Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い   作:ガチャガチャクツワムシ

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VSハルト3

「アキレウスモン! 【アネモ・ダルメノス】で撹乱して! メデューバルデュークモンは風の魔法でアシスト! シャイングレイモンRMは上空から【トリット・ヴァイス】!」

ハルトの指示によってメデューバルデュークモンの魔術が追い風を生み出し、アキレウスモンが凄まじい速度で無数の分身を展開! フィールド全体を撹乱するが、ショウは眼光を鋭く光らせて冷静に応戦した。

「ドュフトモン! レオパルドモードへモードチェンジして対応しろ! ヘクセブラウモンは【クリスタルブレス】で極厚の氷壁を展開して防げ! シャイングレイモンBMは防ぎ終わり次第、上空へ飛んで一気に距離を詰めろ!」

デュフトモンXは一瞬で百獣の王の如き四足歩行形態・レオパルドモードへ変形。アキレウスモンをも上回る神速の機動力で分身群を瞬く間に切り裂き、そのままアキレウスモンを他の2体から引き離す! ヘクセブラウモンが展開した絶対零度の氷壁は、上空から降り注ぐシャイングレイモンRM(ルインモード)の邪悪な火球攻撃を完璧に遮断。直後、急上昇したシャイングレイモンBM(バーストモード)が漆黒の炎を纏うRMへと肉薄し、空中での壮絶な超高熱インファイトへと持ち込んだ。

観戦エリアでは、目の前で繰り広げられる次元の違う激闘に全員が息をのんでいた。

「さっきの試合よりもさらに激しくなってない!?」

「凄すぎちゃん過ぎるだろ……地面の揺れがハンパねえぞ……!」

「ところで、前に見せてくれたシャイングレイモンと姿が変わっていたけれど……あれも【X抗体】というやつなのかしら?」

激しい攻防に目を奪われながらミモザ先生が呟くと、正座を見張っていたディルビットモンが静かに答えた。

「いや、あれは【バースト進化】。X-進化とはまた異なる、限界突破の進化形式の1種だ」

「バースト進化は、テイマーの想いとシンクロしてデジコア内部の潜在能力を一時的に限界まで解放した姿なんだよ。ただ、感情を制御しきれなければ暴走して【ルインモード】になり、最悪の場合はデジコアが損傷してデジタマに戻ってしまうリスクもある。完璧に制御しさえすれば、格上の存在とも互角以上に渡り合えるがね」

ディルビットモンの解説を引き継ぎ、ベルスターモンが補足する。

「……なるほど。では、ドュフトモンの形態変化はフォルムチェンジのようなものですか?」

「そうだね。一部のデジモンは戦況に合わせて形態を自在に変化させる能力を持っているのさ」

アオキが説明に納得し頷く中、

「いいなぁ~! うずうずする! 私もあの激しいバトルに混ざりたぁい!」

瞳をキラキラと輝かせて身を乗り出すネモを全員で示し合わせたようにスルーしながら、ペパーがふと足元へ目を向けた。

「ところで……アリサ、さっきから何も喋らないけど大丈夫か?」

視線の先では、長時間の正座によって足が完全に痺れきり、涙目で声もなく悶え苦しんでいるアリサの姿があった。そんなアリサに対し、ベルスターモンは意地悪な笑みを浮かべながら、どこからか拾ってきた木の枝で彼女の足先をツンツンとつついている。

「……お前、なにしてんの?」

「ふふっ、お仕置きも込みでやっていたんだけど、反応が可愛くて面白くてね? 一緒にやるかい?」

心底楽しそうに笑いながら枝を差し出してくるベルスターモンに、ペパーは引きつった苦笑いを浮かべて首を横に振った。

「タスケテ……タスケテ……」

「ダ~メ! アタイが満足するまでじっくり我慢しなさいな」

結局、バトルが決着してベルスターモンが飽きるまでの間、痺れた足をつつかれ続けて悶絶するアリサであった。

一通りの激しい攻防を終えると、広大なフィールドは三つの戦域に二分されていた。遠く離れた場所ではアキレウスモンとドュフトモンX抗体が神速の攻防を繰り広げ、上空ではシャイングレイモンRMとBMが超高熱の激突を展開。そして中央では、メデューバルデュークモンとヘクセブラウモンが各々のテイマーの前で静かに睨み合っていた。

