Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い   作:ガチャガチャクツワムシ

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VSハルト

「ハルト! 良かった!」

「無事だったのね!」

「元気そうだな、ハルト!」

「目立った怪我もなさそうね……」

「……ひとまず無事で安心しました」

ボタン、ネモ、ペパーは破顔して嬉しそうに声をあげ、ミモザ先生はハルトの無事を確認して胸を撫でおろし、アオキも安堵の溜め息をついた。

「ボタン、ネモ、ペパー……心配をかけて本当にごめんね。ミモりん先生、アオキさんもご迷惑をおかけしました」

ハルトはそう言って深々と頭を下げると、まっすぐにショウの方へと視線を戻した。

「みんなには本当に悪いと思っている……でも、僕はどうしてもショウと本気で戦いたいんだ! だから……あの人の提案を受け入れた。だから僕と、もう一度全力で戦ってよ、ショウ!!」

迷いのない力強い宣言。それに対し、ショウはあっさりと応じた。

「いいぞ」

「軽っ!?」

拍子抜けする一同を他所に、ショウは鋭い眼光でハルトを見据えた。

「ただし! ……アリサはどうした?」

「あぁ、アリサなら――」

ハルトが答えようとした瞬間、背後に小さなデジタルゲートがひらき、ガスマスクのような顔をした異形の兵士デジモン――トループモンが2体出現。その奥から、ロープでガチガチに縛られ、口に猿轡(を噛まされた状態のアリサが引きずり出されてきた。

「アリサ!!」

誰かが悲鳴のような叫びをあげる中、ショウは静かにアリサの状態を観察した。するとアリサは何かを必死に伝えようと「ムググ!」と唸り始め、トループモンが手際よく猿轡を外した。

「……ぷはっ! ショウさん、助けに来るのが遅かったですね」

「開口一番に言うことがそれかい。……まあ、元気そうだな」

「ええ、特に問題はありません」

「……あのさ、ショウ。僕もさっき先生から聞いて驚いたんだけど……アリサ、ここに連れて来られる直前まで、向こうの部屋で優雅にティータイムを楽しんでいたらしいよ……?」

ハルトが凄く言いにくそうに暴露すると、ショウは生温かい視線をアリサへ向けた。

「……お前、人質になっといて何してんの?」

「……ショウさんが必ず助けに来てくださると信じていましたから、慌てても時間の無駄かなと思いまして」

「……トループモン! すまんけど、もう一回そいつに猿轡をはめておいてくれ」

「そんなひど――むぐぐ!!」

ネモやペパーたち全員から冷ややかなジト目を向けられる中、トループモンはガスマスク越しになんとも言えない哀愁を漂わせながら、手際よく再びアリサに猿轡を噛ませた。

「……はぁ、気を取り直して。ハルト、バトルはポケモンか? デジモンか? どっちで戦うんだ?」

「デジモンで!」

ハルトはポケットからデジヴァイスと【デジメモリ】を力強く掲げて見せた。

「了解。――ネモたち、みんなはあのバカタレの近くまで移動してくれ。あそこなら戦闘の波及を受けないはずだから。何か分からないことがあったら、あのバカタレに聞きな」

「ムググ!(バカタレとは失礼な!)」

「わかった!」

「ショウ、頑張れよ!」

「ハルトを絶対元に戻してあげて!」

「ふたりとも、大怪我だけはしないようにね!」

「ショウさん、アリサさんの身体の拘束は解いた方が良いでしょうか」

「いや、もう少し頭を冷やして反省させましょう」

「分かりました」

アオキの提案をあっさり却下し、5人は猿轡をはめられたアリサの周りへと退避した。役目を終えたトループモンたちは、疲れたような仕草をしながら静かにゲートの奥へと姿を消していった。

「デジモンのバトルは【トリプルバトル】のように、お互い3体同時に繰り出してチーム戦を行う。今回は3セット勝負だ。分かったな、ハルト!」

「うん!」

「ならリアライズ! ロトスモン! グリフォモン! ラグエルモン!」

ショウの呼び出しに応じ、艶やかな植物の妖精・ロトスモン、巨大な鷲獅子・グリフォモン、そして不気味な爪と翼を持つ恐ろしい堕天使・ラグエルモンの3体がフィールドへ舞い降りた!

