Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い   作:ガチャガチャクツワムシ

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VS三大天使

「ハルトよ、ショウから貴様に渡されている予備のデジヴァイスは、ショウが使っているものと同等の機能を持っている。まずは戦闘の被害を出さないよう、フィールドを張るのだ!」

ブラックセラフィモンの叫びを受け、ハルトは即座にデジヴァイスを操作してバトルフィールドを展開した。

「すまないな、少年……。そなたに攻撃が当たらないよう配慮して放つ」

強制プログラムに抗いながらセラフィモンがそう告げると、両手から【セブンヘブンズ】を射出! 7つの聖なる超熱光球がBセラフィモンへ向けて真っ直ぐ放たれる!

「相殺して!!」

「応!! 【セブンヘルズ】!!」

ブラックセラフィモンが放った7つの闇の超熱光球が正面から衝突し、【セブンヘブンズ】を見事に相殺してみせた!

ハルトはその一瞬の隙を見逃さず、すぐさまデジヴァイスの解析機能を起動して三大天使のデータをスキャンし、続けてBセラフィモンの数値と照らし合わせた。

「向こうの方が圧倒的にステータスが高い……! それに何なの、このケタ外れの能力値は!?」

「奴らは『三大天使』という、デジタルワールドで極めて重要な役割を任されている存在の後継者たちだ。故に同種と比べても遥かに強力に調整されている。我が身も他の同種よりは遥かに強大な力を宿してはいるが、あの大幹部3体を同時に相手取るとなれば……焼け石に水に等しい」

悔しそうに歯噛みするブラックセラフィモンだが、その鋭い眼光は三大天使から一切逸らさない。

「……ショウたちが追いつくまでの間、時間を稼ぐしかないみたいだね。ブラックセラフィモン、【ナイトレイド】!!」

ハルトの冷静な状況判断から即座に指示が飛ぶ! ブラックセラフィモンは漆黒の羽ばたきとともに無数の闇のコウモリの群れを解き放った!

「――【ライトニングスピア】」

ケルビモン善が召喚した巨大な雷撃の槍がコウモリの群れをことごとく撃ち落として消滅させる。しかし、煙が晴れた瞬間、そこにブラックセラフィモンの姿はなかった。

「今だよ!!」

「【ナイトメア】!!」

ハルトの指示により、影に紛れて3体の真後ろへと回り込んでいたブラックセラフィモンが、死角から闇のエネルギー波を叩き込む! 直撃を受けた三大天使たちは弱点属性の強襲に一瞬体制を崩した。

その一連の攻防を後方から観察していたクラハシが、感心したように不気味な笑みを漏らす。

「なんと……あの【ナイトレイド】を目眩ましにして死角へ瞬時に移動させるとは! 状況判断が極めて速い上に、ポケモンバトルで培った高度な戦術をデジモン戦闘にも見事に応用しているようですね……」

ダメージを受けた三大天使たちだったが、洗脳プログラムに突き動かされて即座に反撃へと転じる。

「防いでください! 【エデンズジャベリン】!」

「チィッ! 【ライトニングスピア】!」

オファニモンが槍から放った聖なる光線に対し、ブラックセラフィモンは先ほどケルビモンがやってのけたように電撃の槍を直前で迎撃! さらに残り2体が迫る怒涛の追撃に対しても、ハルトの的確な指示のもとで回避と迎撃、反撃を幾重にも繰り返してギリギリの攻防を繋いでいく。

しかし、耐え忍んでいたその時――ケルビモン善が苦しい表情で声を絞り出した。

「……すまない! 先ほど、あの男から『同時に必殺技を叩き込んで消去しろ』と命令が下された……! 僕たちの抵抗で最低出力に抑えて放つ……何とか相殺してくれ!!」

次の瞬間、3体の三大天使が同時にその絶大なエネルギーを練り上げ、一斉に解き放った!

「ごめんなさい……! 【セフィロートクリスタル】!!」

「許せ……! 【セブンヘブンズ】!!」

「すまない……!! 【ヘブンズ・ジャッジメント】!!」

極大の聖なる光線、熱光球、そして天から降り注ぐ神罰の雷が合体し、あらゆるものを消滅させる圧巻の光の奔流となって押し寄せる!

「全霊の……【セブンヘルズ】ーーッ!!」

ブラックセラフィモンは己が繰り出せる限界を超えた極大出力で闇の光球を放ち、正面からこれを押し返そうと試みた。しかし、手加減されているとはいえ究極体・三大天使の同時必殺技の質量はあまりにも重く、じわじわと押され始めた闇の光球はついに破砕!

轟音とともに、ブラックセラフィモンは光の奔流の中に呑み込まれてしまったのだった――!