「ねぇ」

「何だ?」

「……どうして細かく指示を出さないの?」

ハルトの疑問に対し、ショウは獰猛な笑みを浮かべながら答えた。

「悪いが、こいつら3体とベルゼブモンことブラックセラフィモン、グリフォモンとは特に長い付き合いでな。俺が細かく指示を出さなくても、お互いの呼吸だけで最適解で戦えるんだよ。それに……俺もヘクセブラウモンも、メデューバルデュークモンとは1対1で真っ向勝負がしたいんだ!」

ショウの言葉に、ヘクセブラウモンも不敵に頷く。

「デジメモリの再現データとはいえ、あの“ヴォルテクスウォリアー”を率いたとされる伝説の“旋風将”と戦えるなんて名誉なこと、誰にも邪魔されたくないからね」

「そういうことだ」

ショウとヘクセブラウモンは、目の前で斧を構えるメデューバルデュークモンをまっすぐに見据えた。

「……なら、お言葉に甘えて! アキレウスモン! 【アネモ・ダルメノス】で分身しながら【アタックチャージ】! そこから【アステロイディス】!」

ハルトの指示を受け、アキレウスモンは再び無数の分身を作り出して攻撃力を極限まで引き上げると、全方位からドュフトモンXへ向けて怒濤の乱撃蹴りを叩き込んだ。しかし――ドュフトモンXはその全てを紙一重で回避してみせた。

「なっ……!? あれだけの全方位分身攻撃を、全部避けた……!?」

「ドュフトモンはX-進化することで【ブラオンネーベル】という特殊な体術を獲得するんだ。これによって、たとえ死角を含めた全方位から同時に攻撃されようと、全て見切って回避することができるのさ」

ショウが誇らしげに解説し、続けて遠くの相棒へ声を張り上げた。

「ついでに、デジメモリの固定データじゃ真似できない本物の戦いってやつを見せてやれ、ドュフトモン!」

ショウの鼓舞に応え、ドュフトモンXは自らのデジコアデータを一時的に書き換えて限界突破! 主武装の【アウスターベン】の形状を歪ませ、巨大な十字の魔槍へと作り替えた。

「――この辺り一帯を、灰燼と化せ。【ヒャズニング・ワルツ】!!」

作り替えた槍――【究極戦十剣ダインスレイヴ】を光速で超回転させると、そこから発生した絶対的な破滅の衝撃波が空間そのものを削り取り、周囲一帯を一瞬で灰燼へと変え尽くした!

その規格外の危険性を瞬時に察知したメデューバルデュークモンは、すぐさまハルトを抱えて効果範囲外へと超高速退避。観戦していたネモたち6人も、異変に気づいたディルビットモンとベルスターモンによって間一髪で安全圏まで避難させられていた。

「なに……いまの……!?」

広大な地形が一瞬で消失した光景にハルトが慄然とすると、ショウはドヤ顔で語りかけた。

「どうだ、すげぇだろ! 今のはジエスモンというデジモンの【アウスジェネリクス】という能力に着想を得て、己のコードを限界突破させることで再現した応用技なのさ。まあ、本来の使い手であるクレニアムモンX抗体なら周囲3キロを完璧に消滅させられたんだが、そこまでは届かなかったな」

「そうなんだ……確かにデジメモリのデータじゃそんな無茶な応用はできないね。……でも、アキレウスモンはまだ倒れてないよ! 【ロンヒ・アディスタクト】!」

難を逃れていたアキレウスモンが、手に持つ神槍を全身全霊でドュフトモンXへ向けて投擲! 空間を切り裂く一撃が迫る。

「なら、お前本来の必殺技で叩き潰せ! 【アイネ・ビリオン】!」

ドュフトモンXは双槍を元の【アウスターベン】へと戻すと、超高速の突きを繰り出して飛来する神槍を粉砕! そのまま間髪入れずにアキレウスモンの懐へと踏み込み、1秒間に1兆回という途方もない超高速突刺を叩き込んだ。