「僕は、この3体だ!」

ハルトもデジヴァイスを突き出し、手持ちのデジモン3体をフィールドへと解き放った

「あのデジモンは……? ラジエルモンと似ているけれど、なんだか凄く荒々しい雰囲気がする……」

ネモが不思議そうに呟くと、正座をさせられながら縄を解いてもらったアリサが静かに解説を加えた。

「あれはラグエルモン……疑念にとらわれ堕天しかけている天使型デジモンを追撃し、根絶やしにする役目を担う究極体デジモンです」

一方、ハルトはデジヴァイスに3枚の【デジメモリ】を素早くスキャンさせ、3体のデジモンをピッチへと解き放った。出現したのは、眩い黄金の装甲を身に纏った巨大な鳥型究極体・クロスモン。禍々しい暗黒のオーラを放つ堕天形態・オファニモン:フォールダウンモード。そして真紅の薔薇のドレスを纏った美しき妖精・ロゼモンであった。

「俺のパーティ構成と絶妙に被せてきたか……面白い!」

不敵な笑みを浮かべたショウが、間髪入れずに先制の指示を叩き込む!

「グリフォモン! 【テクスチャブロー】! ロトスモン! 【メンタルブレイクフィールド】! ラグエルモン! 【アクセルブースト】!」

ハルトもポケモンのダブルバトルで培った即応力で迎撃を命じる!

「クロスモン! 【ゲイルストーム】の竜巻で防いで! オファニモンFDM(フォールダウンモード)は【バーストフレイム】! ロゼモンはオファニモンFDMに【ステータスバリア】を!」

クロスモンが巻き起こした激しい竜巻によって【テクスチャブロー】は相殺されたものの、ロトスモンが展開したデバフフィールドにより全体能力を弱体化されてしまう。しかし、ロゼモンのバリアでデバフを防いだオファニモンFDMの激しい火炎弾がロトスモンを捉え、痛烈なダメージを与えた。

「ロトスモンは一度後方で回復に専念しろ! ラグエルモン! 【アクセルブースト】が乗った【フォルムタラニス】でオファニモンFDMを叩き潰せ! グリフォモン! 全体に【スーパーソニックボイス】!」

「オファニモンFDM! 【フレイムヘルサイズ】で迎え撃って! ロゼモンはサポート! クロスモンは【ミスティックブレイク】で相殺して!」

大鎌を縦横無尽に振るうオファニモンFDMがラグエルモンの必殺の鉤爪を巧みに受け流す中、空中でグリフォモンとクロスモンの必殺技が激突! 鼓膜を破らんばかりの衝撃波と爆炎がフィールド全体へと広がった。

その直後、爆煙の死角を突いてラグエルモンが【パーホルス】の漆黒のビームを放つ! オファニモンFDMは【デモンズクリスタル】で咄嗟に防ごうとしたものの、死角から迫ったラグエルモンの鋭い尻尾による不意打ちを喰らい、たまらず崩れ落ちて消滅した。

「なら……ロゼモン! 【パーフェクトリバイブ】!!」

「させるか!! ラグエルモン! ロトスモン! ロゼモンを強襲して阻止しろ!!」

ショウの2体が不発に終わらせようと怒涛の連撃を打ち込むも、一瞬早くロゼモンの蘇生魔法が完成! 倒れたはずのオファニモンFDMが光とともに戦地へと舞い戻った!

「チッ……ロゼモンを最優先で集中狙いだ! グリフォモンはクロスモンを引き付けておけ!」

復活直後で隙のあるオファニモンFDMをあえて無視し、ショウはロトスモンとラグエルモンの2体掛かりで回復役のロゼモンへ猛攻を仕掛けた。ロゼモンを激闘の末に撃破することに成功したものの、ロゼモンの反撃によってショウ側の2体も相当量の体力を削られてしまう。

一方、空中で目まぐるしいドッグファイトを繰り広げていたクロスモンとグリフォモンは、【カイザーフェニックス】と【ウィンドクロウ】を激突させていた。しかし、元々の威力が勝るクロスモンの黄金の突進が押し勝ち、グリフォモンは翼を大きく損傷する。

「グリフォモン! そのまま旋回して背後を取れ! 至近距離から【スーパーソニックボイス】!」

「クロスモン! 自分ごと巻き込んで【ミスティックブレイク】だ!!」

グリフォモンが損傷した翼を鋭く翻し、クロスモンの背後を取って零距離から極大の音波を叩き込む! だがハルトは躊躇することなく、自爆覚悟で衝撃波を全方位に放出! 2体は至近距離での大爆発に巻き込まれ、猛烈な煙を吹き上げながら地面へと墜落していった。

