Re.ポケットモンスターSV~電子生命体との出会い 作:ガチャガチャクツワムシ
自分たちが手持ちを全て倒され、万事休すと思われた異形の存在を一撃で粉砕した赤きヒーロー。
衝撃の爆煙が晴れると、そこにはセトモンとシェイドラモンの姿はなく、代わりにぽつんと二つの柄模様が入った巨大な「タマゴ」が転がっていた。
「……まさか、あの二体なのか?」
「何で……? 倒されてタマゴに……!?」
オルティガとビワは信じられない光景に疑問を口にしたが、それに答える者はいなかった。
上空から静かに降臨した謎の仮面姿の人物が手首のを操作すると、タマゴと赤きヒーローは光の粒子となって吸い込まれるように回収されていく。
直後、ぐにゃりと世界の色彩が戻り、周囲の空間隔離フィールドが解除された。一瞬そちらに気を取られ、我に返って視線を戻した時には──すでに謎のテイマーもヒーローも、跡形もなく姿を消していた。
「……一体、何だったんだ……?」
「わからない……わからないけど……私たちを助けてくれたのかな?」
「なぜ助けてくれたのか?」という問いが脳裏を巡るが、次の瞬間、アジトの方から「ビワちゃんー!」「坊っちゃまー!」と心配そうに駆け寄ってくる仲間たちの声が聞こえてきた。二人は顔を見合わせると、異変の収束との無事について団員たちへ説明するため、速やかにアジトへと戻っていくのだった。
次のゲート反応地点へと急行すると、やはりそこはスター団・毒組のアジトの近くだった。
ただ、アジト本体の敷地内も何やら騒がしい。気になったショウは、リアライズした。ヘクセブラウモンに『遠見の遠隔魔法』をかけてもらい、アジト内部の様子を遠視してみた。
そこには──シュウメイと白熱したポケモンバトルを繰り広げているハルトの姿があった。
(……あいつ、さっきの『秘伝:すぱスパイス』の効果で、頭のたんこぶが綺麗に治ってやがるな)
「まだたんこぶが残ってたら、ヘクセブラウモンの回復魔法で治してやろうと思ったが、手間が省けたな」とショウがそう呟いていると、ゲートの歪みが急激に大きくなった。意識を目の前の異変へ引き戻す。
やがて空間の亀裂から降り立ったのは、烏天狗のような姿をした完全体の鳥人型デジモン──【カラテンモン】だった。
『……ふむ。この独特な気配……ショウか?』
静かな問いかけとともに現れたカラテンモンへ、ショウはホッとしたように表情を緩めた。
「あんたか! そうだ、俺だよ。久しぶりだな、カラテンモン」
『うむ。デジタルワールドの噂で急に行方不明になったと耳にしておったゆえ心配しておったが……元気に過ごしておるようで何よりだ』
「まあな! 積もる話も山ほどあるんだが……生憎いまは緊急事態の対応で大忙しなんだ。悪いが、一旦俺のファーム島へ移動してくれないか? あっちで俺のパートナーたちが詳しい事情を説明してくれるからさ」
『承知した。では、ファーム島にて待つとしよう』
旧知のデジモンだったため、戦闘にすらならず穏やかに解決した。ショウはヘクセブラウモンに転送案内を頼むと、最後の発生ポイントへと向かった。
最後のゲート反応地点は、スター団・炎組のアジトだった。
こちらもアジトから少し離れた路地裏だったが、すでにゲートから複数体のデジモンが実体化を果たしてしまっていた。
しかし──現場に辿り着いたショウの目に飛び込んできたのは、予想を絶する混沌とした光景だった。
『『キャハハハッ! 抱っこ! 抱っこー!』』
『『お腹空いたぁぁ! ご飯チョーダイ!』』
『『遊ぼう! ねえ遊ぼうよー!』』
「お前らっ……!! いい加減離れろっつーの!!」
「ははは、大人気だなメロコ」
なんと、ゲートから溢れ出していたチコモンやコロモン等の大量の幼年期デジモンが、炎組のボス・メロコのトゲトゲした衣装やブーツにまとわりつき、無邪気にじゃれついていたのだ! それを悪組のボス・ピーニャが苦笑しながら眺めている。
(……何だ、このカオスな状況!?)
一瞬呆然としたショウだったが、急いで二人の元へ近づくと、デジヴァイスからジャスティモンをリアライズした。
「オーイ、お前ら〜! 迎えに来たぞー!」
ジャスティモンの通る声が響くと、メロコに群がっていた幼年期デジモンたちが一斉に振り返った。そして、憧れのヒーローの姿を見るや否や、目を爛々と輝かせた!
『『『『わぁぁぁ〜〜っ!! ジャスティモンだぁぁぁ〜〜っ!!』』』』
キャッキャと歓声を上げながら一斉にジャスティモンへ寄ってきた幼年期デジモンたちを、ショウは手際よくデジヴァイス内へと回収した。
こうして、パルデア全土で同時多発的に発生したゲートの異常出現は、ショウとパートナーデジモンたちの極秘ミッションによって、誰一人として重大な被害を出すことなく完璧に収束したのだった。