「――――ッ!?」

残像すら残さない無数の突刺を全身に受けたアキレウスモンは、反撃の隙すら与えられずそのまま消滅したのだった。

ドュフトモンXは、アキレウスモンを撃破した直後、自らのデータを限界突破させた負荷と【アウスターベン】を【究極戦十剣ダインスレイヴ】へと無理やり書き換えた代償が一気に襲いかかり、耐えかねて膝からガクリと崩れ落ちてしまった。

「無理をさせて悪かったな……ありがとう、ゆっくり休んでくれ」

ショウは感謝を込めて静かに労い、ドュフトモンXをデジヴァイスへと戻した。

視線を上空へ巡らせると、そこではシャイングレイモン同士の死闘が続いていた。同種族ゆえにお互い炎の剣と盾を装備していたが、シャイングレイモンRM(ルインモード)は盾をもう一本の剣へと変化させ、二刀流でシャイングレイモンBM(バーストモード)へ猛然と斬りかかる。バーストモードは冷静に盾でその連撃を防ぎ切ると、お返しとばかりに剣と盾を融合させて巨大な槍へと変形させ、鋭い突きを繰り出した。

「防御して!」

ハルトの咄嗟の指示を受け、ルインモードは即座に武器を盾へと戻して突きを受け止める。

「そのまま一気に接近戦を仕掛けろ!」

ショウの指示を聞いたバーストモードは槍の形を崩し、その炎を両拳へと凝縮。正拳突きを繰り出すと、拳から解き放たれた炎が巨大な火炎竜となってルインモードへ襲いかかった! ルインモードは炎の盾で防ごうとしたものの、死角から肉薄したバーストモードの灼熱の旋風脚を喰らい、凄まじい勢いで地面へと叩きつけられた。

「あれって……ショウがアグニモンになった時に良く使っていた技だよね!?」

ネモが目を輝かせて叫ぶと、ショウは不敵に口元を緩めた。

「そう……【バーニングサラマンダー】からの【サラマンダーブレイク】だ。俺とシャイングレイモンは普段から良く殴り合って特訓していたからな。俺がアグニモンの時に培った戦闘データを吸収して、自分の技として昇華させているのさ。それだけじゃないぞ」

ショウが言い終わらないうちに、地面に這いつくばるルインモードへバーストモードが超高速で接近。猛烈なパンチとキックの乱打を叩き込んだ。

「今のはバウトモンという完全体デジモンの必殺技【迅雷廻天戟】だ。シャイングレイモンは俺のチームの中で、実は格闘戦が一番得意なんだよ」

「なら遠距離戦で勝負だ! 【トリッドヴァイス】!」

ハルトの指示に応じてルインモードが上空へと緊急離脱し、無数の火炎弾を雨あられと掃射する。しかし、バーストモードは最小限の身体捌きで全て見切りながら間合いを詰め、再び容赦のない近接乱打を浴びせた。

「なら【コロナブレイズソード】!」

追い詰められたルインモードは両手の炎をひとつに束ね、禍々しい巨大な大剣を形成してバーストモードへ振り下ろす! バーストモードの炎の拳とルインモードの大剣が激突し、大気を震わせる凄まじい衝撃波が周囲へ飛散した。

鍔迫り合いのまま硬直する2体。だがお互い、相手に悟られぬよう体内に全エネルギーを限界まで充填していた。

「これで……トドメを刺せ! 【ファイナルシャイニングバースト】――――っ!!」

「こっちも……【ファイナルシャイニングバースト】――――っ!!」

両者同時に全存在を賭けた最終必殺技を解き放ち、超極大の大爆発が巻き起こる! 先ほどまでとは比較にならないほど狂暴な爆風と衝撃波が荒れ狂い、観戦していたデジモンたちが咄嗟に庇うように盾となってネモたちを守った。

猛烈な爆煙によって上空の2体の姿は一時的に見えなくなったが、やがて炎が晴れると、全身ボロボロになった2体が力尽き、力なく地面へと落下していくのが見えた。

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