Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い   作:ガチャガチャクツワムシ

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交流戦決勝戦決着

『なんと! どちらも倒れてしまった! これは一体どういうことだぁーっ!?』

あまりの相打ち劇に会場のほとんどが困惑に包まれる中、瞬時に事の真相を見抜いたソウマとヒョウガが呆れたようにため息を吐いた。

「ショウの奴、随分と無茶な手を使ったなぁ」

「エイジもだろ。事前に何がなんでも相討ちに持ち込もうと、パートナー同士で打ち合わせしていたんだ」

「しかし……ミラージュガオガモンBMが全身の全エネルギーを込めて【ルナハーケンスラッシャー】を叩き込んだのはまだ理解できるが……まさかオメダモンが自分の腕を爆破・切り離してまで……【シザースソード】を直接ぶち込んでくるとはな」

その説明を受け、観客席のハルトたちが改めて倒れたデジモンたちに目を凝らすと、シャイングレイモンBMの背中には【ルナハーケンスラッシャー】の月光刃が深々と突き刺さり、ドゥフトモンXの胸部にはオメダモンの腕ごと【シザースソード】が刺さっていた。

『なんとぉぉぉッ!! オメダモン、自らの腕を犠牲にしてドゥフトモンXと刺し違え、相討ちに持ち込んだぁぁぁッ!!』

実況のアナウンスで状況を理解した観客席全体から、凄まじいどよめきが湧き起こる。

「エッ!? それって腕がもげてるようなものじゃない!? 大丈夫なの!?」

「まぁ、大丈夫じゃないか? オメダモンの元となっているゲームだと、敵の腕や脚が個別のパーツになっていて、それを破壊・パーツオフして倒すシステムだからな。オメダモンも自身の意思で腕を切り離せる構造になっていると聞いたことがある」

「それにドゥフトモンX側も致命傷ではありますが、奇跡的にデジコアへの直接ダメージは免れていますね」

不安がるミモザ先生の疑問にヒデトが分かりやすく答え、アリサも冷静に補足した。

「……お前ら、覚悟が決まりすぎだろ……」

「フッ、お前のチームの方が純粋なパワーと突破力は上なんだ。これくらいの捨身攻勢を掛けなきゃ相討ちにすら持ち込めないんだよ」

「……そこまで買われてると思うしかないか」

ショウとエイジは互いに苦笑いを交わしながら、満身創痍の4体をデジヴァイス内へと緊急回収。そして、二人の手元に残された最後の真のパートナー――ヘクセブラウモンとブルムロードモンが、決戦の舞台へと静かに踏み出した。

「いよいよ……大将戦だな」

「ああ……ここで決着をつけようぜ」

「――ヘクセブラウモン!!」

「――ブルムロードモン!!」

二人が同時にパートナーの名を叫ぶと、両者は爆発的な踏み込みで地を蹴った!

ブルムロードモンが手にした絢爛たる花の槍を閃かせて突き出すと、ヘクセブラウモンは空中に構築した巨大な氷のハルバードを合わせるように打ち据える!

ドガギィィィンッ――!!

まるで高硬度の金属同士が激突したかのような金属音がコロシアム中に轟く。2体はその場に一歩も引かず踏みとどまると、視認不可能な領域――幾重もの残像が見えるほどの超高速で突き合いを開始した!

刺突の閃光と火花が幾重にも交錯する中、ヘクセブラウモンが密かに足元の地面へ蒼い魔法陣を展開させていた。

「――【サモンフロスト】!」

「甘い! 【スプラウトラッシュ】で魔法陣ごと砕け!!」

瞬時に察知したブルムロードモンが空高くと躍り出ると、急降下の勢いを乗せて地面へと力強く槍を叩き付けた! 地砕く衝撃波が【サモンフロスト】の術式を起点ごと粉々に破壊する!

「追撃だ! 【マルチプルシード】と【タネマシンガン】!」

「【氷の礫】と【イノセンスブリザード】で迎撃しろ!」

間合いを取った両者は即座に遠距離戦へとシフト! 弾丸のように打ち出される無数の種子と、超高密度の氷塊・絶対零度の吹雪が真っ向から激突し、息をのむような凄まじい弾幕戦へと突入した!

