Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
あの後、しつこく食い下がるネモの追跡を間一髪で振り切ったショウは、南3番エリアの人気の少ない岩かげまで一気に駆け抜けた。
周囲に人の気配がないことを念入りに確認すると、デジヴァイスを操作してテクスチャ擬態を解除し、ルガルガンに化けていたドルルモンを実体化させた。
「やれやれ……! やっと振り切れたぞ……」
『ふぅ……あのお嬢さん、かなりの
ショウは苦笑しながら愚痴をこぼし、ドルルモンの身体を隅々まで点検した。
「パモとのバトルでのダメージはどうだ? もしこの後すぐに実戦になったら支障はあるか?」
『問題ない。ただ、ポケモンの技属性で弱点を突かれると結構痛いな。それと、テクスチャ元のルガルガンのバトルデータをあらかじめインストールしていたおかげで、技も問題なくトレースできた。擬態したままでの本格的な実戦はこれが初めてだったから、良いデータが取れたよ』
ショウが案じていたダメージの有無に対し、ドルルモンは不敵に微笑んでバトルの手応えを口にした。
「そうか。大きな問題がないのなら安心したよ。これなら野良のポケモンや他のトレーナーに見つかっても、無理に逃げ回らず対応できるな」
『ああ』
テクスチャ偽装の耐久性と戦闘適性を実証でき、ショウが胸を撫でおろした──まさにその時。
ピピピピピッ! ピピピピピッ!
ショウの腕のデジヴァイスから、これまでになく高いアラーム音が鳴り響いた。画面に走るノイズと反応ログを見て、ショウの表情が瞬時に険しくなる。
「……南3番エリア内にゲートの発生を確認。……待て、これまでの奴より規模が大きいぞ!?」
『ってことは……幼年期や成長期じゃなく、『成熟期』クラスが直接跳んでくる可能性があるな』
「ああ、急ぐぞ!」「了解!」
ドルルモンを一度デジヴァイスのストレージへ戻し、ショウは感知された反応地点へと全速力で疾走した。
岩肌の露出する荒野のただ中に、歪んだ次元の亀裂──『ゲート』が黒々と開いていた。ショウが駆けつけた時にはすでに、そこから異形の巨躯が地表へと這い出てきていた。
『グルルル……ッ!』
地鳴りのような唸り声を上げているのは、恐竜のような巨体に、両肩から伸びる巨大な不気味な角。そして左肩に黒いタトゥーが刻まれた肉食デジモン──成熟期の【タスクモン】であった。
「タスクモンか……!」
『凶暴だが、直線的で戦いやすい相手だな。……ショウ、ここは俺に行かせてくれ!』
デジヴァイスの向こうから、熱い闘志をたぎらせた声が届く。
「分かった。思い切り暴れてこい──ジオグレイモン!」
『グルォォォ──ーッ!!』
ショウがデジヴァイスを掲げると、眩い光とともにオレンジ色の巨大な影が飛び出した。
現れたのは、タスクモンと同じ恐竜型でありながら、しなやかで引き締まった体躯と、頭部を覆う硬質甲殻、そして鮮やかな青いストライプ模様を持つデジモン──シャイングレイモンの成熟期姿、ジオグレイモンだ。
突然現れたジオグレイモンに驚きつつも、タスクモンは即座に相手を敵と認識し、凶暴な爪を立てて身構えた。
一方のジオグレイモンは、首をゴリゴリと鳴らすと、左手の3本指の真ん中を相手へ向け、挑発するように口角を釣り上げた。
『さあ来な、三下。……遊んでやるよ』
『グルォォォオオッ!!』
その不敵な挑発に血の気が登ったタスクモンは、激高した雄叫びを上げて大地を蹴り、地響きを立てて突進を開始する!
それを牙を剥き出しにして真っ向から迎え撃つジオグレイモン。
パルデアの荒野で、恐竜型デジモン同士の猛烈な肉弾戦の火蓋が落とされたのだった──!