Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
『グルォォォオオッ!!』
凄まじい雄叫びを上げ、猪突猛進に突っ込んでくるタスクモン。だが、ジオグレイモンは冷静だった。流れるような素早い身のこなしで突進を紙一重でかわすと、遠心力を乗せた巨大な尾を叩きつける!
『グギャアッ!?』
背後から追撃を受けたタスクモンは勢い余って岩山へ激突し、痛々しい悲鳴を上げた。すぐさま反撃に移ろうと振り返った瞬間──その眼前には、すでにジオグレイモンの巨大な拳が迫っていた。
『オラァッ!!』
『グハッ!?』
重厚な右ストレートが顔面にめり込み、タスクモンの巨体が再び岩山を破砕する。逃がすまいと、ジオグレイモンは怒涛のパンチラッシュを叩き込んだ。
『グォウッ!』
『おっと……どっせーい!!』
『ギャオッ!?』
反撃の拳を放とうとしたタスクモンの腕をすれすれで受け止めると、ジオグレイモンはそのまま豪快な背負い投げで地表へ叩きつけた。
完全に主導権を握られたタスクモンは激怒し、足元に転がっていた巨大な岩の塊を拾い上げると、ジオグレイモン目掛けて全霊で投げつけた。
『そんなもん食らうかよ! 食らいな──【メガフレイム】!!』
ジオグレイモンが咆哮とともに口腔から巨大な高熱の火球を放つ。火球は飛来する巨岩と正面衝突し、大爆発を起こした。
『グオオ──ッ!』
『グッ……こざかしい真似を……!』
爆煙が広がった一瞬の隙を突き、タスクモンが死角から巨体で体当たりを仕掛けてきた。吹き飛ばされたジオグレイモンは、今度は自身が岩山に叩きつけられ、深手を受ける。
「ジオグレイモン! タスクモンの必殺技【パンツァーナックル】が来るぞ! 【ホーンインパルス】で迎え撃て!」
『おうッ! 【ホーンインパルス】──!!』
ショウの鋭い指示を受け、ジオグレイモンは岩山から身体を引き抜くと、姿勢を低く構えて頭部の硬質な角を前方に突き出し、爆発的な推進力で地表を疾走した。
全体重を乗せた拳『パンツァーナックル』と、角による突進『ホーンインパルス』が激突──!!
ドギャアァァンッ!! と、パルデアの山岳地帯に目も眩むような凄まじい衝撃波が吹き荒れた。ショウは腕で顔を覆って風圧に耐えながら確認する。両者ともに必殺技の反動で吹き飛び、大きく距離が開いていた。
「ジオグレイモン! これ以上長引くと被害が広がる! タスクモンを空へ放り投げろ!」
『おう、任せろッ!』
ジオグレイモンは即座に体勢を立て直すと、低い前屈姿勢で突進し、タスクモンの巨体を頭部の角で掬い上げるようにして上空高くへとぶん投げた。
宙に打ち上げられたタスクモンだったが、空中で無理やり姿勢を制御すると、本来ならタスクモンが持たないはずの動作──口腔内に黒赤色の凄まじい高熱エネルギーを充填し始めた。
「……! あれは【ファイヤーブラスト】!? そうか、あのタスクモン、ダークティラノモンのデータを取り込んでいるのか……! ジオグレイモン!」
『しゃらくせぇぇッ! 【メガバースト】──ー!!』
敵の次の行動を瞬時に見抜いたショウと、勝利を確信するジオグレイモンの呼吸が重なる。ジオグレイモンの口元に、眩い熱線エネルギーが収縮・凝縮されていく。
『グオオオ──ッ! 【ファイヤーブラスト】!!』
先に充填を終えたタスクモンが、上空から極大の火炎放射を解き放った。しかし、ジオグレイモンの溜めたエネルギーはその比ではなかった。
『──【メガバースト】ッッ!!』
ジオグレイモンが口から放ったのは、火炎放射を遥かに凌駕する極太の極熱ビーム! 放たれた【メガバースト】は、押し寄せる【ファイヤーブラスト】を正面から圧倒的な威力で押し返し、飲み込み、上空のタスクモンの巨体を完全に包み込んだ。
幾重ものノイズとともに、タスクモンの肉体が『0』と『1』のデータ粒子へと分解されていく。そして、光のモザイクが霧散した空中に、ポツンと一つの「デジタマ」が残され、ゆっくりと地面へ落ちてきた。
『グオォォォ──ーッ!!』
夕空に向かって、ジオグレイモンが誇らしげに勝利の雄叫びを轟かせた。
その後、無事にデジタマを回収したショウは、通信でポケモンリーグへ撃破報告を済ませると、何事もなかったかのようにアカデミーの学生寮へと戻っていった。
……だが。
遠く離れた小高い丘の陰から、その激闘のすべてを目撃していた“誰か”がいたことに、ショウは気づいていなかった。
「……あれは、一体……何……!?」
蒼白な顔でぽつりと呟いたその声は、夕暮れの風の中に静かに消えて行った──。