられたかと思うと、その姿が蜃気楼のように揺らめき、瞬く間に変貌を遂げた。
スコートとタツミの姿は霧散し、そこに立っていたのは――どこか目付きの鋭く凛とした雰囲気を纏う少女と、やんちゃで陽気な笑みを浮かべた少年だった。
「そんじゃ改めて! 俺はTeam:【ライトファング】所属のヒデトです!」
「同じく【ライトファング】所属のサクヤです」
「「よろしくお願いします!」」
タツミとスコート改め、ヒデトとサクヤはハキハキと本来の自己紹介をした。
「今回は学園の混乱を防ぎつつデジモンの証明をするために協力していただき、本当にありがとうございました」
「また何かありましたら、ショウやアリサを通して連絡をくださいね」
クラベルとオモダカから深く感謝の言葉と連絡事項を伝えられると、校長室での面談は無事に解散となった。その後、ヒデトとサクヤはアリサたちに案内される形でショウの部屋へと移動した。
「ねえねえ、ショウたちとは一体どういう関係なの?」
ネモが興味津々といった様子で身を乗り出して尋ねる。
「ヒデトは、前に話した『一緒にデジタルワールドへ冒険に行った友人』の1人でな。サクヤは、もう1人の友人の恋人兼、俺と同じ学校のクラスメイトなんだよ」
「へぇー! そうだったのか! ん? なら、その『もう1人の友達ちゃん』は今日来てないのか?」
ペパーが疑問を投げかけると、サクヤが柔らかく微笑みながら答えた。
「エイジ君は今ちょっと外せない用事があって……だから代わりにヒデト君が来てくれたのよ」
「んで、どうする? まだ時間があるなら、みんなで飯でも食いに行くか?」
ショウが提案するようにヒデトに問いかけるが、ヒデトとサクヤは申し訳なさそうに手を振った。
「悪いんだけど、俺たち速攻で向こうに戻らないといけないんだよ」
「そうなのですか?」
「うん。私はこの後すぐ別のミッションが入っていて……ヒデト君は、テイマーのブロンズランク昇格試験の試験官を担当しないといけないの」
「まあな、前から頼まれていた仕事だからすっぽかすわけにもいかなくてさぁ」
申し訳なさそうに頭をかくヒデト。
「そっか。残念だけど、二人とも頑張れよ」
「ショウも、もうすぐ代表戦なんだからしっかり特訓しておけよな。向こうの仲間もみんな、お前とエイジの試合をめちゃくちゃ楽しみにしてるんだから!」
「おう! 負ける気はねえよ!」
そんなたわいもない会話を少しだけ交わすと、ヒデトとサクヤはゲートを開き、すぐさまデジタルワールドへと戻っていった。
二人が去った後、ペパーがふと思い出したようにショウへ視線を向けた。
「そう言えばさ、ショウのミライドンって……大穴の奥にいた父ちゃんの手持ちのアイツだろ? 一体どうやって捕まえたんだ?」
「ん? ああ。ジム巡りをしている最中にパルデアの大穴にデジモンが現れたことがあってな。デジモンを倒した直後、興奮したあいつが急に襲いかかってきたから……拳で殴り飛ばして捕まえた」
「「「殴り飛ばして……!?」」」
あまりにも脳筋すぎる捕獲方法に一同が引きつった顔をする中、今度はボタンがアリサへと問いかける。
「じゃあ……アリサさんのディアンシーは?」
「私はメガストーンを探して以前ショウさんから聞いていた洞窟を探索している最中に出会いまして、バトルを通じて意気投合したのでそのまま仲良くゲットしました」
「……うん、二人らしい捕まえ方だね」
ハルトが呆れ半分、感心半分といった様子でつぶやくと、ショウの部屋に集まった6人は顔を見合わせ、楽しそうに笑いあうのだった。