「すご~い! 私も混ざりたいなぁ!」

「ぶれないね……ネモは……」

目を輝かせてバトルフィールドに飛び込みたそうにウズウズしているネモを、ハルトが呆れつつも苦笑いしながら宥めていた。

「それにしても、あのブルムロードモンだっけ? 凄いわね」

ミモザ先生が感心したように漏らすと、ソウマとヒョウガが分かりやすく解説を加えた。

「ブルムロードモン種は、肩にある大輪の花から太陽光を極限まで吸収してエネルギーを蓄積する特性があるんだ。そのエネルギーがピークに達した時の戦闘力は、あのロイヤルナイツにも匹敵すると言われている。おまけにどんな悪天候も瞬時に晴天へ変える環境操作能力を持っていて、屋外での戦いなら常に自分に圧倒的に有利なフィールドを作り出せるんだよ」

「ついでに言うなら、ショウのヘクセブラウモン種も太古のデジタルワールドを破滅の氷河期から救ったと称される伝説級の氷の魔道騎士だ。要するに、あいつらは最高峰の超稀少種同士の激突ってわけだな」

説明に納得する一同をよそに、グラウンド上では激しい打ち合いが続いていた。

「このまま撃ち合ってても埒が明かないな……ヘクセブラウモン! 【ヘクトエッジブリザード改】!」

激しい拮抗を打ち破るべく、ショウが畳みかけるように叫んだ!

本来の【ヘクトエッジブリザード】は無数の巨大な氷剣を上空から降らせる技だが、ショウがカスタマイズした『改』は違っていた。氷剣のみならず、氷で生成された巨大な氷槍、氷斧、氷大剣といったあらゆる形状の古代武器が、まるで宝物庫から解き放たれたかのようにブルムロードモンの頭上から怒涛の連撃となって降り注ぐ!

「どこぞの英雄王かよ!?」

「パクった!!」

エイジはツッコミながら吠えた。

「パクるな! 【プラントゾーンクレイドル】と【ソーンウィップ】で全て薙ぎ払え!」

ブルムロードモンが鎧の隙間から頑強な伸びる茨を一斉に展開! 鞭のようにしなやかに振るい、頭上から降り注ぐ大量の氷の武器群をことごとく空中で粉砕・破壊してみせた!

だが――その攻撃は、ヘクセブラウモンが超近接へ肉薄するための視界遮断のデコイに過ぎなかった。

「甘い! 懐に入ったぞ! ぶちかませ、力技――【アイスハンマー】!!」

ヘクセブラウモンが絶対零度の氷塊を拳に強固に纏わせ、渾身の力でブルムロードモンの胸板へ強烈なストレートを叩き込んだ! ドカァンッ! と凄まじい打撃音が響き、ブルムロードモンの巨体が地響きを立てて後方へ吹き飛ばされる。

「……力技まで仕込んでやがったか」

「お前が相手なら、隠し球は多ければ多いほどいいからな!」

「なら……こっちだって隠し球はあるんだよ! 喰らえ、【リーフブレード】!」

体制を立て直したブルムロードモンが素早く手刀を振るうと、カミソリのような真空波が走り、ヘクセブラウモンの肩口を鋭く切り裂いた。

「へっ、やっぱりお前ならそういう小技も仕込んでくると思ったぜ」

「ふっ……まだまだこんなもんじゃないぞ! ブルムロードモン、【日本晴れ】だ!」

エイジの指示を受けたブルムロードモンが、太陽と全く同じ波長・熱量を持つ極大の光球を空中へと打ち上げた! 刹那、暗雲を吹き飛ばすかのように輝かしい太陽光がフィールド全体を照らし出し、太陽光を吸収したブルムロードモンの全身から圧倒的な圧力が解き放たれる!

「これでブルムロードモンはフルスペック状態だ。……次で決める! 【グラン・デル・ソル】!!」

ブルムロードモンが握る槍の穂先にある蕾がパッと花開き、そこから眩い灼熱の光の巨剣が姿を現した。

「背水の陣だ……! なら、こっちだって全開で行くぞ!!」

ショウは懐から眩しく輝くテラスタルオーブを取り出し、掲げた! 眩い結晶の光がヘクセブラウモンを包み込み、その頭上には氷の【エンシェントメガテリウムモン】を象った巨大なテラスタルジュエルが顕現する!

「――【背水の陣】からの、全力で放て!! 【アブソリュートブラスト】!!」

テラスタルジュエルから解き放たれた絶対零度の吹雪と、背水の陣で極限まで高まった威力がヘクセブラウモンの口元から放たれる! 同時に、ブルムロードモンが光の巨剣を振り下ろし、太陽のエネルギーを凝縮した極大のソーラービームが激突した!

ドカアアアアアァァァッ――――――――!!!!

絶対零度と超高温――相反するふたつの最大必殺技が真っ正面から衝突し、世界を白く染め上げるほどの狂暴な衝撃波がコロシアム全体を包み込んだ。

絶大なエネルギーが正面衝突し、氷と炎の爆風が激しく狂い咲く!

テラスタルにより冷気の結晶を眩しく煌めかせるヘクセブラウモンと、【日本晴れ】の絶対的な太陽光を全身に集めたブルムロードモン。拮抗する極大必殺技の狭間で、ショウとエイジは間髪入れずにデジヴァイスから2基のデジメモリを抜き取り、スロットへ叩き込んだ!