ハルトは4体の究極体デジモンが繰り出した必殺技の凄まじい衝撃波から身を守るため、咄嗟にディンルーたちに指示して【ストーンエッジ】の巨大な岩壁を幾重にも生成し、その影へと身を隠していた。しかし、規格外のエネルギーの爆風は一瞬にして硬質な岩壁を粉々に粉砕! ハルトはその猛烈な風圧によって後方へと激しく吹き飛ばされてしまった。

「ぐっ……うぅ……!」

泥だらけになりながら急いで体を起こし、ハルトは戦場の中央へ視線を走らせた。そこには全身の甲冑が砕け散り、黒い羽を散らせながらボロボロの状態で膝を地面につけているブラックセラフィモンの姿があった。

「ブラックセラフィモン! 大丈夫!?」

「……問題……ない……」

弱音を吐くまいと、意地で身体を起こして立ち上がろうとするブラックセラフィモン。しかし、限界を迎えた巨体はそのまま前へと力尽きるように倒れ込んでしまった。

「威力を最低限まで抑えていたとはいえ……弱点属性である我ら3体の必殺技を同時に受けておきながら、デジタマに戻ることすら耐え抜くとはな」

「本来の主によって極限まで手塩にかけて育てられていることに加え、指示を出していた彼の指示の的確さもまた、素晴らしかったからでしょうね」

洗脳に抗いながらも感嘆の声を漏らしていた三大天使に対し、後方に控えていたクラハシが冷酷な声で宣告した。

「ふむ、私の目的は十分に果たされました。ですから――君たちはもう用済みです」

クラハシが不気味に手をかざすと、三大天使の背後に漆黒のデジタルゲートが強制開門。3体の巨体は抵抗する間もなくゲートの中へと吸い込まれ、姿を消してしまった。

三大天使を送還し終えたクラハシは、ゆっくりとハルトへ向けて歩みを進め、薄笑いを浮かべた。

「さてと……もう一度お聞きしましょうか。ハルト君、私に協力していただけませんか?」

鋭い眼光で迫るクラハシに対し、ハルトは強い恐怖を感じながらも語気を強めて問い詰めた。

「僕に……僕に一体、何をさせるつもりなんだ!?」

「何、私の実験に協力してもらいたいだけですよ」

あまりにもあっけらかんと答えたクラハシだったが、直後にその表情を蛇のように冷たく引き締めた。

「私はね……デジモンの能力やデジコアを人間に取り込ませることで、人類は新たな高次元の存在へと進化できると信じているのですよ。現に……私やあなたもよく知っている『ソウマ』という完璧な成功例が、すぐ身近に存在しているのですからね!」

「その至高の境地に辿り着くためには……より質の高く、多様なデータが必要不可欠なのです!」

狂気に満ちた情熱を秘め、クラハシは力強く宣言した。

「以前のアカデミー襲撃犯たちを捕らえ、彼らのデジコアを代用品として実験に使ってみましたが……フン、彼ら程度の矮小な存在では大したデータは手に入りませんでした。むしろポケモンたちを利用した方が、遥かに有益なデータが得られるほどでしたね」

心底残念そうに肩をすくめて見せたクラハシは、怪しい光を宿した瞳でハルトをじっと見つめた。

「しかし……ハルト君。君は素晴らしい。一時的な貸与に過ぎない他人のデジモンに対し、まるで長年連れ添った自分のパートナーであるかのように完璧で的確な指示を行ってみせた。……君の脳と存在からは、極上のデータが取れると確信しましてね」

語りかけるクラハシの瞳が、妖しく紫色の洗脳光を解き放つ。先ほどの【デーモンシャウト】の波長がハルトの意識を直接苛み、ハルトの瞳から急速に光が失われ、虚ろで焦点の合わない表情へと変わっていった。

「させ……ぬ……!!」

その時――死に体であったはずの場所から、地獄の底から響くような凄まじい威圧感が解き放たれた! ボロボロに傷つき、全身から闇の粒子を散らせながらも、ブラックセラフィモンが執念だけで立ち上がっていたのだ!

「チッ……まだ立ち上がれる体力が残っていましたか。まあいい、後は彼らに任せるとしましょう」

クラハシが指を鳴らすと、空間の歪みから無数の単眼のカメラアイを持った異形の人工デジモン――ギズモン群が群れをなして出現! 襲いかかったギズモンたちは、抵抗する術を失ったハルトの身体を素早く拘束すると、そのまま足元に広がる不気味な影の底へと引きずり込んで消え去っていった。

「ハルト……!! 舐めるなよ……機械共……!!」

主から任されていたのに無残に連れ去られるハルトの姿を目にしたブラックセラフィモンは、怒りの咆哮を上げた。そして、己の全存在と生命の証であるデジコアの全てを燃料へと焚べ始める!

「我が……最大奥義を受けよ……!! 【テスタメント】――――っ!!!!」

(すまない……ショウ……!)

ショウへの深き謝罪を胸の中で呟きながら、ブラックセラフィモンは自らの命と引き換えに、空間そのものを破滅へと巻き込む超絶大爆発――【テスタメント】を発動させた!

ドゴォォォォォォォォンッ――――!!!!

世界を崩壊させるほどの極大の光と衝撃が炸裂! 逃げ遅れた大量のギズモン群は、叫びを上げる隙すら与えられず一瞬にして消滅・蒸発した!

ハルトが事前に展開していたバトルフィールドの強固な障壁が残っていたおかげで、現実世界への被害は最小限に留められた。しかし、嵐が去ったそのピッチの中央には、虚しく巨大なクレーターだけが残されており……そこにはブラックセラフィモンの姿も、ハルトの姿も、クラハシの姿も……何一つとして残されていなかった。

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