Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
ハルトのカラミンゴと同時にショウが出してきたのは、ゆうもうポケモン・ウォーグルだった。
……しかし、パルデアで見かけるウォーグルとは明らかに姿が違っている。白い羽毛と頭部に浮かぶ不思議なサイコパワーのオーラ。そう困惑しているハルトに気づき、ショウがすかさず説明を加えてくれた。
「こいつは『ヒスイウォーグル』だ。ヒスイ地方…今のシンオウ地方で確認されていた姿で、タイプは『エスパー・飛行』だ」
ショウの指示で2体が大空へ舞い上がると同時に、テツノワダチとのバトルが始まった!
「ウォーグル! 【エアスラッシュ】!」
『ウォーッ!!』
「カラミンゴ! 【ローキック】!」
『クワ──ッ!!』
ヒスイウォーグルが巨大な翼を力強く羽ばたかせると、鋭利な風の刃が繰り出され、テツノワダチの鋼鉄の身体を叩いた。それと同時に、カラミンゴが勢いをつけて低空飛行し、低姿勢からの鋭い蹴りをテツノワダチの左脚へ叩き込む!
本来なら飛行技の【エアスラッシュ】は鋼タイプに対して「今一つ」のはずだが、テツノワダチは苦悶の表情を浮かべて大きく体勢を崩した。思っていた以上のダメージが入っていることに僕が首をかしげると、ショウはニヤリと笑った。
「こいつの特性は隠れ特性の【色眼鏡】だ。効果が『今一つ』の技の威力を2倍にするのさ!」
ショウの的確なサポートと連続攻撃に押されたためか、テツノワダチは手足を胴体へ収納して巨大なタイヤの形態へ変化すると、逃げるように砂丘の向こうへ走り去っていった。
「逃げたぞ!?」
「多分、スパイスを食べに行ったんだと思う! ショウ、追いかけよう!」
ショウが叫ぶと、ハルトはボールからミライドンを繰り出し、手慣れた足取りでその背中に飛び乗った。
「よし、ミライドン! 追いかけるぞ!」
『グルルゥッ!』
ミライドンが凄まじい速度で砂嵐の向こうへ走り去っていく──。
「…………え? 俺は……?」
広大なロースト砂漠の真ん中に一人取り残されたショウの周りに、哀愁漂う『ポツン……』という効果音が響き渡っていた。
ミライドンに乗ってテツノワダチを追跡すると、奴はとある岩山の壁面を粉砕し、隠されていた洞窟から怪しく光る『秘伝:スパイス』と思われる物を掘り出して貪り食っていた。
「ハルト! ヌシを見つけたみたいだな! あいつが……土震のヌシ……!? えっと、アレって……本当にポケモンなのかな……!? なんか喰って、一段と元気になってそうだな……」
「他のヌシと同じように、スパイスの力でパワーアップしちゃったみたいだね!」
「ハルト! ……踏ん張りどころだぜ!」
ペパーが言い終わると同時に、スパイスのオーラを纏ったテツノワダチがこちらを向き、咆哮を上げて威嚇してきた。
「この辺で捕まえたスコヴィラン! ピリッとホットに活躍してくれ!」
「お願い、アチゲータ!」
二人で一斉にポケモンを繰り出し、主と対峙したまさにその時──ふとある重要な異変に気づいたペパー先輩が、首をかしげてハルトに尋ねた。
「……あれ? そういえばショウのヤツは?」
「えっ……? ……あ──ーっ!? 置いてきちゃったぁぁぁ──ーっ!!」
ミライドンに乗るのに夢中で、ショウをその場に置き去りにしてきたことを今更思い出して、ハルトは顔を真っ青に染め上げたのだった。
一方その頃──ショウ視点。
「ヤッベぇぇぇぇ──ーっ!! 完全に迷ったぁぁぁ──ーっ!!」
360度どこを見渡しても同じような砂山が広がるロースト砂漠のど真ん中で、ショウは頭を抱えて絶叫していた。
「クソッ、ここどこだよ!? マジで急がないとスパイス戦が終わっちまうぞ……! ていうかハルトのヤツ、ミライドンに乗せて行けよな! ちくしょう! 後で絶対に覚えてろよ──ーっ!!」
広大な砂漠のど真ん中で、ショウは怒りと悲しみの爆走を繰り広げているのだった。