クロスモンとグリフォモンが猛烈な勢いで地面へ激突し、ズドォンッと激しい地響きと煙幕が巻き起こる。その圧倒的な攻防のスケールに、観戦していた5人は完全に呆気に取られていた。

「これがショウの実力なの……?」

「……スゴすぎちゃんだな」

「これが……テイマーの本当の戦い方なんだ……!」

「……以前、実際に模擬戦を行いましたが、その時以上の凄まじさですね」

「いいなぁ! うずうずする! 私も混ざりたぁい!」

ネモが目を輝かせる傍ら、正座をさせられたままのアリサは、冷静な眼差しで戦局を分析しながらハルトを評価していた。

「ハルトさんのテイマーとしての才能は本当に凄まじいですね。洗脳されていたとはいえ、あの激闘から丸1日程度しか経っていないのに、ショウさんにここまで完璧に食らいついているなんて……」

その才能の恐ろしさは、対峙しているショウ自身が一番肌で感じていた。

(……凄まじい成長速度だな。悔しいが、純粋なバトルセンスや才能の枠組みじゃ俺は負けてる! だが――それを長年積み上げてきた経験と絆で補う!!)

「グリフォモン、戻れ! ロトスモンはラグエルモンを回復させろ! ラグエルモンは【アクセルブースト】!」

「させないよ! オファニモンFDM! ロトスモンに【デモンズクリスタル】!」

倒れたグリフォモンを素早くデジヴァイスへ回収したショウは、即座にラグエルモンの体勢立て直しを図る。ハルトはそれを阻止すべく、回復役のロトスモンへ攻撃を集中! 激しい闇の結晶が着弾し、ロトスモンは倒れてしまうものの、ラグエルモンの体力を間一髪で全快させることには成功した。

「体力はお互いに一度リセットされましたが、MPはどちらも残り半分程度といったところですか……」

アリサがデジヴァイスの表示画面を確認しながら呟く。

「MPって何?」

「ポケモンでいうところの『PP』のようなものです。技を繰り出すためのエネルギーであり、これが尽きれば必殺技を出せなくなります」

アリサがボタンに解説している間にも、フィールド上では全快したラグエルモンと、手負いのオファニモンFDMが互いの存在を消し去らんばかりに必殺技をぶつけ合っていた!

「これで……止めだ――っ!!」

ショウの叫びとともに、限界を超えた【フォルムタラニス】の爪と【フレイムヘルサイズ】の大鎌が正面から交錯! 閃光と爆風が晴れた後には、両者相打ちとなって倒れた2体の姿があった。

第1ラウンドのデジモンたちをデジヴァイスへ回収したその時――ミモザ先生が腕の中で大切に抱えていたデジタマが、突如として激しく脈動を始めた!

「きゃっ……! デジタマが……!?」

デジタマは周囲の空間に漂っていた膨大な戦闘データを一気に吸い上げると、表面にピキピキと亀裂が走り、眩い進化の光とともに孵化した!

光の中から現れたのは、右腕に巨大な銃身「ベレンヘーナSDX」を装着し、背中に漆黒の翼を広げ、重厚なアーマーを纏った魔王型デジモン――ベルゼブモンXW(クロスウォーズ)であった!

「……待たせたな、ショウ」

「応、お帰り」

口数は少ないものの、揺るぎない絆と信頼がその短い会話に凝縮されていた。ショウは不敵に笑うと、デジヴァイスから新たに2体の仲間をリアライズさせた。

「記憶は……ちゃんと残っているようだな?」

「もう! 本当に心配したんだからね!」

光の中から姿を現したのは、熱き正義の戦士・ジャスティモンと、背中に巨大なドリルを生やした荒々しい獣型究極体・ラセンモンであった!

「なら……僕は、この3体だ!」

ハルトもデジメモリをデジヴァイスへ一気にセットし、リアライズを宣言!

召喚されたのは、アカデミー襲撃事件の悪夢を思わせる巨大な重雷撃型・ライジンモン。ショウのラセンモンと対をなす禍々しい姿・ラセンモン:激昂モード。そして貴族のような豪奢な衣装を纏い、翼の先端に巨大な手を持つ不気味な魔王・ボルトバウタモンの3体であった!

両者譲らぬ最強の陣容が揃い、第2ラウンドの火蓋が切って落とされた!

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