「スレイプモン、ディアナモン! デジクロス! クロスアップ・ヘクセブラウモン!!」

「アポロモン、デュナスモン! デジクロス! クロスアップ・ブルムロードモン!!」

デジクロスによって瞬時にパートナーたちの姿へさらなる武装とステータス補強が施され、技の出力が跳ね上がる!

「「まだまだぁぁぁッ!!」」

ふたりは自身の全身から溢れ出る【デジソウル】を限界突破の領域まで解き放ち、その熱量をすべて技の核心へと注ぎ込んだ!

ドガガガガァァァッ!!

せめぎ合う必殺技の規模はもはやコロシアムのフィールド枠を完全に逸脱していた。ヘクセブラウモン側は解き放たれた絶対零度によって空間そのものが冷気で歪み凍結。対するブルムロードモン側は圧倒的な超高熱によって、特殊防護処置が施されたグラウンドの床面がマグマのように熔解していく。

しかし――拮抗の最中、不気味な氷結音が響いた。【グラン・デル・ソル】の極大ビームの先端から、じわじわと絶対零度の冷気が侵食し、ビームそのものが凍りつき始めたのだ!

「まずい……!? ブルムロードモン! 【ソーラーブレード】と【ソーラービーム】を上乗せしろ!」

エイジの叫びに応じ、【グラン・デル・ソル】へさらに太陽の熱線が連続で融合される! 凍結し始めた氷を力任せに融解させ、再びヘクセブラウモン側へと徐々に押し返していく!

「押されてたまるか! こっちは力業――【絶対零度】と【吹雪】だ!!」

ショウも即座に対抗! 【アブソリュートブラスト】に重厚な【絶対零度】と【吹雪】の二重の冷気を力業で無理やり合体させ、押し寄せた灼熱の奔流を再び押し戻して五分へと持ち直した!

「どっちも凄いパワー……! けど、これじゃ決着がつかないよ!」

「いや……あそこを見ろ!」

ヒデトが指さした先、激突する両大技の周囲の足元から、不気味な黒い霧がモヤモヤと広がり始めていた。

次の瞬間、両者の技の威力が不自然に減衰し始める! だが、露骨に威力が落ちて押し込まれたのは、太陽の恵みを受けていたブルムロードモン側だった。

「あれって……ポケモンの【黒い霧】!?」

「何で!? 【黒い霧】ならお互いの能力変化がリセットされるはずなのに、何でエイちゃん側の威力だけ落ちてショウくんが押し始めてるの!?」

リンファとサクヤが驚愕の声をあげる。その問いに、ハルトとアリサが即座に盤面を見抜いて答えた。

「恐らく……お互いの【剣の舞】や【背水の陣】のバフは消えたけど、ショウは直前に『力業』を指示していたから、技そのものの基礎威力が落ちきらなかったんだと思う!」

「それに……【絶対零度】の一撃必殺の特性データが、【アブソリュートブラスト】の冷気波にそのまま乗ったのも大きいですね!」

ふたりの分析通り、不気味な黒い霧を貫いて凍結の侵食速度が劇的に加速! 【グラン・デル・ソル】の光線が端から完全に氷漬けとなり、爆発的な氷結の奔流――【アブソリュートブラスト】がブルムロードモンの全身を根こそぎ呑み込んだ!

バリバリバリドッカァァァンッ!!

巨大な氷塊が形成され、弾け飛ぶ! 砕け散る氷の結晶の中から崩れ落ちたブルムロードモンは、そのまま動かなくなり、戦闘不能となった。

静寂ののち――コロシアム全体を揺るがす審判の絶叫が轟いた!

『BattleEnd!! WINNER!!……ライトファングのショウ―――ッ!! プラチナトーナメント・チャンピオンはショウ!! Congratulation!! これにより、今年のユニオン交流戦総合優勝は――ライトファングだぁぁぁッ!! Congratulation!! ライトファング!!』

審判の宣言が響き渡り、ライトファング側の観客席から地鳴りのような嵐の大歓声と拍手が巻き起こった!

「よくやったぞ、ショウーッ!」

「最高の試合だった!」

「今年の総合優勝はライトファングだぁぁぁッ!」

「すげぇぞショウ! 感動したぞ!」

一方のナイトクロウ側からも、健闘を称える温かい声援が降り注ぐ。

「惜しかったなエイジ!」

「来年は絶対にリベンジだからね!」

「次は負けないぞ、ライトファング!」

フィールド中央では、テラスタルを解除したショウがヘクセブラウモンと笑顔で力強くグータッチを交わしていた。そこへ、ミタマモンの治癒を受けて回復したブルムロードモンを伴い、エイジが歩み寄ってきた。

「……今回は、俺たちの負けだ。おめでとう、ショウ! だが……次は絶対に負けないからな!」

「へっ、次だって何度だって勝ってやるよ!」

互いに不敵で清々しい笑みを浮かべると、ショウとエイジ、そしてヘクセブラウモンとブルムロードモンは、ガッチリと熱い握手を交わしたのだった。

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