Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
タスクモンとの激闘から3日後。1-Aの教室では、ある噂の話題で持ちきりだった。
「ねえ知ってる? 一昨日の南3番エリアの事件!」
「聞いた聞いた! ネット画像が出回ってるけど、岩山が根こそぎ削れて荒れ果ててたらしいよ!」
「ニュースで近くにいた人が言ってたけど、岩山に住んでるポケモンたちが急に怯えて逃げ出したと思ったら、今まで聞いたこともない叫び声が聞こえて……そのあと凄まじい地鳴りと爆発音がしたんだって!」
「隣のクラスの子が言ってたけど、空に向かって太い【破壊光線】みたいな光線が突き抜けるのを見たらしいよ!」
ジオグレイモンとタスクモンの激突地点が人里に比較的近かったため、多くの住民やトレーナーが戦闘音や光を目撃してしまったのだ。
あのバトル学の授業以来、すっかりネモに目をつけられてしまったショウは、なぜか一緒についてくるハルトを交えて話に加わっていた。
「ねぇねぇ! ハルト、ショウ! 南3番エリアの噂、聞いた!?」
「いや……ニュースで流れてた内容くらいしか知らないな」
「僕は、現場にかなり大きな足跡が残ってたって聞いたよ。しかも二種類あったらしいんだ」
「へぇ〜っ! くぅーっ、私もそこで戦ってみたかったなぁ〜っ!」
「どんなポケモンかも分からないのに……」とクラス一同が呆れる中、ショウ一人だけは冷や汗を流していた。
(……やべぇな。デジタルワールドの感覚が完全に抜けてなかったわ……! 成熟期とはいえ軽く体長5メートル越えの巨体同士が必殺技をぶつけ合えば、そりゃこの世界じゃ大事件になるよな……。オモダカさんたちにも迷惑がかかるし、次から戦う場所や隠蔽の手順をしっかり考えないと……)
ショウが一人で反省と対策に頭を悩ませている間も、ネモとハルトの会話は続いていた。
「そういえば、ハルトたちが編入してくる1ヶ月前にも、南5番エリアで謎の『未知のポケモン』が現れたって大騒ぎになってたよね。今回の件と何か関係あるのかな?」
その言葉にクラスメイトたちの噂話は一層ヒートアップしたが、直後にキーンコーンカーンコーンと朝のチャイムが鳴り響いた。担任のジニア先生が教室に入ってきたため、全員が速やかに席につき、ホームルームが始まった。
1日の授業と放課後のホームルームが終わり、ショウは「パルデアの街を少し散策するか」と廊下へ出た。すると――。
「ショウくん。少々よろしいでしょうか?」
呼びかけてきたのは、パルデアリーグ四天王の一人であり、アカデミーで美術を教える教師――ハッサクだった。
「ハッサク先生。どうされたんですか?」
「実は……先日の『例の件』についてお話ししたいことがありましてね。あなたを探していたのです」
「わかりました。……ここで話すのはまずいですね?」
「ええ、周囲の耳もありますからね。リーグ本部へ移動しましょう。参りますよ」
ハッサクの真面目な面持ちに、ショウはピンとくるものがあった。南3番エリアでのジオグレイモンたちの戦闘が大事になり、オモダカ委員長やリーグ側が動いたのだ。
周りの生徒たちに悟られないよう静かに頷いたショウは、そのままハッサク先生に連れられ、テーブルシティのポケモンリーグ本部へと向かっていくのだった。